C.E.72年4月
SIDE ロイ
地上オーブの艦隊が向かってきました、ソロモンに。なんで一番勝てない方に行くんだろう?あれか?「しょうすうせいえいによるじゅうようきょてんのとっぱ」ってか?ゲームでは良くあるが、現実じゃあ重要な場所にはより多い戦力が集まる。陽動も無いのに玉砕するつもりか?多分「キラなら大丈夫!」とか考えてるんだろうな。
一番ありえないソロモンを選んだことで。準備した戦力を移すのが大変だった、間に合わせたけど。敵戦力はイズモ級三隻と三隻同盟、改造フラッグ30機、M1アストレイ22機、フリーダム、バスター、ストライクルージュ。要注意戦力はフリーダム。こちらはダブルオー小隊、ウイング小隊、ラー・カイラム、ヨルムンガンド五つ。MS3機、MD10機、ソキウスのVF25が3機。要注意戦力は全部。やりすぎた。
SIDE OUT
今回カガリは参加していない。一応地上オーブでは代表に認められてる、軽々しく出てはならないという意見を抑えられず、出撃出来なかった。指揮はクサナギのキサカ准将が取ることに成っている。彼は戦争を止めたこの戦力と改造した元サハクの戦力を合わせればコロニーを取り戻せると考えている。
「もうすぐだ!観測班、周囲の警戒を怠るな!」
「緊張し過ぎじゃないですか?まだ2000km以上ありますよ」
副官が聞く。
「お前はサハクの異様さを知らない、奴らにはいくら警戒しても足りないくらいだ」
「!前方に高熱h」
オペレーターが話し終える前にプラズマがクサナギの横を通り過ぎた。
「敵の攻撃だ、全艦回避行動をとれ!」
観測結果を聞く前にキサカは命令を出した。性能差もあって、戦艦は反応できたが、輸送艦は幾つか大破した。攻撃は連続で来ている。
「くっ、これをかいくぐって行かなければならないのか!?」
五つのヨルムンガンドの連続攻撃によって地上オーブ艦隊は踊っていた。陣形などとっくに崩れた。見えない敵からの奇襲にこれ程早く反応できたのはキサカが優秀だからだろう。しかし、近づけば近づく程に威力がまし、避けにくくなるプラズマ弾は地上オーブ艦隊に大きな消耗とストレスを与えた。それに対し、キサカは有効な手を打つことが出来なかった。
「全速前進、MS戦になれば支援砲撃も撃てなくなってこちらが有利になる!」
決死の突破を経て地上オーブ艦隊はサハク艦隊に近づいた。彼らはキラのフリーダム、そしてアスランが乗るストライクルージュに期待する。他にもバルトフェルド、ディアッカとパイロットは豪華だ、MSは殆どアストレイだけど。
サハク艦隊ではロイが指示を出している。
「陣形は必要ない。ダブルオー小隊は艦の防衛と支援攻撃。ヨルムンガンドは安全空域まで後退。ウイング小隊は後方の支援艦を攻撃。ギナチームとミナが正面から攻撃。フリーダムとストライクルージュは私が抑える。何か質問は?」
サハクの隔絶した諜報能力は正確に敵戦力情報を手に入れている。
「ない」「ない…が」
ギナが直ぐに答えたが、ミナは何か言いにくそうにしている。
「なに?」
「ロイ、お前無茶はしてないだろうな。相手は最強と呼ばれるフリーダムだぞ」
「大丈夫だよ。ちゃんと練習し、実戦にも参加した。撃墜はともかく抑えるくらいなら問題ないよ」
「そうか、ならいい」
「敵もそろそろ出てくる、出撃だ!」
両方ともほぼ同時にMSを発射した。しばらく交戦したら自然に三つの集団に分かれた。
地上オーブ艦隊の後部では支援艦が次々に沈まれていく。
「おいおい、赤服どころじゃねーぞ」
ディアッカと改造フラッグで応戦しているが、歯が立たない。元々砲撃型のバスターとウイング小隊は相性が悪い。性能差、技量差もあって決死の攻撃も意味を成さない。
「だが任されたんじゃあ、やるしかいないってね」
今日もディアッカは頑張っている。
地上オーブ艦隊の戦艦郡の状況は悪い。すでにイズモ級一隻が沈んでいる。敵はトップエース五人が乗るチートMS2機とエース用のVF3機、味方はアストレイのみ。戦艦の援護があってもどうにもならない。そもそも宇宙用アストレイの性能は改造フラッグより低い、コスト減少のため共通部品を増やした結果、完全な宇宙専用機ではなくなり、高い陸戦能力を持つ宇宙用MSが完成してしまった。
「ふはははは!脆い、脆すぎる!」
ギナは若干ハイになってるようだ。圧倒的機動性でアストレイを次々に切り裂いて行く。
「未来が見える、これがゼロシステムか」
ミナは攻撃を軽やかに回避し、バスターライフルで攻撃する。濃密な弾幕はかすりもしない。
「全てはロイ様のために!」
ソキウスはナチュラルのために戦う。本来コーディネーターのギナの指揮下に入ることはない。しかし、サハク家当主と次代当主が優秀なナチュナルである事がわかると問題が無くなった。特に他のコーディネーターさえ寄せ付けない知能を持つロイに心酔した。彼らは最強のナチュナルの為に戦えることに感動し、正当な評価を得られることに更に喜んだ。