公太郎はトラウマ   作:正直な嘘吐き

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作者はメルティーナが大好きです。
多分一番使ったと思います。


四話

 パン! と、渇いた音が部室に響く。兵藤くんがグレモリー部長に頬を(はた)かれた音だ。

 

 あの後部室に戻った兵藤くんは事の詳細を報告し、その上で教会へ行くことを提案した。

 

 だがグレモリー部長はその件に関し、一切関わらないと言う。

 

 その返答に納得の出来ない兵藤くんは何故! と詰め寄った結果叩かれたわけだ。

 

 確かグレモリー部長って良いとこの上級悪魔なんだよな。

 

 そんな上級悪魔の眷属が堕天使のところに殴り込みに行ったら、お家柄の方にも多大な影響を及ぼすことだろう。当然、悪い方の意味で。

 

 依然として納得の出来ていない兵藤くんは「なら一人で行きます!」とか言ってるし、それを聞いたグレモリー部長も「本当にバカなの?」と呆れ返っている。

 

 いや、彼女の醸し出す空気は穏やかじゃない。あれはキレる前触れだ。

 

 ほら、やっぱり兵藤くんの行動が皆に多大な影響を及ぼすとか言ってるし。

 

 売り言葉に買い言葉。

 

 影響を及ぼすと言われ、一向に止まる気の無い兵藤くんは遂に「俺を眷属から外して下さい」だなんてトンチキなことを言い出した。

 

 そういう問題でもないだろうに。

 

「そんなことができるはずないでしょう! あなたはどうしてわかってくれないの!?」

 

 グレモリー部長、マジギレである。

 

「俺はアーシア・アルジェントと友達になりました。アーシアは友達です。俺は友達を見捨てられません!」

 

「……それはご立派ね――」

 

 ヒートアップしている二人は一旦ほかっておいて、俺は木場くんに聞いていた。もしも、兵藤くんが一人で堕天使のところに殴り込んだらどうなるのかを。

 

「それは……十中八九殺されるだろうね」

 

 元いたオカルト研究部の四人と違い、兵藤くんはつい最近まで普通の高校生だったのだ。

 

 そんなペーペーの新米悪魔が一人で敵陣に突っ込む? なるほど、木場くんの言う通り殺されるのがオチだろう。だがそれは、一人で行ったらの話だ。

 

 もしも兵藤くんがどんなに反対されても、それでも尚一人で助けに行くというのならば、俺はそれを手伝おうと思う。何故手伝うのかだって? 理由なんてない。

 

 『誰かを助けるのに理由がいるかい?』ってジタンも言ってたからな。

 

 少なくとも一人で行くよりかはマシな筈だ。俺も多少は役に立てるだろう。

 

 さて、兵藤くんは……ってあれ? いつの間にかグレモリー部長と姫島さんがいない。

 

「あれ? あの二人は?」

 

「魔方陣でどこかにジャンプしたよ」

 

 そうか……。ん? 結局話の方はどうなったんだ? まあいいや。

 

「じゃあ兵藤くん、行くか」

 

「行くかって……。九々崎、着いてきてくれるのか?」

 

「もちろん。『誰かを助けるのに理由がいるかい?』」

 

 ――ジタンさん、台詞お借りします! 

 

 そういえばジタンも俺と同じ十六歳なんだよな。ぶっちゃけ十六歳であの行動力はありえない。

 

 スコールさんじゅうななさい。いや、なんでもない。

 

「僕も行くよ」

 

『なっ……』

 

 思わず兵藤くんと同じ反応をしてしまう。まさか木場くんまで着いてくるとは思わなかったからだ。

 

 話を聞いてみると、仲間だから来てくれるらしい。

 

 あと個人的に堕天使や神父は好きじゃないと。憎しみすら抱いているようだ。木場くんの表情はどことなく険しかった。俺が神族を嫌ってるのと似たようなものだろうか。

 

 それはともかく、俺は途中から二人の話を聞いていなかったからよくわからないが、遠回しにだけどグレモリー部長は行ってもいいと認めてくれてたらしい。

 

「……私も行きます」

 

 二度目の衝撃だ。塔城さんまで着いてくると言い出すんだからな。こういったことには欠片も興味を示さないだろうと思っていたから、驚きも増し増しだ。

 

「なっ、小猫ちゃん?」

 

「……三人だけでは不安です。それに」

 

 俺を見る塔城さん。な、なんだよ……。無表情の女の子から見つめられるって地味に怖い。

 

「……九々崎先輩は人間ですから」

 

 あーっと……。これは心配してくれてるということでいいのか?

 

 それなら俺よりも兵藤くんの心配をした方がいいと思うけどね。まあ心配されて悪い気はしない。

 

「よし! 四人でいっちょ救出作戦といきますか! 待ってろ、アーシア!」

 

 気合は充分。

 

 四人もいるんだ、きっと助け出せるはず! だって俺達みんな……仲間だもんげ!

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 兵藤くんに案内され、俺達は教会の見える位置まで来ていた。

 

 この薄汚れたボロっちい教会が堕天使の拠点のようだ。

 

 ――この教会、禍々しい瘴気に満ち満ちています!

 

 那々美ちゃん可愛いよ那々美ちゃん。

 

 メルティーナ? 汚い蘭姉ちゃんですね、わかります。

 

 なんて冗談はさておき、どう突っ込むか。

 

 うーむ……。目的は救出なわけだろ? 堕天使はもちろんエクソシストもいるらしいし――ッ!

 

 瞬間、俺の頭脳に名案が浮かぶ。

 

 俺が速攻で件の人物を救出→移送方陣でそいつと一緒に教会から脱出→mission complete!!

 

 これだッ!!

 

 なんと素晴らしい作戦だ! これなら四人もいらん、俺一人で充分ではないかッ!

 

 もしかして……俺にはパタリロ並みの頭脳があるんじゃないか!?

 

 よし、作戦は決まった。あとは突っ込むだけだ。

 

「派手にぶちかましてやるぜ!」

 

「え、ちょ、おま」

 

 入り口を潜り、一気に聖堂まで駆け抜け、思い切り両開きの扉を蹴破る。

 

 聖堂の中は長椅子と祭壇。……うん? 想像していたのと違う。

 

 もっとこう、聖堂の中にはエクソシスト達が(ひし)めき合ってるもんだと思っていたのに。

 

 中は誰もいない……? いや――ッ!?

 

「九々崎! お前いきなり何やってるんだ!?」

 

 追いついてきた兵藤くんに怒鳴られる。二人からの視線も冷たい。あっ、思いついた作戦を言ってなかった……。

 

「す、すまないみんな! 名案が浮かんだんだけど――」

 

 突如、聖堂内に拍手の音が。やはり居たか。それにしても一人で登場とは、随分余裕だな。

 

 柱の物陰から出てきたのは白髪の少年で、なにやらいやーな笑みを浮かべていた。

 

 神父服を着て、わざわざ俺達の前に出てきたのを見るに、おそらくは彼がはぐれエクソシストってやつなんだろう。彼を見てからの他三人の警戒っぷりからして、あいつが以前に兵藤くんを襲ったはぐれエクソシストなのかもしれないな。

 

 俺達を視界に捉え、口を開く少年神父。が――

 

「……え? あいつなんて言ってんの?」

 

 顔立ちからして外国人というのはわかっていたが、もしかしてあいつ日本語喋れない?

 

 彼の口から飛び出るのは異国の言葉。うん、わからん。多分英語だろう。

 

 だが他三人は完璧に理解しているようだった。完全に俺だけ置いてけぼりである。

 

 兵藤くんはあいつの言葉に顔を(しか)め、木場くんと塔城さんはまるで汚い物を見るような目を向けている。本当に異国の言葉を理解していなければ、こんな表情はできない筈だからな。

 

 だが少年神父の身振り手振りからして、相当ぶっ飛んだ奴だというのは(かろ)うじて理解できる。

 

 しかし俺を除くオカルト研究部で、一番アホっぽい兵藤くんまで外国語を理解できているというのはかなりショックだ。

 

 ――嘘!? オカルト研究部員のスペック高すぎ!? ※俺を除く。

 

 ……さて、今は目の前の少年神父に集中するとしよう。

 

 神父は何やらベラベラ捲くし立てたかと思うと、急に激昂し、懐から拳銃と柄のような物を取り出した。

 

 そして、柄から光の刃が飛び出し……あれは!?

 

 ――フォースソード!? いかんいかん、作品が違う!

 

 それにしてもあの神父、マジで余裕ぶっこいてやがんな。四対一なのに未だヘラヘラ笑っている。

 

 まあいいさ。その余裕、すぐにへし折ってくれる(暗黒微笑)

 

「おい! アーシアはどこだ!」

 

 おいおい兵藤くん。そんな馬鹿正直に聞いたって教えてくれるわけ――

 

「祭壇から行けるんだな!? みんな、祭壇から行けるらしいぞ!」

 

 ……はい、あっさりと教えてくれたようですね。喋りながら祭壇の方を指しているってことはそういうことなんだろうな。

 

 あとは立ちはだかるあの神父を倒すだけか。そういえば突っ込むことしか考えてなくて、得物を生成するのを忘れていた。生成するのはもちろんアントラー・ソード。

 

 ――とりあえず牽制に一発入れとくか。

 

「ふっ!」

 

 踏み込み、神父に向けて剣を薙ぐ。あくまで牽制のためなので、そこまで力を込めたわけではなかったのだが――まさかクリティカルヒットするとは思わなかった。

 

 見れば神父は壁までぶっ飛んでおり、白目を剥いて気を失っていた。おい、弱いぞこいつ。

 

 神父の胴には横一文字に刀傷が走り、そこから血がだくだくと流れている。剣でぶった斬ったのに刀傷? という突っ込みは受け付けない、絶対にだ。

 

「……同じ『はぐれ』とはいえ、お前よりもはぐれ神族(純情派)の方がよほど強かったよ」

 

 三人の視線を無視するように口を開く。三人とも俺に何か言いたそうな目を向けているからな。ええい、こっちみんな。

 

 いや、「僕が全く動きを捉えられないだなんて……」と木場くんが漏らしているとこから、案外俺の強さに驚いてたりして! ……そうですね、それはないですね。

 

「さっ、雑魚に構ってる暇は無い筈だよ。さっさと助けに行こう」

 

「あ、ああ……」

 

 神父の方は……まああれだけ血を流しているわけだし、放っておけばそのうち死ぬだろう。

 

 しかし弱かったな。これから出てくる敵みんながあれぐらい弱ければいいんだけど。

 

「そうだ。俺と木場くんは得物があるからいいけど、兵藤くんと塔城さんは素手で大丈夫なのか?」

 

 ここは敵の拠点なのだ。そんな中丸腰で挑むのは無謀だろうと思ったのだが、その心配は杞憂だった。塔城さんはなんと素手で戦うモンクタイプだそうだ、めっさ強いらしい。

 

 兵藤くんも似た感じらしく、「セイクリッド・ギア!」という彼の叫びに呼応して左腕に赤い篭手が装着される。剣士二人にモンクタイプ二人って明らかにバランス悪いだろ。どんだけゴリ押しなんだよ。

 

「よし、行こう。みんな」

 

 ……まあいいか。気合の漲っている兵藤くんを見ると何とかなる気がしてくる。

 

 俺達は互いに頷きあい、祭壇の隠し階段に足を向けた。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 プロモーション。

 

 実際のチェス同様『兵士』は、相手の陣地の最深部へ到達した時に昇格することができる。

 

 『王』以外の全ての駒に。主が『敵の陣地』と認めた場所の一番重要なところへ足を踏み入れた時、『兵士』は『王』以外の全ての駒に変わることができる。

 

 それが、『兵士』の特性。

 

 地下への階段を下りる途中に兵藤くんが教えてくれたことだ。

 

「いつの間にそんなことできるようになってたんだ? そんなスゲー能力あるんだったらもっと早く教えてくれればいいのに」

 

 本当にすごい。なんでもこの教会に来た時点で、プロモーションができるようになっていたようだ。それはつまり、グレモリー部長がここを敵陣と認めたということ。

 

 ここを敵陣と認めたってことは、シスターの救出を許可したってことだ。

 

 あれだけ駄目だ駄目だと言っていたくせに。

 

 実はあのヒトってツンデレ?

 

 ツンデレといえばあのカードゲームが出来るギャルゲーのツァン・ディレを思い出す。

 

 あの可愛らしい桃色頭の女の子。使うデッキは六武しゅ――あばばばばば頭が痛い! 何故だ!?

 

 よくわからないが彼女の使うデッキが思い出せない。まあいいや。

 

「俺がそれを披露する前に九々崎がフリードの奴をぶっ倒したからな、それで説明が遅れたんだよ」

 

 なんてことを恨みがましく言ってくれる。

 

 いや、それは、その、あれだ、早く済んでよかったじゃないか!

 

 それにしてもあの白髪の少年神父、フリードって名前だったんだな。せめて名前ぐらいは聞いてやればよかったかな? 名前だけなら聞き取れる、筈。

 

「九々崎くん、さっきの剣も適当に振るったものだったのかな?」

 

「あん? なんで?」

 

「適当とは思えない太刀筋だったから、ちょっと気になって」

 

 お? これってもしかして褒められてる? いやあ、よせやい、照れるじゃないか!

 

 同じ剣士としての友情が芽生えようとしている!?

 

「あれぐらい普通だよ、じゃなきゃ生きていけなかったからな」

 

 謙遜などではなくこれは本当の話だ。人外魔境のセラフィックゲートでは、あの攻撃は寧ろ弱い部類に入る。弱過ぎると言っても過言ではない。そもそもアントラー・ソードであそこに挑むのが間違いだからな。アントラー・ソードを持って、適当に振るう。今の俺は敵を舐めきっていると言われてもしょうがないのかもな。

 

「普通……そっか」

 

 なんか地味にショック受けてるけどどうしたんだ? 見れば話を聞いていた二人もショックを受けている。これから本番がまっているというのに、情けないぞ。

 

 階段を下りると奥へ続く一本道に出た。時折両脇の壁に扉を見かけるが、こういった扉を見ると無性に入りたくなるのは俺だけではない筈だ。

 

「たぶん、この道の奥……。あの人の匂いがするから……」

 

 塔城さんが道の奥を指差す。

 

 匂いか……なんとも犬っぽい。小猫なのに犬とはこれいかに。

 

 ――いや、この話はやめようすぐやめよう。犬なんて知らない。犬小屋なんて知らない。コスプレした犬なんて知らない。コボルトなんて知るものかっ!!

 

 奥には一際(ひときわ)目立つ大きな扉があった。この奥に救出対象がいるのだろう。

 

「おそらく、奥には堕天使とエクソシストの大群が存在すると思う。覚悟はいい?」

 

 木場くんの言葉に、俺達は頷く。

 

「わかった。じゃあ扉を――」

 

 木場くんと兵藤くんが扉を開け放とうとした時、扉の方が勝手に開きだした。

 

 自動ドアだって? 無駄なところに金かけてるな。こんなところに金を回せるだなんて、羨ましい限りだよ本当に。

 

 さて、扉の奥には……大量の神父と長い黒髪の女の子がいた。あの女の子が堕天使なのだろう、背中から黒い翼が生えている。

 

「いらっしゃい、悪魔の皆さん。あら? 一人見慣れない人間がいるわね。もしかして、わざわざ悪魔と一緒に殺されに来たのかしら?」

 

 嘲笑と共に言葉を投げかけられる。開口一番にそれかよ……! あの人間を見下しきった眼と言葉。

ハイソックスを履いたウルとヘイムドゥァル!を思い出す。あいつらも出会った頃は散々好き勝手言ってくれたからな、おかげで俺は神族が嫌いになった。ヴォータン? あいつは死んでいいよ。

 

「アーシアァァ!」

 

 兵藤くんが叫ぶ。彼の言葉に奥の十字架に磔にされた少女がこちらの方に顔を向ける。

 

 あの子がアーシアか。綺麗な金髪の女の子だ。

 

 今にも襲い掛かってきそうな神父達を警戒しながら事の成り行きを見守る。そして――

 

 突然、彼女の体が光りだした。

 

「木場くん! ありゃあ一体なんなんだ!?」

 

神器(セイクリッド・ギア)を抜き出すつもりだ! マズいっ!」

 

 なんなんだよもう! 神器(セイクリッド・ギア)を抜き出すと何かマズいことでも起きるのか!?

 

 でもあの子苦しそうに絶叫してるし、やっぱ抜き出されるとマズいんだろうな。

 

 彼女に駆け寄ろうとした兵藤くんを、神父達が囲む。

 

 神父達はなにか言ってるが、日本語ではないためやっぱりわからない。主である堕天使が日本語話せてるんだから、お前らも日本語使えよ!

 

「どけ! クソ神父ども! お前らに構ってる暇はねぇんだ!」

 

 バン! と大きな音がした。発生源を見れば、塔城さんが神父の一人を殴り飛ばしていた。

 

 木場くんも闇を纏った剣を取り出している。あれが木場くんの剣か! なんかこう、闇を纏ってるのが悪魔っぽい!

 

「最初から最大でいかせてもらおうかな。僕、神父が嫌いだからさ。こんなにいるなら、遠慮なく光を食わせてもらうよ」

 

 なるほど、最初からクライマックスってやつだな。

 

 俺も兵藤くんの道を開こうと、剣を構えた時だった。

 

「これよ、これ! これこそ、私が長年欲していた力! 神器(セイクリッド・ギア)! これさえあれば、私は愛をいただけるの!」

 

 堕天使が突如(わめ)きだす。思わず堕天使の方を向いた途端、眩い光が辺りを包み込む。

 

 この隙に一人でも多く神父を切り捨てる! 光が止んだあともなにやら喚いていたが、それを無視して剣を振るう。

 

 斬って斬って斬って斬って斬ってひたすら切り捨てる。数ばかり無駄に揃えやがって!

 

 俺一人ならどうってことないが、荷物を担いででは少々キツい。

 

「兵藤くん! いっぺんその女の子連れて上にあがってくれ! 道は開けるから!」

 

 神父を斬り倒し、儀式場の入り口までの道を開く。木場くんと塔城さんが手伝ってくれたおかげで、すんなりと道を開くことができた。

 

「今だ! 早く行け!」

 

 兵藤くんは女の子を抱き上げ、儀式場の入り口まで駆け出した。

 

「九々崎! 木場! 小猫ちゃん!」

 

 何やってんだあいつ! さっさと逃げればいいものを!

 

「先に行くんだ! ここは僕たちで受け止める!」

 

「……早く逃げて」

 

「二人もこう言ってることだし、早く行ってくれ!」

 

 ……あれ? よくよく考えてみたら、仲間を逃がすために敵を抑えるって死亡フラグじゃね?

 

 入り口には俺達の言葉に感極まってる様子の兵藤くん。

 

「九々崎! 木場! 小猫ちゃん! 帰ったら、絶対に俺のことはイッセーって呼べよ! 絶対だぞ! 俺達、仲間だからな!」

 

 やめろぉぉぉ! それ以上フラグを立てるなぁぁぁ! 戦いの後のことを戦場で話すんじゃねええ!

 

「まっ、待ってくれ兵藤くん! 俺も一緒に――」

 

「さあ、九々崎くん! ここからが正念場だよ、頑張ろう!」

 

「……九々崎先輩、頑張りましょう」

 

 ――あかん、オワタ。


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