C.E.62
SIDE ロイ
この前二歳になったロイ・サハクだ。
どうやら最初に目覚めたのは出産直後だったらしい。母は私が生まれて半年で亡くなった、交通事故だそうだ。正直いってそれまでは両親ともあんまり顔を見せなかったが、あの事故の後、父が一気に親馬鹿になった。まあ、子供より夫婦仲を重視するのはどうかと思うが分からなくもない。実際私は前世ではかなり両親に迷惑をかけた。それに姉のロンド・ミナ・サハクと兄のロンド・ギナ・サハクも可愛がってくれている、家族に不満はない。
それと名前からわかると思うが、私はサハク家の子だ、しかも正統なる血統をもつ唯一の後継者らしい。逃げる算段がいきなりパアになった。あとかなり落ち込んだ、サハク家って確か後々ボロボロになってたし。しかしオーブの五大氏族ともなれば色々介入できるだろう、それに原作知識もある、がんばればこの家だけでも守れるかもしれないと思うとなんとか立ち直した。
サハク家は五大氏族の中で軍事や裏の色々を司る家だ、五大氏族だけあって生活もいい、ただ汚い仕事をいくつも扱っているので、嫌う氏族も多い。父、コトー・サハクもサハクの働きは見合った報酬を貰ってないと嘆いてた。代々こんなんじゃ別の大氏族を嫌うのもわかる、こちらから見れば自分の手柄を横取りされたようなもんだ、それが100年以上も続いてるなら尚更だ。
さて只今パーティーに参加しております、なんかカガリ・ユラ・アスハが7歳になったらしい。流石代表首長の娘のパーティー、豪華さがハンパない、これ国家予算使ってないだろうな...どうでもいいか。しかしウズミ・ナラ・アスハさん、長ったらしい演説はもういいから、あんたも親馬鹿なのはわかったから、料理なんて冷めるところか幾つかは変色してるぞおい。誰だあれ、立ったまま寝てるぞ、ってあの髪型と色はユウナ・ロマ・セイランじゃん!この年でもうダメ人間か?カガリも舞台の上であくびしてるし。
なんか面白いなオーブ五大氏族。あっ、話が終わったぞ。
演説終了とろもに父も含めて五大氏族の首長たちが集まりだした。カガリに話しに行くのか?げ!なんかこっちに来た!しかもなんか怖い顔してる、いやあれは見極める表情か。うちの兄と姉は観察もといあいさつして回ってるし。つまりこの国トップ5を私一人で対処するのかYO!
SIDE END
SIDE ウズミ・ナラ・アスハ
ロイ・サハク、サハク家の跡取りにして稀代の神童、わずか2歳で大学レベルの知識をもつ鬼才、どんなコーディネーターでも出来なかった事をナチュラルの彼が成し遂げた。
直接見るのは彼が産まれて以来だ。2歳なのにその目からは理性の光が見える、カガリがあの年だったときは純粋な目だった。可愛くないとよく言われるが、それは単なる妬み
だろう。今もそうだ、我ら五人が向かっているのに、慌てもしない、全会場からは既に注目されている、それであの毅然とした佇まい、カガリに不満がある訳ではないが、彼が我が家に生まれていればとよく思う。
さて、話すのはこれが初めてだ。ここまで緊張するとはな、この私が。
SIDE OUT
SIDE ロイ
こわいオッサンたちが目の前に立っているが。ロンゲさん、まあウズミさんだが、なんか迷ってる。どう言う言葉遣いをするか迷ってるらしい。
これで「ボク、お話わかるかな?」なんて言ったらそのヒゲ燃やす。
「君がロイ?サハク君だな、私はウズミ・ナラ・アスハだ、この国の代表を務めている」
こんなもんか、2歳児に硬すぎる言葉遣いは虐めているようで嫌なんだろう。
「ロイ・サハク、サハク家の長子です。まだ政務も軍務も関わっていませんが、今後次第では御助力願うかもしれません。その時はよろしくお願いします、ウズミ様。」
ワオ、話が止んだぞ、そこまで驚きか。確かに言質を取ろうとする2歳児は怖いな。
「う、うむ。君ががんばってくれればオーブも安泰だろう。そ、そうだ、カガリ!ちょっとこっちへ来い」
寝てたカガリが起きて、こっちに来た。フリーダムだな、羨ましいぜ。
「娘のカガリだ。ほら、カガリ」
カガリが睨みながらこっちに向いた。
「カガリ・ユラ・アスハだ、よろしく」
仲良くする気ねーな、ま、子供だからしょうが無いか。(←ただいま2歳です)
「ロイ・サハクです、今後長い付き合いになると思いますがよろしくお願いします」
挑戦状のつもりで不敵な笑をくれてやった、一方カガリは困惑ぎみだ、恐らくまだ自分の立場をよくわかっていないのだろう。お互いは氏族の後継ぎ、政務や軍務でいやでも会うだろう。
「(よくわからんが)こちらこそ」
そこでウズミが割って入って来た。7歳の娘が2歳児より知能が低い事をさらされるのはメンツにかかわるだろう。
「ロイ君、我々は他を回らなければならない。君は存分に楽しんでくれ。」
返事も聞かないで去っていった、顔が引き攣っていたのは近くの6人の秘密になった。(カガリはよそ見してた)