問題児達+天帝が異世界から来るそうですよ!?   作:THE・Leaf

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なんとなく成り行きで番外編。

今回はレティシアとの話です。

ですが、他にやって欲しい番外編なり、作品への要望であったり、感想して欲しいです。

※豆腐メンタルだったりするので、そこは考慮してください


番外編 其参

―――”ノーネーム”本拠。

ある日のことである。

 

「桜ッ! お前に訊きたいことがある!!」

 

「きゅ、急にどうしたんですか!? レティシアさん!!?」

 

優希の義妹、桜は驚いた顔でレティシアに問う。

余談だが、桜が『さん』の敬称を付けて呼ぶのは、レティシアと黒ウサギ位である。それ以外の人物は滅多に名前を呼ばない。というのも原因だ。

桜はレティシアに対して尊敬している。なんでも、理想の自分が体現されたような人。なんだそう。

優希が始めてそれを聞いたときは。

 

「お前がそこまで言うなんてな。流石レティシアだな」

 

とレティシアの完璧っぷりを知っている優希も理解している程。

目立たないかもしれないが、縁の下の力持ちなのだ。

それは、そうとして。

 

「実はな・・・・よくよく考えてみれば、私は主殿のことを全く知らないのだ」

 

「えっ!? そうなんですか!!!? てっきり、あんなことや、そんなことまで知っていると思ってました」

 

「恥ずかしながら・・・・教えてほしいんだ。・・・・頼む!!」

 

完璧なまでの30度の礼。

 

「か、顔を上げてください! 勿論、良いですよ。けど・・・・お兄ちゃんなら、難なく答えてくれると思いますけど・・・・」

 

「きっ・・・・聞けるはずがないだろう!!?」

 

レティシアは赤面させる。

 

「焦らないで下さい。テンパりすぎです。――きっと大丈夫です、思い切った質問も答えてくれます。お兄ちゃんの部屋にレッツゴー!!」

 

「―――御用改めである!!」

 

優希の部屋のドアを開け放つ。

 

「何だよ、時代劇でもやってるのか。っていうか、ノックぐらいしろよ」

 

「何かやましいことでもしてたの?」

 

「いや、本を読んでただけだが」

 

「ああ~。官能小説」

 

「違うわ!!! お前、俺がそういうのあんまり好きじゃないの知ってるだろ?」

 

「もしかして・・・・BL!?」

 

「俺は女性が好きです。同性を好きにはなれません。もう、鬱陶しいから出てけ」

 

桜は部屋から追い出され、鍵を閉められた。

 

「これで、良し。・・・・・・・・レティシア、いつから居たんだ?」

 

「失礼ながら始めからいたぞ、主殿」

 

「――謀ったな桜!!!」

 

そう叫ぶ頃にはもう桜はいなかった。

浅い溜息を吐いた後。

 

「何か用があって来たんだろ? 一体どうしたんだ?」

 

(頑張れ。大丈夫、きっと大丈夫だ)

 

「あ、あのだな。主殿に尋ねたいことが、あっ、あってだな」

 

顔を赤くしてわたわたする姿は非常に愛らしい。思わず微笑んでしまう。

 

「何? 聞いてあげるから、落ち着いて言ってごらん」

 

「――わ、私は主殿のことを、よっ、よく知らないのだ。だから―――」

 

「俺もレティシアのこと、よく知らないな。だから、お互いに質問しあおうか」

 

レティシアは安堵の表情をする。

 

(・・・・主殿は、本当に優しいな)

 

「初めはレティシアからでいいよ」

 

(・・・・何を聞こうか。思ってみれば全く考えていなかった。・・・・・・無難に好きな食べ物か。いや、思い切って好みの――~~~!! 私は一体何を考えているんだ)

 

「俺さ、メロンパンが滅茶苦茶好きなんだよ。けどさ、中々見かけないんだよな。・・・・この世界にメロンパンってある?」

 

「メロンパン? 主殿、それはどういう食べ物なのだ?」

 

「えっ!! 知らない!? レティシア、それは人生損してるよ」

 

優希は小数十分、メロンパンを説明し、語った。

 

「――いつか、食べさせてあげるよ。メロンパン」

 

「ああ。いつか是非食べさせて欲しい」

 

すっかり本題を忘れてメロンパンの話をする二人。

そこで、レティシアが唐突に思い出した。

 

「――あっ、こんなことをしに来た訳じゃ無かったのに!!」

 

「すまない、レティシア。すっかり逸れてしまっていた」

 

計小一時間のメロンパントーク。物凄く盛り上がったので、いいと言えばいいのだが。

 

「――主殿は・・・・どういう女性が好みだ? 出来れば、私はそれを目指したい!!!」

 

「・・・・俺はさ、レティシアはそのままでいいと思う。自然体のままでいいと思う。俺は今の、そのままのレティシアが好きだ」

 

「そそそそ、そうか。主殿がそういうのだ。自然体のままでいよう!!」

 

レティシアの顔が真っ赤になっている。

 

「それで、質問の答えだけど。・・・・優しい、思いやりのあるの人物かな。それ以外は、求めないかな」

 

「・・・・そう、か」

 

「じゃあ、逆にレティシアはどういう男性が好きなんだ?」

 

「う~む。どうだろうな・・・・。優しく、思いやりのある人物だな」

 

「レティシアも?」

 

「ああ、よくよく考えてみればそうだな。気づいたら、そうだった」

 

「? 気づいたら・・・・?」

 

「なっ、なんでもない。そ、そうだ。主殿は胸の豊かな方が好きか、そうでない方が好きか・・・・」

 

「俺は・・・・どちらかというと、貧乳派。勿論、豊かな胸も好きだけど、って俺は何を・・・・」

 

「今の、私は・・・・その、どうだ?」

 

優希は思わず目を逸らす。

頬を赤らめながら、恥じらって『どうだ?』は反則だ。

 

「ど、どうだ、と言われても・・・・」

 

「そ、そうだな、すまない」

 

―――静寂が訪れる。

 

「――レティシア、明日空いてるか?」

 

「あ、ああ。問題ない」

 

優希は笑みを浮かべて。

 

「明日、二人で出かけよう」

 

笑みの意味は分からなかったが首肯した。

 

                  *

 

―――翌日。

 

「――早いな、主殿は」

 

「いや、そんなことないよ。俺も、ついさっき来たばっかりだし」

 

玄関口で待ち合わせ9時だったのだが、優希は一時間程前からいる。彼にとって一時間は『ついさっき』なのである。

レティシアは待ち合わせ10分前に来た。彼女の衣装はメイド服。以前、優希に言われた言葉の影響でこの服に。

 

「今日も、凄く可愛いね。レティシア」

 

自らの気持ちをストレートに言う優希。

 

「あ、ありがとう。そう言って貰えるのは、嬉しい」

 

レティシアは若干頬を赤らめながら言う。

 

「少し早いけど、そろそろ行こうか」

 

ノーネームのみんなには。

 

「服を買いに行ってくる」

 

と言ってある。実際、優希はジーパンにブラウスしか持ってない。洗って着回しているので何の問題もないのだが、如何せん戦いづらいのだ。

それに、レティシアの服も買ってあげたかった。それはオシャレさせてあげたいという優希の計らい。

耀や飛鳥、ついでに桜も行きたいと言っていたが。

 

「「同じ場所で集まっていたら目立つだろ?」」

 

十六夜とハモっての発言。

女子二人は心許ないという優希と十六夜の意見により、女子三人とは別行動。

十六夜は黒ウサギと一緒に行くらしい。何せ箱庭の服屋に興味があるのだそう。

 

そして、なんやかんやで現在に至る。

箱庭に列記とした服屋があるか若干心配だったが、流石にあります。と黒ウサギも言っていた。有名な所があるらしく場所を教えてもらい、今日はそこに行く。

 

「楽しみだな、箱庭の服屋」

 

「そうだな・・・・考えてみれば今更ながら、オシャレをあまりしたことが無い気がする」

 

「それは、勿体無さすぎる! レティシアは何でも似合って絶対可愛いのに」

 

「そ、そんなことは・・・・」

 

「否定することないさ、本当のことなんだから。じゃあ、移動しよう」

 

優希はレティシアの手を握り、空間移動する。

黒ウサギに教えてもらった場所の座標軸に移動した。

 

「――よし、着いた。・・・・レティシア、大丈夫かい?」

 

「少し酔っただけだ・・・・」

 

「腕に捕まって」

 

レティシアは顔を縦に振り、優希の腕に掴まった。

 

「暫くすれば治ると思うから。けど・・・・あんまり気持ちが悪かったら言うんだよ」

 

優しい口調で言う優希。

 

「ありがとう」

 

優希の気持ちに感謝しながら、店内に入る二人だった。

 

「――広いな・・・・」

 

レティシアと密着して、鼓動が早くなる。聞こえてしまうのでは無いかと思ってしまう程。

気を逸らそうとして逸らせるものでは無かった。

身長の関係で、レティシアは見上げる形で優希を見つめるのだが、その行為で優希の心臓は跳ね上がる。思わず、笑顔で返すがレティシアはクスクスと笑う。

 

「――お客様、どういったものをお探しですか?」

 

店員から声がかかる。優希が視線を彼方此方にやっているのを見て、店員が声をかけたのだ。

 

「彼女に似合う服を探しているのですが・・・・」

 

レティシアは顔をボンッ、という効果音と共に顔を真っ赤にさせた。

 

「かかかか、かの・・・・かの・・・・・・」

 

と呟いている。あえて言うまでも無いが、優希が言った『彼女』は三人称の『彼女』である。

 

「――こちらなんて、どうでしょうか? きっと、彼女さんにお似合いですよ」

 

店員が持ってきたのは胸元にリボンが付いた純白のシンプルなワンピースだった。

 

「レティシア・・・・レティシア。これなんてどうかな?」

 

レティシアはハッとする。優希が手に持ったワンピースを見る。

 

「・・・・試着してみれば?」

 

「あっ、ああ。そうさせて貰う」

 

「此方へどうぞ」

 

店員に促され、試着室に向かう。レティシアにワンピースを渡し、受けとった後レティシアは試着室の中に入った。

 

―――暫くすると、試着室のカーテンが開け放たれた。

 

「どっ・・・・どう、だろうか・・・・・・・・」

 

思わずその姿に息をのむ。

色が純白なので、目立ち過ぎずレティシアを引き立たせる。それだけでなく、デザインがシンプルというのが彼女のボディラインを引き立てながらも隠している。

一言で言うなれば、神々しい。

 

「・・・・・・・・いっ、良いと思う。凄い、凄い似合ってる。可愛い、凄く可愛いよ。レティシア」

 

レティシアは恥じらいながら出てきたが、優希の言葉で更に顔を赤くさせる。

余りの恥ずかしさにカーテンを勢いよく閉めるレティシア。

再び暫くするとワンピースを持って、元のメイド服で出てきた。

 

「持つよ」

 

と言って、服を持つ優希。

 

「お預かりしましょうか?」

 

と店員に言われたので。

 

「はい、お願いします」

 

そう言ってワンピースを渡した。

 

「ありがとうございます。引き続きお買い物をお楽しみ下さい」

 

一礼して店員は去って行った。

 

優希はレティシアを見て。

 

「やっぱり、ゴスロリ服が似合うと思う」

 

そう言ってレティシアの手を握り、お目当ての物を探す。

 

「はぐれないように、注意しなきゃいけないから。しっかり掴んで」

 

レティシアは頷いて、優希の手を握り直そうとするが人に押されて優希の腕に抱きついてしまった。

レティシアが若干申し訳無さそうな顔をしていたので、優希は首を横に振る。

 

「このままでいよう。そっちの方が安心できる」

 

優希は最後に優しく微笑む。言葉が顔にも出てきたのだ。

レティシアはギュッとして、暫く歩き続けるのだった。

その間、優希は綿のズボンなどをカゴに入れていく。

 

「――あっ、あった。けど・・・・よくよく考えてみればゴスロリ服あったな。・・・・じゃあ、コレかな」

 

優希が手に取ったのは黒を基調とした白いエプロンがついた、日本のメイド服だった。

 

「これは・・・・・・・・?」

 

「日本のメイド服だが・・・・やっぱり他のものがいいな」

 

手に取った服を元の場所に戻し、視線を上に向けた。

 

「・・・・あれだ」

 

優希が指差す方向には、白を基調とした桜の花がデザインされている日本の和服だった。

 

「―――すいません、あの和服いくらするんですか?」

 

店員を捜しだし、尋ねる。

 

「申し訳ありません。あれは売り物では無いのです」

 

優希はその言葉を聞いて察する。

 

「・・・・つまり、ギフトゲームで勝てば貰える。ということですか?」

 

売ってもらえないということはイコール、ギフトゲームで勝て。そういうことだ。

店員は「はい」と答える。

 

「それで、一体どういったギフトゲームを?」

 

「そうですね。・・・・和服が欲しいと仰いましたよね? なら、”将棋”というのはどうでしょうか?」

 

「えっ!?」

 

優希は思わず素っ頓狂な声を出してしまった。

 

「将棋をご存知ありませんか?」

 

「・・・・い、いえ。この世界に将棋があったことが不思議で」

 

「そうですね。ご存知の方は少ないですね。ルールは大丈夫ですよね?」

 

「ええ。問題ありません」

 

「久々の強敵になりそうですね。・・・・それでは私に付いて来て下さい」

 

そう言われ着いたのが和室だった。

 

「―――ギアスロールです。読み終え次第教えて下さい」

 

店員からギアスロールを受け取り、レティシアと共に確認する。

その内容は、

 ・ギフトの使用禁止

 ・将棋のルールに反した場合、敗北

 ・何かしら不正が発覚した場合、敗北

 ・持ち時間五時間、一番勝負

 ・駒を失う度に意識又は感覚を失う。失ったものは終了後に本人に戻される

というものだった。

将棋のルールも確認するが、優希の知るルールとなんら変わりなかった。

 

「―――駒を失う度に意識又は感覚を失う!!?」

「―――一番勝負!!?」

 

レティシアと優希が同時に声を荒げる。

 

「主殿! 何も此処までする必要は無い!!」

 

レティシアは鬼気迫る勢いになっている。

 

「レティシア、それは心配無い。何たって俺にはレティシアが付いてるからね」

 

優希が笑顔で答える。そして言葉を切らすことなく店員に顔を向ける。

 

「ここに後いくつかルールを追加したいんだが・・・・」

 

「何でしょうか? 対等だと思われるルールなら呑みましょう」

 

「まず、相手プレイヤーへの直接及び間接攻撃は不可。次に"玉"がある限り失わない五感の一つを任意で選択できる」

 

「・・・・どちらか一つにして下さい」

 

「それなら後者で」

 

即答だった。

優希は敢えて二つの条件を要求した。それは最終的にどちらか一方を確実に承諾させるためである。というのも、優希が提示したのはどちらも"対等だと思われるルール"。二つ提示する事によって必ずどちらかを選ぶためである。優希であれば例え対物スナイパーライフルを撃たれても何とかできるので始めから決めていたと言っていい。

優希は交渉が長くなることを覚悟していたが、相手がそれを読み取ったのか先ほどのような台詞が出たのだろう。

 

「それじゃあ、“せーの”の後に残す五感を言って下さい」

 

優希がそう言うと店員は頷く。

 

「せーの、

     

 「「聴覚」」

 

これで双方とも聴覚だけは失わないようになった。

 

「先手後手どちらが良いですか?」

 

店員が問う。

優希は一瞬驚きを隠せそうに無かったがポーカーフェイスのままでやり過ごせた。

将棋は少なからず先手有利のゲーム。後手有利のプレイヤーも居ないことはないが少ない。それを踏まえた上で訊いてきているのだ。

 

「先手を貰いましょう」

 

そう言って優希は盤の前に座った。そして、自らの太腿をポンポンと叩きレティシアの名を呼ぶ。

レティシアは困惑しているが、

 

「俺が意識を持って行かれそうになったら、頼れるのはレティシアだけだから」

 

優希のこの一言でレティシアは恥ずかしそうながらも優希の膝の上に座った。

 

互いに駒を並びに終え

 

「「―――それではお願いします」」

 

二人の戦いが始まった。

 

優希が初めに失ったのは五感の視覚だった。

失われる感覚はランダムであり、一切の干渉は出来ない。

いずれ聴覚以外は失われるので関係ないが。

味覚、嗅覚、触覚・・・・と失っていった。どの感覚を失っても意識を刈り取られる感覚は襲ってくるので集中力がかき乱される。が、優希は恐れることなく攻めの姿勢で打ち続ける。

途中何度も急所を狙ってナイフやらなんやらを飛ばされたが全て弾き返している。

優希は一体、何を頼りに正確に駒の位置を把握しているのかレティシアは疑問でしか無かった。

 

「主殿、頑張って」

 

しかしそれは彼女にとってはどうでもいい疑問だった。優希に様々な言葉をかける。優希はそれに笑顔で返す。

 

一方の店員は焦りを隠せなかった。こちらは仲間の援護を受けて打っているが優希にはその様子が全く見られない。それだけでなく意識が刈り取られていくというのに依然として平然だというのだ。尚且つこちらが劣勢。焦りがでるのも無理はない。

 

しかし、店員の打った一手が戦局を動かした訳ではないが優希にとうとう変化が生じた。

駒を失い意識が刈り取られ、ふらついたのだ。店員達はそれを見逃さなかった。

優希めがけて銃弾を発射させた。

 

「ここにも銃なんてあったんだな。てっきり廃産武器だから無いと思ってたよ」

 

全て防ぎきった。そう思った瞬間、意識が途絶えそうになる。それを見逃さず相手店員が音速を超える銃弾を放った。顔面直撃。

直撃の反動で優希は後ろに倒れ込んだ。

 

「主殿!!!」

 

すると優希は血と一緒に何かを吐き出した。

 

「口の中切ったな・・・・」

 

何度か咳き込みながら言葉を発した。優希が吐き出したのは紛れもない銃弾。

 

「慣れないことはするものじゃないな」

 

「・・・・まさか、歯で止めたというのかっ!!?」

 

「それが?」

 

撃った相手に驚かれた。レティシアも驚きを隠せず絶句している。

至近距離で打った銃弾を歯で止めるのは優希自身にとって大したことではない。

しかし人間離れしているというのは言うまでもない。

 

「さあ、続けよう。貴方が打つ番ですよ?」

 

優希が打ち終わり、そう相手に告げる。

店員はもう、優希の意識が途絶えて時間切れになる可能性にかけて打つしかないと思っていた。

しかし、その考えはあっさりと崩れる。

レティシアが自らの胸を優希の耳に当てたのだ。優希には当然レティシアの心臓の鼓動が聞こえる。優希は一瞬テンパるが、

 

「主殿、私が付いている。安心してくれ」

 

レティシアがそれを見かねて言った。しかし優希の心拍数は高鳴るばかりだった。

優希は集中力だけはとぎらせないように深呼吸しながら打ち続けた。言うまでもなく優希は平然としていた。いや、平然を装っていた。

 

「―――王手」

 

優希の掛け声と一手。

 

「参りました」

 

決着がついた。

 

その瞬間レティシアは自らの体を離した。

優希もレティシアもお互い顔が赤い。なので互いに顔は見ないことにした。

 

「―――店長!」

 

「「店長?」」

 

店員達の声が聞こえ、優希とレティシアの声がハモる。

 

「店員だったの!?」

 

優希が尋ねる。

首を縦に振る。相手は一店員ではなく店長だった。

 

「いやあ、完敗だ。君たちお似合いの夫婦にあんな安いのは逆に失礼だ」

 

「「ふっ、夫婦!?」」

 

「君たちにはこれを」

 

店長はガン無視で優希達に差し出したのは、白を基調とした彼岸花がデザインされた浴衣だった。

 

「良い人だね、お互い大切にしなよ。後、欲しいもの全部くれてやる持ってけ」

 

「あの・・・・」

 

「ゴチャゴチャ言うな」

 

その後、店長は笑って続けた。

 

「末永くお幸せに」

 

服が大量に入った袋を突き付けられた。

優希とレティシアは互いに顔を見合わせ、店を出た。

 

 

「・・・・レティシア、これ置いたらどこか行かないか?」

 

「それはどういう意味だ、主殿?」

 

「デートだ」

 

「デートか」

 

「「・・・・・・・・」」

 

お互い顔を見合わせると互いに笑顔で笑い合った。

 

 

 

 




何も思いつかなかったので洋服ネタ。
まあ、まったりと更新します。

久しぶりの更新。というか半年ぶりですね。
原作まだ買えてないので本編はもうしばし、お待ち下さい。
買えても進むか疑問ですが・・・・。
読んでくれている皆さんがいるからこそ続けられますね。本当にありがとうございます。

進まなかったらまた番外編かな・・・・。リクエストがあれば是非是非コメントください。

9月14日15時54分頃更新しました。

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