一瞬、ふわりと身体が浮かぶ心地よさを感じると、銀色の視界が緑豊かな世界樹に切り替わった。
なるほど、これが『リロケート』なんだね。口に出せばそれだけだけど、これは吃驚だね。精霊を介した転移魔法の術式なんかとは違って、本当に魔力だけで強引に移動する感じかな?
これだけ反則的な魔法なら、『リライト』もやっぱり大きな意味があるんだろうね。
「ただいま~。って誰も居ないかな?」
「おう、おかえり」
あれ、フロウくん帰ってたんだ。ここに居るって事は、森は特に何も無かったって事だね。私の方はある意味散々だったけれど……、うん? 訝しげな視線は、コレかな。
「どこから持って来た、その……杖か?」
「これは鍵だよ。フェイトくんに貰ったの。『グランドマスターキー』だって」
「はぁ? 貰った? ちょっと詳しく話せ。何があった」
まぁそうだよね。理解が追いつかないって顔で困っちゃってるし。私が貰ったって言われても、何がどうなってそうなったのかさっぱりだからね。それはそうと説明をしないと。
「……フェイトと栞、それに『造物主』が主人で確定か」
なんか、気難しい顔にさせちゃったね。それに超ちゃんの事もあるし。
「とりあえずだ、フェイト達の事は置いておけ。今すぐ対応できる相手じゃねぇし、奴等がここに居るわけでもねぇ。だがまぁ、問題もある」
「超ちゃんの事?」
「それもある。それよりもあいつ、もしかして主人を裏切る気か? 行動が矛盾しすぎてる」
それは私も思ったんだよね。私が『グレートグランドマスターキー』を必要としてるって告げたのに、それでも『グランドマスターキー』を渡してくれた。私が『造物主』って人と敵対する結果になるのは、話している途中で気付いていたはずだし。
「それでも、戦う事に変わりは無い。やるって決めたんだろ?」
「うん。それはやるよ。でもね、出来る限りフェイトくん達には無事に生きていて欲しい」
「ふむ……。まぁきっちり正面からぶつかって納得させるしかねぇだろ。もう説得でどうにかなる段階は終わったって事は、忘れるなよ?」
それは分かってる。栞ちゃんを連れて来て『リライト』を使わせるなんて強硬手段に出たのは、何かフェイトくんにとって、吹っ切る必要があったからなんだと思う。
だからこそフェイトくんは私を可能性って言ったんだろうし、それをもう確認し終わったって考えるべきだよね。後はもう、お互いのプライドのぶつかり合いになる。ってところかな。
「まぁ大きな収穫はそれと『リライト』だな。魂に干渉する魔法で奴等の持つ『鍵』が無ければ使えないって解ったのはかなりの収穫だ」
「千雨ちゃんとエヴァちゃんにはかなり大きな情報だね」
「あぁ、それとネギ坊主達にとってもな。鍵を出したら要警戒って事だ。あとは超だ。」
超ちゃんの本当の姿はネギくんの子孫。鵬法璽≪エンノモス・アエトスフラーギス≫で、超ちゃんに対する拘束は殆ど無い筈だけれど、あの問答で嘘をつくとは思えない。
それに三日目に何を考えてるのか話してくれるって言っていた事。今夜でも明日でもない三日目。それってやっぱり……。
「どう考えても何かするだろ。まぁ、楽しみではあるけどな」
「た、楽しみにする事はないんじゃないかな?」
「何をやらかしてくれるのかって所は、すげぇ気になってるぜ?」
や、やらかしてくれるって。フロウくんが刺激が欲しいのは分かるんだけど、事と内容次第じゃネギくん達や、学園が何か大変な事になるのかもしれないんだから、程ほどにして欲しかったりするんだけどね。
「とりあえず、世界樹周辺の森は何も無かったぜ」
「そっか。それじゃまたお昼過ぎから回ってみるよ」
「身体、少しだるいんだろ? ゆっくりしてから行けよ。エヴァたちも居るんだ、早々と対応できない事は起きねぇよ」
「え、そうだね。ありがとう、そうするよ」
うん、大丈夫。私は、私達は一人じゃない。皆で支え合って生きてるんだから、こんな時は素直に頼らないとね。
一度ちゃんと休んで、夕方からまた見回りに出ようかな。
「もう、私は帰るからな。疲れた……」
「私も退散するです。あとはのどか達に任せますよ」
「え、ちょっと。長谷川! ゆえ吉も待ちなさいってば!」
はぁ、ハルナにも困ったものです。今日はのどかが勇気を振りしぼって取り付けた、ネギ先生との約束の日ですよ。それをコソコソと後ろから付けて回るなんて、悪趣味にも程があるです。
「ハルナ、今日は退散するのでは?」
「いや~、やっぱ気になるしね♪」
まったく、それでのどかが失敗して、その上覗かれていた事に気付いたどうなってしまうのやら。後からのフォローを考えると頭が痛いのですが、付いて行くわけにもいきません。仕方ありませんが、せめて私は付いて行かずに学園祭を回るですよ。
「――やっ――変だな――」
長谷川さん? 何を呟いているのでしょうか。まさか彼女がのどかの事を心配してくれる、と言うのは考え難いです。神妙な顔付きからして何か不安な事でも? 学園祭で長谷川さん達『管理者』が何か行っていると言う事は聞き及んでいません。
もっともクラスの手伝いと言う事もないでしょうから、至極個人的な事や不測の事態? それでしたらもっと慌てた様子でしょうか。直接、聞いてみるのが良いかも知れません。
「あの、長谷川さん?」
「――綾瀬!? お前まだ居たのか」
「ずっとブツブツと呟いていたのですが、何か問題でも?」
「あ、いや。念話してただけだ」
「念話ですか? ……ともかく、のどか達は行ってしまったので、私も何処かへ行こうと思います」
「そうか。まぁ、気をつけろよ」
「え、えぇ。ありがとうございます」
気をつけろ。ですか。それはつまり何か起きている。いえ、起こりえる可能性がある。そう考えたほうが自然なのかもしれません。何かに警戒、あるいは対応中でしょうか。
しかし困りましたね。のどかはネギ先生と一緒に居るので大丈夫だと思うのですが、あぁ、ハルナものどかを追いかけている以上何とかなるでしょう。神楽坂さんや桜咲さん達とも一緒ですからね。
そうなると、一人で居る事は危険かもしれません。失敗しましたね。何が起きて、何が危険だと言うのか確認しそびれました。これだけの人の山の中です。単純に何かが起きて居たとしても、確認のしようもありません。
最も無難なのは魔法関係者に合流、あるいは『学園関係者』に頼るのが良いのかもしれません。あぁ、いけません。大分主目的から離れてしまいましたね。のどかのせっかくのデートだと言うのに。ともあれ、確実に情報が望める職員室か学園長室にでも向かってみるべきでしょうか。
「でも、頑張るですよのどか。ネギ先生との――あう!?」
「おぉっと?」
しまったです。ついつい考えすぎて前方不注意になっていました。何はともあれまずは謝罪を。相手次第ですが、声の質からしてお年をめいた方。温和な雰囲気の方である事からして、おそらくトラブルになったりはしないでしょう。
「すみません。余所見をしていました」
「いやいやお嬢さん。こちらこそ失礼したね。怪我は無いかい?」
やはり、と言うべきでしょうか。老人と言うには失礼にあたりますね。それでも大分お年をめいた紳士です。外国の方でしょうか、身長も高くがっしりとした体付き。私が押し飛ばされなかっただけ良かったと言うところでしょう。
それにしても、黒い帽子にコートですか。もう、六月半ばを過ぎた頃だというのに……。
「おや、お嬢さんはもしかして魔法使いかね?」
「えっ!?」
なっ、この方は何を突然? 魔法使いの存在は公然ではありません。それも秘匿する部類のもの。それをこう大っぴらに言い出すとは。この方はいったい……? 要警戒でしょうか?
「この学校は面白い所だ。こんなにも仮装した姿。真の己では無い者が溢れている。これでは誰がどんな人間なのかサッパリ分からないと思わないかね? 何を隠そう私も紳士ぶっているが、せっかくなので仮装してみたのだよ。似合うかね? はっはっは」
何が、言いたいのでしょうか。とても回りくどい方です。大仰なしぐさは海外の方の特徴ですが、あえて魔法使いと言い出すあたり、いえ、考えすぎでしょうか。真実今の私は、ハロウィン系の仮装に黒いマント姿です。魔法使いと言われても仮装と言い張れば良いだけの事です。
「はい。そう、ですね。良く似合っていると思うです」
「しかしそのマントの下。黒い杖は本物ではないのかね?」
「――っ!?」
思わず、喉から声が出かけました。慌ててそれを飲み込みます。喉が、渇きますね。この方は鎌を掛けているのではなく、確信して問いかけていたと言うことでしょうか。一体何故? 何が目的で私を?
そうです。何故私の様な、言ってみれば小物に当たる者を? この方が魔法関係者ならばもっと大きな力を持つ方や、重要な位置に居る『学園関係者』へのアプローチが自然と考えられます。
危険と判断するべきでしょうか。マントは都合が良かったですね、腰に備え付けたホルダーに手を当てて、魔法発動体の杖を握っておきましょう。
「これは失敬。私は若者の才能を見るのが趣味でね。ついからかってしまったよ。許してもらえないかな? 勇敢なお嬢さん」
「本当、ですか?」
相手は本当の事を言うとは限らない。そうですよね、エヴァンジェリンさん。
「うーむ、困ったな。警戒させるつもりはなかったのだが。そうだな、あちらの女性でも同席すれば安心かね?」
あちら? 誘導でしょうか。仲間かもしれませんし敵かもしれません。いずれにしろこれ以上、この老紳士と一緒に居るのは危険であるとしか思えません。
「……戦いの歌」
小さく呟いて身体強化の魔法を唱えます。これで常人とはかけ離れた動きが出来るです。このまま一気に逃げるとしましょう。人を隠すには人の中。小柄な私は目視では捕まえ難い。ある程度離れたら魔法を解除して、やはり誰かと合流すべきでしょうね。
「おぉ。これは参った。すっかり警戒されてしまったな」
「……はぁ……はぁ」
もう、大丈夫でしょうか? そろそろ息が辛くなってきたのですが、もう大分離れたと思います。追って来るような魔力の気配もありません。
しかし何だったのでしょうか。もしかして、冷静に考えたら単純に私が知らない『学園関係者』だったのではないでしょうか。これはうかつな事をしたかもしれません。後でネギ先生かシルヴィア先生に確認をして――。
「あっ!?」
しまった、また誰かとぶつかったです。まさか、先ほどの老紳士が先回りして!?
「きゃ、ごめんなさい。って、夕映ちゃん?」
「シルヴィア先生!? はぁ……。良かったです」
良かった。ひとまず魔法関係者と合流できました。これで先ほどの事も確認できます。
「良かったって、どうかしたの夕映ちゃん?」
「実はつい先ほど、見た事が無い老紳士の方に会って、突然魔法使いではないかと尋ねられたのです。危機感を感じて慌てて逃げたのですが、もしかして『学園関係者』だったのでしょうか?」
「え、老紳士?」
シルヴィア先生の悩むような口調に仕草。これは……逃げてきて正解だったかもしれません
「夕映ちゃん。その話し詳しく聞いて良いかな? ちょっとその辺の喫茶店にでも入らない?」
「はいです」
「はい、夕映ちゃん。少し甘めに入れてもらってきたから、落ち着くと思うよ」
「ありがとうございます」
カフェチェーン店ですね。学園では割とポピュラーなので、利用者も多いテラスの席です。ここならば何かが起きたとしても、直ぐに確認も逃走もしやすいと言うところでしょうか。
……ふぅ。一口二口と飲みこんで、やはり甘いものは落ち着きますか。
「大丈夫?」
「はい。ご迷惑おかけしたです。それにしても分かる相手には分かってしまうのですね」
「そうだね。魔力を隠す練習をした方が良いかな? あと一般人の振りの練習だね」
「魔法を学んだら学んだで、今度は一般人の振りを学ぶというのは、何だか理不尽な気がします」
「それは仕方ないね~。どんな人でも通る道だよ」
一般人から外れたら今度は一般人の振りが必要ですか。魔法を秘匿すると言うのもなかなか難しいものなのですね。クーフェさんなども一目で武術かと分かる動作ですし、ネギ先生も漏れ出る魔力が特徴的です。もしかして私も、何か知らずに一般人らしからぬ行動をしているのかもしれませんね。
「もしかして、侵入者かもしれない」
「え、どう言う事です?」
先程の方が侵入者ですか? 『管理者』たるシルヴィア先生が知らないと言う事は、その可能性が高いと言う事でしょうか。それとも、何か心当たりが?
「ちょっとある人からね、学園祭中に外部の魔法関係者が潜入してくる可能性があるって聞いてるんだ。ねぇ夕映ちゃん、今日はこのまま私と居た方が良いかもしれないよ」
「そ、そうだったのですか。必死で逃げてきたのは正解でしたね」
しかし、ある人。ですか。まだまだ私の知らない人が学園内に居ると言う事ですね。
「あれ、夕映さん? シルヴィア先生もこんな所で何してるんですか?」
「あ、ネギ先生。良く眠れた? 超ちゃんが起こしてくれるって言ってたんだけどね」
「ネギ先生!? 貴方は今、のどかとデートしてるはずでは! 何をしてるですか!?」
……えっ? ちょっと待ってください。ネギ先生は超さんのところで寝ていた? あ、いえ。待つです落ち着くのですよ。シルヴィア先生の保健室で、と考えたほうが自然ですが、しかし寝て?
違います、そんな事よりのどかです。なぜ放っておいてあなたがここに居るのですか。
「ちょ、ちょっと待って。ネギくん、のどかちゃん捨ててきたの!?」
捨て、た? 今何と言いましたか? 一瞬頭が理解する事を拒否したですよ。のどかを、ネギ先生は振った、のですか? のどか……。良いでしょう。それなら――。
「ネギ先生、良い度胸です。こうなったらのどかの仇を討つとしましょう。私と戦いなさい! 今度は最初から手加減無しです!」
「ちち、違います! ちゃんとデートしました! その、今ここに居る僕は三回目で!」
「ネギくん。三回もデートしたの?」
「そんなに!? のどかを放って誰としたですか!?」
「ち、違います! その、これのおかげです。超さんに貸してもらったタイムマシンです!」
た、タイムマシンですか? なんという非現実的な。いえ、魔法も十分そうなのですが、ありえるのでしょうか。いくら麻帆良学園が世間よりも数世代先に進んだ科学技術を保有していると言っても限界があります。
確かに超さんや葉加瀬さんの研究は、群を抜いていると思うのですが、それでも……。
「そっか。超ちゃんが言うのなら本当なんだろうね。私もびっくりする話を聞いたばかりだし」
「え、超さんが!? 何を言ったんですか?」
「それは秘密。ちゃんと本人から聞かないとダメだよ?」
「は、はい……」
シルヴィア先生は何か超さんから聞き及んでいるのでしょうか。可能性としては考えられなくもないですね。学園の事全てと言うわけではないでしょうが、ある程度把握している節はあります。
何より超さんと葉加瀬さんの製作した茶々丸さんが居るのですから、ある程度の技術の提供を受けていると考える方が自然なのかもしれません。
それはともかく、のどかの事は私達の早とちりでしたか。いけません、ついついのどかがの必死な様子を思い浮かべたら、熱くなり過ぎてしまいました。きちんと謝らなくては。
「すみませんです、ネギ先生。無闇に疑ってしまって。恥ずかしい限りです」
「私もごめんねネギくん。慌てて変な事言っちゃったよね」
「いいえ。僕も疑われる様な行動をしてしまって、その、すみませんでした」
「ところでネギ先生。一つだけ聞かせてください。のどかとのデートは、上手くいったのですか?」
やはり、これが一番気になりますね。今その最中だと言うのに、すでに終わったネギ先生がここに居るのですから。
「それが、途中でまた大変な事になっちゃって――」
「それはまぁいつもの事です。楽しく回れたですか?」
「は、ハイ。楽しく回れたと、思います」
「そうですか。それだけ聞ければ満足です」
その言葉を聴いて思わず笑みが零れました。本当に、良かったです。
「ところでその、こんな事相談できる人が居なくて。お二人に聞いても良いでしょうか?」
「え、どんな相談? 私に出来る事なら大丈夫だよ?」
「私も大丈夫です。何があったのでしょうか?」
「実はのどかさんに、もう一度『大好きです』って言われて、キスもされちゃったんです」
「「えぇ!?」」
「それで、これからどんな顔をして会えば良いのか。それに、女の人を好きになるって良く分からなくて……。でも、ちゃんと返事しないといけないって思うんです」
「そ、それは……」
の、のどかがですか? あの奥手ののどかが。これはまた、随分と変わってきたのですね。しかし、ここはのどかのためです。勇気を振り絞ったはずです。どちらであってもきちんと答えて貰わないと困るですよ。
「僕……先生と修行の事で精一杯で、他の事までは――」
「ネギ先生。私は、のどかの事を真剣に考えて返事をするべきだと思います。確かに教師と生徒と言う立場もありますが、のどかの気持ちを忘れないで貰いたいのです」
「のどかさんの……。気持ちですか」
「ごめんね夕映ちゃん。私はちょっと違うと思うんだ?」
「え!?」
「そ、それはのどかに、諦めろと言う事ですか?」
シルヴィア先生はのどかとネギ先生の間は反対なのでしょうか?
確かに、生徒と教師では有りますが……。
「違うよ。そう言う事じゃないの。ネギくんはさ、マギステル・マギを目指してるんだよね? それも、人々から尊敬を集めて、口伝で伝わる立派な魔法使いって言われる。でもそれは人助けをしたりするだけじゃない。ナギさんの様に戦争を経験する事もあるかもしれない。悲惨な運命に巻き込む事があるかもしれない。そんな時でもちゃんと守れて、一緒に歩いていける覚悟がお互いにあるのかな?」
「そんな、戦争だなんて!」
「無いとは言い切れないでしょ? 私だってそういう所を見てきたよ?」
「で、でも!」
戦争、ですか? それは一般的な国と国との戦争でしょうか。魔法使いの戦争というものはいまいちピンと来ませんが、ネギ先生とのどかの進む道にそれがあると言う事なのでしょうか。
しかしそれはあまりにも突拍子も無い、机上の空論に聞こえるです。そう考えると、例え話でしょうか。ネギ先生は何があったとしてものどかを守れて、のどかがそれに付いて支える覚悟が出来ていないと?
「きっとね、今はそこまで考えて無いと思う。でも本気なら良いんじゃないかな? だからネギくんは今ここで一人で答えを出すんじゃなくて、のどかちゃんと答えを出さないとね? あと明日菜ちゃんも仮契約者なんだから、ちゃんと話をしないとダメだよ?」
「アスナさんも? そう、ですね。僕がパートナーにってお願いしたんですから、ちゃんと考えないとダメですよね」
「今日明日に決めるほど簡単な事でも無いからね? それはすごく悩む事だと思う。時間が足りない時は、エヴァちゃんの別荘を借りて考え込んだって良いんだよ? だからちゃんと、ネギくん達の答えを出そうね」
そうでした。明日菜さんという強敵も居たのですね。他には……、委員長さんやまき絵さん、もしかしたらクーフェさんや楓さんも怪しいかもしれません。
あれ? もしかしなくてもライバルだらけではないでしょうか。こ、これはまずいです。
「ネギ先生。どうか、ど~~か、のどかの事よろしくお願いするです」
「はい! 頑張って考えてみます!」
ちょっと吹っ切れたですか? 良い傾向ですが、なるべく結論は早くお願いするですよ。ネギ先生とキスをした相手はまだ二人だけなのですし、のどかだって何とかなるはずです。それに好意はあるはず。
後は、のどか自身ですか。シルヴィア先生が言うよう、魔法使いとしてのこの先を見つめないと言う事ですね。今度のどかと話をしてみるとしましょうか。