問題児達+天帝が異世界から来るそうですよ!?   作:THE・Leaf

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第6巻突入! やっとですね。本当、長い。
かれこれ約一年くらい経ってるのかな?

兎も角、読者様が居る限り書き続けます。
居なくなったら書く気も失せるのですが・・・・『面白い』と言って下さっていますし。
そんなの、書くしかないじゃない!!

という事で、一年程経っても駄文は変わっていませんが、本編へどうぞ。


第弐拾参話 ~Present for you~

―――箱庭五四五四五外門”煌焔の都”

問題児達含め”ノーネーム”は煌焔の都に来ている。

だが、現在問題児達の傍に黒ウサギは居ない。何をするか分かったものではない。

いや、訂正しよう。どんな問題を起こすか分かったものではない。

そして、誰が予想しただろうか。

”サラマンドラ”の秩序と権力の象徴のペンダントランプの上で食事をするなど。

だがそんなことはお構いなしの問題児。マンドラと憲兵隊が青筋を立てて叫ぼうが、無視。

問題児達は全てをスルーし会話と食事をする。

 

「それじゃあ、そろろろ遅めの昼食にしますか」

 

優希達は城下で買ったお弁当を広げて歓談に勤しみ始める。

梅鰹のおにぎりを口にした十六夜が、思い出したように問う。

 

「そういえば春日部。登録したギフトゲームがまだ残ってるらしいが、どのゲームに出る予定なんだ?」

 

「火龍誕生祭でも開催した”造物主の決闘”。今回は一人で優勝する」

 

「勝てると良いわね」

 

「耀はもっと自信を持って良いと思う。だから頑張って、勝って来ればいい」

 

コクリと頷いて、海苔おにぎりと鮭おにぎりと昆布おにぎりを頬張る耀。

 

気合も頬袋もいっぱいである。その間もマンドラが血管を切れさせて叫んでいたような気がした・・・・と言うより、叫んでいたが、やはり無視した。

 

「優希君と十六夜君の予定は?」

 

「俺? 俺は特にねえよ。今日は散策にでも行こうと思っていたからな。お嬢様に付いて行ってからはノープランだ」

「俺? 俺は特に無いよ。今日は散歩にでも行こうと思っていたから。飛鳥に付いて行ってからはノープラン」

 

「そう。でも以外ね。普段は二人共考えすぎなくらい計画を練って過ごしているのに」

 

優希と十六夜はハモっているが、そんな事は気にしない。一々驚いていたら身が持たない。というより、会話が進まない。

 

「「そうか(な)?」」

 

「うん。でも、たまにはそういう日があってもいいかもしれないよ。十六夜も優希も、普段から色々考え過ぎてると思う。もう少し周りの速さに合わせて生きて欲しい」

 

「すまないね。俺も十六夜も今でも十分に歩幅を合わせて生きているつもりなんだ」

 

「まあ、難しい注文だがな」

 

苦笑交じりに答える優希と十六夜。

食事を済ませた四人はお互いの顔を見合わせて今日の予定を確認し合う。

 

「それじゃあ、俺と飛鳥と十六夜はジャックたちと合流。ジンは召集会の会場で挨拶回り。耀はゲームに参加」

 

「あら、ジャックも来てるの?」

 

「うん。最後の同盟相手の紹介と・・・・飛鳥へのプレゼントを用意してね」

 

と言い終わった後にハッとする優希。何か空間から取り出す。

 

「危なかった、忘れるところだったよ。はい、これ皆に。Present for you」

 

「サンキュ」

「「ありがとう」」

 

三人が貰ったのは、星の形をしたクリスタルがあるネックレスだ。

 

「このネックレス、すごい可愛い。クリスタルの中がキラキラしてる」

 

「ええ、本当。すごく可愛いわ。こんな良さそうな物何処に売っていたの?」

 

と嬉しそうな反応をする耀と飛鳥。

 

「俺が創ったんだよ」

 

十六夜が興味深く見つめ、優希に尋ねる。

 

「一体、どんな恩恵を持たせたんだ?」

 

「そうだな・・・・守るための恩恵と力を与える恩恵かな?」

 

「疑問系を疑問系で返すなよ」

 

「すまない。創った自分もよくは分かっていないんだ。・・・・よく言うだろ? 可能性は無限大だって」

 

そんな四人の後ろで、憤怒の闘気を舞い上がらせて仁王立ちする黒ウサギ。

その黒ウサギにも優希は渡す。

 

「はい、黒ウサギ。君にもPresent for you」

 

「え? あっ、はい。ありがとうございます! 大事にしますね」

 

嬉しそうに笑みを浮かべ、受け取る黒ウサギ。

 

「皆に一つ言っておくけど、付けないと意味無いからね」

 

「・・・・優希。どう、かな?」

 

と耀に声をかけられる。

 

「うん。似合ってるよ」

 

笑顔で答える優希。

そんなやり取りを傍目に全員がネックレスを付けたのを確認し、十六夜が言った。

 

「・・・・それじゃ、そろそろ此処で一度解散とするか」

 

「そうだな。飛鳥はどうする?」

 

「どうするも何も、私は一人じゃ降りられないわ。三人の誰かに降ろしてもらわな」

 

「だったら黒ウサギが叩き落してあげます、この問題児様方ああああああ!!!」

 

スパパパパァァン!!! と勢い良くハリセンが奔る。

その勢いでペンダントランプから叩き落される四人。

落とされる時に蒼白になりながら、頭を抱え項垂れるジンが見えたので、ジンに向かってネックレスを投げる。

 

「あっ、ジン! ジンも付けておいて!!」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

体制を整え着地。そして着地と同時に飛鳥を抱え、猛ダッシュするのであった。

 

                   *

 

―――”煌焔の都”練成工房街。

優希達四人はその後、怒り狂うマンドラと憲兵隊を相手に激しい鬼ごっこを強いられた。

・・・・亜龍に追いかけられて鬼ごっことは、これ如何に?

などと言っているうちに逃げ延びた優希と十六夜と飛鳥は、共に逃げた黒ウサギの説教を聞きつつ、ジャックたちが待つという練成工房街へと足を運んでいた。

耀とは途中で別れ、今は四人で行動している。耀には(10秒前の)過去の優希が付いているので、何かあっても大概の事はなんとかなるだろう。

煌く歩廊を歩く黒ウサギは、両頬を膨らませて小言を言い続けている。

 

「全く皆さんはあんな悪戯ばっかり・・・・黒ウサギは折角の休暇でしたのに。皆さんが問題を起こして怒られるのは、ジン坊っちゃんや参謀の黒ウサギなんですよっ!」

 

「「なら良かった」」

 

と十六夜と飛鳥が言う。

 

「そうですね。って全然良くないのですよッ!」

 

うがー! とウサ耳を逆立てて怒る黒ウサギ。

 

「俺は止めたんだけどね」

 

と苦笑いする優希。

 

「最終的にやってたんだから一緒だろ?」

 

「それは認めるよ。・・・・それに何かと暇だったし」

 

「結局は楽しんでるじゃねえかよ」

 

「やっぱりさ、言っただろ? 初めて来る地域の楽しそうなゲームに参加する時は連戦連勝はマズイって。格下なら尚更。まあ、それでも力をセーブするとかさ」

 

「楽しむんだったら、思いっきり全力で楽しまないと失礼だろ?」

「楽しむのだったら、思いっきり全力で楽しまないと失礼でしょ?」

 

「十六夜、飛鳥・・・・それだから出禁を言い渡されるんだよ」

 

「そりゃあもう、しょうがないだろ」

「それはもう、しょうがないわ」

 

「説得しようとした俺が馬鹿だったよ・・・・」

 

すると何か勝ち誇ったような顔をする十六夜と飛鳥。

 

「いや、ドヤ顔する内容じゃないから。後、威張れないから」

 

「何・・・・だと・・・・?」

 

「驚くとこじゃないだろ!」

 

「春日部の霊圧が」

 

「消えてねえから!! そもそも、話逸らすな!」

 

ネタが分からない黒ウサギと飛鳥が置いてけぼりなのは、言うまでもない。

そんなこんなで歩いていると、

 

「――”神隠し”だ! また”神隠し”が出たぞッ!!」

 

「すぐに内外の憲兵隊へ連絡を! 大至急だッ!」

 

「外壁と二宮の壁を封鎖しろ! 今度こそ逃すなッ!」

 

ピクン、と優希と十六夜の足が止まる。遅れて黒ウサギと飛鳥の足も止まった。

 

「「”神隠し”・・・・だと・・・・?」」

 

「YES、そのようですね。悪鬼羅刹の住まう北側ではさほど珍しくないのですが・・・・あの慌て様は、少し珍しいですね」

 

「「というと?」」

 

「北側には専門の機関が存在しますから。悪霊の憑依や風の神格者の悪戯、鬼の人攫いや人身売買まで手広くカバーするエキスパート集団です。彼らの手にかかれば大抵のものは二、三日で消息が掴めるのですが・・・・」

 

歯切れ悪く言葉を切る黒ウサギ。

十六夜は黒ウサギの言葉を噛み砕きながら、ニヤァと笑って、

 

「つまりこの騒ぎは――エキスパートでも手に余る、そんな”神隠し”ってことか」

 

次の展開が読めてしまった黒ウサギは溜息を吐きながら、

 

「まあ、止めはしないのです。でも夕方には帰ってきてくださいね?」

 

「心得た。もし夜になっても帰ってこなかったら――その時は、俺も”神隠し”にあったと思ってくれ。・・・・で、優希は行かないのか?」

 

「ああ、空間が僅かにだが歪んでいる。時間を巻き戻したとか、そんな感じの歪み方なんだ。俺はそっちの方が気になる」

 

「元カノが何か企んでいるかもしれないってか?」

 

「そうだ。万が一ってことがあるからな・・・・そっちは楽しんでこい」

 

「おう! 言われなくても楽しんでくるぜ」

 

「もし、柚葉に会ったら」

 

「あー、最後まで言わなくても分かってる。アイツはお前にしか倒せないんだろ?」

 

「・・・・そうだな。後、そろそろ行かないと見失うぞ?」

 

ああ、とだけ十六夜は言い残し現場へ向かうのだった。

 




前話は原作沿いなのに何故か一巻を一話にまとまめる。
と言う事をしたのですが、長いので章毎に区切った方が見やすいだろう。

そう思ったので第弐拾参話、

3月11日10時54分頃更新致しました。

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