公太郎はトラウマ   作:正直な嘘吐き

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遅くなったわりに、微妙な出来で申し訳ありません。


第二部
六話


 ――オカルト研究部内の空気が最悪です。

 

 開幕からいきなり意味の分からない言葉で申し訳ない。だが現在部室にいる俺としては、本当にこう言う外なかったのだ。

 

 部室内は俺を含め五人。機嫌の悪いグレモリー部長、ニコニコ顔だが表情しか取り繕っていない姫島さん、部室の片隅で「私、誰とも関わりたくありません」オーラを出しているロンリーガール塔城さん、そして最後に新キャラのグレイフィアさん。

 

 彼女を一目見た時、そりゃあもう驚いたものだ。思わず咲夜さん!? と叫んでしまった。

 

 まあそれはともかく、この張り詰めた空気は俺の精神衛生上よろしくない。

 

 早く残りの三人も来ないだろうか。

 

 そうだな、とりあえず三人が来るまでの間、ちょっと回想という名の現実逃避に洒落込もう。

 

 彼女――アーシア・アルジェントが学園に転入して早数日経ったわけだが、既にアルジェントさんは学園の人気者となっていた。

 

 転入初日から金髪美少女として全校生徒を大いに騒がせ、今も尚その人気っぷりは止まる所を知らない。

 

 俺の時はこんなことはなかった。やはり話題をさらっていくのはいつだって美男美女なんだな。

 

 ちくしょう…………ちくしょう。

 

 そのせいあってか兵藤くんはまるで、保護者のような働きを見せていた。始めは美少女を横に連れて優越感に浸っているのか思ったが、夜の部活動――アルジェントさんの悪魔の仕事を手伝う姿からは、そんな邪念は感じられなかった。

 

 ――まあ仕事といってもチラシ配りらしいけど。

 

 夜のデートですか、それはそれは楽しそうですねと(ひが)んだのは記憶に新しい。

 

 契約を取る際も彼女に卑猥な依頼が来てしまうのではと、涙ながらの過剰な心配ぶりはまさに保護者そのもの。遂には助手として仕事に着いて言ってしまうのだから、始末に負えない。

 

 もっとも、そういった卑猥な依頼はその手の専門悪魔がいるらしいが。

 

 ……そういえば、この頃からグレモリー部長の様子がおかしかったんだよな。

 

 それ以外におかしなこともなく、今まで普通に学校生活を送っていたところにこれだ。

 

 この部室の張り詰めた空気だ。堪ったもんじゃない。

 

 新キャラのグレイフィアさんとは軽い自己紹介をしてから会話が無い。

 

 というか部室に着いてから俺はそれしか喋っていない。

 

 ――マジであとの三人も早く来てくれないかな。この空気、苦しくて苦しくて……。

 

 と――その時、普段の行いが良かったおかげか、俺の願いが神様に届いたようだ。

 

 部室の扉が開け放たれる。開けたのは兵藤くんだった。

 

 いや、兵藤くんだけではない。木場くんとアルジェントさんの二人も一緒だ!

 

 やってきたのは悪魔だったが、あの三人が俺には天使に見えた。

 

 部室の空気にあてられ、慄くアルジェントさん。そんな彼女に袖口をつかまれた兵藤くんは、安心させるように彼女の頭を撫でだす。あっ、やっぱ悪魔だわこいつら。

 

 メンバーが揃ったことを確認すると、グレモリー部長は口を開く。

 

「全員揃ったわね。では、部活をする前に少し話があるの」

 

「お嬢さま、私がお話ししましょうか?」

 

 そう申し出るグレイフィアさん。グレモリー部長のことをお嬢さまと呼称する理由だが、なんと彼女はグレモリー家のメイドさんなんだとか。

 

 ――それにしてもメイドか……。冥土のメイド、おっぱいメイドことエーリスを思い出す。

 

 実はグレイフィアさんの今の姿は仮初の姿で、その正体はなんと冥界の番犬ガルムだったのだ!

 

 っていうオチはない、よね……?

 

 そうして俺が戦々恐々としている時だった。突然部室の魔方陣が光りだす。

 

 はて、オカルト研究部の連中は軒並み揃っているのだが……。もしかしてまだ俺の知らない部員がいたりして! なんて妄想をしてみる。

 

 俺の脳内にむっちんボデーの女の子が現れた途端、なんと魔方陣が形を変えた。

 

 見たことのない形状になっているな、これは一体どういうことだ?

 

「――フェニックス」

 

 木場くんがそう呟いた。フェニックスだって? ああ、FFでよくお世話になったよ。FF5の飛竜がフェニックスになるイベントで泣いたのは俺だけではない筈。

 

 魔方陣が眩い光を放ち、そこから人影が現れる。……って熱っ!?

 

 なんで魔方陣から炎出てるの!? トライ・エンブレム! トライ・エンブレムを装備せねば!

 

「ふぅ、人間界は久しぶりだ」

 

 俺が虚空から取り出したトライ・エンブレムを装備していると、魔方陣の方から知らない男の声が聞こえてきた。

 

 そちらの方を見やると赤いスーツを着崩した男がいた。……誰こいつ?

 

 どういった奴なのかは分からないが、とても気にくわない。理由? こいつがハンサム顔だからだよ。

 

「愛しのリアス。会いに来たぜ」

 

 もしかしてグレモリー部長の男!? と思ったが彼女は半眼で男を見つめていた。

 

 どうやら違うらしい。まああいつ頭悪そうだからな、どう考えてもグレモリー部長とは釣り合わないだろう。

 

 式の会場を見に行こうだとか、日取りも既に決まっているだとか意味の分からないことばかり言っているが、グレモリー部長はこの言葉にげんなりとした表情を浮かべていた。

 

「……姫島さん、あいつってなんなんですか?」

 

 ひそひそ声で姫島さんに聞いてみる。

 

「……フェニックス家ご三男の、ライザー・フェニックスさまですわ。純血の上級悪魔であり、部長の婚約者であられるお方です」

 

 婚約者! ああ、道理で……。合点がいった。あの男が言っていたのは結婚式のことだったのか。

 

 ……え!? グレモリー部長結婚すんの!? あんなチャラ男と!?

 

 そういえばグレモリー部長は良いとこの上級悪魔だって言ってたっけ。

 

 んで、あのチャラ男も上級悪魔。きっとあれだな、御家のための結婚なんだろうな。

 

 おそらくここ最近様子がおかしかったのは、これが原因だったのだろう。グレモリー部長も可哀想に。まるでベリナスみたいだ。

 

「ええええええええええええええええええええええええええええッッ!!」

 

 突如部室内に兵藤くんの絶叫が響く。あのチャラ男がグレモリー部長の婚約者だと、聞かされたのだろう。ああ――兵藤くん、グレモリー部長のこと大好きだったものな……。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 部室のソファに座るグレモリー部長。その隣に座り、彼女の肩を抱くライザー・フェニックス。

 

 何度も彼の手を振り払うグレモリー部長だったが、フェニックスはそれに構わずしつこく肩やら手やら髪やらを触っていた。

 

 そんな光景を見てなにやら唸っている様子の兵藤くん。ちなみに姫島さんを除く俺達オカルト研究部メンバーは、二人の上級悪魔から少し離れた席に集まっている。

 

 フェニックスの一挙一動にいちいち反応しては怒りを見せる彼だったが、突然にやけだしたかと思うと涎を垂らしだす。

 

 涎を垂らしながらしまらない顔をしている兵藤くんに、若干引いてしまう。まさか、嫉妬のあまり……?

 

 アルジェントさんも「どうかしましたか?」と怪訝そうに聞いている。

 

「……卑猥な妄想禁止」

 

 塔城さんがぼそりと漏らす。なんだ、妄想してただけだったのか。一瞬本気でおかしくなったと思ってしまったじゃないか。

 

 そんな彼に俺は嘆息しつつも、鞄からある物を取り出そうとして――

 

「いい加減にしてちょうだい!」

 

 グレモリー部長の怒鳴り声に体が硬直してしまう。さきほどの兵藤くんの絶叫といい、今日はなんだか不意打ちが多くはないですかねえ……?

 

 そちらの方を見やれば、穏やかじゃないグレモリー部長がフェニックスを鋭く睨みつけ、当の本人はといえばニヤけた笑みを浮かべている。

 

 激昂した彼女とフェニックスの話を聞く限り、やはりというべきか二人の結婚は御家のためらしい。

 

 延いてはこれからの悪魔情勢のために。会話の内容をざっくりと要約すると、大体こんな感じだ。

 

 ――というかグレモリー部長の御家事情って切羽詰まってんの……? もう少しエリクサーを安くした方がいいかな?

 

 更に話は続く。

 

 先の戦争で純血の悪魔は数が少なくなった。だから純血の悪魔を途絶えさせないよう二人が選ばれたのだと。

 

 グレモリー部長のところは兄妹二人だけで、その兄は家を出たという。

 

 そのせいでグレモリー部長しか家を継ぐ者がいない。婿を得なければ彼女の代で家は潰えるかもしれないと、フェニックスは真剣な面持ちで話していた。

 

 ただのチャラ男だとばかり思っていたが、意外にも先を見据えているらしい。

 

「私は家を潰さないわ。婿養子だって迎え入れるつもりよ」

 

「おおっ、さすが――」

 

 話が難しくてついていけん。考えてみたら、グレモリー部長が誰と結婚しようが俺には全く関係ないよな。嫁ぐでもなく、婿として迎え入れるのだ。なら結婚したからといって、「もうエリクサーは買いませんよ」ってことにはなりゃしないだろう。

 

 あくまで、彼女はグレモリー家の者として購入していたみたいだし。

 

 彼女らの話は放っておいて、俺はこれ――トラえもんチクタクパニックを鞄から取り出す。

 

 これを町のおもちゃ屋さんで見つけた時はなんともいえない、不思議な昂揚感に包まれたものだ。

 

 ええ、もちろん買いましたとも。ただトラえもんバトルドームの方は無かったんだよなあ。

 

 ちなみに『ド』ラえもんではなく、『ト』ラえもんだ。

 

 ふふっ、楽しみだなあ。何気にチクタクバンバンで遊ぶのって初めてなんだよね。

 

 自分でも顔が綻んでいるのが分かる。意気揚々と箱を開けた、その時だった。

 

「俺はキミの下僕を全部燃やし尽くしてでもキミを冥界に連れ帰るぞ」

 

 火の粉が室内に舞ったかと思うと、フェニックスから生温い殺意が放たれた――って燃える燃える! 俺のチクタクパニックが燃えるっちゅうねん! いくらしたと思ってるんだ!

 

 ――あの野郎、ぶっ殺してやろうか!?

 

 グレモリー部長もそれにつられて紅いオーラを全身から発している。

 

 フェニックスも体に炎を纏い――ホントにやめて! 俺のトラえもんが!

 

 ――はっ、そうか! チクタクパニックにトライ・エンブレムを装備させればいいんだ!(錯乱)

 

 ああでもない、こうでもないと混乱していた俺を余所に、いつの間にか事態は収束していた。

 

 グレイフィアさんが二人を止めてくれたらしい。ありがとう、グレイフィアさん!

 

 彼女の言によると、二人の家の方々はこうなることを予期していたとか。

 

 これが最後の話し合いだったようで、これで決着がつかない場合、最終手段として『レーティングゲーム』で白黒つけろとのことらしい。適当な要約で申し訳ない。

 

 二人とも落ち着いたみたいだし、この様子ならもう先程のような喧嘩は起きないだろう。

 

 俺はホッと一息つくと、気を取り直して箱からチクタクパニックを取り出した。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

『いそげ! いそげ!』

 

 部室内に間抜けな声が響き渡る。そう、トラえもんの声だ。

 

 俺はグレモリー部長らの会話をガン無視し、こうしてチクタクパニックに夢中になっていた。

 

 ――だって彼女らの会話は難し過ぎるんだもん。

 

 トラえもんの声がしても誰も見向きしない。こんなにカワイイのに……。

 

 いや――誰もというのは間違いだった。塔城さんがキラキラした瞳で、トラえもんを見つめているのだから。

 

 見つめるだけならまだいいのだが、俺がパネルを動かすたび小声で「……そこじゃありません」とか「……そこは右です」と指摘するのはマジでやめてほしい。気になってしょうがないのだ。

 

 ――あっ、トラえもんが脱線しちゃった……。

 

 塔城さんに気を取られ過ぎてしまった。ああ、良いとこまで行ったのに……。

 

 うわあ、塔城さんの方見るのが怖いなあ……。

 

 彼女の方を見やると――めっちゃ見てた。めっちゃこっちを見てた。ガンを飛ばすってレベルじゃねーぞ。

 

「…………塔城さんもやって――」

 

「やります」

 

 即答だった。

 

 それはもう見事な即答だ。どうやら俺のこの言葉を心待ちにしていたらしい。

 

 じゃなきゃ俺の台詞を遮ってまで即答しない筈だ。

 

「じゃあ……どうぞ」

 

 塔城さんと交代する。表情にこそ出してはいないものの、雰囲気から彼女は嬉々としてチクタクパニックに挑んでいるのが分かる。

 

 ――はあ、でも楽しんでくれてるのならいいかな? さて、話し合いはどうなったのやら。

 

「――対抗できそうにないな」

 

 は? 対抗? なんのこっちゃ。フェニックスが急に指を鳴らしたかと思うと、部室の魔方陣が光りだした。また誰か来るのか?

 

 フェニックスが出てきた時と同じ魔方陣からわらわらと人影が現れる。

 

「と、まあ、これが俺のかわいい下僕たちだ」

 

 ああ、あいつの下僕たちだったのか。フェニックスの周りにその下僕たちが集結した。

 

 計十五人ってとこか。駒をフルに使ったらしいな。

 

 聞きかじった話だが下僕にする存在の潜在能力が高い場合、駒の消費が倍になる例もあるんだとか。

 

 兵藤くんはその身にとんでもないものを宿しているらしく、そのせいで『兵士』の駒を一人で全部使ったそうだ。

 

神滅具(ロンギヌス)』と呼ばれるものの一つで、極めれば神すらも討つことができるらしい。

 

 是非とも『あの剣』をもって全力で兵藤くんに挑みたいものである。

 

 ――でもアタック・トラストが1なんだよな……。それでも強いけどさ。

 

 それにしても見事に女の子ばかりだな。こんな光景を兵藤くんが見たら――

 

「ハーレムじゃ……ないか……!!」

 

 言わんこっちゃない。涙を流して本気で羨んでいる。見ればフェニックスも彼を見て引いていた。

 

 そりゃ引くわ。

 

「その子の夢がハーレムなの。きっと、ライザーの下僕悪魔たちを見て感動したんだと思うわ」

 

 それを聞いた女の子達は、兵藤くんを見て「きもーい」とか「気持ち悪ーい」と好き勝手言っていた。やめろっ! 女の子にキモいって言われるのはかなり堪えるんだぞ!

 

 そんな彼に追い討ちをかけるが如く、フェニックスは女の子の一人と濃厚なディープキスをし始めた。

 

 ――おい! いいかげんにしろ! 子供だっているんだぞ!

 

 塔城さんの方を見やる。俺の心配は杞憂だったようで、未だチクタクパニックに熱中している。

 

 良かった。子供にこの光景は刺激が強すぎるからな……。

 

 フェニックスは唇を離したかと思うと、今度は別の子とディープキスを始める。

 

 ――童貞を嘲笑うかのようなその行為、万死に値するぞっ!

 

 内心を煮え滾らせていると、袖口を軽く引っ張られた。ええい、こんな時に誰だ!?

 

 引っ張っていたのは塔城さんだった。何か用でもあるのだろうか。

 

「どうしたんだ?」

 

「……できました」

 

 その言葉に戦慄が走る。今、彼女はなんと言った……?

 

 塔城さんの指差す方を見やる。そこには――ゴールに辿り着いたトラえもんの姿があった。

 

 ――なん……だと……?

 

 持ち主よりも先にゴールさせただと!? そんな! こんなことがあっていいのか!?

 

 いや、悔しがるのは後だ。なんとなく誇らしげな塔城さんは置いといて、今は一刻も早くトラえもんをゴールさせなければ!

 

 トラえもんをスタ-ト地点に戻し、気合を入れて臨む。そうしてパネルに手を伸ばし―― 

 

「――――え?」

 

 本当に、一瞬の出来事だった。こちらに物凄い勢いで兵藤くんが突っ込んできたかと思ったら、トラえもんを巻き込んで床にぶっ飛んでいったのだ。次いで、大きな音が耳に入り込んできた。

 

「いってえええええ! 刺さってる! トラえもん刺さってるぅぅぅ!?」

 

 彼が飛んできた方を見ると、そこには棍を前に突き出した女の子が。

 

 そしてその子の横にはチャラ男――フェニックスが。

 

 おそらくはフェニックスが下僕に命令したのだろう。

 

 ――あの男、「仏の顔を三度まで」という名セリフを知らないらしいな。

 

「屋上へ行こうぜ……ひさしぶりに……きれちまったよ……」

 

 立ち上がり、フェニックスへ向けて言い放つ。冗談抜きにここまで頭にキたのは何時(いつ)振りだろうか。

 

「……あ? 人間。まさかお前、俺に言ったのか?」

 

 不機嫌、どころではない様子だった。まるで奴隷に舐めた口を利かれた貴族みたいな怒りっぷりだ。

 

「ああ、お前に言ったんだよ。ここじゃ物が壊れるからな」

 

 もう既に壊れている物もあるがな。だがこれ以上壊すわけにもいかない、備品だってタダではないのだから。

 

 俺の言葉に奴は更に怒りだすと思っていたのだが、その予想に反してフェニックスは腹を抱えて大笑いしだす。

 

「ハハハハハハハ! こいつは傑作だ! 貴様のような脆弱な人間がこの俺を? まさか人間界でこんなにも笑わせてもらえるとはな!」

 

 見ればフェニックスの下僕達も俺のことを笑っているのが分かる。

 

 まったく、不愉快極まりない。今ならフェニックスの下僕悪魔の連中を全滅させた上で、ダイレクトアサルトを狙える気がする。

 

「そうだ。人間、お前も『レーティングゲーム』に参加するか? まあ、参加したところで結果は目に見えてるがな!」

 

「ライザー! 九々は人間なのよ!? いくらなんでも――」

 

「グレモリー部長、俺もゲームに参加させてもらいますからね」

 

 我慢の限界だった。さっきの話じゃあこいつ、ゲームではほぼ負け無しだって言うじゃないか。

 

 ならばこいつの土俵に上がった上で、屈辱的な敗北を送ってやろう。

 

 俺の参加表明にフェニックスは嗜虐的な笑みを浮かべ、グレモリー部長はなにやら頭を抱えていた。あの野郎、絶対に泣きべそかかせてやるから覚悟しとけよ。

 

「リアス、ゲームは十日後でどうだ? 今すぐやってもいいが、それでは面白くなさそうだ」

 

 なんだ、すぐやるってわけではないのか。グレモリー部長もフェニックスの申し出に、不服そうにしていた。

 

 そんな彼女に、フェニックスは自分の感情だけで勝てるほどゲームは甘くないと、下僕の力を引き出さねば即敗北だと言って聞かせる。ああ、そういえばグレモリー部長はゲームをしたことが無いんだったな。

 

 フェニックスが掌を床に向けると、魔方陣が光を放つ。

 

「――十日。キミならそれだけあれば下僕をなんとかできるだろう」

 

 次いで奴は兵藤くんを見やり――

 

「リアスに恥をかかせるなよ、リアスの『兵士』。お前の一撃がリアスの一撃なんだよ」

 

 この二人の間になにかあったのだろうか。言われた兵藤くんはショックを受けているみたいだし。

 

 まあいいか。とにかく、十日後にあの野郎をブチのめすことが出来るんだからな。しかも公認で。

 

 戯れに俺をゲームに誘ったこと、必ず後悔させてやる。

 

「リアス、次はゲームで会おう」

 

 言い残し、フェニックスは下僕達と共に光の中へ消えていった。

 

 ――トラえもん、絶対に仇は討ってやるからな!




 九々――――LV7

 人物特性    ランク  修正値    総計  必要CP
 ―――――――――――――――――――――――――――
 薄情       7  (-8)  -56  10
 嘘つき      6  (-5)  -30   8
 物忘れが激しい  4  (-4)  -16   9
 自分勝手     6  (-6)  -36   4
 へこたれない   8  (+7)  +56   --
 地味系      4  (-1)  - 4   --
 お調子者     5  (-2)  -10   2
 気分屋      3  (-1)  - 3   1

 この人物の勇者適正値は-85です

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