青と赤の神造世界   作:綾宮琴葉

67 / 85
第61話 学園祭(1日目) ちうさまナイトフィーバー

 そう言えば、最後にちうのホームページの更新をしたのはいつだったかな。巡回は忘れてねぇけど更新はやめますって言ったのはシルヴィア達に出会ってから一年くらいか? 少なくとも中学入る前には止めたな。身体もダイオラマ球で修行した結果、身長も中高生に近い感じまで伸びたから、小学生高学年つっても、かなり怪しくなってたんだよな。

 

「ん~。……こんなもんか」

 

 真面目にメイク道具持ち出して、しっかり鏡見てコスやるのもホント久しぶりだ。まぁ、神楽坂のコスプレしたような気もするけどな。アレはノーカウントだ。なんか、このまま捨てちまうのが勿体無くなって来たな。写真……とるか? けどなぁ、今後成長しないんだしバレバレになってもなぁ。

 とりあえずこれで終わりっと。最後に、黒いつば広のゴシロリ帽子をかぶって完成だな。

 

「オッケー! 今日もちうは綺麗だぴょーん♪」

 

 …………なんてな。ちょっくらその気になっちまった。これを本気でやってた日もあったな。まさかこんなに懐かしく思う時が来るなんて思わなかったよ。スカートの端つまんで、一回りしてポーズなんて付けたりしてな。

 

「オヤ、ちうたん絶好調じゃないカ? それでこそ優勝候補ネ♪」

「は……?」

 

 目元にピースサインを当てた所で、”何か”が視界に入って絶句した。

 

「…………超!? いつから見てた!?」

「それは千雨さんの名誉の為に、聞かない方が良いと思うヨ」

 

 まさか最初からか!? やっべぇ死にてぇ。つーか、こいつどこから入った。

 

「鍵かけてたよな? お前どこから来た」

「まさかそんな言葉が出てくるとはネ! この超天才科学者に不可能は無いヨ!?」

 

 そんな事誇らしげに言うんじゃねぇよ。偉そうにしてもただの覗きじゃねぇか。誤魔化す気満々だな。脅したところで何も言いそうにねぇし、真面目に聞くだけ無駄か。

 

「で? 何の用だ」

「意外と打たれ強くなたネ♪ それはともかく予定が変わて、龍宮神社でやる事になたヨ。そのお知らせネ。早目に入ると目立たなくて良いかもしれないヨ」

「何でだ? わざわざそんな事を知らせに来たのか?」

「いけなかたカ? ついでにこれも渡しておくヨ」

 

 いや変更になったって言うなら、知らせに来てくれたのは、歩き回らなくてありがたいんだが。妙にサービス良いな。てかチケット?

 何のチケットだよ、『まほら武道会入場券・アリーナ席』?

 

「なんだこれ?」

「シルヴィアさん達に渡すと良いネ」

「ふーん。気前が良いな? 何か企んでるのか?」

「純粋に楽しんで欲しいだけだヨ♪ シルヴィアさんにも楽しみにしていて欲しいと伝えたネ。それじゃまた会場で会おうカ」

 

 何か、妙に笑顔が気になるな。何だったんだ。怪しくしてるから疑ってくれって言ってるように見えるぞ。まぁ、貰ったものはしょうがないし、とりあえず念話してみっか。

 

(シルヴィア。聞こえるか?)

(千雨ちゃん? どうかしたの?)

(いま超のヤツに会って、武道会の入場チケット貰ったんだけどよ、どこに居るんだ?)

(カフェのテラス席だよ。夕映ちゃんも居るけどチケット二枚あるかな?)

(あぁ、数枚ある。綾瀬のヤツも見に来るのか?)

(ちょっとね。侵入者らしい老紳士に出会って、目を付けられた可能性があるの。だから今日は一緒に居た方が良いって伝えたんだ)

 

 侵入者って、まさか分かれたあの後か? ネギ先生はあんなだったし、初日から波乱ばかりだな。シルヴィアと偶然出会って何とかなったのか? それにしてもよく無事だったな綾瀬のヤツ。

 

(エヴァちゃんの修行のおかげで助かったみたいだよ。取りあえず合流する?)

(待ってくれ、場所が龍宮神社に変更になったらしい。電車移動だし先に行っててくれよ)

(分かったよ。また後でね)

 

 それにしてもおかしくねぇか? 学園結界も無反応で、シルヴィアも麻衣も気付かねぇってどういう事だ? いや、麻衣のヤツはあんなんだし、見逃しててもおかしくねぇか。どうも酔ってるみたいだったから、あまり当てにし過ぎてもマズそうだな。

 でもまぁ、例の悪魔だったなら狙いは先生だろうし。武道会場で会うかもしれねぇな。

 

 

 

「て言うかやたら広いな。それにこの人数はねーだろ。百人以上居るんじゃねぇか?」

「うーん、お金に目がくらんじゃったのかな? でも一般人ばかりだから多分無理だね~」

 

 超のヤツ、無茶しやがって。予選会場は龍宮神社の前。随分と奮発したのか、舞台が九つも並んでやがる。その上M&Aしたせいか、優勝賞金が一千万円になってて、賞金目当てで人数がかなり増えてるぞ。

 

「あの、長谷川さん、ですよね? その服は? 普段とあまりにも違うのでは?」

「綾瀬。とりあえず名前呼ぶな。認識阻害を組み込んだ魔法衣で別人って思わせてる」

「そ、そうですか。一瞬疑問に思ったのはそのせいだったのですね」

 

 まぁバレなけれりゃ何だって良いんだけどよ。これが一番変装しやすかったって言うか、神楽坂の真似もごめんだからな。

 

「そう言えば侵入者は探さなくて良いのか?」

「多分ここに居るんじゃないかな? 狙いがネギくんなら、だけどね」

「またネギ先生なのですか? シルヴィア先生が先程、のどかが隣を歩く危険性を説いていたのは、こういう危険があると言う事なのですね」

 

 どう言う事だ。もしかして宮崎のヤツ、あれからネギ先生に真面目に告り直したって事か? て事は先生まさかOKしたのか? そうするとメインヒロインの座か。神楽坂かと思ってたんだが……。 まさか、三角関係とか発展しねぇよな?

 

「とにかく一千万だぜ兄貴! 高畑先生ぶちのめせー!」

「か、カモ君。そんなに簡単にいかないよ」

「何ゆーてんのや! 強そうなんが集まって来ておもろなって来たやないか!」

 

 気楽だなぁオイ。良いのかそれで。まぁ、取りあえず無視するけどよ。そっちに気遣ってる場合じゃねーからな。構った所で、どうせまた碌でもない事になるんだろ?

 

「そろそろ始まるみたいだね。神社の方がライトアップされてるよ」

「て事はもう開始か……って朝倉? あいつ何してんだ」

「本当ですね。しかもコンパニオンのような格好までして。司会か人寄せでしょうか?」

 

 ふーん、今時ボディコンとか時代が古すぎるぞ朝倉。トータルネックにノースリーブのミニスカワンピか。まぁコンパニオンなんだろうが、この人数の中で一人だけその格好って所はすげーな。

 あとは、超包子の腕章? それに陰陽師とかが使ってる勾玉みたいなのを模した白黒イヤリングか。

 

「何か凝ってるな?」

「やっぱり司会なんじゃないかな?」

「その様ですね。超包子なら、超さんも来るのではないでしょうか?」

 

『ようこそ、復活した『まほら武道会』へ! 突然の変更にも拘らずこれだけの人数が集まってくれた事に感謝します!』

 

 やっぱアイツは司会か。それにしても随分とやる気になってやがるな。周囲の歓声も凄いし、金が掛かってる分勢いが有るって事か? 

 

「だからってなぁ、最初から仕組んでたくせによく言うぜ」

「そうなのですか?」

「うん、大分前から大会を大きくするつもりだったみたいでね。あ、超ちゃん出てきたよ」

 

 ちょうど朝倉の後ろだな、神社の正門のから超が出てくる。超は朝倉みたいな派手な服じゃなくて、生地の質が良い振袖の付いた、ロングスカートの中国風ドレスを着てる。

 

『私が、この大会を復活させた理由は、ただ一つネ。表の世界、裏の世界を問わず、学園最強を見たい。それだけネ♪』

 

 随分もったいぶって話すな。てか裏とか言うんじゃねーよ。一般人居るんだからよ。

 

『二十数年前まで! この大会は裏の者が力を競い合う伝統的大会だたヨ! しかし! 個人用カメラなどの記録機器の普及により、使い手は自粛。大会も形骸化していたネ! だが私は! ここに最盛期の『まほら武道会』を復活させるネ!』

 

 観衆を乗せるのがうまいな。要所で区切りながら必要なところは力を入れて煽ってやがる。どうにもこの大会の実力者に注目を集めたいって感じか。周りもテンション上がりまくってるし、興奮状態になってるヤツもいるな。

 

「超がそう言うって事は、裏の達人がここに居るって事か?」

「うーん。見た感じ3-A関係者が一番裏っぽいんだよねぇ」

「既にそうなっていると思うと、なんだか不思議な感じがするです」

「あんま気にすんなよ。とりあえず知ってる相手ばかりだな。体術だけなら何とかなるか? あ、いや優勝する気はまったく無いんだけどよ。目立ちたくねぇし」

「でもきっと何かあると思うよ? そうじゃないとわざわざここまでする意味が無いからね」

 

『大会では、殺傷力を有する飛び道具、及び刃物は使用禁止! そして! ”呪文詠唱”の禁止! この二点を守ればいかなる技を使用してもOKネ!』

 

「はぁ? 呪文とか言ってんじゃねぇよ、何考えてんだ!」

「確かにそうですね。この場に居る全員を巻き込めば大事になりますし……」

 

 マズイか? 魔法関係者っぽい連中からどよめきが出てるな。今ので確実に超は目を付けられてる。何考えてるんだアイツ。ネギ先生たちもチョット困惑してるって所か。でも何でだ? 格闘大会でそんな事言う意味ねぇぞ?

 

「もしかして、超ちゃんにとってこれが世界と戦うって事なのかな?」

「何だそれ? 超のヤツ何か言ってたのか?」

「うん、ちょっと色々あってね、後でみんなに話すよ」

 

『案ずる事無いヨ。大会中は電子的措置にてジャミングをかけるネ。携帯やカメラ機器での映像記録は不可能だヨ』

 

「そういえばそんな事言ってたな。だったらわざわざ裏とか言う必要ねぇよな?」

「そうだね~。あ、でも茶々丸ちゃんは録画できるって言ったし、やっぱり何かおかしいね。千雨ちゃん、なるべく派手な事はしない方が良いかもしれないよ」

「最初からそのつもりだ。とりあえず行って来るよ」

「うん。私達は全体が見渡せる神社側に居るよ。頑張ってね」

「まぁ、程々にな……」

 

 

 

 予選はくじ引きなのか。二十人中二人残りのバトルロイヤルねぇ。いきなり高畑先生とか当たんねぇよな? 体術だけでやるとか冗談じゃねぇぞ。

 

「あれ? 千雨さん、ですよね?」

「…………なん、ですか。ネギ先生。頼むから話しかけないでください」

「やっぱり! タカミチだけでも大変だって思ってたのに、龍宮隊長や長瀬さんにくー老師まで出てきちゃって! こんなの無理ですよー!」

 

 いや先生、そんな涙目になってももう遅いだろ。しかもこれに参加しなかったら悪魔が来るんだぞ?

裏で来ない様に対策したフロウに、ちょっとは感謝して欲しい所なんだがな?

 そういえば侵入者は来てたんだったか? 結局は先生が居たら同じって事なのか。

 

『そうそう、この大会が形骸化する前の最後の大会の優勝者は、当時フラリと現れた異国の子供。ナギ・スプリングフィールドと名乗る十歳の少年だたヨ♪』

 

「父さんが……?」

 

 ……あぁなるほど、超のヤツは先生に何か期待してるって事か。明らかに先生に目線を送って、意味深な口調でしゃべってやがる。

 先生は……あー、こりゃ明らかに目に火がついてるな。親父さんのたどった道のシナリオってヤツにまんまと乗ってやがる。つーか、何で超のヤツまで先生に執着するんだ? シルヴィアが何か聞いたって言ってたな。後でそれで分かるか。

 

「千雨さん! 僕、頑張ります!」

「え? あ、あぁ、頑張れ」

「はい!」

「おう! 当然やな!」

 

 何だこれ? どこのコメディだよ。しかも失笑ものじゃねぇか。

 

『くじ引きにより二十名が揃った舞台から予選開始です! 定員の百六十名に達するギリギリまで参加をお待ちしています! 強者の皆さん! 奮ってご参加を!』

 

 ふーん。とりあえずくじ引くか。それにしても朝倉は何で超に協力してんだ? 前みたいに好奇心だけで突っ込んだのか? それとも報酬でも貰ってるか? 魔法をばらすのはヤバイって知ってるはずだよな。石化魔法の余波喰らってんだし。

 いくらなんでも回り巻き込んで広めようとか思ってねぇよな。一般人がどれほど魔法に対して抵抗出来ないかって、さすがに分かってんだろ。

 

「さてと……。くじはF組で第五試合会場。ってどれだ?」

「おや、千雨君? で、良いんだよね?」

「た、高畑先生!?」

「同じくF組みたいだね。よろしく頼むよ」

「マジですか……」

 

 いきなり当たってんじゃねーか! まさか三人目はいねぇよな。居たら泣くぞマジで!

 くっそ、もう何かありえねぇぞ今日の不幸レベル。フラグが見えるんだったら、神楽坂のハリセンでブチ折りたくなるな。

 周りは……。一般人っぽいな。私と高畑先生以外は雑魚って考えて良いよな? ダークホースとか居たら泣くぞマジで。二回目とか言うなよ!?

 

「それじゃ始めるよ。フロウさんから聞いてるからね。千雨君は本戦に絶対に残してくれって。この場に第三者が居なくて良かったよ」

「なっ!? 高畑先生、いつの間にそんな事言われてたんですか?」

「そうだね、何日も前の話しだよ。それにしても可愛らしいね。黒が好きなのかい?」

「ハハ……。ありがとうございます。ただ、エヴァに無理やりデザイン変えられたので、好きかって言われると微妙ですけどね。自分で選んでませんから」

「ははは。相変わらず強引なんだね」

 

 他のステージは……。やっぱ一般人っぽいのが多いな、それでもちらほらと武術やってそうなヤツがいるか。古とか長瀬とかは置いといて、各部活動の主将とかも出てるんだろうな。

 

「――がっ!?」

「うっ!」

 

 何だ!? いきなり周囲のやつが倒れたぞ。どこかから攻撃? 落ち着け、このステージは高畑先生以外にまともに相手になるヤツはいないはず……。って、先生か!?

 何してんだコレ。ポケットに拳を入れたまま立ってるだけ? 違うな、気を使ってる。一瞬拳を引き抜いて気を乗せた衝撃波?

 

「それ先生の技ですか? ポケットに手を突っ込んだまま攻撃って、どこの暗殺術ですか?」

「いやいや、そんなんじゃないよ。見せた事なかったかな?」

「ええ。無いですね」

 

 それにしてもよくコレで狙いが付けられるな。狙った様に、顎とか足元を打ち抜いてる。さすがの戦闘経験と、前線のエキスパートって所か。

 

「ところで千雨君。ネギ君は君から見てどう見えるかな?」

「え、私からですか? ネギ先生の事、気にかけてるんですね」

「それは勿論だよ。僕の憧れの人の息子だし、結構楽しみだったりするんだ。ははは、年甲斐もないこと言っちゃったかな」

「いえ、そんな事はないです」

 

 ふーん。高畑先生って、意外とバトルマニアだったんだな。たしかネギ先生の親父さんと同じ団体に居たって言ってたな。

 もしかして父親みたいな気持ちになってんのか? しかし先生がどうかって言われてもなぁ。トラブル体質しか印象にねーし。良い所か……どこか有ったか? まぁ、根性はあるよな。粘り強えぇし。頭も良いし飲み込みも良いんだっけか。けどなぁ、周りに何かしら騒動を呼び込む体質が、結構台無しにしてるよなぁ。

 あぁでも、夕方のアレは凄かったな。……マテよ、それって素の先生ダメダメって事じゃねぇか。頭使わないでカンとかで動いた方が良いって、色んな意味でダメだぞそれ。なんて言うかな、良い所良い所……。

 

「そうですね。頭も良いし飲み込みも早いんですけど、逆にちょっとカンで動くような、理屈じゃなくて、経験とか直感で動くレベル到達したら、かなり凄いかもしれませんね。実は、ネギ先生は夕方に酔わされてしまって、その時に無意識で流麗な中国拳法を見せたり、今まであまり成功しなかった虚空瞬動を成功させてましたよ。少し理性のタガが外れてる方が強いみたいです」

 

 こんなところか? きっとネギ先生って頭良すぎて、思考で自分の動きを阻害してるタイプだよな。経験積んでカンで動けたら凄い事になりそうなんだが。

 ……なんか、それってある意味あのラカンとか言う人みたいになる気がしてきた。やっぱ先生は真面目にやったほうが良い気がする。

 

「へぇ、それは意外だね。飲める年になったら一緒に飲んでみたいな」

「まだ十歳ですよ? それにしても先生ホント余裕ですね。バトルロイヤルしてると思えませんよ」

「そうかい? でもほら、相手は残ってるよ?」

 

 残ってる? どこをどう見ても満身創痍だらけだぞ。まぁ、必死に抵抗してるヤツも居るみてぇだが時間の問題だな。ってなんだ、こっち来たけどやるつもりか?

 

「く、くそ! 高畑にはかなわねぇが、女子生徒に負けるわけにはいかねぇ!」

「はぁ。悪いがあんたじゃ話しになんねぇよ」

「何だって!」

 

 やべ、露骨に言いすぎたか。ちょっと目が血走ってるな。相手は……両手で構えてボクシングか、ムエタイみたいなタイプか? 悪いけど遅いな。

 右手からの攻撃は、身体の軸をずらして回避。そのまま畳んだ日傘に魔力を纏わして、足に軽く掛けてっと。よし、転んだ。どうすっかな、このまま押さえ付けても良いんだが、ずっと押さえてるのもなぁ。

 

「ぐあ! たまたま引っかかっただけだ!」

「しつけーな。何度でも転ばせてやるよ」

 

 やっぱ簡単に諦めねぇか。金かかってるからか? こういうのが出るからあまり金は出すんじゃねぇよ。てか、何度転ばせても、繰り返し起き上がってくるな。そろそろ体力も無くなって来るだろ?

 

『おーっと、番狂わせかー!? ゴスロリ少女が屈強な男性を手玉にとっているー!』

 

 おい朝倉、わざとらしく目立たせてんじゃねぇよ。そんな解説いらねーから、余所の試合実況してろよ。何か周りの注目が集まってるじゃねぇか!

 はっ、もしかして罠か!? それともまた何か不幸フラグか? いつの間にか高畑先生が倒した集団の中に、一人で立ってる状態になってんじゃんねぇか。

 

『それもそのはず! 知る人ぞ知る、あのネットアイドルちうたんだー!』

 

「「「ちうたぁぁぁぁん!」」」

「「ちうさまーーー!」」

 

 うっせぇぇ! 何だコレ、サクラか!? サクラだよな? じゃなかったらもう泣いて良いよな!? あ、こらそこのカメコ撮ろうとしてんじゃねぇ!

 嘘だろ? てかなんで朝倉は私のHN知ってんだ。まさか、超か? あいつ本当に登録ネームをちうたんにしたのか?

 

 あ、てかカメラ撮られてんのか? 怒った顔ってマズイよな? 撮ってる……のか?

 

「ちうたーん! こっち向いてー!」

「HP更新してくれー!」

 

 ぐはっ!? ガチで住人かよ! こ、ここはニッコリ笑って答えるべきか? いやダメだ、どうしても顔が引きつっちまう。

 

「大人気じゃないか。驚いたよ」

「い、いや、これはその。朝倉が勝手に……」

「ぐあぁぁっ! ちうさまに負けるなら本望! ぐふっ!」

「なんだそりゃぁ!? どこのラスボスだお前!」

 

『決まったぁぁ! F組の勝者はコスプレイヤーちうたんと、デスメガネ高畑先生だー!』

 

「朝倉! お前もか!?」

「ずいぶん仲が良さそうだね」

「い、いや! 仲良く、したくないです……」

 

 本名呼ばれなかっただけマシなのか? まさか今からでも神楽坂の真似した方が良いのか!?

とにかく認識疎外使って逃げるか。……探すんじゃねぇぞ? いや、マジで。探さないでください。




 2013年3月11日(月) 感想で指摘された点を修正しました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。