チートと転生、あとガンダム   作:ロイ

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経済という物は意外とデリケート

一方ロイとキラはTHE激闘!と言った感じの戦闘を繰り広げていた。お互い中、遠距離用の機体なのであれこれ撃ちまくっている。そのため二機の間では赤、黄、緑の光線が忙しなく飛んでいる。キラは焦っている、アスランか苦戦しているからだ。ヴァイエイトとメリクリウスは確実にアスランを追い詰めている、アスランの乗るストライクルージュは既に両足が無い、撃破されるのも時間の問題と考えている。しかしロイは此処でキラ達を殺すつもりはない。そもそも三隻同盟の戦力はロイにとって脅威にならない、そして三隻同盟が連合やZAFT相手に暴れてくれれば両方を弱体化できる。それに三隻同盟の思想は幼稚だ、ただひたすら戦争の根源だと思われるものを排除する、それ故に操りやすい。総合的に考えてロイは敵の重要人物は殺さないよう注意してある。

 

 

 

『何故こんな事をする!?』

いきなりフリーダムがアマツに通信した。

「そちらが攻撃して来たんだろうが、テロリストが!」

ロイがマガノイクタチでビームを放つ。

『君はオーブを守ってた筈だ!何故カガリに楯突く!』

フリーダムが回避しながらビームライフルを撃つ。

「コトー・サハクがオーブ代表でカガリ・ユラ・アスハがその地位を簒奪しようとするからだ!」

ビームがIフィールドに散らされ、バスターライフルとハイ・メガ・キャノンチャージ開始。

『そんな物、認められるわけ無いだろう!』

フリーダムのクスィフィアス・レール砲とアマツのバスターライフルが同時発射。

「全世界が既に認めている、認めないのは小さな島に居る一握りの人だけだ!」

ビームが弾丸を蒸発させレール砲に当たる。ハイ・メガ・キャノン発射。

『カガリはオーブの為にあんなに頑張ったのに、何故それを理解しようとしない!?』

ハイ・メガ・キャノンがバラエーナ・プラズマ収束ビーム砲に命中。二つの爆発が同時発生。

「オーブは遊び場や実験場じゃない!結果を出せない者が代表でいい筈がない!」

フリーダムがビームライフル連射。

『ぐっ!なら、君達が手伝えばいいだけだろう!』

回避。アマツが突進し蹴飛ばす。

「それこそカガリを上に置いておく必要が無い」

『オーブはカガリの物だ!』

「違うな、オーブ国民の物だ!ウズミ・ナラ・アスハの様に、また国を私物化する気か!?」

地上オーブ艦隊で爆発が起きた。クサナギが轟沈。

『うわぁぁぁぁぁぁ!』

フリーダムの動きが突然変わる。

「(種割れか?しかし、だからこそ)読みやすいんだよ!」

ロイにとって最善の選択をするフリーダムは逆に相手しやすい。

「落ちろ!」

アマツはフリーダムにとって最善の移動方向に全武装を撃つ。ビームは吸い込まれるようにフリーダムの胴体以外の各部分に当たり、一際大きな爆発が起こる。爆発の中からコクピット+スラスターが突撃してくるが、ロイは予定通りアークエンジェルの方へ蹴飛ばした。なお、ストライクルージュはコクピットだけになってエターナルへ投げ飛ばされていた。

 

 

地上オーブの艦隊は既に4隻しか残っていなかった。キラとフリーダムに一縷の望みを賭けたクルー達だったが、そのキラが撃退された今、慌てて逃げるしか無かった。残った二隻のクサナギを殿に、アークエンジェルとエターナルが逃走する。ロイは驚いた、一つはこんな作戦を取れるアークエンジェルとエターナルのクルー達に、特にアークエンジェル艦長の甘さは有名だ。もう一つは残るクサナギクルー達、アークエンジェルとエターナルはオーブ軍でもないのに彼らを守るために残れることに驚いた。

 

 

ロイの命令で追撃はなかった。アークエンジェルとエターナルはぼろぼろで敗走する。クサナギ二隻は交渉のため鹵獲された。地上オーブ艦隊のMSは全滅、生き残りのパイロットはキラ、アスランとディアッカのみ。

 

ロイはラー・カイラムに戦闘映像を整理して自分の所まで送るよう命じた。この映像の価値は高い。もともと連合艦隊を撃破してサハクの力を示すつもりだった。連合の攻撃は不発だったが代わりに三隻同盟が攻めてきた。一種の伝説と成った彼らの撃退は充分サハクの力を示すことになる。

 

 

 

この一件はコロニー住民に大きな衝撃を与えた。地上復興のためにコロニーは様々な支援をした、しかし地上は感謝するどころか逆に攻撃して来た。コロニーには戦争を嫌って移民した人間が多い、彼らは安全な場所を提供してくれたサハクに感謝している。アスハは地上オーブを戦火に晒し、負けた。サハクは地上を平和的に取り戻しただけではなくコロニーの防衛も完璧だ、どちらを支持するかは考えるまでもない。コロニーは今や反アスハ一色となった。地上では今回の攻撃での損傷で大打撃を受けた、戦艦4隻と全ての支援艦は余りに大き過ぎる損傷だ。作戦を強行したカガリは各方面から非難されたが代わりに成る者が居ないので代表の座は失わずに済んだ、しかし殆どの権限がセイラン家の物になり、実質的にセイラン家がオーブの支配者となった。MSや艦艇を最優先で修理、強化し物資も優先的に回したせいでオーブの経済はまた崩壊寸前になった、更に捕虜の事もある。政治家達は既に何処から手を付ければいいか分からない。流石に今回の一件はマズイので報道規制をかけたが全然駄目だった。民衆にはバレバレで、政府への信用はガタ落ち。反対運動も活発になったがカガリは未だ代表の座に居る、氏族制度は変わらない。コロニーへの移民は戦争でしばらくストップした。国民数が大して減らなかったのはどの国も余裕が無いからだ。その結果国民が北に集中し歪な分布になる、政府の悩みは増えるばかりだ。

 

連合とプラントは復興や回復で干渉する余裕がなく、他の中立国はサハク借りがあり、動ける国は居ない。この絶好のチャンスにサハクは動き出す。

 


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