魔法世界興国物語~白き髪のアリア~   作:竜華零

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オリジナル設定になりますので、ご注意ください。
また、今回一部にネギまらしさを出してみました。

今回のお話は黒鷹様ご希望、ありがとうございます。
では、どうぞ。



アフターストーリー第15話「カムイと姫御子・前編」

Side アスナ

 

『女王陛下とウェスペルタティアの未来に・・・乾杯!』

『未来の皇太子殿下に乾杯!』

『なぁに、王女殿下の未来に乾杯!』

『王子でも王女でも、とにかく乾杯!』

 

 

宰相府、オスティア、いや・・・国中の人間が同じような言葉を告げているのが聞こえる。

扉から、窓から、廊下から、中庭から・・・。

・・・私はそれに、閉ざしていた目を開く。

 

 

どうやら、外は夜のようだった。

それも、相当な深夜・・・時計もカレンダーの無いこの部屋では、日付や時間はわからない。

私が宰相府の一室に籠り始めて、そしてもう一人の「私」と話し始めて。

もう、どれくらいの時間が過ぎたのだろうか。

今度はどれくらい、眠っていたのか・・・。

 

 

「・・・カムイ」

 

 

私が声をかけると、灰銀色の狼が部屋の隅から私の傍に寄ってくる。

椅子と小さな机と、ベッドしかない部屋。

隅に蹲っていた灰銀色の狼が身を起こして・・・部屋の真ん中に置かれた椅子に座った私の傍に。

ぽむっ・・・と、私の膝の上に、灰銀色の大きな頭が乗ってくる。

私は灰銀色の毛並みに手を置くと、ゆっくりと撫でる。

 

 

この行動の意味は、私にもわからない。

でも、何故かとても温かい。

視線を横に向ければ、椅子の側の小さなテーブルの上に、食事が置いてあった。

クリームポタージュ、サーモンムース・・・パンと季節の野菜。

食べるかどうかわからない私のために、誰かが用意してくれたのだと思う。

でも、私はそれには手をつけない・・・。

 

 

「・・・そう」

 

 

開いた窓の外には、薄いレースカーテン越しに満月が見える。

中空に差し掛かったそれは、100年前と変わらずに2つ、そこに存在している。

私と、同じように。

 

 

クルルッ、と、膝の上でカムイが喉を鳴らすのが聞こえた。

視線を下ろすと、灰銀色の狼は不思議な光をたたえた2つの目を、私に向けている。

私や月と同じように、100年前と変わらない・・・。

 

 

「・・・そうなの」

 

 

私は、<黄昏の姫御子>アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシア。

・・・名前は、ただの記号に過ぎないけれど。

始祖アマテル亡き今、世界で唯一<始まりと終わりの力>を識(し)る者。

この100年、この地位にあるのは・・・私だけ。

だけど・・・。

 

 

「生まれる・・・」

 

 

だけどそれも・・・もう終わり。

何故なら、感じるから。

そう。

 

 

「・・・姫御子が、生まれる・・・」

 

 

感じて、いるから。

・・・私の手に、カムイが頭を押し付けていた。

 

 

 

 

 

Side テオドラ

 

「・・・アリア陛下が、ご懐妊じゃと?」

「は、左様にございます」

「それはそれは・・・謹んで、お祝い申し上げると陛下にお伝えくださるよう」

「もったいなきお言葉、我が陛下に代わって御礼申し上げまする」

 

 

妾とジャックの婚礼のちょうど10日後の朝、ウェスペルタティア大使が妾に会いにきた。

とは言え、数日前にすでに予定を入れておったし、その間にすでに妾の耳にも届いておる。

アリア・アナスタシア・エンテオフュシアが子を身篭ったというニュースはの。

 

 

「こちらこらも、改めて祝電と祝いの品を駐在大使に届けさせる故、陛下にはよろしくお伝え頂きたい」

「あり難き幸せにございまする」

「よしなに頼む、ゾルゲ大使」

 

 

ウェスペルタティアの駐帝国大使は、ゾルゲ・クライスト殿と言う名じゃ。

雪のような長い銀髪の中年の男で、元はフリーの記者じゃったとも聞いておる。

何にせよウェスペルタティアの全権代表じゃ、悪し様にはできぬ。

 

 

・・・それにしても、あのアリア陛下がご懐妊とはな。

本当にめでたい話じゃ、アリカも喜んでおるじゃろうの。

・・・赤子か。

妾とジャックとの間には、未だに子は無い。

はよう、授かれぬものかのぅ・・・。

 

 

「時にテオドラ陛下、こちらに宰相閣下からの書簡にございます」

「クルト宰相から・・・わかった。後ほど目を通しておこう」

「はは・・・」

 

 

傍の侍従に目配せし、大使から書簡の入った細長い箱を受け取らせる。

その後、2、3の件について言葉を交わし合った後、大使は玉座の間から辞して行った。

・・・それから、大使が持ってきた書簡を開いた。

王国の国章と女王の印章が押されたそれは、間違いなく王国からの親書じゃった。

 

 

まずは挨拶から始まり、両国の友好関係の感謝に加えて、女王アリアが懐妊したことが改めて記されておった。

それから、今度サバ地域の経済特区地域を拡大し、ウェスペルタティア企業用の工業団地を新設する案件について書かれておった。うむ、上手く投資を呼び込みたい物じゃな。

今度、新たに2500万ドラクマを投じて洗濯用機械と冷蔵用機械の工場を作ることになっておる。

それから・・・直接言及はされておらぬが、帝国内の事情について手助けの用意があると言うこと。

 

 

「・・・国防大臣を呼べ!」

「はは・・・」

 

 

妾の命令に、控えておる侍従の一人が足早に玉座の間から出て行く。

・・・ウェスペルタティアや他国の介入を許す前に、姉上とメレア民族の問題を解決せねばならぬ。

 

 

現在、帝国は内戦直前の状態にあるのじゃ。

ヘラス帝国南方、国土の約4分の1を占める辺境部が、二番目の姉上を担いで「神聖ヘラス帝国」を名乗って独立の動きを見せておるのじゃ。

2日前には、南方の2つの砦を落とされた。

それを敏感に察知した新領土でも、労働党を名乗る勢力が不穏な空気を醸し出しておるし・・・。

それ故、妾自身は討伐に向かわず、ジャックに軍を預けて南下させておるのじゃが。

 

 

「・・・子は、まだ先かの」

 

 

妾が玉座で一人、ぽつりと呟いておると・・・。

国防大臣の到着を、侍従が告げた。

 

 

 

 

 

Side セラス

 

ウェスペルタティア王国に、世継ぎが生まれる。

男の子にしろ、女の子にしろ、次代のウェスペルタティア王となる可能性が高いわ。

女の子の後に男の子が生まれたりすると、少し面倒になるけれど。

 

 

いずれにせよ、ここは重要な局面ね。

我がアリアドネーとしては、最大限友好的な祝賀使節を送る必要があるわ。

 

 

「・・・と言うわけで、貴女達にその使節団に参加してほしいの」

「わ、私達がですか・・・!?」

 

 

私の目の前には、我がアリアドネーでも比較的に女王アリアと関わりがある人材が並んでいるわ。

すなわち、エミリィ・セブンシープ、コレット・ファランドール、ベアトリクス・モンロー、J・フォン・カッツェ、S・デュ・シャの5人。

 

 

我がアリアドネー魔法騎士団の最精鋭、「戦乙女旅団」の若きホープ達。

・・・あと20年もしたら、総長(グランドマスター)候補になるかもしれない子達。

そしてウェスエルタティアの女王アリアの元生徒、心情的にも歓迎されるはずよ。

まぁ、まだ全権を任せられる程じゃ無いけどね。

 

 

「外交儀礼に関しては、他の人に任せているわ。貴女達は心の底から、アリア陛下のご懐妊をお祝い申し上げて来てくれれば良いの。そこまで固くならなくて良いわ」

「アリア先せ・・・じゃない、陛下が、ご懐妊・・・」

「ニュースは見ていますが、本当だったんですニャ」

「ええ、今朝、王国政府が正式にご懐妊を認めるコメントを出したわ」

 

 

ちなみに、彼女達は「PS-07A51」と言う流線型の鎧のようなスーツを身に着けているわ。

現在、「戦乙女旅団」で正式採用されているウェスペルタティア製の「PS(パワードスーツ)」よ。

・・・全体のフォルムが女性をイメージして作られているのを見る度に、飾り部分の胸部の(バスト)サイズを巡る王国側との意味も無く血生臭い交渉風景が思い出されて、やるせなくなるのだけど。

 

 

「・・・と、言うわけで、祝賀使節団の団長、よろしくお願い致しますね」

「ふむ、婦女子の頼みごととあれば・・・断ることはできませんな、任されよう」

 

 

5人の若い女性騎士の前にちょこんと立っているのは、我がアリアドネーの名誉教授。

身長30センチ程の小さな金色の毛並みの猫の妖精(ケット・シー)は、愛用のステッキをくるりと回すと、翡翠色の綺麗な目を細めた。

 

 

「全力で、麗しの女王陛下にお祝い申し上げよう」

 

 

フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵・・・通称、バロン先生。

加えて、アリアドネーの祝賀使節団長。

これで、アリアドネー分校のオスティア開設交渉も前進すると良いわね。

 

 

 

 

 

Side アーニャ

 

「うええええぇぇぇぇぇっっ!?」

「・・・何や、知らんかったんかいな」

 

 

私がその知らせを聞いたのは、もうお昼を回った頃だった。

ちなみに先に弁明しておくけど、私の病室にはテレビとか無いから、ニュースで知ってるとかは無いわよ。

個室から出ることも無いしね・・・まだ新オスティアの病院に入院中なのよ、私。

エミリーだってまだだし・・・。

 

 

それで、えー・・・改めて。

・・・ええええええええええええっ!?

 

 

「あ、ありっ・・・アリアが、に、にににっ・・・に!?」

「ご懐妊やて」

「・・・か!?」

「やからご懐妊やて・・・あとアリア陛下な」

 

 

私のベッド脇のパイプ椅子に座ってる千草さんは、むしろ淡々としてたわ。

でも、私は淡々とできないわ・・・だって、アリアが妊娠よ妊娠!

子供ができたって・・・相手は誰!?

・・・って、フェイトに決まってるじゃない!

 

 

と言うか、何で教えてくれなかったのよアルトの奴!

昨日も一昨日もその前も、毎日毎日絡んで来るくせに、肝心なことは教えてくれないとか。

100%ワザとね・・・「何で僕が教えなくちゃいけないんだい?」とか言ってるのが、簡単に想像できるもの。

今度会ったら―――たぶん今日中―――ぶん殴ってやるわ。

 

 

「え、え・・・そ、それで、その・・・えーと」

「アリア陛下は健康そのものやて、王国政府がコメント出しとったえ」

「そ、そう・・・そうですか・・・」

「幼馴染やさかい、心配になんのはわかるけど・・・少しは落ち着きや」

「す、すみません・・・ちょっと、びっくりしちゃって」

 

 

・・・でも、アリアがお母さんになるのかぁ・・・。

・・・ネギがお父さんになるって聞いた時もアレだったけど、やっぱり、驚くわ。

そっか・・・そっかぁ。

 

 

「それで、これからお祝いの言葉を述べに参内するんやけど、一緒に行くか?」

「え・・・良いんですか?」

「元々、あんたの仕事やったわけやしな」

「ぐ・・・」

 

 

い、痛い所をつかれたけど、でも病院側の許可も得てるってことだし。

アリアも、ひょっとしたら心細い思いをしてるかもしれないし。

それに親友として、お祝いもしたいし・・・。

 

 

「わかりました! 行きます! えーっと、確かそっちのクローゼットに礼服が入りっぱなしに・・・」

「ああ、そんな慌てて着替えんでも・・・」

 

 

ガチャッ。

 

 

・・・その時、病室の扉がノックも無しに開け放たれたわ。

タイミングとしては、ベッドの上から飛び降りて上のパジャマを首元まで捲り上げた体勢になった時。

まぁ、つまり最悪のタイミングだったわけなんだけど。

 

 

「・・・何をしているの?」

 

 

そこにいたのは、アルトだった。

片手には赤い花の花籠―――ガーベラのフラワーアレンジ、微妙にセンス良いんだけど―――を持ってて、いつもと同じ、不機嫌そうな顔で私を睨んでる。

 

 

「・・・何や、この展開・・・」

 

 

千草さんが呟くのとほぼ同時に、アルトの視線が私の顔から下に移動した。

・・・そして、溜息を吐かれた。

 

 

「・・・あ、う、こっ・・・の・・・!」

 

 

私はいろいろな意味でプルプルと震えた後。

えーと・・・。

 

 

「死ねええええええぇぇぇぇっ!!」

「嫌だね」

 

 

殴りに行ったら、普通に返された。

・・・普通に返事すんじゃないわよ!

 

 

 

 

 

Side アリア

 

・・・私の懐妊が新オスティア中に広まってから、3日。

さらに宮内省を通じて魔法世界全土に正式に公表されてから、数時間。

すでに、私の公私に渡る生活全般が変化を始めておりました。

まず・・・。

 

 

「アリアさん、ご気分はいかがですか?」

「大丈夫です、茶々丸さん」

「少しでもご気分が芳しくないようでしたら、仰ってくださいね」

「はい」

 

 

以前は他の仕事で席を外すこともあった茶々丸さんは、全くと言って良いほど私の傍を離れることが無くなりました。

茶々丸さんは個人的な理由からそうしているのでしょうけど、どうも侍女全体が私の体調を中心に仕事を割り振られているようなのです。

フェイトガールズの皆さんも、私の傍にいることが多くなりました。

・・・これは、フェイトさんがお願いしたのかもしれませんけど。

 

 

「アリア、気分はどうだ?」

「・・・大丈夫です、エヴァさん」

「そ、そうか。何かあったら呼べよ?」

「・・・はい」

 

 

エヴァさんが、以前にも増して私の様子を窺いに来るようになりました。

仕事の合間を縫って、何か必要な物は無いかと気を遣ってくれているのです。

 

 

「ん、んんっ・・・あ、アリア、大事は無いか?」

「だ、大丈夫です・・・お母様」

「う、うむっ・・・無理はならんぞ、良いな?」

「は、はい・・・」

 

 

さらには、お母様がことあるごとに様子を見に来てくださいます。

これまではそんなに頻繁に会うことは無かったのですが、公務の合間を縫って会いに来てくださるのです。

稀にですが、お父様もひょっこり顔を出しに来てくれます。

 

 

「アリア様、ご機嫌麗しゅうございましょうか」

「・・・はい・・・」

「おや、お元気そうではありませんね。これは旧世界連合からの面会の申し出を心苦しくもお断りしなければ・・・」

「・・・貴方は一回目かもしれませんが、私は今日、すでに何度も同じ質問に答えているので・・・」

「それはそうとアリア様、ご懐妊されたからには食べたい物、飲みたい物は心行くまでご堪能されますように。それが一番と聞き及びます」

「・・・考えておきます」

 

 

とりあえず、千草さん達には夕方に会うことにして、私はクルトおじ様を返しました。

・・・このように、私はいろいろな方から心配されているようです。

他にも、魔法世界中から祝電が続々と来ているばかりか、市民の方々からひっきりなしにお見舞い品が届いていて・・・。

気を遣って頂けるのは、嬉しいのですけどね。

 

 

「でもやっぱり、病人扱いは何か嫌です」

「・・・ベッドの上で言っても、説得力は無いと思うよ」

 

 

・・・フェイトの言葉に、私は憮然とした表情を浮かべます。

事実として私は仕事着(ドレス)では無くネグリジェ姿で、ベッドの上で半身を起こしている状態です。

昨日と一昨日は大丈夫でしたが、今日は朝からその・・・つわりが、酷くて。

 

 

そしてそんな私の傍には、隅に控えている茶々丸さんと・・・ベッドの脇にフェイト。

フェイトの横には赤と黒の書類箱が置かれていて、彼の手には書類があります。

私に読む気があろうと無かろうと私の裁可が必要な書類は続々と急送されてきますので、フェイトがこうして私に読み聞かせてくれるのです。

そして私が片手だけ動かしてサインする・・・普段の執務よりかなり楽です。

 

 

「・・・大丈夫かい」

「もう・・・またその質問ですか?」

 

 

今朝からいろいろな人に聞かれる質問、けれどフェイトが言うと他とは違う言葉に聞こえて。

フェイトはずっと前からとても優しい人でしたけれど、妊娠を伝えてからはもっと優しくなったような気がします。

私が、フェイトの赤ちゃんを授かれたから・・・。

 

 

それがとても・・・嬉しくて。

私はとても、安らかな気持ちで過ごすことができています。

・・・でも、このつわりと言う物は何とかならない物ですか・・・。

 

 

 

 

 

Side アリカ

 

「王室御用農場のホウサック農場から、アリア陛下のご懐妊祝いにと、苺7キロが到着致しました!」

「パルティア大使館より、祝いの献上品としてアオザイなる衣装が届いております!」

「宝飾店「シュトラウス」より、祝賀ジュエリーのデザイン案が・・・!」

「民間の家庭用魔導具メーカーから、新型の『高性能アイロン』が献上されております!」

 

 

オスティア・・・否、ウェスペルタティア中から、アリアの懐妊を祝う品々が続々と宰相府に届けられておる。

宰相府には1900の客間が存在するのじゃが、仮置き場とされたそれらの部屋がどんどん埋まっていく勢いじゃ。

 

 

すでに各方面からの祝電は数知れず、贈り物や献上品もご覧の通りじゃ。

とは言え、全てを無条件にアリアの下へ届けることはできぬ。

物量的に難しいと言うこともあるが、王族には他に警戒せねばならぬ物も存在するのじゃ。

例えば・・・贈り物に見せかけた暗殺、とかの。

女王個人に届けられた贈り物は、宮内省と女王親衛隊が二重にチェックする体制になっておる。

まず、安心じゃと思いたいが・・・。

 

 

「・・・それにしても、見事な品々じゃの」

「3分の1が苺関連ってあたりに、特徴を感じるけどな」

 

 

・・・ナギの言う通り、献上品には苺が多いが。

特に新オスティアの市民からの献上品は、ほとんどが苺なのじゃが。

・・・厨房で使い切れると良いがの。

 

 

「まぁ、ここは担当者に任せれば良かろう。それよりも我らは公務じゃ、午後だけで養老院と病院を2件ずつ回らねばならぬ。その後は劇場の夜間興行の観覧じゃ」

「げー・・・急に増えたなオイ」

「仕方あるまい、アリアは以前ほど自由に動けぬのじゃからの」

 

 

そうした品々が運び込まれてくるのを横目に、私達は自分達付きの侍従達や近衛騎士を連れて宰相府の外へと向かっておった。

アリアの懐妊が確認されてしまった以上、アリアはこれまでのように軽快に動けぬ。

私達は王国の政治に介入すべきでは無い、である以上、王室の顔として外部の施設訪問などの公務は私達が代行せねばならぬ。

 

 

アリアは懐妊したからと言って、自分の職責を他者に譲ったり預けたりすることに同意するような娘では無いが・・・皆でアリアの負担を分散してやらねばならぬ。

とは言え、王室の人数が少ないのは確かじゃ、私達だけで全てを代替するのは難しい。

 

 

「せめて・・・」

 

 

・・・せめて、ネギやアスナがいてくれればの。

どちら共に・・・不可能ではあるが。

そして、それは・・・私の自業自得でもある故・・・。

仕方の無い、ことじゃの。

 

 

 

 

 

Side エヴァンジェリン

 

私は今、さよに続く第二の衝撃を味わっている。

・・・アリアが、若造(フェイト)に孕まされた。

 

 

「ミモフタモネーイイカタダナ」

「やかましいぞチャチャゼロ・・・私は今、真剣に悩んでいるんだ」

 

 

そう、私は真剣に悩んでいる。

珍しくフィールドワークの無い私は、工部尚書の執務室で書類処理に追われているわけだが。

ちなみに、執務卓の椅子に座っている私の頭の上に、チャチャゼロが乗っている。

 

 

そして繰り返すが、私は真剣に悩んでいる。

それは私の周囲に散らばっている紙屑を見れば、わかってもらえると思う。

・・・そして今、再び紙を丸めて放った。

くそぅ・・・何だコレ、どんな企画書や報告書よりも難しいじゃないか・・・。

 

 

「くそぅ・・・若造(フェイト)を殺してやりたい。子供ができたんだから、もう良いよな?」

「ダメニキマッテンダロ」

「そうか、ダメなのか・・・くそぅ」

 

 

いや、それにしても・・・アリアの子供か。

さよの子供も物凄く楽しみで仕方が無いが、アリアの子供も物凄く可愛いのだろうなぁ・・・。

・・・私自身が子供を産めないからかもしれんが、物凄く心配で楽しみにしている自分がいる。

 

 

・・・子供、か。

知識として知ってはいるが、さよにしろアリアにしろ、実際に身内が母親になると言うのは妙な気分だ。

何をしてやれるだろう、何をしてやれば良いのだろう。

正直、わからない。

 

 

「セイメイハ、サヨノトコロニツイタカナ」

「先週に行ったのだから、とっくに着いているだろう」

 

 

アリアよりも、さよの出産の方が先だ。

何と言っても、半分は神の血を引く赤子だからな・・・専門家の晴明を向かわせた方が良いだろう。

予定日は、確か5月末・・・旧世界時間で、一ヵ月後だな。

大丈夫だろうか・・・心配だ。

私の、もう一人の娘。

・・・バカ鬼の心配はいらんだろ。

 

 

「いや、さよの方は良いんだ・・・問題はアリアだ!」

「ベツニイマキメルヒツヨウ、アンノカ?」

「やかましいぞ、チャチャゼロ。競争率が高いんだから、先に考えておいた方が通りやすいんだよ・・・だぁっ、これもダメだ気に入らん!!」

 

 

グシャグシャと紙を丸めて、投げ捨てる。

うう~・・・。

 

 

 

「アリアの子供の名付け親は、私だ・・・!」

 

 

 

口に出して言ってみても、事態は一行に改善されない。

実際問題、私には何も良い案が無かったからだ。

ナギのバカはどーせ考えて無いだろうし、アリアも今はそんな余裕無いだろうが・・・スタンだ。

あのじじぃのことだ、どうせ今頃、あれこれ考えているに違いないんだ・・・!

私が、先に決める!

 

 

「・・・ゴシュジン」

「何だ、何か良い案でも思いついたのか」

「・・・マルクナリスギダロ」

 

 

・・・何故か、チャチャゼロはとても悲しげだった。

う、うるさいっ、仕方ないだろ。

私にとっては、孫にも等しい存在なんだから・・・良いだろ別に。

 

 

 

 

 

Side クルト

 

アリア様が、ご懐妊されました。

気付けなかったのは一生の不覚ですが、しかし喜ばしいことです。

お世継ぎの存在は、それだけで重みを持ちますから。

 

 

王子であればさぞや聡明な、そして王女であればさぞや可憐なお世継ぎとなることでしょう。

個人的にはアリア様及びアリカ様似のお世継ぎであれば、第三の忠誠の対象が誕生するのですがねぇ。

 

 

「まぁ、思っていたより時間がかかりましたか・・・ね?」

 

 

アリア様の結婚式から指折り数えてお待ちしておりましたが・・・4ヶ月ですか。

まぁ、授かりものですからね。

おかげでいろいろと計画できましたし。

 

 

「とりあえず、各国各界の名士を招いて祝賀会(パーティー)ですね」

 

 

すでにアリアドネーからは、祝賀使節団を送ってくると連絡が入っておりますし。

それに合わせて祝賀会を催し、改めてアリア様のご懐妊を宣言致しましょう。

アリア様は体調的な事情もございますし、舞踏会形式は考え物ですが。

それからお酒の価格の引き下げや恩赦なども、検討しても良いかもしれませんね。

 

 

ガチャ・・・と執務室の窓を開ければ、うっすらとですが、お祭り騒ぎを続ける市街地の賑わいがここまで届いてきます。

もう、かれこれ3日は続いている様子ですね。

お祭り好きな国民ですから、なおさらでしょうね。

 

 

「くふふ・・・忠誠心が溢れますねぇ」

 

 

でもこれで先祖返りしてナギ似のお世継ぎが誕生したら、どうしましょう。

このクルト、人生で初めて叛逆してしまうかもしれませんね。

アリア様が泣いてしまわれそうなので、しませんが。

でも私の精神衛生上、アリア様及びアリカ様似の王女殿下とかだったら、三代続けての女王誕生に暗躍してしまうのですが。

 

 

侍医団によると、予定日は1月の15日だとか。

・・・結婚記念日にご出産とかになったら、祝日が一つ減るかもしれませんね。

そうなると・・・1月の議会の開会宣言は、アリア様は無理かもしれませんねぇ。

今の内から、宮内省と予定の擦り合わせを行わなくては。

 

 

「・・・アリア様やアリカ様に似ておられると、良いですねぇ・・・」

 

 

その場合、私は何と呼ばれることになるのでしょうね。

アリカ様のように呼び捨てにされるのも良いですが、アリア様のようにおじ様と呼ばれるのも捨てがたいですね。

まぁ、それよりも先に考えておくべきことが少しばかり・・・。

 

 

「・・・お世継ぎの将来を守るために・・・」

 

 

もう一人の子供と、「Ⅰ」の残存施設(クローン)。

・・・そろそろ、処断の方法を考えておくとしましょうか。

何、路傍の小石を取り除く程度、身重のアリア様の手を煩わせる必要はありませんよ。

全ては、我が王国の千年の安寧のために・・・。

 

 

他の者達―――筆頭、吸血鬼(エヴァンジェリン)―――はどうせ、お祝いごと(おめでたいコト)だけを考えているでしょうから?

・・・くふふふ・・・。

 

 

 

 

 

Side フェイト

 

「・・・アリア、大丈夫?」

「もう、そんなに心配しなくても、大丈夫ですよ・・・」

 

 

夕刻、旧世界連合の千草さんとアーニャを引見した後、僕はアリアの身体を半ば支えるようにしながら彼女を私室のソファに座らせた。

僕があまりに何度も同じことを聞くので、アリアは苦笑しっぱなしだ。

 

 

以前なら、20分ほどの面会で疲れるとも思えなかっただろうけれど。

妊娠を自覚してからの彼女は、以前にも増して疲れやすくなっているような気がするからね。

と言うより、僕が彼女をそう言う目で見るようになったのだと思う。

誰もいない私室の中で、僕は彼女の手を取ったまま、身を屈めて彼女の頬に触れる。

くすぐったそうに目を細めるアリアの様子に、少し安心する自分が不思議だった。

 

 

「何か、飲むかい。それとも、何か食べたい物は・・・」

「もう、夕食前ですよ?」

「夕食は、食べれそうかい?」

「はい・・・もう、フェイト」

「何?」

 

 

自分でも本当に不思議なのだけれど、アリアの傍を離れる気になれない。

そしてそれは、これまでとはまた別種の気持ちのようだった。

 

 

「昼間、十分に休ませてもらいましたし・・・その、体調も戻りましたから」

「・・・だから?」

「そんな、腫れ物を触るみたいな扱いをされると・・・寂しいです」

 

 

休んだと言っても、書類仕事はほとんど減っていないのだけどね。

まぁ、簡素化の努力はされているようだけど・・・。

・・・寂しい思いをさせてしまったのであれば、悪いことをしたとも思うけれど。

でも・・・と、視線をアリアの下腹部に向ける。

そこには・・・。

 

 

「・・・む」

 

 

僕の視線に気付いたのか、アリアは少し頬を赤らめた。

それから、おもむろに僕の手を取って・・・自分の、腹部へと誘う。

薄桃色のドレス越しに伝わるアリアの体温は、やはり以前より少し高くて。

とても・・・温かかった。

 

 

「・・・フェイト」

「何・・・?」

「・・・貴方の、赤ちゃんを・・・授かりました・・・」

「・・・うん」

 

 

ゆったりと流れる時間の中で、僕達は3日前から何度もしている会話を繰り返す。

まるで、事実を何度も確認しているかのように・・・。

僕が今、触れている場所には・・・僕とアリアの子供が、宿っているのだと言う。

僕の子供を、授かったのだと言う。

・・・まぁ、生物学上は自然なことだとおも思うけど。

 

 

・・・人形の僕が、父親になるのだと言う。

アリアとの間に子を成せたと言う事実は、僕に何かの影響を与えるのだろうか。

それとも、すでに影響は出ているのだろうか・・・僕には、わからないけれど。

 

 

「・・・キミに似て、可憐な子供だと思うよ」

「・・・フェイトに似て、カッコ良い子かもしれませんよ?」

「いや、キミに」

 

 

延々と続きそうだったその会話は、アリアが僕の唇に人差し指を当てたことで止まった。

僕はアリアの腹部から手を離すと・・・そっと、その指を握った。

それから、自然な動作で指から手全体を覆うようにする。

 

 

もう片方の手を、赤らんで温もりのこもった彼女の頬に当てる。

・・・僕の子供を授かってくれたと言う、アリア。

どうしてか・・・とても、愛しかった。

以前よりも、ずっと。

 

 

「ん・・・」

 

 

そ・・・と眼を閉じる彼女に、僕も目を閉じながらゆっくりと顔を近づける。

そして、唇の先がかすかに触れ合った、その時。

 

 

コン、コン。

 

 

・・・誰かが、扉をノックする音が響いた。

ゆっくりでかすかなそれは、ともすれば聞き逃してしまいそうな音だった。

 

 

「・・・ど、どうぞ」

 

 

慌てて居住まいを正したアリアは、きちんとソファに座り直すと、扉の向こうに声をかけた。

不本意ながら、僕もアリアから離れる。

そして、扉を開けて入ってきたのは・・・。

 

 

「・・・カムイさん?」

 

 

灰銀色の、巨大な狼だった。

鼻先でドアを押し、のそのそとした動きでアリアの私室に入ってくる。

そして・・・突然の来客は、狼だけでは無かったようだ。

 

 

「・・・明日菜さん」

 

 

どこか声に固さを滲ませて、アリアが狼の背後に立つ女性の名を呼んだ。

長く艶やかなストレートのオレンジ色の髪、青と緑の色違いの瞳(オッドアイ)、10人中10人が認めるだろう美貌、だけど表情は凍りついたように動かない。

スタイルの良い肢体を燃えるような赤いドレスで包み、ピンと背筋を伸ばして立っている。

 

 

彼女の名は、神楽坂明日菜・・・いや、<黄昏の姫御子>アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシア。

公的にも、私的にも・・・今や人前に出ることの少ない人間だ。

多くの時間を、自室での瞑想に使っていると聞いている。

それが何故か、こうしてアリアの私室を訪れるとは・・・。

 

 

「・・・何の、ご用でしょうか?」

「・・・」

 

 

固い声で問いかけるアリアに、アスナ姫は無表情を崩さない。

ただ、凍りついた表情のまま・・・灰銀色の狼の頭を撫でている。

 

 

「・・・アスナさん?」

「・・・」

 

 

アリアが再度問いかけると、今度は反応した。

形の良い唇をかすかに動かして、言葉を紡いだ。

だけど、それは・・・。

 

 

「・・・姫御子が、生まれる・・・」

 

 

それは・・・ある意味で、予想外の言葉だった。

 

 

 

 

 

Side アリア

 

姫御子が、生まれる。

明日菜さん・・・いえ、アスナさんは、そう言いました。

打算も何も無い、ただ事実だけを淡々と述べるような口調で。

 

 

「それは・・・どういう意味かな」

「・・・言葉の、通り」

 

 

フェイトの問いに、アスナさんはやはり淡々と答えます。

・・・<黄昏の姫御子>は、別にアスナさんだけの称号ではありません。

エンテオフュシアの血筋に何代かに一度生まれる、特別な力を持つ子供。

<王家の魔力>・・・始祖アマテルの<精霊殺し>を受け継ぐ存在。

<造物主(ライフメイカー)>の<始まりと終わりの力>の継承者。

<黄昏の姫御子>。

 

 

「・・・まさか」

「そう」

 

 

アスナさんは小さく頷くと、私を・・・と言うより、私のお腹を指差しました。

私の・・・私達の、赤ちゃんが。

 

 

「貴女の子が、次の姫御子」

 

 

突然、ぎゅ・・・と胸を締め付けられるような感覚に襲われました。

どうしてか、背筋に冷たい何かが走って・・・呼吸が。

どうしようも無い不安が、生まれて。

 

 

「・・・アリア」

 

 

・・・フェイトが、私の手を握ってくれていました。

隣に座って、私の傍に。

 

 

「・・・大丈夫。<黄昏の姫御子>の存在価値は、『リライト』が終わった今、無いに等しい。何も変わらない」

「・・・でも、兵器としての力はあります」

 

 

今、世界を繋ぎとめている<楔の術式>も・・・結局は精霊の力です。

詠唱魔法は消えても、この世界の根幹には精霊が関わっているのですから。

もし、もし・・・私達の赤ちゃんが、利用されたら。

 

 

「僕が守るよ」

「・・・っ」

「キミも子供も、僕が守るから・・・信じて」

 

 

・・・そう、ですね。

フェイトはいつだって、私を守ってくれました。

これまでも・・・きっと、これからも。

そしてもちろん、私も・・・。

 

 

私も、フェイトと赤ちゃんを守れば良いのです。

私が・・・赤ちゃんを守る。

誰にも、利用なんてさせない・・・。

 

 

「・・・でも、どうしてわかるんですか?」

 

 

不意に不思議になって、私はアスナさんに問いかけます。

正直、妊娠2ヶ月で生まれる子供が<黄昏の姫御子>かなんて、わかるとは思えないんですけど。

すると、アスナさんはカムイさんを前に押し出すようにしながら。

 

 

「カムイがわかる」

 

 

・・・カムイさん。

前々から、どう言う存在なのかわかりませんでしが・・・。

ここに来て、さらにわからなくなりました。

 

 

「カムイさん・・・貴方は」

 

 

貴方は、いったい・・・何なのでしょう。

生まれる前の子供を、姫御子だとわかったり・・・王家の神殿で狼の群れを率いていたり。

そして、今はアスナさんの心と魂を癒していたり・・・。

貴方は、いったい、何なのでしょう。

 

 

不意に、カムイさんの背中から2本の触手のような物が生えてきました。

フヨフヨと蠢くそれは・・・私達3人を囲むように円を描きます。

え、えっと・・・?

 

 

ヒュンッ・・・と、私の目の前に浮遊するのは、黄金の王家の剣。

部屋の壁にかけられていたコレが、どうして。

そして、私が状況の把握をできないでいる間に・・・。

 

 

「カムイ」

 

 

淡々とした、アスナさんの声が響いた直後。

視界が、真っ白に染まりました―――――。

 

 

 

 

  ・・・・・・・・・

 

 

 

・・・。

・・・・・・?

気が付いた時、私は荒れ果てた荒野のような場所におりました。

 

 

・・・って、落ち着いてる場合じゃ無いんですけど。

え、えーと、見渡す限りの荒野ですね。

もう、視界の隅から隅まで荒野な上に・・・頭上には厚い雲と赤い空。

・・・どこですか、ここ。

フェイト・・・フェイトはいませんか?

 

 

「・・・ここは、どこでしょう・・・?」

 

 

たぶん、カムイさんが移動させたのではと思いますが。

でも、どうしてこんなことを・・・。

 

 

ザリッ・・・。

 

 

その時、後ろの方から足音が聞こえました。

砂利を踏みしめるようなその音に反応して、後ろを向けば。

そこには・・・。

 

 

振り向いて、目を見開きます。

小さな丘の上から、誰かが私を見下ろしていました。

長い髪のその人は、明らかにフェイトではありません。

ですが・・・。

 

 

「キミ」

 

 

腰まで伸びた金色の髪に、明るい空を彷彿とされる青い瞳。

人をくったような笑顔、細身だけど私よりも長身で、しなやかな印象を相手に与える身体つき。

細いスタイルの良い身体に、灰色のローブを纏っている少女。

 

 

知っています。

私は・・・彼女を知っています。

・・・でも私の記憶よりも少し、幼い印章を受けます。

私の知る彼女は、20歳前後の容姿でしたが・・・そこにいるのは、15歳くらいの少女。

彼女の、名前は。

 

 

 

「そんな所でしゃがんでると、危ないよ」

 

 

 

・・・シンシア姉様。

シンシア・アマテルが、そこにいました――――。




新アイテム・新キャラクター:
高性能アイロン:司書様提案。
ホウサック農場:だつう様提案。
アオザイ:黒鷹様提案。

ゾルゲ・クライスト:黒鷹様提案。
ありがとうございます。

ウェスペルタティア王国宰相府広報部王室専門室・第15回広報:

アーシェ:
はーい、お祭り騒ぎの市民の波に攫われて大ピンチなアーシェでーす!
と言うか、本当にお祭り好きな人たちだなぁもう!

トサカ:
でぇははははははっ、オラ嬢ちゃんお前も飲めぇ!!

アーシェ:
え、ちょ、現場で変なオッサンに絡まれたぁ~~~!?


ドミニコ・アンバーサ
60歳半ばの男性、元オスティア難民で盲目のおじ様。
白髪が大半を占める髪は、所々が黒。
2メートル近い長身に、ガッチリした身体つき。
「困りましたな」が口癖らしい、現在、宮内尚書の地位に就いている。

略歴:
オスティアにある教会にて司祭を務めていた。とても敬虔深く、相手の貴賎に関係なく教えを施していた。どちらかと言えばアリカ様派。
オスティア崩落の際に盲目になった物の、武装神官としての経験から並の盗賊には
負けない戦闘力を持つ。
長い年月で培ってきた観察眼と経験が、オストラ、オスティアで彼の周囲の人間の力になっている。


アーシェ:
あべべ・・・神官様とは真逆な人間に絡まれちゃったよ。
じゃあ、次回は本番。
カムイさんの秘密、公開かも!

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