城の中の吸血姫   作:ノスタルジー

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いやいやほんとにどうしよう。
この次くらいがそろそろ分岐点。

あ、ギャグセンスとかないですよ。
大阪人ですけど。


魔法と少女

 魔法。とりあえず魔法について簡単にだが調べた。この世界に魔法があるということはもはや疑う余地はない。問題は使えるか。それは、まだ試していない。これで使えなければ肩すかしもいいところだ。そうなら恨む。と現在信じる信じないの中間点に存在する神に頭の中で言う。魔法から調べた理由は簡単。興味。それだけ。どうせ全て調べるなら一緒ではないか。なら最初は魔法がいい。というだけでしかない。だが魔法は、興味深かった。

 

 魔法世界、というのがあるらしい。魔法世界。つまりこの世界には旧世界と魔法世界の少なくとも二つの世界があるということだろう。ここがどちらかというのは現状では謎。ふと片方が旧世界ならもう片方は新世界ではないのかと思ったが、そんなものどちらでもいいか。どちらでも変わらない。そう。ここで重要なのは、自分が魔法を使えるのかという一点に、尽きるのだから。

 

 検索をかけてみた。魔法、初級。教科書のような本を捜索。巨大な書庫をわたり歩き、目当てのものをピックアップする。馬鹿みたいな大きさと量があるんだから転送魔法くらい実装しろ球。文句を言いながらも数分歩き、数冊の本を手に。『魔法大全~初級編~』『初級魔法』『初めての魔法 初級1』『初めての魔法 初級2』『子どものための初級魔法』。『初級攻撃魔法』。こんなところか。まだほかにもあったが、何も知識がない今は必要なさそうだった。魔法と検索した時は書庫がまぶしいくらいに光ったのだが。初級は少しピンポイントだったかとは思ったが他にいい言葉が思いつかなかった。仕方ない。

 集めた本から少し薄めの本を手に取る。『子どものための初級魔法』。最初の二つは分厚すぎる。専門書か。『初めての魔法』は2冊。読むのが面倒。初めは攻撃魔法でないほうがいい。早く魔法を使いたいのだ。これでいい。と言い聞かせ『子どものための初級魔法』を、開く。

 

 魔法を使うために必要なのは「魔力」と「術式」、それと「呪文」。あと初めに「始動キー」というものを考えるのが普通らしい。「始動キー」。「始動キー」という言葉は聞いた覚えがあるようなという程度だった。だが一番最初に書かれていた呪文。プラクテ・ビギ・ナル“火よ灯れ”。これは何となく覚えている。「ネギま」。旧世界。そして魔法世界。正直二つの世界の名前を見てから怪しんでいたが。

「ネギま」。そう「ネギま」だ。マンガは全部読んだはずだ。だが困ったことにネギまの話はそんなに覚えていない。

 2000年くらいに主人公ネギ、十歳くらい、が麻帆良学園に教師として行く。

 その600年前にエヴァンジェリンなんとかという金髪の少女が吸血鬼に。

 原作開始後は京都で鬼が出て、その後は時間操作能力者と戦う学園祭。

 その後は魔法世界に行って、戦って、ハッピーエンド。

 かなり大まかには覚えている。あとは主要登場人物数人の名前と顔、用語、イベントを数個。

 ふむ。こんなところか。まぁ深く記憶を探るのは後にして確認。この世界は「ネギま」の世界。そしてこの身は「ネギま」の世界の人物であり、自分はそれに転生だか憑依だかをした。何故か。

 

 現状認識。これからどうするかが少し考えやすくなったと言えるのか。微妙なところ。ここが100%「ネギま」の世界なのかはわからないし、自分の存在が原作に与える影響もわからない。そもそもそんなに覚えていないが。まぁいい。どうせ後で今の時代を調べないといけないのだ。今がいつかによって時間的猶予が変わる。まさか始まっているということはあるまい。あの地図もあったのだし。なら今は、目先の興味を。

 

 少し緊張する。本を地べたに置き、手を止める。杖がない。魔法には基本的に魔法発動体というものがいりますよとついさっき優しく教えてもらったのに。忘れていた。例外は例えば精霊に近い種族。彼らは魔法の運用に魔法発動体は不必要らしい。もちろん人間には必要だ。しっかりと確認などしていないがこの体は人間だろう。手も足も胴も人間と何も変わらない。前と比べて細く小さいが。どう見ても人間。これで顔が悪魔だったら驚きだ。いや自分を驚かせたら大したもんだ。最初の冷静さを見てみればいい。と自分でもよくわからない考えが浮かぶ。消す。さすがに混乱しているようだ。どうするか。探すか。ほかのことを先に調べるか。考える。しかしさっきまで完全にこの頭の中は魔法一色だったのだ。ならば、初志貫徹。

 

 今。魔法を使うのが目標。ならアイテムが必要。だが無い。なら探すか。この城をか。それは面倒だ。いつかは城を一回りするだろうがそれは今ではない。自分のなかでは。とりあえず一回唱えてみるか。淡い期待。別にこの身が人間でなくても構わない。人型なのだ。何か問題があったら変化の魔術でも覚えればいいではないか。使えるかしらんが。そうだ。やってみろ。人間だったら発動しないだけだ。城が吹き飛ぶわけではなかろう。よし。気合を入れて。手を斜め前に。人差し指を立てる。

「プラクテ・ビギ・ナル“火よ灯れ”」

 フランベか。冷静だ。頭より上に指を掲げていてよかった。しかし思ったより激しい火だった。いや何も起こらないという予想が本命だったのだが。対抗馬が勝利した。いや大穴か。

 

 魔法だ。魔法。己は魔法使いだ。口にすればこんなに頭が悪そうな言葉はない。しかし今ではそれは真実。魔法を使える人間は魔法使いだろう。必要十分だ。あぁ。人間ではないか。この身は。しかしそうすると何だ。人間のような見た目の種族。獣人か。尻尾も髪の毛以外の毛もないが。エルフか。そんな種族「ネギま」にいたか。まさか本当に悪魔か。どんな顔だ。悪魔とは。こんなに大きな書庫を持っているのだ。ダンダリアンだか何とかいう悪魔か。これも「ネギま」にいるのかは知らんが。吸血鬼か。「ネギま」に存在するし、可能性は高いか。

 しかし種族の判別などどうすればいいのか、わからない。とりあえず耳を触る。普通。猫耳でもなければ尖ってもいない。なら悪魔か吸血鬼なのか。いいのかそれは。自分はいいが。世間的に。世間は今のところ無いが。認識上は。悪魔か吸血鬼か、そのどちらでもないのか。どうするか。考える。吸血鬼か判断するには外に出てみるか。灰になってみる。自殺。いや「ネギま」では灰にならないのだったか。そもそも玉座の間で光に当たっていたな。そういえば。吸血鬼かどうかは保留。同じく悪魔もどうやって判断すればいいか。不明。ならせっかく書庫にいるのだ。何か本で調べてみるか。

 

 しかし何と検索すればいいか。まさかこの身の種族はと検索して答えが出てくるとは思えない。いやでもさっきも予想を裏切られたな。なら今回も。ありえるのか。うん。よし。タッチ。

「検索。この身の種族。」

 無音。まぁ予想通りか。そんなひと、いや、一体の生物に関する本などそうそうない。有ったら自伝とかか。この少女に。そんな馬鹿な。無い。予想通り。では次は可能性の高そうな吸血鬼にするとしようか。

 触れる。

「検索。吸血鬼。」

 有音。そんな言葉あるのか知らんが。本が光る。あまり明るくない。楽でいいかと喜び、本を取って回る。その内の一冊。『吸血鬼について』。シンプルなタイトル。わかりやすくていい。中を見る。じっくり読む。なるほど。

 

 この身は吸血鬼か。

 

 




目が痛し。起きて昼食べて一話書いて。休んで二話書いて。

明日は昼は遊ぶんだからね。昼は書かないんだからね。

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