魔法世界興国物語~白き髪のアリア~   作:竜華零

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第3部最終話③「Royal wedding・夜」

Side アリア

 

「まったくもう・・・困っちゃいますよ」

 

 

宰相府の衣装部屋で舞踏会のための着替えをしながら、私はブツブツと愚痴っておりました。

何についての愚痴かと言うと、フェイトのことです。

だってあの人、はしゃぎ過ぎと言うか・・・楽しみ過ぎなのですよ!

 

 

事あるごとに甘い言葉を囁くのは、前々からありましたが・・・。

今日は、いつも以上です・・・!

自覚しているとすればタチが悪いですが、無自覚だとすればもっとタチが悪いです。

フェイトが誰かれ構わずにそう言うことを言う人では無いとわかっている分・・・もう!

 

 

「まったくもう・・・」

「でも、お嫌では無いのでしょう?」

「・・・」

 

 

私が答えられないでいると、私のお化粧を直していた茶々丸さんは、微笑ましそうな顔で私を見つめていました。

・・・茶々丸さんも今日は上機嫌なので、相談する相手を間違えたかもしれません。

 

 

「さぁ・・・できましたよ」

 

 

手際良く私を別の夜会服(イブニングドレス)に着換えさせた茶々丸さんは、やはり上機嫌な様子で目の前の姿見を示しました。

 

 

チュールレースをふんだんに使った3段ティアードの薄桃色のイブニングドレス。

スカート部分の表面にはレースで作った花がいくつも彩られ、流線を描く白銀の糸と立体的なお花が華やかな豪華な仕立てのドレスです。

裾には幅広のホースヘアが施されてボリューム感が増し、動く度に軽やかに揺れます。

胸元と背中は適度に開き、襟ぐりと長手袋にもレースがあしらわれています。

腰回りを軽く締めたハイウェストのデザインで、シャープな印象を見る人に与えます。

そしてシンプルなデザインのクリスタルのネックレスとイヤリング、それにダンス用のパンプス・・・。

 

 

「さぁ、旦那様が首を長くしてお待ちですよ」

「茶々丸さん・・・」

 

 

旦那さま、と言う単語に、頬が軽く熱を持つのを感じます。

自分で言うのはともかく、他人に言われるとどうも・・・。

そのまま茶々丸さんに伴われて、ユリアさんと知紅さんの開く扉から外へ出ます。

2人の両側を抜けて、長い宰相府の通路の先には・・・。

 

 

調さんと環さんに伴われた、黒の燕尾服姿のフェイトが私を待っていました。

上着の襟に拝絹、ズボンに側章を付いた正式な礼装で、上着の内側に白のシャツとベストが覗いています。そして白手袋と黒のエナメルの靴・・・。

 

 

・・・カッコ良い・・・。

 

 

そこまで考えた所で、茶々丸さんの視線に気付いて軽く咳払い。

いけません、ここでそのまま言うとフェイトが調子に乗りますからね、ここは一つクールになりましょう。

 

 

「お待たせしました、フェイト」

「とても、綺麗だね・・・アリア」

「・・・」

 

 

・・・先制攻撃を喰らいました。

この人、もう嫌です・・・。

 

 

「・・・怒ってるの?」

「・・・」

「・・・困ったな」

 

 

聞かないでください、口に出さないでください。

フェイトは心底、困ったような顔をしていました。

困らせているのは私ですが、でも私は悪く無いです。

 

 

ふーむ、と何事かを考えていたフェイトは、何かを考え付いた・・・と言うより、何かを思い出したようでした。

それから、礼儀正しく一礼し、私に手を差し出します。

窓から注ぐ月明かりの中、とてもカッコ良い・・・ではなくて。

 

 

「Shall we dance?(僕と、踊って頂けませんか?)」

 

 

・・・いつだったでしょうか。

どこかで、私がフェイトに言ったような気がしますね。

まぁ、舞踏会も初めてでは無いので、気のせいかもしれませんが・・・。

 

 

・・・ま、まぁ、アレですよね、特に理由も無くダンスの誘いを断るのは失礼にあたりますから?

それに、同伴者と踊らないのはマナー違反ですし・・・。

 

 

「・・・I would love to.(・・・喜んで)」

 

 

だからそっと、フェイトの手を取るんです。

取らない選択肢なんて、あり得ないから・・・。

 

 

 

 

 

Side アリカ

 

夜会に・・・それも舞踏会に出席するなど、何年ぶりのことじゃろうか?

王女時代にも、形式的に出たことはあっても特定の誰かと、と言う経験は無かった。

無論、作法は心得ておるが・・・。

 

 

「何だよジャック、礼服のくせにゴツゴツしやがって」

「てめぇは相変わらず、ヒョロっちぃなオイ」

「こ、これ、ジャック・・・!」

「ナギもじゃ、立場と状況をわきまえんか・・・」

 

 

私とテオが、互いのパートナーを嗜める。

た、確かにラカンは肩の部分などが内側の筋肉で圧迫されておるし、ナギはナギで、どうもぎこちないしの。

 

 

まぁ、長い逃亡生活で正装などする機会も無かった故、慣れておらぬのは仕方が無いが。

しかしそれでも、アリアに恥をかかせるわけにはいかぬ。

逆は良くても、親が子に恥をかかせるなど・・・。

 

 

「はは、まぁ、そう気負う物でもねーだろ」

「そうね、舞踏会は気楽に楽しむくらいがちょうど良いのでは無いかしら?」

 

 

私達2組の傍らには、セラスをエスコートしておるリカードがおる。

どうやら、踊るつもりらしいの。

詠春も、和装から着替えておるし。

ちなみに詠春の傍には、金髪の・・・確か、ドネットとか言う旧世界連合の幹部がおる。

 

 

「まぁ、それに今日の主役は何と言っても、あの2人ですから」

「そうですね、何だか、年月を感じます」

「そうじゃの・・・」

 

 

詠春とドネットの言葉に、私は頷く。

私達の視線の先には、ただ一組のみで踊っておる2人がおった。

無論、新郎新婦・・・アリアと婿殿じゃ。

 

 

宰相府の舞踏会場には多くの参加者が集っておるが、その中にあって一際目立つペア。

会場で音楽を担当しておるオスティア・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者から、「若き女王夫妻に」と最初の一曲を2人のために演奏したいとのこと。

アリアと婿殿はそれを快諾し、参加者に改めて挨拶と礼をした後、会場の中央に歩み出ていった。

そして・・・ゆったりとした音色に合わせて、スロー・ワルツ。

 

 

婿殿がアリアの右手を取り、自分の右手をアリアの腰に回して深く抱く。

アリアは左手を婿殿の肩から首の後ろのあたりにまで回し、2人の身体が密着する。

アリアの顔は紅いが、それでも嫌そうでは無い。

そんな微笑ましい様子に、会場には和やかな雰囲気が漂っておる。

 

 

「・・・アリアは幸せ、かのう?」

「アレを見てそれ以外にとれるなら、眼科医に看てもらった方が良いんじゃねーの?」

「・・・戯け」

 

 

ナギの言葉に小声で毒づきながらも、私は幸福そうな笑顔で踊るアリアを見つめる。

フワフワと揺れる薄桃色の花。

そんなアリアを、私はいつまでも見つめていたいと思った・・・。

 

 

 

 

 

Side エヴァンジェリン

 

クルクル、ヒラヒラ、クルクル、ヒラヒラ。

踊っている本人達はそれ程でも無いのだろうが、見ていると目が回りそうだ。

スローワルツから一転、今度は通常のウィンナ・ワルツに曲調が変わった。

曲は今日のために作曲された物で、タイトルは「女王円舞曲」。

 

 

作曲者の名は、確かシュトラウスとか何とか。

最近、オスティアで有名な作曲家らしいが・・・詳しくは知らない。

 

 

「はぁ・・・良くやるな」

 

 

アリアと若造(フェイト)のみが踊る一曲目が終わった後からは、他の連中も踊りを始めた。

まず、王族に復帰したアリカとナギ、帝国のテオドラとラカン、旧世界連合の詠春やアリアドネーのセラス・・・新旧両世界のトップがアリアと若造(フェイト)の外側で踊る。

三曲目からは、自由に。

 

 

む、アレは千草と・・・誰だ? 見覚えの無い奴だが、カゲタロウはどうした。

その傍で踊っているのは小太郎と月詠で・・・小太郎は千草の相手が気に入らんようだ。

それでも場所が場所だからか、威嚇などはしていない。

ま・・・いずれにせよ、私は壁の華と洒落込もうか、こんな身体(ナリ)だしな。

一応、ドレスは着て来たがな・・・。

 

 

「や、やぁ、奇遇だな、マクダウェル殿」

 

 

・・・古今東西、「奇遇だな」と言って近付いて来る男にはある共通項がある。

それは、決して「奇遇」では無い、と言うことだ。

多くの場合、意図的に「奇遇」とやらを演出している。

 

 

「・・・そうだな、奇遇だな」

 

 

そしてその場合、特に嫌悪を抱いていない相手でも無い限り、付き合ってやることにしている。

実際、そのおかげで私に声をかけてきた男は、どこかほっとした表情を浮かべた。

王国の4元帥の一人、そして王国陸軍最高司令官。

ベンジャミン・グリアソンと言う名のその男は、な。

 

 

王国陸軍の軍服をきっちりと着用し、胸には大鉄十字苺章がある。

王国の勲章の中でも上から2番目の物であり、誰でも授与される物では無い。

十字の中に苺の花と制定者であるアリアの名が刻まれている。

造り自体は簡素だが、女王直々に授与する数少ない勲章の一つでもある。

 

 

「何の用だ、グリアソン。踊らんのか?」

「う、うむ・・・相手がいなくてな」

「ほう?」

 

 

王国元帥ともなれば、女の方が放っておかんと思うのだがな。

しかもグリアソンは男にしては小柄だが、なかなかの美丈夫だ。

その気になればリュケスティスのように女の10人や20人、好きにできると思うのだがな。

 

 

「あ、あー・・・マクダウェル殿は、踊らないので?」

「私か? ははっ、私にはダンスは似合わんよ」

「そんなことは無いと思うが・・・」

 

 

まぁ、世辞を言われて嬉しく無いわけでもないが、こんな身体(ナリ)ではな。

後でナギでも誘うかどうか・・・アリカがいるから無理か。

ちっ・・・となると、本当に相手がいないな。

 

 

「ちっ・・・仕方無い、グリアソン、少し付き合え」

「う、うむ、私で良ければ」

「それと、この後も酒に付き合え。今夜は酔っていないと、どうにかなってしまいそうなんだ」

「・・・淑女がそう言う台詞を男に言うのはどうかと思うが」

 

 

グリアソンが意味のわからんことを言っているが、今夜はアレだからな・・・その、アリアと若造(フェイト)の最初の夜だからな・・・。

・・・酔ってでもいないと、邪魔をしに行きかねん・・・。

 

 

・・・いや、それもアリか?

 

 

 

 

 

Side リュケスティス

 

士官学校時代からの友人が、金髪の幼女(偽物)の後を嬉しそうについて行く。

そんな場面を目撃した時、どうすれば良いのか。

あらゆる戦場で柔軟な作戦案を立てて来た俺の頭脳でも、未だに解答が得られない問題だった。

 

 

男女の仲は、政治や軍事よりも高度で複雑だ、とまでは言うつもりは無いが。

ふと視界を彷徨わせれば、会場の隅で何人かの女が俺を見ているのに気付いた。

とは言え、こう言う場では男から誘うのが礼儀。

女である自分達からは誘いに行けないが、できれば誘って欲しい・・・と、言った所か。

どこの令嬢かは知らないが、淑女が聞いて呆れる。

 

 

「ふ・・・うん?」

「・・・っと、失礼」

「いや、こちらこそ不注意だったが・・・」

 

 

意識して冷然と笑い、踵を返したその時、背後にいた女とぶつかりそうになった。

まぁ、割と良くあることだが・・・今回は、知らないでも無い相手だった。

 

 

「外務尚書殿か・・・」

「これは・・・元帥閣下」

 

 

そこにいたのは、外務尚書・・・テオドシウス・エリザベータ・フォン・グリルパルツァー。

毛先になるほど色素の淡くなる水色の髪に、青銀色の切れ長の瞳。

女にしては身長が高いが、それでも俺の胸のあたりまでの身長。

いつもは「氷の」と名前の前につけて呼ばれることもある王国外務省の長は、普段とは異なり、流石に舞踏会の場に相応しい格好をしている。

ああ、そう言えばこの女も公爵だったか・・・。

 

 

胸元や腕は露出が少ないが、背中は大きく腰まで開いている青のイブニングドレス。

マーメイドラインのスラッとしたそのドレスは、腰の位置が高い彼女には良くに合っていて、襟元から足先に向かうにつれて色合いが濃くなるデザインになっている。

それと、瞳の色に合わせた宝石の髪飾りと揃いの腕輪、ネックレス。

 

 

「これは、珍しい相手に会ったな」

「こう言う場は、外交の場でもあるので・・・」

「なるほど・・・随分とお連れの方が多いようだが」

 

 

俺が彼女の後ろに視線を向けて言うと、外務尚書殿は弱り切ったような表情を浮かべた。

不機嫌そうな鉄面皮でいることが多いと聞くが、このような表情も浮かべるのか。

とは言え実際、どう見てもこの女狙いの若い男が何人も、ダンスに誘うタイミングを虎視眈々と狙っている・・・と言うのは、男から見ても苦笑せざるを得ないが。

美貌か地位か爵位か財産か、何を狙ってのことか知らんが、物好きな奴もいた物だ。

おそらくは、俺のこともさっさと消えて欲しいと思っているのだろう。

 

 

まぁ、なら俺としてはその期待に応えるべきかな?

などと考えていると、不意に目の前の女がニヤリと笑った。

 

 

「元帥閣下も、なかなか随員が多いようで」

「・・・む」

 

 

指摘されて顔だけ動かして後ろを見てみれば、先程までは数人だった女が10人以上に増えていた。

目の前の女との会話が終わるのを、今か今かと待っているようだった。

・・・俺としたことが、少々敵の戦力を見誤っていたらしい。

ここが戦場なら、俺は死んでいるな。

 

 

溜息を吐きたい気持ちを堪えつつ前を向くと、外務尚書殿と目が合った。

・・・どうやら、利害は一致しているようだった。

共犯者めいた笑みを浮かべ合った後、お互いに大仰なアクションで礼をする。

 

 

「一曲、踊って頂けませんか?」

「ええ、喜んで」

 

 

右手を取って軽く口付けた後、彼女をエスコートする。

俺目当ての女も彼女目当ての男も、ペアを組まれてはどうすることもできまい・・・。

 

 

「外務尚書殿、ダンスの心得は?」

「貴族令嬢として最低限度は・・・それと、ダンスのパートナーを肩書きで呼ぶのはどうかな?」

「ふむ、それは確かに・・・何と呼ぼうかな?」

「エリザと、親しい相手は皆、そう呼ぶ」

「では、私もファーストネームで呼んでもらおう」

 

 

事務的と言うには、いささか情緒的な会話を交わしつつ。

とりあえず、ますは一曲。

 

 

 

 

 

Side クルト

 

「では、お願いしますね」

「はっ、お任せください」

「では、お先に・・・」

 

 

舞踏会も順調に進み、半ばが終わったかと言う頃になって、私はコリングウッド元帥とレミーナ元帥の2人を舞踏会の会場から送り出しました。

艦隊司令官であるお2人には、明日の朝に行われる国際観艦式の準備をしてもらわねばなりませんからね。

 

 

ああ、国際観艦式と言うのはですね、一種の軍事パレードのような物ですよ。

世界中の艦艇が集まっていますからね、一つ派手目にやろうとのことで。

 

 

「あ、宰相閣下!」

「はいはい、宰相閣下はこちらですよ」

「おお、これはこれは宰相閣下・・・」

「ははは、これはどうも」

 

 

いやはや、流石にホスト国の宰相ともなると、何人もの人に声をかけられますね。

先程、セラス総長と一曲躍らせて頂いたのですが、その間もいろいろと深いお話を。

・・・なお、男女の話ではありませんよ。

クルト×セラスは成立しませんのでね、勘違いしないように。

私はアリカ様とアリア様一筋・・・いえ、二筋ですから!

 

 

「・・・お疲れですか?」

「はは、いえいえ・・・っと、シャークティー先生に、瀬流彦先生ではありませんか」

「ご無沙汰してます・・・はは、でも先生はやめてくださいよ」

「お久しぶりです。相変わらずのご活躍ぶり、聞き及んでおります」

「いやいや、お二方も・・・その辣腕ぶりは魔法世界にも届いておりますよ」

 

 

お互いに心にも無い・・・とは言い過ぎですが、世辞のような褒め言葉を交わし合った後、藍色のドレスに身を包んだシャークティー先生さんと燕尾服姿の瀬流彦先生としばし歓談します。

いや、テオドラ陛下や近衛詠春のようなトップとばかり話していれば良いと言う物ではありませんしね。

なるべく、色々な立場の相手とコネクションを持っておくに越したことはありませんから。

 

 

「それにしても・・・何と言うか、年月を感じますわね」

「と、言うと?」

「いえ、こう言うと失礼かもしれませんが・・・かつての同僚、それも一回り以上年下の同僚が、素敵な殿方を結婚する場面に居合わせると言うのは・・・不思議な気分ですね」

「うーん、そうですね、先を越されちゃったなぁ」

「シャークティー先生には、結婚式の運営まで手伝って頂いて・・・」

「いえ、これもシスターとしての務めですから・・・一番近くで祝福する機会を与えてくださり、むしろ感謝しているのです」

 

 

・・・アリア様のことを言っているのであろう言葉に、瀬流彦先生が頷きます。

内心、私も同意します。

実際、私がアリア様と直接お会いして、5年以上の歳月が経っています。

最初の頃は、アリカ様の娘である以外は単なる小娘でしたがねぇ・・・。

 

 

・・・アリカ様のように、映画にでもしますかね。

ハンカチが手放せない感動物語が作れるような気がしますよ。

 

 

「・・・おや、貴女はアーウェルンクスの・・・」

「・・・」

 

 

瀬流彦先生達と別れた後、舞踏会の会場の隅で白髪の少女を見つけました。

まぁ、アリア様が招待状を渡していたので不思議ではありませんが。

シンプルなペールグリーンのドレスを着たアーウェルンクスの少女は、褐色の肌の大男と一緒におりました・・・ふむ?

 

 

「はは、付添人の件はご苦労様でした」

「・・・(ふるふる)」

「まぁ、女王陛下の意思でもありますし、どうか楽しんでいってくださいね」

「・・・(こくこく)」

 

 

ははは、では・・・と爽やかに手を振り、私はその場を後にしようと―――――。

 

 

「・・・するわけが無いでしょう」

 

 

ガシッ、と褐色の肌の男の肩を掴みます。

仮面とローブが無ければバレないとでも思っていたんですかね。

 

 

「何と言いましたか、確かデュナミスさんでしたか?」

「な、何のことやら、私は通りすがりの悪の大幹部で・・・」

「悪の大幹部が通りすがるなんて話、聞いたことがありませんよ」

 

 

いや、まぁ、別に今さらどうこうって話でも無いのですけどね。

しかし、放置もできないと言うか・・・何で来たんでしょうこの人。

そのまま彼を連行しようとしたその時、非常にか細い力で私は袖を引っ張られました。

 

 

アーウェルンクスの少女が、無表情に私のことを見上げていました。

・・・何ですか、上目遣いで私にお願いできるのはアリア様だけですよ。

ちなみに、見下して命令ができるのはアリカ様だけです。

 

 

「まだ・・・」

「はい?」

「・・・まだ、踊って無い・・・」

 

 

踊った後なら、良いのでしょうかね・・・?

 

 

 

 

 

Side フェイト

 

こう言う場では、基本的には一つのペアはせいぜい2曲まで、と言うのがルールだ。

とは言え、結婚式の当日に花嫁をダンスに誘うような人間はいない。

だから別に、僕がずっと傍に張り付いていたせいでは無かったと思うんだ。

 

 

「・・・3時間に及ぶ舞踏会の間中、ひたすら踊り続けた私にかける言葉がそれですか」

 

 

舞踏会の会場の隅の椅子に腰かけながら、アリアは恨みがましそうな視線で僕を見上げていた。

僕は特に疲労は覚えないけれど、アリアは疲れてしまったらしい。

ちなみに踊る気が無い場合、女性は「疲れていますので」と断るのが礼儀だ。

今のアリアを見れば、誘う前から疲れていることがわかるだろう。

 

 

「すまない、今は反省している」

「疲れたって言ったのに・・・」

「舞踏会の招待客を歓談している間は、踊っていなかったと思うけど?」

「それ以外は踊り通しだったじゃないですか・・・」

 

 

新婦である前に女王だから、王国の著名人や帝国の重鎮などと歓談することもある。

そう言う場面ではもちろん、踊りは休憩だ。

・・・そうか、休めていなかったのか。

 

 

「・・・すまない、どうやら調子に乗りすぎたようだね」

「今さら気付いたんですか・・・」

「どうやら、そうらしい」

 

 

休むと言っても人目があるから、ゴロゴロできるわけじゃない。

舞踏会も残す所あとわずか、これが終われば今日の予定は終わりだ。

後は・・・。

 

 

「・・・もう、舞踏会も終わりだね」

「そうですね・・・」

「・・・」

「・・・」

 

 

特に意味は無いけど、僕とアリアの間に沈黙が落ちた。

何も話すことが無いと言うよりは、何かを話さなくても良い・・・そんな雰囲気だった。

ただ何もせずに、僕達が踊らない曲が流れるのを聞いている。

 

 

アリアはどこか少し、落ち着かない様子だった。

翻って僕はどうかと言うと、無心とは程遠い状態、と言うべきだろうか。

何とも言えない空気が、僕達の間で流れている。

コレが何なのか、言語化できる程に僕は経験豊かでは無かった。

ただ以前、似たような感覚に陥ったことはあるけれど・・・。

 

 

「・・・アリア」

「はい?」

 

 

口元に笑みを浮かべて、アリアが僕を見上げる。

そんなアリアの目の前に、僕は手を差し伸べる。

 

 

最後に一曲(ラストダンス)・・・良いかな?」

「・・・疲れたんですけど」

「・・・」

「・・・・・・もう、しょうが無いですね」

 

 

軽く苦笑して、アリアは僕の手を取ってくれた。

正直な所、断られるとは思っていなかったあたり・・・自分でもどうかと思う。

だけど、どうしてかそう思った。

 

 

アリアの長手袋に包まれた右手を左手で取り、右手をアリアの背中に回す。

その際、剥き出しのアリアの素肌に触れるのだけど・・・これまでは特に思う所は無かった。

過去5年間、こうした舞踏会には何度となく出席してきたし、彼女の肌に触れるのも初めてでは無い。

彼女の手が、僕の首に回される。

 

 

「・・・」

 

 

曲が始まるまでの一瞬の空白の間に、僕はアリアの耳元で一言だけ囁いた。

僕が何を言ったのかは、アリアにしかわからない。

ただアリアは、僕の言葉に頬を染めて・・・花のような笑顔を、見せてくれた。

 

 

 

 

 

Side リカード

 

始まりと同じように、最後の一曲は女王夫妻のために演奏されている。

会場の中央で、しっとりとした曲調に合わせて、アリア女王とフェイト公がゆったりと踊る。

・・・良く体力が持つな、若さか?

 

 

「いやぁ、テンションだろ」

「娘夫婦をそんな風に言っていいのかよ、お前」

「俺らだって、昔はテンションで大概のコトは乗り切ったじゃねぇか」

 

 

酒の入ったグラスを片手に、ナギがそんなことを言う。

隣ではアリカがテオドラと談笑してるし、ラカンはガバガバ酒飲んでやがる。

・・・こうして見ると、俺ら政治に携わる者として何かが間違ってる気がするぜ。

俺の場合、メガロメセンブリアに人がいないってのもあるが。

 

 

「・・・ま、良いんじゃねぇの、こう言うのも」

 

 

ナギは、らしくも無く作り笑いを浮かべてそう言った。

・・・ま、娘の方はともかく、息子の方がな。

時間が解決できると信じてぇが、俺らにはどうにもできねぇ問題だしな。

 

 

・・・ナギが王族に入る際には、スプリングフィールドの家名が問題になった。

これからはオストラ公スプリングフィールド家ってのが正式名になるんだが・・・息子が自分を「スプリングフィールドの息子」って名乗っちまったからな・・・一応、戦犯が。

結論を言えば、公的にはネギのぼーやは「自称ナギの息子」って扱いになった。

少なくとも、公文書にはそう記されることになってる。

ある意味、必要なことだが・・・何ともな。

 

 

「・・・もう少し、飲むか」

「お、勝負すっか?」

「バカ言え、もう一杯だけだっつーの」

 

 

昔みてーに、ガバガバ飲んで泥酔して良い立場じゃねぇんだっての。

・・・自由にやれた昔が、懐かしいぜ。

 

 

「・・・」

 

 

視線をちょいと動かすと、舞踏会の会場の一隅で、ミッチェルの野郎が帝国の駐オスティア大使と話してんのが見えた。

グラス片手に、金髪のヘラス族のワルツ大使と話す。

それだけなら、執政官として何も間違っちゃいねーがな。

 

 

だけどアイツ、やっぱ女王のこと気にしてんだろうなー・・・。

・・・間男になるだけの甲斐性はねぇみてーだが。

だが、告白とかやめろ。

俺はこれ以上、あの眼鏡宰相(クルト)にいびられたくねーんだってーの・・・。

 

 

・・・いや、マジで。

あの野郎、マジで容赦ねーっつーか・・・。

 

 

 

 

 

Side アーニャ

 

・・・つ、疲れたわ・・・。

準備や後片付けをしてくれてる役人や使用人の人達に比べれば楽なんだろうけど、それでも疲れたわ。

花嫁のお世話って、想像してたよりもしんどいのね・・・。

 

 

「あ、アーニャさん、大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫よ・・・」

 

 

エミリーが頬をチロチロと舐めてくれて、精神的に癒される感じ。

ただ・・・。

 

 

「んっ・・・ふゃんっ」

「ヘレン・・・」

「・・・おにぃちゃ・・・っ」

 

 

隣で物凄く妖しい雰囲気をだしてる兄妹は、どうにかならないのかしら?

何をしてるって、ロバートがヘレンの足を揉んでんのよ。

マッサージよマッサージ、ただの。

ロバートも目立ってはいなかったけど、参列してたのよ・・・。

 

 

「・・・ねぇ、隣で妖しいことするのやめてくれない? 精神的にキツいんだけど」

「違う、神聖な儀式(スキンシップ)だ」

「わ、私はいらないって言ったもん・・・っ」

 

 

何故か、ヘレンが子供口調に戻ってるんだけど。

その時、宰相府の廊下の長椅子に座る私達の前に、シオンがやってきた。

 

 

「そうよロバート、そう言うのはこんな場所でする物では無いわ・・・」

「何だと!?」

「ああ、やっと常識的な」

「寝室でやりなさい!」

「・・・儚い夢だったわ」

 

 

普段は突っ込み役なシオンは、ヘレンが絡むと急激に頭が弱くなる。

・・・何なのかしら、この2人。

ロバートはロバートで、「そうだったのか!」みたいな顔してるし。

 

 

「それじゃあ、ミス・ココロウァ。また明日ね」

「・・・お休み」

 

 

そしてそのまま3人でどこかへ消えるんだから、どうしようも無いわね。

・・・流石の私も疲れちゃったから、これ以上は突っ込まないわよ。

 

 

   クルル~

 

 

・・・別に小動物が鳴いたわけじゃなくて、私のお腹の音よ。

お腹すいた~・・・夕食も軽めの物で済ませちゃったのよねぇ。

 

 

「ふん・・・今のキミなら、簡単に屈服させられそうだね」

 

 

周りの空気が、熱を持ったような気がした。

椅子に座りこんだまま、気だるげに視線を向けると・・・そこには、想像通りの相手。

 

 

「・・・何だ、アルトか」

「・・・言っておくが、僕はそんな略称を認めたことは一度も無いよ」

「じゃあ、名前を変えなさいよ」

「くだらないね、名前なんて」

「じゃあ、アルトでも良いじゃない」

「・・・・・・ちっ」

 

 

不機嫌ねぇ・・・まぁ、ご機嫌な所を見たことが無いけどさ。

アルトはしばらく立ったまま私を見下ろしてたんだけど、私は疲れきってるから、特に何も言わずにいた。

・・・しばらくして、聞き慣れた舌打ちの音。

フェイトと違って、アルトはこう言う所が粗雑よね。

 

 

そんなことを考えていると、私の前にアルトが何かを差し出してきた。

それは、お皿だった。

お皿の上に、サンドイッチがいくつか・・・。

 

 

「え・・・」

「・・・いらないのか」

「う、ううん、ありがとう・・・」

「・・・ちっ」

 

 

受け取って、お皿を覆ってたラップを取って、サンドイッチを口に含む。

・・・美味しかった。

ただ、ちょっと形が雑だけど。

私の隣に、アルトが乱雑な動作で座る。

 

 

「・・・これ、アンタが?」

「勘違いするなよ、キミのためじゃない。ただキミを屈服させるのに、キミが弱っている時を狙うのが嫌なだけだ」

「・・・意地っ張り」

「・・・飲め」

 

 

ゴトッ、と私の横にボトルを置くアルト。

飲み物まで、用意してくれていたらしい。

・・・雑だけど、良い所、あるのよね。

わかりにくいけど・・・。

 

 

「良いか、それを食べたら僕に付き合ってもらうからな」

「・・・こんな時間に?」

「問題があるのか?」

「・・・・・・無いけど」

「なら良い」

 

 

・・・横目にアルトを窺うけど、特に何も考えていないっぽい。

こんな時間に女の子に「付き合え」って・・・意味、わかってんのかしらね。

まぁ、そう言うのを・・・って!

 

 

「これ、お酒じゃない!」

「何か問題があるのか?」

「問題も何も未成年・・・はっ、まさか私を酔わせて・・・!?」

「・・・何を考えているのかは知らないけど、キミを酔わせてどうこうするつもりは無い」

 

 

どこか苛立たしそうに、アルトが言った。

 

 

「大体、キミごときがどうなろうと、知ったことじゃない」

「・・・ごとき?」

 

 

何故か、その一言はカチンと来たわ。

椅子の隅で丸まってたエミリーがビクビクしてるけど、それも今は良い。

私は今、こう、カチンと来たのよ。

ガンッ、とお酒のボトルの底を椅子に叩きつけて・・・。

 

 

ぐいっ、とアルトの胸倉を掴む。

鼻の先が触れ合うくらいの距離まで、私達は顔を近付ける。

そして・・・。

 

 

「・・・何だ」

「・・・本当に、私がどんな状態になっても・・・どうもしないのね?」

「・・・わかりきっているコトを聞くな」

「・・・っ、なら・・・」

 

 

相も変わらず不機嫌そうなアルトに。

 

 

「なら・・・試してみる・・・?」

 

 

私は、精一杯の虚勢を張った。

 

 

 

 

 

Side 千草

 

「・・・眠っとる時は、ホンマに大人しいんやけどなぁ」

「疲れたのだろう、朝から動き通しだったのだからな」

「せやね・・・」

 

 

午前0時30分頃、うちらは家に帰りついたえ。

と言っても、小太郎も月詠も疲れきって寝とったから、家の中に運ぶ時はうちが月詠を、カゲタロウはんが小太郎を背負って入った。

小太郎が起きとったら、さぞや騒いだやろなぁ。

 

 

うちが月詠を着替えさせて、布団に寝かしつけとる間に、小太郎の世話はカゲタロウはんがやってもうた。

ふふ・・・何や、父親みたいやなぁ。

 

 

「・・・ふぅ」

「疲れたか、千草殿?」

「大丈夫や、ああ言う場は慣れ取るから」

 

 

小太郎も月詠も体力はうちよりもあるけど、ああ言う場で使う体力と戦闘で使う体力は違う。

せやから、うちよりも先にあの子らがダウンした。

・・・まぁ、うちも疲れてへんわけやないけどな。

 

 

「それにしても、綺麗な式やったなぁ」

 

 

パタンッ、と月詠の寝室の襖を閉じながら、今日の結婚式を思い出す。

うちはやっぱり、和風がええけど。

でも、今日の式は新郎新婦がイチャついとる分、余計に素敵に見えたわ。

 

 

「ふむ・・・千草殿も、結婚に憧れたりするのか?」

「何や、年甲斐も無く・・・なんて、笑わんといてや?」

「そんなことは・・・」

 

 

居間に通じる廊下を歩きながら、そんな会話を交わす。

結婚・・・結婚なぁ。

憧れんでも無いけどなぁ・・・うちにはあの子らがおるしなぁ。

 

 

・・・不意に、それまでうちの後ろをついてきとったカゲタロウはんの足音が、途絶えた。

どないかしたんか思うて振り向くと、カゲタロウはんはじっとうちを見とった。

仮面をつけてへん、素顔のままで・・・。

 

 

「な、何や、どないかしたん?」

 

 

軽くおどけて見せても、いつものみたいな返事は返ってきぃひんかった。

むしろ、いつもよりも・・・何と言うか。

カゲタロウはんが2歩進んで、うちの目の前に立った。

そしてうちの前に、黒くて細長い小箱を差し出してくる。

 

 

「コレは・・・?」

「・・・」

 

 

・・・聞いても答えてくれへんから、仕方無く受け取って、自分で開けてみることにした。

そこには・・・小さなピンクオパールと真珠で5つの桜をあしらった、飾り簪が入っとった。

所々に金と白金も使っとって、見ただけで高いモンやとわかる。

思わず、うちはカゲタロウはんを見た。

 

 

こんな高そうな物、受け取れへん。

そう言おうとした時、簪を持つうちの両手を、カゲタロウはんの両手が覆った。

 

 

「・・・カゲタロウはん・・・?」

「・・・千草殿」

 

 

ぐ・・・と掴まれた手が、妙に熱を持っとる気がした。

仮面で遮られることの無い視線が、うちに向けられとる。

 

 

「千草殿、私と・・・」

「・・・」

「・・・私と、結婚して貰えないだろうか・・・?」

 

 

・・・カゲタロウはんのその言葉に。

うちは、一瞬だけ大きく息を吸って・・・。

ゆっくりと、時間をかけて息を吐いた。

 

 

それから、軽く俯いて・・・。

・・・顔を、上げた。

 

 

 

 

 

Side アリア

 

「疲れました・・・」

 

 

舞踏会が終わった後、お客様方をお見送りして、ようやく今日のスケジュールが終わりました。

明日には明日のスケジュールがありますが、それはそれとしておきましょう。

アーニャさん達にも明日、改めてお礼を言わないと・・・。

 

 

それにしても、本当に疲れました。

朝から緊張のしっぱなしでしたし、柄にも無くはしゃぎましたしね。

今日はもう、ゆっくりと休みたい気分です・・・。

 

 

「アリア」

 

 

・・・が。

 

 

「また、後で」

「あ・・・・・・あー・・・はい」

 

 

たったそれだけの短いやり取りの後、フェイトと別れます。

何故か、返事がしにくかったです。

いえ、何故も何も・・・今日からはその、同じ部屋で・・・。

 

 

「ケケケ・・・」

 

 

私の傍に立っている茶々丸さんの頭の上で、チャチャゼロさんが何故か妖しげな笑い声を上げました。

・・・かと思えば、地面に降りてどこかへ消えました。

 

 

「姉さん、ジャスミンは一滴だけで十分香りますので」

「マカセトキナ」

「何の話をしているのでしょうか・・・?」

「では我は、大聖歓喜天の自在法でも仕込んでくるかのぅ」

「晴明さんは、さらに何をしているのでしょうか・・・?」

 

 

どこからともなく現れた晴明さんが、何やら妖しい呪符を手に極めて意味不明なことを言っております。

と言うか何でジャスミン・・・?

・・・それ以前に、前にも似たようなことがあったような。

 

 

とりあえず宰相府の廊下の隅で「余計なことしないでください!」と必死に・・・それはもう必死に頼み込んだ所、しぶしぶながら了解してくれました。

 

 

「・・・まぁ、風呂に入っている間に」

「ダナ・・・」

 

 

・・・しぶしぶながら、了解してくれたんです!

 

 

「アリアさん、湯殿の準備が整いました」

「あ、はい、わかりました」

 

 

寝室に行く前に、お風呂に向かいます。

舞踏会でたくさん汗をかいてしまいましたので、お風呂に入りたいです。

ドレスも脱ぎたいですし・・・。

 

 

「・・・本日は、私もご一緒致しますので」

「え・・・どうしてですか?」

「どうしてもです」

 

 

・・・まぁ、本日はって言うか、いつも一緒してますけどね。

ですから、今さら改めて宣言されるまでも無いと言うか。

でも今日の茶々丸さん、何と言うかこう、いつになく気合いが入っていると言うか。

 

 

「・・・今夜は、大事な日ですから。私がお世話致します」

「・・・はぁ」

「お任せください」

 

 

・・・私よりも、物凄く力が入っていますね。

それが何のためかは、まぁ・・・置いておくにしても。

これも私のことを想ってのこと・・・だと、思うので。

 

 

「じゃあ・・・お願い、します」

「お任せください」

 

 

・・・実際。

自分一人だと、いつまでも出て来れないかもしれないから。

だって・・・。

 

 

だって、今夜は。

・・・最初の、夜だから。

 




フェイト:
・・・ああ、僕かい。
今話は、舞踏会で話が終わってしまったからね。
まぁ、特に語るべきことも無い・・・かな?

今回は、「千草の桜の飾り簪」が黒鷹様の提案で出ているね。
あと、テオドシウスのドレスはリード様の提案だよ。
大聖歓喜天の自在法:伸様提供。
大鉄十字苺章:絡操人形様提供。
ありがとう。


フェイト:
次回は、急遽新設された「深夜」の部だね。
・・・じゃあ、またね。

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