この中に1人、ハニートラップがいる!   作:佐遊樹

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最近メインヒロイン出せてない……


ハニトラの夏、ISの空/Disc2

・BLOWIN'

 

「リブート? いや知らねえし。まず言葉のチョイスもっと大衆向けにしてから出直してきて。リスタートとかリメイクとか色々あんだろ。……あとはまあ、ね、出塁率は高くなってきてるんだからきちんと守備力を高めてからもう一回来てね」

 

俺は靴をはきながらそうつぶやいた。

今日は3DSのソフトを買うべく外に繰り出すのである。

 

「キミ、どこの野球チームのオーナー?」

 

後ろから不意に声をかけあれて、俺は思わずその場に飛び上がった。靴を履こうとしている最中に人間は30センチ近くも飛び上がれたのか……

人体の神秘に驚嘆しつつ、俺は背後に佇む私服姿の楯無へと振り向いた。デニム生地のホットパンツにボーダー柄のタンクトップ、日よけのためか半そでのカーディガンを羽織ってるのが女の子っぽくて一夏ドキドキしちゃう。

 

「お、おう」

「私のPSPのソフト追加しよーと思ってたんだ。ちょうど良かった」

 

そう言ってこいつはごく自然に俺の横に並んだ。

そのまま二人そろって仲良く海上モノレールに乗り込む。何買うのか聞いたらスーパーダンガンロンパ2って返された。

財布に余裕はあるし、ついでにPS3のソフトも積んでおいていいかもしれん。トータルイクリプス欲しいな……クリスカに会いたいよクリスカはぁはぁ。

 

「レゾナンスってどういう語源なのかしらねえ」

「さーな。ほらはぐれんなよお姫様」

 

目的地に到着。休日だからか意外と混んでる。まあ楯無は(いい意味で)目立つ容姿なので、見失うことはないだろう。

すれ違う人々からの怨嗟の視線が逆に心地よい。こういう時イケメンは得である。ほら、羨望の声がこんな風に『すげえモデルさんみたい……』『雑誌の写真に載ってそうだな』『隣の半端面はなに?』『邪魔だから死んで欲しいよね』うっせぇ余計なお世話だ黙ってろバーカ!!

憤慨しながらも目的のゲームフロアまで進んでいく。かなり上の階だ。メタルギアライジングとかすげえバカゲーのかほりがするんですけどなにこれ素敵。

 

「ちょっとちょっと、そんなに目を輝かせてゲームの山見つめてるなんてお姉さん寂しいなー? ちょっとは私の方を注視してくれてもいいんじゃない?」

「どっか行けチェシャ猫」

「はい拗ねたー私拗ねたからねー」

 

たったったと立ち去る音がした。

構うもんか。俺は俺なりにやらせてもらいますよーだ。

体験版コーナーを探して右往左往してると、ふと人影が少なくなっていることに気づいた。どうやら俺の無駄スキル、極限集中《アンリミテッドフォーカス》が発動しちまったらしい。

これやると授業もすぐ終わってる。どうでもいいことを考えてるときに限って集中力を無駄遣いしてるんだからざまぁないよな。

ふと顔を上げると、悲鳴を上げながら多くの人々が走り去っていった。その後を銃を構えた男たちがどしどし走って追いかけて、どっかに追い込んでいる。

ん?

んんっ? なんぞこれ。

 

「このデパートは俺たちが占拠したっ! 一階に下りろ、指示に従わない場合は殺してやる!」

 

急展開過ぎワロタ。

俺は物陰に慌てて屈むと、『白雪姫』を介して姉さんの『暮桜』にコアネットワーク通信をかける。緊急事態だ。

 

『おかけになった電話番号は、現在電波の届かない場所に……』

 

電話じゃねーし電波飛ばしてもいねーよ!

内心盛大にシャウトして、俺は思わず天井を見上げた。

 

 

 

 

 

ひとまずは移動である。画面越しにスネークから伝授された潜入技術、いやもはや俺が技を盗んだと言っても過言ではないレベルだが、とにかくいい感じに死角を進みながら俺は誰か別の人と合流を目指していた。

『白雪姫』を展開できたら楽なんだが、生憎我が姉上様によって機能に制限がかけられている。……俺のナノマシン侵食を抑えるための処置なんだろうが、今は単なる足かせだ。

姉さんの了知なけりゃ『白雪姫』は起動できねえ。俺はちょっと運動神経が良くてイケメンで女にモテるただの男子高校生に成り下がったわけだ。

 

「あ、あれ? 一夏?」

 

こそこそ動いてる俺の真正面に、なんか同じようにコソドロの如く這い回っている鈴がいた。

私服姿を見るに、どうやらこいつも休日をつぶしに来ていたようだ。

 

「何やってんだお前」

「あたしはセシリアとシャルロット連れて服買いに来てたのよ。たまには女の子だけで買い物に行こ! ってシャルロットが言うから……あんたこそ誰と来てたのよ」

「楯無。はぐれちまったけどな」

 

鈴は横で頬を膨らましながらそっぽを向いた。不機嫌アピールかこの野郎。

肩をすくめて俺は辺りを伺う。足音は聞こえない。どうやら下の階に追い込むため犯人も一緒にエスカレーターで下りているようだ。

 

「甲龍は?」

「ダメよ。あたしも、他の専用機持ちも、こないだの無断出撃が原因で没収されてるの」

「使えねぇー……」

 

まあ俺も人のこと言えないんですけどね。

このままにしておくのもヤバいので、ちょっと動いてみる。

 

「ねえ一夏、ヒマだしこのおもちゃで遊んでみない?」

「緊張感ねーなオイ。んだよそれ……クイズか」

 

ファミコンみたいな本体が立体ディスプレイを投影し、控えめなBGMと共に『当たり前クイズ~答えられなきゃブタ箱行き!~』が始まった。物騒なタイトルである。

 

「クイズに答えられなきゃ前科持ちか、重いなオイ」

「世界観が垣間見えるところね……警察組織に迫害される市民の姿が目に浮かぶわ」

 

鈴がお得意の妄想を膨らましている。なるべく生温い視線でそれを見守りつつ、ディスプレイに『手をかざしてね!』と表示されたのでバカ正直に従ってみた。

ガチャン×2。

なんか銀色のブレスレットが俺と鈴にはめられた。チェーンでゲーム機本体とつながっていて離れられない。

ずい分オシャレなブレスレットだな。

 

「なんか前衛的なデザインね」

「ああ……先進的だぜ」

「なんか外れないんだけど」

「ああ……拘束されちまったぜ」

『ってこれ手錠じゃねーか/じゃないのよ!!』

 

一斉に叫んだ。

なんかクイズ始まる前にパクられてるんですけどぉ!

 

「オイ誰かいるのか! 出て来なきゃ撃ち殺すぞ!」

 

っと、どうやら一応上の階の様子を見に着たのか、フル装備の男が一人歩いてきた。

どっかに隠れたいがあいにくオシャレなブレスレットのせいで身動きが取れない。

 

『第一問!』

「さっさと正解してこれ外すわよ!」

「オーライ」

 

俺たちは勢い込んで画面に食って掛かった。

問題が表示される。

 

『シイゼエボオイwエンドゼエガアルwwwスピンアトップスピンアトップwスピンスピンwww』

「……?」

「オイやめろこれホントだめマジでだめこれはマジでうわあああああああああ」

 

首をかしげてなにこれ知らないオーラの鈴。俺はその横で頭を抱えてのた打ち回った。相川や谷ポンと受けた大昔のリアルチャレンジのトラウマが復活する。本当にこの年は意味不明だった。

 

「えっと……4番、3番、4番」

 

鈴がぽんぽん答えていく。四択なんて珍しいわねじゃないぜ鈴さん。日本の誰もが通る茨の道なんだぜ四択は。

 

「よし解けた!」

「お前ら何してる!」

 

ブレスレットが外れると同時、俺たちを見つけた男が銃口を向けてきた。

鈴が陳列棚の向こうに飛び込もうとする中、俺は見事に俺のトラウマを掘り当ててくれたクイズ機を持ち上げた。

このヤロウには盛大なお祝いとして、男には『白世』代わりに受け取って欲しい。

 

「食らえアラクネバスターMkⅡ!」

「それただのおもちゃでしょ」

「MkⅠはどうしたのなんでいきなりⅡなの」

「……なんて蜘蛛と、戦うのが前提?」

 

全力の投擲が直撃した。カッコつけて残心をとる俺を背後からグサグサ言葉のナイフで刺してくる淑女が三名いらっしゃる。いつの間に増えてんだお前ら。

ぶっ倒れて動かなくなった男を適当に縛り上げ、俺はしくしくと泣きながら鈴&デュノア嬢&妹さんに向かって怒鳴りつけた。

 

「いいじゃないかカッコいいんだから!!」

「正直ちょっとダサいかなーって」

 

苦笑いするデュノア嬢。さすがの俺も力尽きた。

 

 

 

 

 

鈴とデュノア嬢、俺と妹さんに分かれて行動することになった。

みんなこのフロアにいたらしいが、デュノア嬢が妹さんと合流して俺たちを助けようと飛び出す寸前だったらしい。下に降りる階段は二つあるので手分けするのだ。

 

「妹さんさ、何しに来てたの?」

 

鈴とデュノア嬢を見送って、俺は横を歩く妹さんに話を振った。

人気のないデパートというのはなかなか不気味で、ホラーゲームみたいな雰囲気がしてゾクゾクする。チェーンソーを構えたウサギちゃんとか出てきそう。三角頭出たら妹さん囮にして逃げるわ俺。

 

「……箒、と映画を見に来た」

「へぇ、なんか意外な組み合わせだな」

「臨海学校……で、連絡先もらった、から……誘ってみた」

 

しかもお前から誘ったんかい。

だがここにいるということは、どうやら映画が始まる前にここまで来たようだ。

 

「箒とはぐれちゃった……心配」

「あいつなら大丈夫だろ」

「せっかく……コズミックステイツの布教、が捗りそうだったのに……」

 

……何の映画を見に来ていたのかはツッコまないことにした。

 

 

 

 

 

二つほど下のフロアに行くまでに、俺と妹さんは三名の不審者を拘束し無力化していた。

妹さんも俺も奪い取ったハンドガンを手に持ち進んでいたが、妹さんが少し顔を赤らめながら席を外してしまった(お花摘みである)ので俺一人でフロアを散策中だ。

専門店街らしく、ファッションショップが右にも左にも並んでいる。

カラーGジャンとかいいな……小遣い足りたら是非買いてぇ。

と、向こう側から何か足音が聞こえた。また雑魚かと思い銃を構えようとし――違和感。

 

「はッッ」

「ひょぉっ!?」

 

足音と歩みが合致しなかった。段位が2つ違えば生物が違うらしいが、確かに俺は今、同じ床を歩いていたはずの少女――篠ノ之箒の足の運びを捉え切れていなかった。

もうお前早くアネックス1号の艦長になれよ……

 

「む、一夏か。すまない」

「すまないじゃねぇぇぇッ」

 

咄嗟に避けた俺の顔のすぐ横を箒のパンチが通過して、背後の壁に見事な大穴を開けていた。

おっかしいな……O.M.手術でも受けたのかなこいつ。開放血管系の強度すげー。

 

「簪とはぐれてしまってな」

「ああ、妹さんならこのフロアにいるぜ」

「む、なら三人で下まで行くのが安全、――ッ!」

 

足音が聞こえた。箒とは違う、何か重いものを抱えた足取り。

俺と箒は瞬時にアイコンタクトをとったッ! このままノコノコしていれば発見されるのは自明の理!

右にはビジネスシューズコーナーがある。棚は確かにあるが、金網タイプなので見つかりやすいだろう。

一方左を見れば、デパート内でも有名どころに分類される服屋がある。ショーウィンドウにマネキンが4つ並んで思い思いのポーズを取っていた。

これだッ。

 

「なんだ? こっちの方から物音が……」

 

フル装備の男が角を曲がって来る寸前、俺と箒は店内に滑り込む! 音もなくマネキンを2つ引き倒し、空いたスペースに躍り出たッ!

 

(待て一夏! 棒立ちはマズいッ)

 

そ、そうか!

確かに俺と箒を挟む2人の先輩方は、いかにもモデルさんらしいポージングだ。余計なことしてんじゃねーよ。

時間がない……すでに銃を構えた男が頭だけ見えている。

意を決して俺たちはポーズを取った――――

 

バアアア~~~~ン!!

 

男が見るッ! ショーウィンドウの中に佇むマネキンが4つ!

だが不思議なことにッ……真ん中の2つ、やけに血色の良い2体が今にも奇妙な冒険に出てしまいそうなポージングを取っていたッ!

 

『な、なにをしているだァァーーッ!!?』

 

俺も箒も同時に小声で叫んだ。器用だな俺たちってオイ! 

なんで俺はギャングスターになることを夢見てんだよ!? 箒にいたってはファントムブラッドだよパーで顔を隠そうとしてるけど半分以上見えてるよ!

不自然極まりない姿勢ではあったが、なぜか銃をもった男は一瞥するだけで他の場所の警戒に行ってしまった。

ふぅ一安心と俺も箒も息を吐く。

 

「ああ!? 人手が足りねぇってお前、明らかに連絡が取れてないやつがいるだろ! そいつらは何してんだよ!?」

 

と思ったら不意打ち気味にまた男が走ってきた。

慌てて姿勢を整えるッ。

 

「そうかな」

 

小声で箒がなんか言い出した。背後に『ズアッ』とか文字が見える。俺の目がおかしくなったのかな……

かく言う俺も今すぐWRYYYYYYYYYYYYYYって叫びたい感じのポージングだ。これ普通の人間には無理だと思うんだけど大丈夫か俺の人体構造。ああ心臓がISコアの時点でもうダメですか。

 

「一夏……私はヤツの背後を突く! お前にはその援護をして欲しい……援護とは言っても、要は周りを見ていて欲しいんだ!」

「あ、うん、ああ、分かった」

 

なんだ、今の箒からは何かを感じる。そう……やると言ったことはやるという凄みを感じる!

ショーケースを出て箒は足音を殺しつつ男に接近し、丁寧に無線をブチ切ると同時に男をねじり飛ばした。何をどうしたら人間はあんな風に吹っ飛んでいくのか俺には理解できない。古武術怖いよぉ……

その後、お花摘みから戻ってきた妹さんに箒を半ば押し付け、俺は一人で階段を駆け下りた。

 

 

 

 

 

そろそろ1階である。

地味に人影が増えてきていた。今いるフロアは家具販売がメインなので、物陰が多いのがせめのもの救いか。

タンスや観葉植物の間をすり抜け一人一人背後から狩っていく。時々物陰にもう気絶させられた先客がいるのは、多分楯無か鈴デュノア嬢ペアかの仕業だろう。

ベッドがあったので中にもぐりこむ。予想以上にふかふかでちょっと眠くなってきた。

っべー。眠い。普通に眠い。なんかあったかいし。

 

「……すー、すー」

 

寝返りを打ったらオルコット嬢がいた。

……!!??

何ぞこれぇ!

お、落ち着け織斑一夏。何を動揺することがある。訓練された童貞からすればこんなパツキン美少女ちょっと髪がさらさらで唇が柔らかそうでまつ毛長くて肌キメ細やかで抱きしめたいけど抱きしめたら折れそうな線の細さなだけじゃないか。

……もう俺はダメかも分からんね。

 

「んっ、ん……」

 

吐息がエロイ。これは違う。罠だ。ハニトラだ。

きっと俺がこうしてベッドに隠れることを見越して彼女はここにいたんだ間違いない。クソッタレ汚ぇぞ、こんなシチュエーションに遭遇したら童貞がまともな精神状態を保てるわけがないだろ!

俺は音もなくベッドから抜け出た。精神的に危ない。これ大変危険な状態。

 

「う、ううんっ」

 

と思いきや袖をオルコット嬢につかまれていた模様。

なんなのお前吸引力の変わらないただ一人の代表候補生なの?

本格的にこの状態はヤバイので周囲を警戒しながらどうにか手を外す。慎重に慎重に……やばいオルコット嬢の指やわらかああああああああい。

 

「織斑一夏はクールに去るぜ」

 

バックバックと心臓が本業にリキ入れ始める中、俺は真っ赤になってるであろう顔のままこのフロアの雑兵全滅を目指して進み始めた。

ハニトラめッ! 俺は惑わされんぞッ! 孤高のパーフェクトソルジャーはいかなる誘惑にも屈しないのだッ!

 

 

 

 

 

なんとか1階にたどり着いた。

視界の隅で、出る機会を伺っているのかひょこひょこ動く銀髪が見える。

 

「お前まで来てたのか……」

「む。織斑一夏か」

 

ラウラ・ボーデヴィッヒはタンクトップにワークパンツというラフな格好だった。

バックパックを買いに来てたらしい。んだよこのブッキング率高すぎだろ。

 

「相手は何人?」

「このフロアにいるのは5人だな」

「デュノア嬢と鈴はまだ下りて来てないのか……しばらく待とうぜ」

 

箒と妹さんにオルコット嬢もいるし、と言ってやるとボーデヴィッヒはぶったまげていた。

今からここを焦土にしようって言ってもすぐさまできるような戦力が揃ってんだよな。

しばし待機ということで死角に潜り込みつつこそこそやり過ごす。暇になったのかボーデヴィッヒが口を開いた。

 

「なあ織斑」

「あン?」

「……お前は、守ると言ったな」

「ん……ああ。まあ、な」

「何を、お前は何を守ったんだ?」

 

概念的で抽象的な質問だ。

少なくとも、かつてこいつに直接その言葉を吐いたときは、俺はこの問いに答える術を持たなかった。

だが今なら。

今なら、答えられる。

 

「俺は――」

「ふざけるなぁっ!!」

 

フロア中に怒号が響いた。

俺もボーデヴィッヒも弾かれたように同じ方向へ視線を飛ばす。男が電話機に向かって怒鳴りつけていた。どうやら要求が通らなかったか何か、交渉にトラブルが発生しているらしい。

 

「この場で人質を間引きしてやってもいいんぞ……!? こっちは本気だ! おい、そいつ連れて来いッ」

 

泣きじゃくる女の子が一人、電話機を持った男のところへ連れてこられた。

男は躊躇うことなく拳銃を女の子に向けた。

――思考回路が白熱する。

 

「ボーデヴィッヒッ!!」

「任せろ、行け!」

 

物陰から飛び出たボーデヴィッヒが俺を援護するようにハンドガンをぶっ放す。瞬時に二人ダウン。

俺は呆気にとられる女の子を抱きかかえ、まさに俺を撃たんとする男のこめかみをハイキックで打ち倒した。昏倒したリーダー格に動揺が走る。

 

「織斑こっちだッ!」

「わーってッ……ボーデヴィッヒ伏せろ!」

 

ボーデヴィッヒが逃げようとした方向の階段を、武装した男たちが6人ほど降りてきやがった。

このフロアに残っている2人も俺たちに狙いを定めている。絶体絶命。

 

「ぐッ」

「やべぇ――ッ」

 

包囲され、銃口が突きつけられる。本来なら女の子に覆いかぶさるようにしてせめてこの子だけでも守るべきなんだろうが、生憎そんなことをする必要はなかった。

コアネットワークを介して、バカからメッセージが届いてくる。

 

『貸し一つよ、帰りがけにココア奢りなさい』

 

次の瞬間、天井をぶち抜いて『ミステリアス・レイディ』を展開した楯無が突っ込んできた。

 

 

 

 

 

制圧まで10秒かからなかった。流れ弾も全部巨大な槍で弾き落として、結果的にレゾナンスの占拠事件は軽傷者3名、重傷者並びに死者ゼロでなんとか幕を下ろした。

 

「いやー気づいたら私以外に人いなくてびっくりしちゃったわよ」

 

朗らかに笑いながら楯無が語る。俺たちは最初のホビーコーナーに集合していた。驚きの専用機持ち集合率にみんな呆れている。妹さんなんか萎縮してしまってもはや影だ。

 

「ま、無事で良かったんじゃねえの」

「一夏君が私を置いていったりしなきゃあもっと簡潔に済んだかもねぇ」

「いや……俺、終わったことは振り返らない主義だから」

 

ていうか楯無、こいつ何処に行ってたんだ?

こんだけの騒ぎに気づかなかったとなると、俺と同様に極限集中スキル持ちと見て間違いない。一体何に集中してたんだか。

答えは妹さんがあっさりとバラした。

 

「お姉ちゃん、またプリキュアコーナーにいたの?」

「はうわああわわわわわわわわ~~!」

 

楯無が超速で妹さんの口をふさいだ。青峰みたいな動きだったんだがパーフェクトコピーでもしたの?

 

「懇意にしていただけるようでしたら、この度の感謝も含めこちらのスマイルプリキュアカレンダーを……」

「ふざけないで! もらうに決まってるじゃない!」

 

半ギレで楯無がカレンダーをかっさらう。みんな揃って生温い視線でそれを見守っていた。

 

「他の皆様は……」

「私はこれで」

 

妹さんがRGのデスティニーを持ってきた。他のみんなもあれがいいこれがいいと騒ぎ立てる。どうでもいいがラウラ、美顔ローラー付きの木刀はやめとけ。みんな引いてる。鶴屋さんが苦笑いするレベル。

そんな中、ぼーっとしてた俺に店員さんが視線を向けた。

 

「お客様はいかがされますか?」

「楯無と同じので」

 

……俺が時を止めた……!

思わずロードローラーの上で余裕かましてしまいそうになる程度の凍りつき方だった。DIOは楯無。

 

「一夏、お前まで……」

「ほ、本当によろしいのですか?」

「うるせぇ! もらうに決まってんだろッ!」

 

半ギレでブツを奪い取る。

生温い視線がムカつく。味方なんていない、戦場はいつでも孤独だ……

そんな中、楯無だけが慈愛に満ちた眼差しを向けてきた。もう信じられるのはこいつしかいない。

求道者として、先達として、彼女は唇を開いた。

俺も満面の笑みで言葉をかぶせる。

 

「やっぱれいかが一番だよな!」

「やっぱりウルフルンが一番よね!」

 

なんか戯れ言が聞こえた。

 

「……あ?」

「……は?」

 

一気に俺たちの関係は崩壊した。求道者? なにそれクソくらえ。

その後、姉さんとなぜか軽く変装した束さんが保護者として迎えに来るまで、俺と楯無は一昔前の経営者と労働組合みたいな勢いでガチンコバトルファイトを繰り広げたのだった。

 

 

 

 

 

なんか色々話をつけて保護者組と共に開放された俺たち。

楯無への奢りはまた今度にして、専用機持ちはすぐに帰宅命令。俺は束さんを送るべく一つ便をズラして港まで来ていた。

どうやら『灰かぶり姫』で海中を潜行していくらしい。

 

「いやーいっくんのトラブルメーカーっぷりはますます磨きがかかってきたねえ」

「俺がトラブル作ったわけじゃないっすよ……」

 

俺は唇を尖らせ反論する。

一歩進み出た姉さんが、束さんと真正面から向き合った。

 

「トラブルメーカーだが、こいつは私の唯一の肉親だ。もう無茶はさせん」

「あのさあ姉さん、人命救助の時ぐらいは使ったっていいだろ」

「いっくん、ちーちゃんは今回、デパートで人質にとられた何十人の命といっくん一人の命を比較して、いっくんを取ったんだよ」

 

……余計なことを言うなといった表情で、姉さんが束さんをにらみつける。

俺が緊急連絡取ろうとした時、意図的に無視しやがったなこのバカ姉。

しかし俺が文句をぶー垂れる前に目の前の二名のレディの喧嘩は口汚い罵り合いに変貌していく。すっげぇ巻き込まれたくない。

 

「表に出ろ雌兎」

「かかってきなよ万年発情期」

「いい加減息の根を止めてやる」

「上等、いっくんと見れば誰彼構わず股を開く尻軽の分際で」

「自分の日本語が破綻していることにも気づけないとは、愚かな認知能力だな」

 

ぎぎぎ、と世界が軋むような音を立てながら、世界最強と世紀の天災が嗤い合う。

スプラッターフィルムでもお目にかかれないようなグロ画像が出回らなかったのは奇跡に等しいことであると関係者(15歳・IS操縦者・♂)は語った。

 

 

 

 

 

束さんはどこかに消えちまった。

俺はダークスーツ姿のとんでもない美人と話をしている。

 

「姉さん、俺とみれば股開いてくれるんだ?」

「あの馬鹿の戯れ言だ……」

 

頭が痛い、とでも言うように姉さんが額を押さえた。

俺は素早く姉さんの前に出るとじっとその目を見る。

 

「……何の真似だ」

「実験」

 

まあこれで股開かれても困るんだけど。ここ屋外だし。寮のまん前だし。

 

「せめて私の部屋ならな……」

「え? なんか言った?」

 

やべっ、ぼーっとしてた。

姉さんは少しうつむいて、顔を上げる。なんか目が据わってる。

 

「お前の気持ちは分かった」

「は?」

「目にしっかりと焼き付けろ」

 

そう言ってスカートの裾をつまみ――そろそろと持ち上げ出す。……!!?

何シちゃってんの姉さんんん!?

 

「なんだその表情は。お前が望んだことだろう」

「や、いや、ちょっ、ま……!」

 

ストッキングに覆われてて柔肌は見えないがそれが逆にエロい。黒い繊維越しの膝、フトモモ。

肝心な箇所が目に映る前に、俺はバッと顔を逸らした。

 

「ああああああのね姉さん! そういうのやっぱ良くねえと思うんだわ! だから落ち着いてくれっ!」

「おい、こっちを見ろ」

 

恐る恐る顔を正面に向ける、瞬間、凄まじい衝撃を額に受け俺はのけぞった。

デコピンでこの威力かよ……姉さんマジベルセルク。

 

「愚か者め。色欲に浸る暇があったら自分を磨け」

「……耳赤くするぐらいなら、最初からやらなきゃいいのに」

「忘れろっ!」

 

ひょっとして俺の記憶でもトばそうとしたのか、その時振るわれた拳は、確かに記憶喪失になってもおかしくない威力の増し方だった。

 

 

 

 

 

・ゆるぎないものひとつ

 

「よう弾。元気にしてるか?」

『ああ、今は五反田弾じゃなくて佐々木霙だけどな』

「偽名にしちゃセンスがねえな」

『俺じゃなくて政府に言え』

 

「なあ弾、お前は夢についてどう思う?」

『総理大臣になること』

「そっちの夢じゃねえよ。寝てる時に見る夢の話だ」

『フロイトに聞け』

「先生をつけろ先生を」

 

『唐突だな。いやな夢見だったか?』

「まあな」

 

『一夏、そもそもお前は自分が見たのが夢だってどう判断してるんだ?』

「どうって、そりゃ、目が覚めたら、ああ夢だったかって分かるだろうが」

『じゃあ仮の話をするぞ。仮に現実そっくりの夢を見て、夢の中でもそれを現実だと思い込んでいたら、どうやってそれを夢だと判別する?』

「起きたら分かるだろ」

『目が覚めないとしたら?』

「……マトリックスかよ」

『高校生なら胡蝶の夢と言ってほしいところだな』

「生憎、うちの学園に漢文の教育課程はねえよ。選択式だがな」

『サンスクリット語なんてどうだ。意外と面白いぞ』

「IQ200オーバーの化け物め……」

 

『それはともかく、たとえ話をもう一つ重ねてやろう』

「あ?」

『せっかくサンスクリット語がでてきたんだ、仏教の話を引き合いに出そうか。お前、物質の発生と消滅は断続的に続いてるって知ってるか?』

「おいおい無常観ってやつかよ」

『ちげーよ。そうじゃない、さっきまでの自分は消滅して新しい自分が発生してるんだ』

「さすがにムリがあるんじゃねえのそれは」

『そうだってなぜ言い切れる? 消滅したかどうかなんて本人には分かんねぇんだよ』

「……夢と関係ないぜ」

『現実を認識するには目覚めなくちゃいけねえ。夢に飛び込むには寝なくちゃいけねえ』

「世界の差異は、異なる世界を味わうことでこそ分かるってわけか」

『ざっくり言っちまえばそうだな。起きながら夢を見たり、寝ながら現実を知ったりできるのはそれこそ神様だけだろうよ』

「あがー」

 

『で、何の夢見たんだよ?』

「俺の左半身がズタズタに引き裂かれる夢」

『現実になりゃいいのに』

「ふざけんな」

 

『悪い悪い。ああそうだ、蘭が会いたがってたぜ。おっと蘭じゃねえ、雲雀だった』

「政府のセンスが手遅れな件について」

 

「じゃあ今度学園に来いよ。文化祭なんてどうだ。案内してやるぜ」

『おう、よろしく頼むぜ』

 

 

『……なあ、お前、大丈夫か?』

「…………何がだよ」

『いや、いい。じゃあな、また連絡する』

「……おう」

 

 

 

 

 

・ミエナイチカラ 〜INVISIBLE ONE〜

 

夏休みの最中に差し込まれる夏期講習。

昼過ぎまでの4コマを華麗にこなし、自由時間をさっさと部屋に引きこもってソロ逆鱗マラソンで過ごそうと思っていた矢先、俺の行く手を試験管ベビーがさえぎった。

鬱陶しい。

 

「織斑一夏、お前は何を守った?」

 

いきなり過ぎんだろ。唐突ってレベルじゃねえ。

いや……そういやこの間のデパートでも、はっきりと答えを返してやれなかったな。

真摯な眼差しを真正面から受け止めた上で、俺はボーデヴィッヒを嘲笑った。

 

「オイオイ、言わなきゃ分かんねえのか?」

 

大仰に肩をすくめてみせる。みんながざわめいている。

ったく、クラスの雰囲気を大切にしようぜ。

 

「テメェの目に映ってるもの総てだよ」

 

……なんとなく、ボーデヴィッヒの視線が動いた気がした。

先には俺の見知った顔が並ぶ。どうやら俺の知らないところで仲良くなってたらしく、谷ポンや相川、着ぐるみの美少女はボーデヴィッヒのことをラウラやラウラちゃんと親しげに呼んでいた。

 

「そうか」

 

簡潔な返答。

俺は彼女の目を見た。眼帯に隠されていない真っ赤な目。

気づけば言葉がこぼれた。

 

「お前、あの専用機トーナメントの時さ、姉さんはお前を殺す気だったって分かってんだろ。なんとも思わないのか?」

「あれが正しい判断だった」

 

即答されるとこっちの立場がねえな。

しかも正論だし。

 

「変なとこでドライだな」

 

自分でも、正直食い下がるような発言だった。

 

「事実は事実だ」

「……そう……か」

 

……なんだか、寂しい。なんだ、なんだこれ。

こいつ、こんなんでいいのかよ。

 

「織斑」

「……あ?」

「私と、今一度戦え」

 

びしりと人差し指を突きつけてきた。

断る是非もない。

 

 

 

 

 

「はあああああああッ」

 

裂帛の手刀をいなす。

ワイヤーブレードは前回の戦闘を踏まえたのか、あくまで補助的な攻撃しか行っていない。

カウンターの斬り返し。肩から手首にかけて各関節を回しコンパクトに剣を振る。

 

「くッ……なめるな!」

 

余裕がない。それはボーデヴィッヒも、俺もだった。

レーゲン型の第二形態『シュヴァルツェア・ツァラトゥストラ』は基礎スペックの底上げはもちろん、その特異な単一仕様能力によって第三世代機の中でも群を抜いた存在となっていた。

紅椿さえなければ現行機最強の名を欲しいままにしていただろう。

 

「『ヴァルプルギスの夜(アドヴァンスド・アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)』か……」

 

AICの遠隔化バージョンみてぇなもんだろうと当たりをつける。

ついでに、圧縮した大気をぶつけるなり特殊な磁場を利用して重力を新たに増したりすることもできるようだ。

過度の圧力を受けた生命体は液体化するというが、さすがに生命のスープになるのは嫌だ。

 

観客席にはクラスメイトがたくさん並んでいた。

いくら夏休みだからって暇すぎんだろお前ら。実家帰れ実家。うちの学年の帰省率が低すぎて両親への愛の薄さがヤバい。

でも、まあ、なんだ。

こんなに可愛い子たちがいっぱい見てる中で、醜態を晒すわけにはいかねえよな。

……ああクソッ。我ながら低俗的な考えだぜ。

 

「ほらほらかかって来いよッ。俺はここだ逃げも隠れもするぜッ!!」

「堂々と言えることかァァァーーーー!!」

 

ルナティック弾幕にも等しいAAICの雨あられをすり抜け、俺はボーデヴィッヒに接近する。

当然こいつもそれを待ちかねていたのだろう、準備は万全だ。だがこの距離でこそ俺は勝負に出れる。

召還――『虚仮威翅:光刃形態』を握る。『白世』と二刀流の形だ。

 

一閃。あいつが練り上げた格闘技術の権化たる両手のプラズマ手刀を、一撃で砕く。

さらに『虚仮威翅』と入れ替わりにハンドガンを召還。小型破裂裂傷弾を腹部アーマーに撃ち込む。起爆させようとしてから、この距離だと自分も巻き込まれると気づいて、止めた。

 

「……!?」

 

チェックメイトだ。

至近距離で『白世』を振り上げようとして、動けない。

 

「あ?」

 

俺の両手を縛るワイヤーブレード。

 

「AAICのちょっとした応用で、空気摩擦の音を取り除いた。今やっと気づいただろう?」

 

鼻と鼻がこするような距離でボーデヴィッヒが犬歯をむき出しにする。

だが、まだ全身を止められたわけじゃない。

AAICで動けなくされる前に真横へブースト。ワイヤーに引っ張られ急制動するが加速はやめない。ワイヤーの根元を中心にして円を描くような軌道。ボーデヴィッヒが舌打ちした。

 

「有象無象め、鬱陶しい。潰れろ」

 

右肩に備えられ、未だ沈黙を保っていた巨砲が稼働した。

ゴガンッ! と俺の顔面を砕く形で。

 

「――っつァァッ」

 

おい。

射撃武器だろ。砲撃装備だろ。鈍器扱いしてんじゃねーよ。

絶対防御を貫く痛みにもんどりうつ。そのまま自然と重力落下。

着地間際にどうにか体勢を立て直す、が瞬間にもうAAICの効果が現れた。俺が地面に縫い付けられ、俺を中心に円状のクレーターができあがる。

 

「チェックメイトだな」

 

降下してきたボーデヴィッヒが、その巨砲をゼロ距離で突きつけてきた――テメェふざけるなこのヤロウクソクソクソッ。

俺は、砲口の奥の奥のスパークを直視した。

 

 

 

 

 

「強いんだな、お前は」

「……皮肉かよ?」

 

残存エネルギーゼロ。

その表示が、モニターに二つ。

すんでのところで、俺は小型破裂裂傷弾を起爆させた。

爆発はボーデヴィッヒを吹き飛ばし、弾丸は逸れてアリーナのシールドに直撃し、余波で俺も吹っ飛んだ。

それがこの戦いの顛末だ。俺の自爆に近い。内容を見ても追い込まれていたのが俺なのは明白だ。

 

「負けかぁ、ちくしょッ」

「いや、お前の勝ちだ」

 

ISスーツ姿でアリーナに寝そべっていた俺は、ぎょっとしてボーデヴィッヒを見た。

灰色のスーツと艶やかな肢体を惜しげもなく披露する少女の言葉に驚く。

 

「お前、クラリッサ達と仲良くしてやってくれてたんだな」

「まあ、な。お前ももうちょっと仲良くしろよ。こないだドイツ行って来たけど、みんなちゃんと隊の結束を守ってたぜ」

「だが、私は……そう、かもな、ははっ」

 

やがて、どうでもいい会話に切り替わっていく。

これでいいんだ。

立ち上がり、連れ添ってロッカールームへと向かう。

 

「そういやさー、昨日、相川がトルココーヒー淹れようとして案の定失敗してさー」

「バカが、だからあれほど止めろと……」

「でも飲んだよ、飲んだ、あいつにもう二度と淹れさせねえ」

「それが妥当な判断だ」

 

高校生の男女の会話なんて、くだらなくたっていいじゃないか。

試験管生まれだろうと何だろうと、俺たちは青春を謳歌する学生なんだから。まあ俺はハニートラップとかいう障害を取り除かなきゃいけないんだけどな。

 

「なあ」

「あ?」

「すまなかった、な」

「……いいんだよ。福音との時に、助けに来てくれてたじゃねーか」

「呼んだのはお前だろう」

「ははっ、多分そりゃ、『白雪姫』だよ」

 

そうか、とボーデヴィッヒは頷く。

実際にはきっと、一度『つながった』回線に必死に呼びかけていただけだろうけど。それが原因でボーデヴィッヒが目覚めたのなら……それは素直に祝福するべきことなんだろう。

 

「お前は、強い」

 

繰り返される言葉。

ボーデヴィッヒが何か吹っ切れたように笑う。

可愛い。

 

「強さとはなんなのか、わかった気がする。お前のおかげだ、礼を言おう」

 

いいって。そんなの。

それより良かったじゃねーか、見つかって。これから、それを曲げんなよ? また捩れて負けたりすんなよ?

御託だけは相も変わらず口から滑り出る。

 

俺自身はほとんど前進できていないのに。


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