「よしっ! 気を取り直して制御の練習をしてみよう!」
とりあえずさっきの魔法制御のページだよね。どこだったかな、ぺらぺらと巻くって~……。あったあった、このページだね。えぇっと、なになに?
・魔法制御編
魔法の制御を安定させる為には、呪文詠唱から発動までの明確なイメージと精神力の強化が必要。
魔法を使う対象をはっきりと認識する事。魔法の効果とその結果を強く思い描く事。魔法に込める魔力の流れを洗練して、効率化する事。
「う~ん。具体的なんだけれど、魔力が良く解って無いから、抽象的に聞こえちゃうかな~」
こんな事なら、漫画をもっとちゃんと読んでおくんだったよ……。でもまさか、『ネギま!』の世界に転生するなんて夢にも思わなかったし。いまさら言ってもどうにもならないんだよねぇ。ほんと、人生何があるか分からないなぁ。う~ん、とりあえず魔力に関して、使い方とか何か書いてないかな~? RPGみたいにMPとか見えると解りやすいよねぇ。
本を捲っていると魔力の説明ページを発見! 都合よく出てきて作為的なものを感じるけれど、分からないとどうにもならないよね。まずは読んでみないと……。
・魔力認識、神力認識編
魔力には体内を循環するものと自然界に存在するものがある。体内魔力だけではなく、自然のものを効率良く取り込む事で、大きな魔力を得る事が出来る。
神力とは神族にとって生命の循環を促すものであり、天界と世界と神核を巡る永久機関である。
「……神様無理です。わかりません」
何だか前段階から話がずれてる感じがするな~。 そもそも、体内を循環って言われてもどうやってそれを確認するの? あっ! もしかしてこれが私の『不条理』!? 枷は外してもらったから、もう無いはずだけれど、そのせいにしたくなるくらい意味が分からないよ。うん、とりあえず人のせいにするのはやめておこう……。
でも神力の意味は何となくだけど分かるような気がする。こっちは生きるためのエネルギーって事だよね? 生命の循環って書いてあるし。神力が無くなったらヤバイ感じがするけれど、永久機関って事だから……。えっ!? もしかして私って死なないのっ!? 女神様は寿命の事とか何とも言ってなかったし、これから余裕で西暦2000年まで生きるって事だよね? ……あまり深く考えない事にしよう。
そう言えば、マッチョ神が処罰を受けて消滅って言っていたよね。つまり、悪い事をすると罰が与えられるんじゃなくて抹消されるって事!? うわ、それは怖い。悪い事だけはしない様にしないと。とりあえず私の使命っていうのを考えたら……。世界の滅亡とかにならなければ良いんだよね?
「それじゃ気を取り直して、魔法と言うか魔力を使えるようにしないと! やっぱりイメージかな?」
これからはイメージトレーニングをやってみよう! 魔法自体は制御がダメダメでも使えていたし、ちゃんと加減出来るように頑張ろかなっ!
そんな事をしている内に、あっという間に十年位が経ちました! 多分そのくらいの時間だと思うんだけどね~。カレンダーとか無いから木の枝とか小石で、地面に一月から十二月まで適当に日付を書きました!
最初はそんな事ぜんぜん気にしてなくて、何日かしてから気付いたんだよね。だからこれって実はあんまり正確じゃなかったり。しかもうっかり雨で消えて書き直しになったよ……。それからは一週間、一月毎に木の枝を置いて目安にしました! 後はうるう年とか合ってるか分からないから、その辺はどうしようもないって事で。
魔法制御の練習は、とにかく毎日毎日欠かさずにイメージトレーニングでした! 基本は防御魔法で光楯を使ったり光の障壁を使ったり、ときどき闇属性の防御魔法も使って練習をした。
しっかりと丸い楯の形をイメージをして、どこに出すのか、どれだけ出すのかを頑張りました! とにかく何回も同じ魔法を使ってみて、魔力が流れてる感じを掴むまでが大変だったんだけどね。
その結果、防御魔法だけなら割りと自在に使える様になりました! 頑張ったよ私!
「でも、これだけで天使様~って、崇められたりはしないんだろうなぁ~」
崇められるって分かりやすい奇跡が必要だよね? 何が良いんだろう? 人を守る力も必要だと思うんだけど、やっぱり奇跡の生還! とか、不治の病が治った! とかかなぁ?
今までは防御魔法ばかりで、他の魔法はぜんぜん練習してなかったんだよね。攻撃魔法もやった事はやったけど、家や森を壊しちゃうと大変だし、防御魔法で制御を身に付けるのが優先だったからね。とりあえずある程度は魔力の制御が出来るようになったから、これからはちゃんと確認しておかないと。
そう言えば天使になってからお腹が空かないんだよね。ちょっと悲しいけれど、空腹で倒れないって言うのはありがたいかも。でも口が寂しいから数年前に湧き水は見つけました。どこからか解らないけど、水とお湯が出てくるバスルームよりはおいしいお水でした!
それに今の時代だと、食事事情もあまり良く無いんじゃないかって思うんだよね。教会とかで人に出会って、美味しい料理が作れたらその辺も評価してもらえるかな!? きっと料理をするのも、とっても大変だと思うんだよね。私は魔法が使えるから良いんだけど、何も無かったら火を起こせなかったと思います!
こんな事が解ったのも、食事をしたいって気持ちが我慢出来なくなった時でした。本当に時々だけど、森で野生動物を狩る事が有りました。生きてるのにごめんなさい! って必死に謝りながら狩りをして、風の魔法で斬って火の魔法で焼いて頂きました。何でも消化出来るらしいから味がしなくても良いんだけど、塩とかも無いし。
でもね……初めて生き物を殺した時の気持ちは忘れられません……。って、本題を忘れそうになったよ!
「えっと、他の魔法の種類は~……っと」
・治療魔法
外傷を治療する魔法。術者の魔力や技量によって治癒できる範囲は変動する。魔法具や薬草等を併用すればその限りではない。
・飛行魔法
飛行の補助を行う媒体を使い、浮遊・高速移動を行う。魔力制御と運用しだいではその限りではない。
・強化魔法
戦いの歌による自己の強化。全身、または体の一部に魔力を纏わせる事で、打撃力・防御力を飛躍的に上昇させる。また契約者に限り、被契約者へ魔力供給を行う事で同様の効果を得られる。
「……契約っ!」
思わず言葉に詰まって息を呑んじゃったけど、これは良く考えてからじゃないとダメだよね。私みたいに巻き込まれちゃう人が増えるって事だもんね。
やるならやっぱり治療かなぁ? 薬草の知識なんて流石に無いんだけど、どこかで勉強出来るところは無いかな? この本に薬草の知識までは書いてないみたいだし。
後は飛行かなぁ。やっぱり空を飛ぶのって憧れるよね! せっかく翼もあるんだし上手く使えるようになれば、補助を行う媒体って物はきっといらないよね?
それから更に十年位が経ちました。この世界に生まれ変わって二十年位だね。うーん、意識の上では三十代後半か~。見た目は十代半ばだけれどね。プラス千八百年分はどうしたって? そんな声は聞こえません。
そうそう、治療魔法は森で怪我した動物とか草木で試しました。自分にかけようにも大怪我するわけには行かないし、普通の生き物と違うから効果がちゃんと出なさそうなんだよね。
あと強化魔法を試してみたら、上手く使えませんでした。魔力を纏ってパワーアップというか自分自身が魔力みたいなもの、というか神力? で、出来てるのに気が付いて意味が無いって事で……。
『戦いの歌』を使わなくても腕の密度を上げると言うか、感覚的なもので力が強化されるみたいで、いまいち良く解ってないから上手く説明出来ないかな。”なんとなく”で、強化されてる感じ。それでも地面とか木を殴ったら、こぶしの形に陥没したり、あっさり木が折れたり、もう意味が解らなかったよ!
飛行魔法はまだぎこち無いけど、しばらく飛んだり浮かんだり出来るようになりました! 翼でばさばさ動くと格好良いのかもしれないけれど、そんな事をしたら集中が途切れます! 羽が四枚もあるから腕が六本あるみたいな感じなんだよね。正直全然慣れません……。
でも天使様を演じないといけないから、そろそろ翼を動かす練習した方が良いかもしれない。あとは眠りの魔法とか補助的なものを中心に、やっぱり攻撃魔法は少しだけかな。
「よし! 善は急げって言うし、今日からしばらく翼を出したまま生活してみよう!」
あ、なるべく白い方着てよう。雰囲気作りも大切だよね~♪
2013年3月13日(水) 記号文字の後にスペースを入力。無駄な改行の削除をしました。
前後がおかしい文章の纏め直しと、魔法の考察を加筆。カレンダーが無いのに経過年数を確認出来ている矛盾を修正しました。それから食事事情に触れているのに狩りの話が無いため、その辺りも若干追加。だいたい1,000文字くらい増えました。
森の中ですが、シルヴィアは厳密には生物ではないので、野生動物には襲われないと考えています。それに人の気配を避けて近寄ってこないとも考えています。