ジャスト二分後にアスランが「デコイだ!」とか叫んだが、前方の戦艦と思っていた熱源はシグナルロスト、後方に新たな熱源を発見。これを見てタリアはロイを睨んだ。
「あなた、知っていたのね」
「だからどうした、軍人」
「くっ」
プロフェッショナルとして外交官に負けたとは言えないタリアは出かけた言葉を飲み込む。ロイは既に無視してPDAに向かって何か話している、ステラの表情も固い。ロイがステラと何か相談した後またPDAに向かって話を始めた。まるで電話でもしているような動きに全員突っ込まなかった。実際、彼らにとって信じられないことにミナと通信していたが。
その後、アスランの助言により苦境からは脱出したが追撃不能なまでの損傷を与えられた。追跡は断念し、ロイ達はそれぞれの部屋に行く。今度はロイ達とカガリ達は別の部屋を与えられた。アスランは気分転換すると言い出し、同じことを考えたロイ達と一緒に行く。
休憩室には先客がいた、パイロット達とメイリン・ホークだ。
ルナマリアが真っ先にアスランに話しかけた。
「こんな所で伝説の英雄に会えるなんて光栄です」
「…そんなものじゃない、俺はアレックスだよ」
「だから、もうモビルスーツにも乗らないんですか?」
「やめろよ、こんなオーブに逃げた奴に」
シンが辛辣な事を言う
「俺は…」
アスランは何も言い返せない。
「まあ、確かにお前はプラントで戦後処理するべきだった。そうだったら嘗ての強行派の犠牲も少なくなる」
コーヒーを買ってきたロイが言う。
「それは…」
アスランはそのままだが、シンがロイを見て震えている。沈黙がしばらく続いた。突然シンがロイに駆け寄る。
「あんた。いえ、あなたがロイ・サハク外交官ですか?」
後ろでルナマリアとメイリンが「シンが年下に敬語使ってる!?」「それも他国人相手に!?」とか言ってるが全員スルーした。
「そうだが?」
「えっと、二年前オーブ防衛戦に参加してませんでしたか?黒いMSで」
「ん?君は…逃げ遅れ一家の男の子か」
知っていたが、今思い出した見たいに言う。
「やっぱりそうでしたか!ありがとうございます、あなたのお陰で家族全員が助かりました!」
そう言って90度で頭を下げた。普段のシンを知る者は信じられない物を見たような顔をしている。
「当然だ、少なくともあの時の君は自国民だったしね」
助けた人に感謝される事に少し嬉しくなったロイはそう言って心から微笑んだ。そして女性全員が落ちた。メイリンが「うわぁ..」とか言ってる。
「って、ちょっと待って。ネオ・オーブの黒いMSって噂じゃあフリーダムを倒したあの?」
いち早く戻ってきたルナマリアが爆弾を投下。
「「「「!!!」」」」
噂を思い出した者全員ロイとアスランを見る。アスランは苦い顔をしていた、ロイは
「ああ、建国の切欠と成ったあの戦闘でね」
これにはZAFT全員が驚いた、噂は本当で最強のMSと言われるフリーダムを倒した人は目の前に居る少年だ。
「マジで!?」
「アスラン・ザラの表情を見ろ」
「なるほど、だからザクで新型を倒せるのか」
「世界最強…」
「色紙!色紙ないか!?」
「きゃ〜」
大パニックだ。パイロット達とメイリンは目をキラキラさせてる(レイ以外)、それはもう「尊敬してます」って目で言ってる感じだった。ロイはちょっと引いた。
「(シン、性格変わりすぎだろ。他の奴も、ZAFTは大丈夫か?)」
それでもロイは聞いて置かなければならないことがあった。
「シン・アスカ、何故L2コロニーじゃなくてプラントに行ったんだ?」
全員が一瞬で落ち着いた。シンは答えにくそうだ。
「あの時は父さん政治に疎くて。L2に避難しても、アスハが統治する限りまた戦争に巻き込まれるだろうって考えてて、それでプラントに来ました」
アスランは聞いてられなくて出て行った。
「なるほど」
「確かに家族は助かりましたが、友人に死んだ人がいたのでアスハの政治には耐えられないんです」
「…済まない」
「いえ、ロイ様が気にすることではありません。サハクは北を防衛するって事は知っています」
「責めるつもりはないが、何故ネオ・オーブ建国後に移民しなかったんだ?」
「両親が軍で既に技術者として働いてたんです、それで辞められなくて」
「それは、また…」
正にロイが交渉しに来た一件だった。
「最新鋭機を任された以上、除隊は無理でしょうが、いつかは家族でネオ・オーブを観に行きたいですね」
「できるぞ」
「え?」
「デュランダル議長と既に交渉した。機密に関わる元オーブ人でも除隊できる、ZAFTは金か地位を与える事でしか引き止めが出来ない」
「………」
全員頭真っ白。軍ではありえないことだ、しかしロイはここで言った、真実の可能性は充分ある。
「ほ、本当ですか!?」
「ああ、後で確認するといい」
「ありがとうございます!」
もう一度90度に頭を下げて、家族に連絡すると言って走って行った。ロイ達も休憩が終わったので、部屋に帰った。残された者達は色々ありえない物を聞いて固まっていた。