チートと転生、あとガンダム   作:ロイ

23 / 50
会談とは基本的に秘密裏に行うものである

C.E.73年10月2日

 

SIDE ロイ

 

待ち合わせ場所に早めに来てみた。するとデュランダルがピンク髪の少女と話している。その顔には見覚えがあった。

 

「ラクス・クライン?」「前の報告によればオーブに隠れてるはずだよ」

ステラが答えた。

そういえば、似たような人が…

「ああ、ミーア・キャンベルか」

 

デュランダルがこちらに気付いた、手を振っている。手を振り返した。ミーアがお辞儀してる、いい子だな。

 

「ロイ外交官、紹介しよう、ラクス・クラインだ」

「はじめまして」

あの女の声だ、どうやって探したんだろう?

「いえ、会ったことがありますよ。ミス・クライン」

二人が固まった。

「そ、そうですか。では、仕事を頑張ってくれ。」

デュランダルがなんとか言い出す。

「は、はい。」

ミーアが慌てて走り去った。

 

「雰囲気が少し違いますね」

からかって見よう。

「そ、そうかね」

「前はもっと毅然としていました」

「前の戦争で変わったんだよ」

「ふーん」

どうでもいいな。

「私としてはどう使っても構いませんが、ネオ・オーブに悪影響を齎す場合はバラしますよ」

「……肝に免じておくよ」

 

SIDE OUT

 

「あれが我軍の次世代機、ザクだ」

緑色のMS指して言う。

「ほー」

「万能性を追求した量産機だ」

「流石にそれくらいは知ってますよ」

ザクは既に発表されている。この情勢では隠し通す事など不可能なので、連合とZAFTは既に主力機を公表している。

「ふむ、ならばセカンドステージシリーズも見るかね、いずれ公開する物だけだが」

「そこまで公開するんですか?」

「とある事件からコーディネーター達は不安になっているのだよ」

ロイは苦笑した。デュランダルが言っているのは進化方向発表の一件だろう。

「正しく認識させた、とも言えますがね」

デュランダルも苦笑した。

「こちらへ」

 

 

その格納庫には大量の兵士が警備をしていた。最新鋭機の警備は万全に見える。

「これが最新鋭のカオス、アビス、ガイアだ」

「ガンダムとは…これらは宇宙用、水中用、陸戦用ですか?」

「流石ですね」

「空戦用もありますか?」

実は全部知っているがあえて知らん振りする、流石にここで知っていると言ったらお互い対応に困る。

「ええ、詳しい事は機密ですが、空戦用と汎用を加えて五機あります」

「なるほど、すべt……ん?」

そこで一人の下士官が小さな声でデュランダルに何か話した。

 

「丁度オーブの姫が着いたようです」

「どういう事ですか?」

「実は非公式会談を申し込まれてまして。明日のはずでしたが、直ぐに会わせろと五月蝿いそうです」

「はあ、相変わらずですね」

ステラまで苦笑してる。

「構いません、我々はこのまま適当に回りますから、そちらをどうぞ」

士官の一人でも居れば案内は充分だ。

「宜しければ一緒に行きませんか?彼女達にも案内はする積もりでしたから」

「国家元首の会談に参加するのは流石に相手も了承しないでしょう」

「流石に此処でお話するつもりはありません、耳もありますし」

「確かに」

此処は色んな耳がある、普通ならこんな所で国家重要事項を話す事は無い。

3人は迎えに行った。

 

SIDE ロイ

 

暴走娘は相変わらずだな。会った途端「お父様の仇!」とか言って殴ってくるし、ウズミは自爆したんだろうが。それに他国の人間の前で重要事項を話すし。つかアスラン止めろよ、パトリックの息子なのに政治感覚がないのか?デュランダルが微妙に引きつってるぞ。しかもオーブ避難民の軍事就職禁止って、解決策くらい提示してからにしろ。このままでは単なる差別だぞ。やっぱオーブ、いやアスハを滅ぼすか?今大戦が終われば考えよう、地上オーブの国民がかわいそうだ。

 

「戦争が終わらないから、力が必要なんですよ」

あっ、デュランダルがカッコ付けて締めくくろうとしてる。

 

SIDE OUT

 

そこで突然爆破音が聞こえた、地面も揺れている。

「何事だ!?」

デュランダルが叫ぶと士官の一人が言う。

「敵襲です!」

「では、彼らを安全な場所へ」

「了解!」

 

カガリとアスランに一人、ロイとステラに一人の下士官が案内する。

二組はそれぞれ別の方向に案内される。ロイは少し疑問に思ったが、どうせ問題があればボソンジャンプでネオ・オーブに戻ればいいと考えて素直に誘導に従う。走りながら緑のザクが起動するのが見えた。そして運が悪いことにザクが蹴飛ばした壁の破片がこちらに飛んできた。ロイとステラは石の影が見えた瞬間上空へボソンジャンプし、二秒後地上に戻る。案内役は潰されていた。飛んできた壁の破片は隣の格納庫のシャッターをぶち破りMSに乗ろうとしたパイロットを押し潰し、更に進んで壁際のコンソールに集まる軍人も押し潰した。ロイとステラの目の前にはコクピットが開いたMS二機。

 

「……」

「……」

「これは、乗れという事だな」

「そうだね」

 

二人はMSに駆け寄り、ボソンジャンプでコクピットに入った。

起動すると共に戦略を決める。

「姉さん、ザクのスペック覚えてる?」

「問題ないよ、そっちこそコーディネーター用OSで大丈夫?」

「当然」

頭脳チートなら書き換える事も出来たが、後々めんどくさいのであえて元のOSを使う。あんまり慣れないが、ロイなら数分で対応できる。

「なら、何も問題ないね」

「ああ。さっきのザクにはアスラン・ザラが乗っているようだ、機体性能は劣るが私達が参戦すれば敵を抑えられるだろう、その間にZAFTは発進出来るはずだ」

「ZAFTの援軍が来たら押し返す、こんな感じ?」

「それでいいと思うよ」

「じゃ、それでいこう」

「ああ」

ロイはニヤリと笑った。

(さあ、どう引っ掻き回してくれようか)

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。