チートと転生、あとガンダム   作:ロイ

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護衛は戦えればいい訳ではない

英雄アスラン・ザラは苦戦していた。ここまで性能と数の差があれば仕方ないが、何故こんな状況でMSに乗るのかロイには分からない。カガリの安全を優先するなら目立つMSに乗らずに車で逃げるのが最善だ。アスランのザクが何度も殴られていたらまた二機のザクが来た。

 

SIDE ロイ

 

「おい、アスラン・ザラ。あのバカも乗っているんだろ、さっさと退け」

『巫山戯るな!お前らだけに任せられるか!』

「だまれ暴走娘!アスラン・ザラ、どうするかはお前の自由だが自分の仕事を忘れるなよ」

『奴らを倒せ、アスラン!』

 

どうでもいいか、カガリが死んだらこちらにとっても都合がいいし。

 

コロニー内でビームライフルは使えない。機関銃なんて無かったし、接近戦しかないか。

ステラとの連携で一つくらいは落としたいな。

 

SIDE OUT

 

ロイとステラのコンビネーションは完璧だ。ロイの先読みをステラはロイの動きで察し、二人とも常に先手を取る。二人の相手はカオスとアビスだが相手は翻弄されっぱなしだ。ロイは超人的な反射神経こそ無いが高速演算による先読みが出来る、華やかさこそ無いが攻撃と回避は的確だ。ステラは今回ロイに合わせている、機体性能が足りないので実力を発揮出来ないからだ。二人は集中的にカオスを狙い、無傷で装甲をダウンさせた。直後に空で何かが合体してるのが見える。

 

SIDE ロイ

 

あれはMSか?ヒーローアニメでもないのに合体中に攻撃されたらどうするつもりなんだ?ま、いいや。それよりも援軍が遅すぎる、大丈夫かZAFT?

 

お?赤いザクと白いザクも出てきた。アスランのザクもミネルバに行ったし、こっちも退くか。

 

「ステラ、もう充分だから後は任せよう」

『それはいいけど、何処に行くの?』

「ミネルバだ」

『新鋭艦?なんで?』

「デュランダルが居るから問題を押し付ける」

『分かった』

 

しかし、いいMSだ。ウィンダムやムラサメより性能が突出している。量産機にしてはなかなかいい。

 

SIDE OUT

 

ミネルバにはすんなり入れたがコクピットから出て直ぐ銃を構えた兵士に囲まれた。

「敵意はない、ネオ・オーブ外交官のロイ・サハクだ。議長がここにいると聞いてこっちに来た。今直ぐ会えるか?」

「護衛のステラ・R・サハク」

あたりは「またかよ」的な空気だ。先程カガリも此処に来ている。

「戦闘が終わってからになりますが…」

下士官が取次ぐ。

「構わない、待たせてもらおう。それと飲み物を二つ頼む」

「分かりました、こちらへ」

二人は案内されていく、これから起こるパニックも知らずに。

 

SIDE ロイ

 

あの野郎、よりにもよって暴走娘と同じ部屋だと!?スンゴイ睨みつけてくるぞ。アスランは宥めてるが効果はないようだ。スルーするのも疲れる。こいつらが居るとステラと雑談出来ないだろ。

 

暴走娘が落ち着いてきたぞ、少しはやるなアスラン。

「ロイ、何故オーブを裏切った?」

静かに聞いて来る。

「なんの話だ?」

心外だと言わんばかりに言い返す。

「巫山戯るな、なんで行政府の指示に従わない!?」

また怒りだしたぞ、いいのか国家代表?

「貴様が逃げた時点でオーブ代表はサハクに成った。連合、プラント、他の中立国も認めている。つまりオーブを裏切ったのは貴様だ」

「なんなんだそれは、オーブはアスハが治政するのが慣例だ!」

「だからどうした?貴様が敵前逃亡し、セイラン家は連合で交渉中。残った五大氏族はサハクだけ、なんの問題もない」

「私が帰れば譲るべきだろう!」

「何様のつもりだ貴様?ヘボイ指揮で国民を無駄死にさせただけでなく、敵前逃亡。さらに復興途中なのに軍を派遣するなど、代表にあるまじき行為だ。貴様に預けると国が傾く」

「くっ、それはお前らが従わないからで。お前らが従ってたら全部うまくいったんだ!」

 

 

人任せか、これは相手にするだけ無駄だな。

「答えろ!」

早く迎えこないかな〜

「このっ」

ん?うおっ

 

SIDE OUT

 

「このっ」

カガリがロイに殴りかかったがステラに止められて決められた。アスランが動き出そうとすると突然揺れた。

「発進したのか?」

ロイが冷静に言う。大人しくなったカガリを放し、ステラがロイに近づく。

「逃げられたの?」

「恐らくは」

「練度低いね」

「確かに」

アスランがカガリを起こしている傍らロイとステラは落ち着いて話す。

「なんでそんなに落ち着いていられるんだ!」

カガリがまた怒鳴る。今度は二人共無視する。今度はカガリも黙った。

 

被弾したのかその後も数回の振動があった。

 

重い空気が漂う中、扉が開き軍人が一人入ってくる。

「戦闘が終わりました、議長がお会いになられるとのことなのでこちらへお願いします」

 

 

 

ブリッジに入ると、ここの空気も重かった。

「やあ、残念ながら逃がしてしまってね。この艦はこれから追撃するので、了承して欲しいんだ」

デュランダルが陽気に言う。

「それは当然だ、議長。今は何であれ世界を刺激するような事はあってはならないんだ。絶対に!」

カガリが先に了承した。

「ランチとか無いんですか?」

「残念ながら生憎準備が不足でしてね」

「ならば仕方がありません、あれを逃がしては禍根を残します」

「ありがとうございます、では時間があるうちに艦内を御覧になってください」

「議長!」

艦長が会話に割り込んできた。

「一時的とは言え、いわば命をお預けいただく事になるのです。それが我が国の相応の誠意かと」

「…議長がそこまで仰るのでしたら」

「では、参りましょう」

 


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