BIOHAZARD CODE:M.A.G.I.C.A. 作:B.O.A.
アンブレラ地下研究所調査の為にラクーン市に残っていたジル・バレンタインが行動開始。
途中、合流したカルロス・オリヴェイラと共に、「ネメシス」の追跡を振り切って10月1日にラクーン市を脱出する。
バイオハザード3 ~ラクーン市壊滅~
・五郷市、白鴎女子高等学校。
キーンコーンカーンコーン。
「……ふう」
午前中の授業が終わり、美国織莉子は気を抜くように息を吐く。
風見野の更に隣町にあるこの白鴎女子高等学校は、地元でも有名な進学校で、かつお嬢様学校としても知られていた。
「会長、今日も一段とお美しいですの」
「まさに、我が校の誇りですわ」
ゆったりと座っていた織莉子を、同級生達は遠くから見て賞賛している。
外務大臣の娘で、才色兼備な生徒会長である彼女は、全校生徒の憧れの的であった。
(…………はぁ)
だが、織莉子の心は浮かない。
と言うのも、彼女への賞賛は大抵“美国の娘”というレッテルを通しているからだ。
生徒会長であろうが、学年トップを維持しようが、“彼女自身”を褒めてくれたのは結局父親と“あの子”だけであった。
(まあ、慣れたものだけどね)
席を立ち、食堂に向けて歩き出す織莉子。
廊下を歩いて行くと、道行く生徒が彼女を見咎めこちらを振り返る。
その視線を浴びて、だが織莉子は気にも止めない。
「見て、美国会長ですわ」
「いつも落ち着いていて、素晴らしいお方ですね」
不思議と人に嫌な印象を与えない彼女の態度は、一層彼女への憧れを強めていた。
やがて、彼女は校舎を出て中庭を歩いて行く。
小さな林すらある広めの中庭では、所々で生徒達が思い思いにくつろいでいた。
その中を歩いて行くと、ここでも織莉子は生徒達の視線を集めていた。
それでも先程と変わらず、食堂に向かう織莉子であったが、
「ニャー」
「? 子猫?」
何処から入って来たのか、黒い子猫が足元に寄ってくる。
「ニャー……」
「どうしたの?」
子猫に手を延ばし、そのまま抱きかかえる織莉子。
まあ、と周りの生徒達から感嘆の声が上がる。
だが、織莉子はそれに気付けなかった。
ネチョッ。
(え?)
抱きかかえた子猫から響く異音に、織莉子はそっと片手を放して見る。
「…………は?」
織莉子の手は、真っ赤な血で染まっていた。
「ウウウゥゥゥゥゥ…………」
手の中で、子猫が威嚇するように唸る。
その視線の先は、林の茂みを向いていた。
ガサガサガサガサガサガサガサガサ!!!!!
「!!?」
突入響いた茂みの揺れる音に、全員が目を向ける。
そこから覗いたのは、
“剥き出しの脳髄のついた、皮膚のない頭。”
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
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・見滝原市、工事現場。
工事現場の脇に停まる大型のデコトラ。
一見休憩中に見えるが、その中は様々な機材を積んだ簡易研究室である。
一面に“鳳凰”のプリントがされたそのトラックの中に、レズモンドが入っていく。
「検査結果は問題なし。大丈夫そうだ」
「済まんな。手間掛けちまって」
「元々、この為に呼ばれたもんだからな」
中の長椅子に座っている竜二の隣に座るレズモンド。
「しかし、急に倒れたと聞いた時は驚いたぞ」
「その点では、“失敗作”だもんなぁ。俺」
「お前程の“失敗作”ってのも驚きだがな」
昨日倒れた竜二は、その後ジョージが呼んだ調査部隊に回収され、今朝目が覚めた後に検査を受けていた。
(…………)
ふと昨日の夢を思い出し、顔を曇らす竜二。
その様子を見咎めたレズモンドが口を開いた時だった。
ビーッ!!! ビーッ!!! ビーッ!!! ビーッ!!!
「ッ!?」
謎の警報に竜二が顔を上げる。
「何だ!?」
「ちょっと待て……、何だと!!?」
レズモンドが近くのパソコンを操作して、大声を上げる。
「奴等め……。先手を打ちやがった…………」
毒づくレズモンドの背後から、竜二は画面を覗く。
「五郷市、白鴎女子高等学校でバイオテロ!!?」
「人質を取ってるらしく、まだ死者はいないそうだ。今クリス等が向かってるらしいが……」
「…………よし、俺も出よう。留守は任せるぞ」
「出るのか?」
「ここが手薄になるのは不味いが、だからこそ迅速に終わらせるべきだ。……改めて、留守は任せるぞ」
「分かった。表にバイクを停めてある。装備は此処だ」
レズモンドの持ってきたボストンバッグを受け取って、竜二はトラックを出る。
(…………ん? バイオテロで人質?)
疑問に思ったが、取り敢えず竜二はバイクに乗って五郷市に向かう。
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・五郷市、白鴎女子高等学校周辺。
クリス等が
その一角に停車して、装備を持って降りると、
「来てくれたか!」
「状況は?」
「犯人側からのコンタクトは無し。講堂に生徒を集めている様子。周辺に“化物共”がウヨウヨいます」
「突入出来そうか……?」
「現状は、難しいです」
警官の一人と話していると、竜二のバイクが来て停まる。
「どうなってる?」
「犯人に動き無し。目的が分からない以上、どうしようも無い。」
「そうか……、でも妙だな。バイオテロで人質を取るなんて…………」
「確かにな……」
暫く考え込む二人だったが、そこへ突然無線のコール音が鳴る。
「? ジョージ?」
『犯人側からのコンタクトだ。映像を送るぞ』
「ッ!」
息を呑んで、タブレットを覗く二人。
映し出されたのはやはり講堂らしく、広いスペースに怯えた様子の生徒達が集められている。
その周囲を警戒しているのは、
「リッカー、ハンター、それと人間」
「…………待てよ。こいつ等全員装備が薄いぞ?」
「本当だ。余程B.O.W.に頼ってるのか?」
警戒する人間達は、持ってるのはマシンガンやショットガンなのに、それ以外が一般人の格好であった。
と、映像が動き壇上に登る一人の男が映る。
スーツ姿の男は、顔を覆面で覆って素顔を隠していた。
「コイツが主犯格か…………」
やがて男が壇上に立ち、演説をする様に語り始める。
『諸君。我々はテロリストだが、金銭や宗教とは何の関係も無い。よって、我々が物品を要求する事は無い』
(…………この声…………?)
『我々の目的はただ一つ。この国の在り方を変える礎となる事である』
「テロが礎だと? ふざけるな」
『私は今までこの国の為に尽くしてきた。この国の平和の為になると信じて。だが…………』
画面が切り替わり、一枚の表が出てくる。
日付と場所、その横に膨大な金額が載っている。
『分かるか? 出てきただけで30件以上、これがこの国で見過ごされた、金を貰って、見ないフリをしたB.O.W.の違法取引だ』
「!!?」
顔を見合わせた二人を他所に、男は更に続ける。
『何が平和の国だ。野放しにして、体裁を保っているだけではないか。私は失望したよ』
「ジョージ!?」
『過去のデータと照合しておく!!』
ジョージも流石に焦った声を出す。
『そして誓った。この国から、B.O.W.を根絶すると…………。だが、現実は余りに悲惨だった。最早、私一人でどうにか出来る域を超えていた。だが、私は諦めなかった。だからこそ、私はここにいる』
「…………まさか」
『この国の主権は国民にある。国民が望めば国は変わる。ならば、私は国民に訴えれば良い。…………この国に、近く起こる現実と共に』
男は壇上で両手を大きく広げて、
『この悲劇が、この国の未来を変える。その為なら、喜んで命を差し出そう。さあ、国民よ。現実を知る時だ。少女の血が、全てを語るだろう!!』
それを最後に映像が途絶える。
「不味いな……!!」
「奴等の目的は、バイオテロそのものを起こす事だ! 既に達成されている以上、交渉の余地はないぞ!!」
「どうする!? 突撃するにも、周囲の敵が多過ぎる!」
「どうにか裏を掻ければ良いが…………」
「出来るよ?」
「!!?」
驚いた二人が振り向く。
そこに立っていた人物は、ニヤリと笑みを浮かべると、
「裏、掻けるよ?」
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・白鴎女子高等学校、講堂。
あれからどれ程経っただろう?
講堂に集められた生徒達の中に、織莉子の姿はあった。
周囲の同級生達は、怯え切った様子で蹲っている。
十字を切る者すらいた。
(…………一体、どうしてなの…………?)
遠くの方でサイレンが響いているが、一向に助けは来ない。
当たり前だ。周囲は“化物”だらけなのだ。
「グウウウウゥゥゥゥゥ…………」
最初にいた、皮膚の無いカエルのような化物。
緑色の、半魚人のような化物。
あそこの風景が歪んでいるのは、見間違いじゃないだろう。
(誰か……、助けに来て…………!)
震えながらも、必死に祈る織莉子。
そんな思いも虚しく、覆面の男が近付いてくる。
「ヒッ…………!!」
生徒達から小さく悲鳴が上がる。
「怖いだろうな。寧ろ、そうでなくては困る」
男が近付き、生徒達を見渡す。
「だが、君達の死がこの国を変えるのだ。その為に、済まないが、“苦しんで”死んでくれ」
「い、いやあああぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
「お母様あああああぁぁぁぁああああああ!!!!」
等々絶叫が上がる。
そんな生徒達の周囲を、ゆっくりと“化物”が囲み出す。
その最中、男が織莉子を見付けて、
「大臣の娘か。君には、特別な役をやろう」
「あ…………、ああ…………」
背後に立った男二人が、織莉子の脇を抱えて引きずり出す。
もう、限界だった。
「やめてぇ!! 離してええええぇぇぇぇええええ!!!!」
「安心しろ。君はまだ死なない」
壇上に引きずり上げられた織莉子に、一緒に登った覆面の男がそう言う。
「君が死ぬのは、この後だ」
「グウウウウゥゥゥゥウウウウウウ…………」
下では、生徒達を囲んだ“化物”達が唸り声を上げる。
「その目に焼き付けろ。これが現実だ」
「…………いやぁ…………」
涙を流す織莉子を他所に、男は片手を上に挙げて、
「カメラは良いな」
「大丈夫です」
織莉子は気付く。その手が降りた時が最後だと。
(誰か…………!)
「さあ、始めよう」
「いやああああぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!!」」
その手が振り下ろされて、
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
B.O.W.が一斉に飛び掛って、
「伏せろ!!!!!!」
その声が、壇上の“後ろ”から響いて、
ダラララララララララララララララララ!!!!!!!!!
アサルトライフルの射撃音が轟いた。
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・白鴎女子高等学校、講堂。
目的:テロの鎮圧。
「ガアアアアアアアアアアアアアア!!?」
放たれた弾丸が、飛び掛ろうとしたB.O.W.を撃ち抜いていく。
「…………!」
目の前の惨状に、一部の生徒が気絶する。
「!!!?」
織莉子とテロリスト達が驚いてこちらを見る。
そして、全員が目を丸くする。
突然背後にBSAAの一隊と竜二が現れたのだから、当然の事であろう。
「クリス!!」
「分かってる!!」
竜二の声に、クリスは無線機のボタンを押す。
直後、
ダンッ!!!!!
講堂の入口が外から開放される。
「早く!!!」
「こっちだ!!!」
入口の外では多数の警察車両が詰め寄せていた。
講堂から校門まで並ぶその車両は、彼女等の為の逃走ルートを作っていた。
「何!!?」
テロリスト達がそれに振り向く。
その隙を彼等は見過ごさなかった。
「ぐあッ!!?」
「がああッ!!?」
テロリスト達の手や足を撃ち抜き、瞬時に無力化する。
「クソッ!! アメリカの犬が!!!」
「テロリストよりゃマシだ!!!」
覆面の男の足を竜二はハンドガンで撃ち抜く。
「グウウッ!!!」
転倒して足を押さえる男を一旦放り、竜二は倒れていた織莉子に近付く。
「大丈夫か。立てる?」
「あ…………」
聞き覚えのある声に、織莉子は顔を上げる。
だが、記憶が結び付く前に、竜二は彼女の肩を抱えて立たせると、
「周りを見るな。全力で外に走れ。良いな…………ッ!!?」
気配を感じ、振り向き様に銃を向ける竜二。
「な!!?」
「彼女は渡さんぞ」
その手を、覆面の男が掴んでいた。
そのまま、男は竜二を“片手”で投げ飛ばす。
「があッ!!?」
講堂の壁に叩きつけられる竜二。
「きゃあ!!?」
織莉子を抱えた男は、そのまま講堂の二階の足場に“飛び上がる”。
「クソッ!!」
銃を向ける竜二だったが、撃つより前にガラスを破って男が外に逃げる。
「クリス!! 主犯格が逃げた!!!」
「ピアーズ!! 追うぞ!!!」
「了解!!!」
竜二はクリス、ピアーズと共に男の後を追う。
「急げ!!」
「誰か!! 手を貸して下さい!! 怪我してるんです!!!」
「やめろ!! 来るなあああぁぁぁぁぁああああああ!!!!」
一番近い門に至るには、中庭を横切る必要がある。
結果、講堂と中庭には悲鳴と怒号が響き渡っていた。
誰もが、目の前の事で手一杯だった。
だからこそ、誰も、足元の小さな“ヒビ”に気付かなかった。
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・白鴎女子高等学校、校舎。
目的:主犯格の男を追う。
「止まれ!!!」
クリスが男に向かって叫ぶ。
だが、男は一息で二階に飛び上がり、窓を破って入って行く。
「クソッ!!」
竜二は上空を睨む。
そこには報道ヘリが飛んでいた。
「階段から行くぞ!!」
「了解!!」
クリスの後に続いて校舎に入る竜二達。
幸い、廊下にB.O.W.の姿はない。
階段を目指し、三人は廊下を駆ける。
「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!」
「きゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!」
「!!!?」
遠くから響く絶叫に、廊下の窓を見る三人。
彼等目掛けて、パトカーが“宙を舞っていた”。
「伏せろ!!!」
竜二が叫び、三人が同時に伏せる。
ドガアアアアアアァァァァァァアアアアアアアアンンンン!!!!!!!
パトカーは一階と二階の間の壁に当たり、そのまま下に落ちる。
「走れ!!!」
三人は直ぐさま立ち上がり、廊下を駆ける。
三人の後ろで、轟音が響いた。
「ぐッ…………!!」
爆発に合わせて廊下に伏せた三人が、起き上がって後ろを見る。
パトカーの爆発で、廊下の一部が吹っ飛んでいた。
「隊長!!!」
窓の外を見たピアーズが大声を上げる。
「あれは…………?」
竜二が外を見て声を出す。
逃走ルートのど真ん中に、“青っぽいオブジェ”が立っていた。
「“ロックフォート”の奴か…………!!」
“砂虫”。
地中からの奇襲を得意とする、10m以上の巨躯を誇るミミズのB.O.W.である。
「不味い!! 最悪の事態だ!!!」
竜二が悲鳴に近い声を上げる。
唯一のルートを遮られた人質達や警官達は、完全にパニックに陥っていた。
「ピアーズ!!! 屋上から援護出来るか!!?」
「やってみます!!!」
ピアーズが一目散に屋上へ階段を駆け上がる。
「俺達も行くぞ!!!」
クリスと竜二も、男を追って階段を駆け上がる。
男は、二階の教室の一つにいた。
「!!」
入ろうとした二人が、“それ”に気付いて思わず立ち止まる。
「どうした? 待っててやったんだぞ?」
男の周りには、新たなタイプのB.O.W.が大量にいた。
「キキキキキキ…………」
アヌビス。
コウモリに昆虫の因子を組み込み極限まで軽量化した、ハンターの後に続く次世代のB.O.W.である。
「…………っ!!」
男の足元に、アヌビスに囲まれる織莉子の姿があった。
(どうする…………?)
竜二は彼等を睨みながら、対策を講じる。
一方、クリスは男を見て、
「彼女を離せ」
「断る。彼女はまだ役目を終えてない」
「逃げられると思っているのか?」
「逃げる? 始めから、ここで果てるつもりだよ」
男はニヤリと笑うと、
「与太話は止そう。気が変わったのだ。君達の腕が見たい」
「キキキキキキキキキ…………」
アヌビス達が、ゆっくりと竜二達に近付く。
「…………!!」
クリスはアサルトライフル、竜二はマシンガンをアヌビスの集団に向ける。
彼等が飛び掛る、その直前だった。
ガシャァァアン!!!
「!!?」
突然教室の窓が割れ、黒い“人影”が入り込む。
それは、織莉子の周囲のアヌビスを薙ぎ払い、そのまま彼女を抱え込む。
「き…………、“キリカ”…………?」
「助けに来たよ。織莉子」
それは、見滝原市最後の魔法少女、“呉キリカ”だった。
「お前…………、あの時の…………!?」
竜二は呆然と言う。
そう、彼女こそあの時、竜二達に話しかけ、彼等に戦時中の逃走経路として掘られた“外部から講堂の舞台裏に続く地下通路”を教えた人物であった。
「クソッ! 誰だ!? 出て来い!!」
「竜二? 誰がそこにいるんだ?」
「!? 見えないのか!?」
「ああ、人質が宙に浮いて見える」
クリスは若干青ざめながら、竜二にそう言う。
「地下通路を教えたあの子。“魔法少女”だった様だ」
「成る程な…………」
納得するクリスを見て、
(ん? 待てよ?)
何か引っかかりを覚える竜二だが、それがハッキリする前にキリカが、
「やあ、お兄さん方。織莉子連れて失礼しても良い?」
「逃げられるなら、良いが……」
「有難う。じゃ、失礼するね」
「え、えと……?」
状況が掴めてない織莉子を抱えて、キリカは竜二達に背を向ける。
「待て!!! 逃がすものかぁ!!!」
「キイイイイイイイイイイ!!!!!!」
男の声と共に、アヌビスが一斉に動き出す。
だが、
「バイバイ☆」
キリカは一瞬で移動し、窓から外に出る。
同時に、
「させねぇよ」
竜二達がアヌビス達に向けて発砲する。
「キイイイイイイイイイイイ!!??」
弾丸を受けて、アヌビス達が苦痛に藻掻く。
「貴様ぁ!!!」
「俺達が相手だ」
一方、窓の外に出たキリカは、
「よし、突っ切った方が最短だな」
グラウンドを突っ切って外に出ようとしていた。
中程まで走った時、
ドオオオオオォォォォォオオオオオオオオン!!!!!
「おっと?」
キリカが飛びず去った直後に、下から“何か”が飛び出してくる。
「へえ、君が私の敵かい?」
足元から顔を出した“砂虫”に声を掛けるキリカ。
砂虫は僅かに頭を引くと、
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」
凄まじい咆哮を発する。
同時に、
ビチャビチャビチャビチャ。
砂虫の口から、溶け掛けの“人間の一部”が撒き散らされる。
「……うっ、うううっ」
口元を押さえる織莉子を抱いたキリカは、
「う~ん、どうしようか?」
一旦考え込むそぶりを見せたが、
「……ま、魔女相手も飽きたしなぁ」
校舎に向けて走るキリカ。
砂虫も地中に潜る。
「キリカ……?」
グラウンド脇に織莉子を置き、その周囲にバリアを張ると、キリカは何処か壊れた様な笑顔を向けて、
「ちょっと待ってて。刻んでくる」
お待たせしました。B.O.A.です。
いきなり超急展開です。
ホーシーさんの意見を借りて、登場B.O.W.を見直してみた所、登場予定無かったナガムシが大抜擢されました。
次回、荒ぶるナガムシが見れるのはココだけ!?
感想等、お待ちしてます(^-^)/