BIOHAZARD CODE:M.A.G.I.C.A.   作:B.O.A.

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・1983年12月
アレクシアが自身に「t-Veronica」を投与。そのまま15年の冷凍睡眠に入り、公式では感染事故死した事になる。



chapter 2-2

ー何処かの街ー

 

 

 

「■■、ここで待ってなさい。これからお父さん達はお仕事に行ってくるからね」

「お兄ちゃんと一緒にいるのよ」

「うん! 分かった!!」

 

そう言って、両親はエレベーターに乗って行った。

 

「おじさん、パパとママは何のお仕事に行ったの?」

 

3歳下の妹がそう聞く。

 

「お父さん達は、偉い人の取材に行ったんだよ」

 

近くにいた両親の同僚がそう答える。

彼等がいるのは、大きなビルの一階のロビーらしく、出入りする人で賑わっている。

 

「すぐ戻ってくるかな」

「ああ、すぐ戻ってくるとも。それまでは、おじさん達の側を離れないでね」

「は~い」

 

妹達のやり取りをBGMに、兄は携帯ゲーム機で遊んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、その平穏は続かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、ロビーに轟音と振動が襲った。

 

「何だ!?」

「今の上の方で鳴ったわ!」

「爆弾か!?」

「危険だ! 早く逃げよう!!」

 

それを皮切りに、ロビーは逃げる人で騒然となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「■■!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

兄は妹の名を呼ぶが、人混みでごった返していて姿が確認出来ない。

兄は人混みに入って、妹を探す。

と、誰かがその手を掴んだ。

 

「!」

 

妹かと思って、兄はその手を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兄の手は、白い防護服に包まれた手に掴まれていた。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・見滝原市内、ビジネスホテル一室。

 

 

 

「……っは」

 

シングルベットで寝ていた竜二が目を覚ます。

 

「……“あの夢”を見るのも、随分と久しぶりだな」

 

昨日は、ジョージに“アイツ等”を呼ぶよう指示し、下水道に降りて新型を探して見たが、既に手掛かりはなかった。

 

「……“ユイ”」

 

今は“亡き”妹の名を呟く竜二。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の中には、こんなジンクスがある。

“この夢”を見た時には、大抵ロクな事が起こらない。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・放課後、見滝原市内、某所。

 

 

 

(……どういう事……?)

 

暁美ほむらは困惑していた。

 

 

 

 

 

 

 

(あの男のデータがない?)

 

 

 

 

 

 

彼女の前には一台のパソコンがある。

そこに表示されていたのは、米国の捜査官のデータ一覧だった。

 

(日本側のデータには名前があった。でも、米国側に無いのはどういう事?)

 

きっかけは、放課後に彼女が見滝原市警察署に行った時だった。

もし彼が伝えたならば、“消去”しようとしたのだ。

だが、結果は予想しなかった物だった。

 

(署の人間の大半が彼の存在を知らなかった)

 

疑問に思ったほむらは、パソコンを一台拝借して米国のデータベースにハッキング(魔法あり)。

そして、今に至るのだ。

 

(竜二・シーザー……、一体何者なの……)

 

イレギュラーの正体が掴めぬ事に、ほむらは微かに不安を覚える。

 

 

 

 

 

 

(……とりあえず、これは後回しね)

 

 

 

 

 

頭の中を切り替えるほむら。

 

(近い内に、まどかが箱の魔女に捕えられる。同時に、美樹さやかも魔法少女になるだろう。巴マミが生きてる以上、どのタイミングで来るかは分からないが、対策はしておかないと……)

(それに、巴マミもお菓子の魔女のショックで、とても戦える状態じゃない。すぐに魔女化はしないだろうが、そっちも対処しないと……)

 

竜二が帰った後、やはり無理をしていたのか、すぐにマミは寝込んでしまった。

話も出来ずに解散してしまったので、また機会を見付けなくてはならない。

そう思って、行動を開始しようとしたほむらだったが、

 

(…………?)

 

ふと、ソウルジェムを見るほむら。

 

(魔力反応……? このタイミングで魔女?)

 

箱の魔女かと思ったが、妙に反応が大きい。

 

(こっちにもイレギュラーがいたようね。……邪魔にならない内に片付けておきましょう)

 

魔力反応を追って、ほむらは行動を開始した。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・肉塊の魔女の結界、最奥部。

 

 

 

「SherrrrrrrrrrrrRRRRRRRRrrrrrrrrrryyyy!!!!!」

「終わりよ」

 

巨大な口の様な醜悪な魔女にロケットランチャーを撃つほむら。

 

「GUUUUUUUUAAAAAAAAAAAA••••••」

 

魔女の体は崩れ落ち、結界の風景が揺らぐ。

 

(中々手強い魔女だったわね……)

 

それは単純に魔女が強かった訳ではない。

この魔女の結界は、最奥部含めて五個のブロックに別れてたのだが、なんと最奥部以外の各ブロックには“制限時間”があったのだ。

 

(最初、いきなりタイマーが出てきた時は流石に驚いたわね……。ってかシェリーって誰よ)

 

結界が晴れると、何処かのビルの地下駐車場にほむらはいた。

休業日か何かなのか、10時程なのに非常灯しか付いてない。

赤い非常灯に照らされた駐車場は、かなり不気味な雰囲気を醸し出していた。

 

(……早く移動しましょう)

 

もうここに用はないため、次の行動に移行しようとした時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

何か重い物が落ちるような音がした。

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

すぐに辺りを警戒するほむら。

近くに動く物はなく、人の気配もしない。

 

「……何なの……?」

 

 

 

目的:音の元凶を探す。

 

 

 

慎重に駐車場を進むほむら。

赤い非常灯しか付いてない駐車場は見通しが悪く、見つけるのは困難かと思われたが、

 

「……あれは?」

 

あっさりと、柱の裏に何か落ちてるのに気付く。

近づいて確認してみると、それは金属製の鉄格子だった。

 

(通気孔に付いていたのが外れたのかしら)

 

見上げると、確かに上の通気用のパイプに、それが嵌まるくらいの穴が空いていた。

 

(老朽化でもしてたのかしら。でも……)

 

パイプや鉄格子に余り古い感じがしない。

そう思ったほむらが鉄格子をよく見てみると、

 

(螺子がひしゃげてる?)

 

明かに外の圧力による物だった。

ほむらは手掛かりを探す為に、辺りを見渡す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソイツは、柱にへばり付いていた。

 

 

 

 

まず目に付いたのは、全身の皮膚が無く、肉が剥き出しになってる事だった。

体長は1メートル半ぐらいで、カエルのような感じで柱にくっ付いている。

その前足には軍用ナイフより大きい爪があり、それで柱を掴んでいる。

また、頭部は脳が剥き出しになっており、その下には鋭い牙の生えた口があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(何…………、これ…………)

 

使い魔とは違う雰囲気を出す怪物を見て戦慄するほむら。

赤い非常灯に照らされたその姿は、血塗れのようで見る者に生理的悪寒を与える。

だが、そこで怖じ気づく様では魔女は倒せない。

 

(兎に角、迎撃を……!!)

 

 

 

目的:怪物を倒す。

 

 

 

盾裏から拳銃を取り出そうとして、ふと、その手を止める。

 

(こちらに気付いてない?)

 

さっきから目の前にいるのに、怪物は全く気付いた素振りが無いのだ。

 

「グウウウウ……」

 

と、怪物が動き出し、柱を降りてこようとし出した。

 

「!」

 

ほむらが身を固くするが、怪物はそのまま下に降りて、ほむらとは別の方向に歩き始める。

 

「…………」

 

こちらに気付いてない事を確信し、ほむらはゆっくり盾裏から拳銃“デザートイーグル”を抜く。

 

(こちらに気付いてないなら、不意討ちで片付ける)

 

 

 

 

 

 

 

この怪物が使い魔でない以上、魔力は温存したい。

至極全うな考えだった。

 

 

 

 

 

 

 

歩いて行く怪物を慎重に狙うほむら。

頭部には目のような器官が無く、視界は無いように見える。

その頭部を慎重に狙って、

そして、発砲。

 

「ガアアアアアア!?」

 

弾丸は頭部の一部を吹き飛ばし、怪物は糸が切れた様に倒れこむ。

そして、ピクリとも動かなくなる。

 

「……ふう」

 

これで緊張から解放されたと思った時だった。

 

 

 

 

 

 

「グウウウウウウウウウ……」

 

 

 

 

 

 

 

違う方向から同じ怪物が二体現れる。

 

(……ック、面倒ね……)

 

今の物音で気付かれたのだろう。

音で相手を見付けるのかもしれないと、ほむらは予想する。

 

(さっきの様にはいかない。ここは時間停止で手早く決めるしか……)

 

そこまでほむらが考えた時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ズブリという音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

(え…………)

 

ほむらは下を見て、自分の腹からピンクの紐の様な物が生えているのに気付く。

その紐は一人でにウネウネ動いていた。

 

(…………!?)

 

今更になって、腹部に激痛が走る。

その時に後ろを見ておけば、頭が半分吹き飛んだ怪物の長い舌が背中に刺さっているのが見れただろう。

だが、ほむらが振り向くより早く、舌が意外な力でほむらを地面に引き倒した。

 

「ッかは!?」

 

地面に引き倒されたほむらは、衝撃で銃を手放してしまう。

と、その上に何かがのし掛かってくる。

それが怪物だと分かってても、今は抵抗することも出来ない。

呆然とするほむらに怪物が爪を突き立てようとして、

 

 

 

 

 

 

 

 

衝撃と共に一気に重みが消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

(!?)

 

ほむらは顔を上げて、自分を助けた人物を見る。

 

 

 

 

 

 

 

それは、あの時と同じイレギュラー(竜二・K・シーザー)だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

竜二は黙ったまま、自らが蹴り飛ばした怪物にウィンチェスターを右手で向ける。

 

「ギャア!?」

 

轟音と共に、怪物の胴体がチーズの様に穴だらけになる。

続けて、瀕死の一体も同じ様に穴だらけにすると、

 

「ガアアアアアアアア!!」

 

そこに、一体と、何処からか現れたもう一体の怪物が同時に飛び掛かってくる。

 

(!!)

 

身を固くしたほむらに対し、竜二は冷静だった。

まるで慣れているかのように、一体の頭部を空中で消し飛ばし、もう一体を空いた左手でかち上げる様に迎撃する。

 

「ギャウ!!」

 

吹っ飛んで仰向けになる怪物。

そこに竜二が近づいて、銃を持ち替えて空けた右手に拳を握り、

 

 

 

 

 

 

 

体重を載せて、怪物の剥き出しの心臓に叩きつける。

 

 

 

 

 

 

 

肉が潰れ、大量の血が飛び散る。

 

「ガッ…………」

 

一瞬ビクリと動いた怪物は、そのまま活動を停止した。

 

「…………」

 

自分の右手を見つめてた竜二だったが、すぐにこちらを振り向く。

 

(…………あ…………)

 

何か言おうとしたほむらだが、そこに急激に疲労が襲いかかる。

どうする事も出来ず、ほむらはそのまま意識を失った。

 

 

 

 

 

 




B.O.A.です。

諸事情あって、更新速度が落ちます。
どれくらいになるか不明ですが、続けていくつもりです。

友人の指摘があったので設定追加すると、ウィンチェスターの装填速度は強化前のイサカM37と同じ3秒くらいで、上下20度、左右10度、距離50メートルに散弾10発、威力は270、クリティカルは12.5%となってます。イサカより密集してます。

追伸:表現が分かり辛かったので、少し変えました。
更に、矛盾点発見したので表現追加しました。



地下駐車場BGM ~バイオハザード5より「The Claw」

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