問題児達+天帝が異世界から来るそうですよ!?   作:THE・Leaf

22 / 34
今気づきましたが第五章結構長いですね。 流石に駄弁るだけなんて面倒です。

なので、大部分をオリ展開でいきます。


第弐拾話 ~その名は~

ーーー七七五九一七五外門”アンダーウッドの大瀑布”フィル・ボルグの丘陵。

 

「わ、・・・・!」

 

「きゃ・・・・!」

 

ビュゥ、と丘陵に吹き込んだ冷たい風に悲鳴を上げる耀と飛鳥。

 

「これは凄いな。流石に圧巻の一言だ。巨大な水樹か・・・・だが、俺にはやることがある。ここで立ち往生してるわけにもいかない。黒ウサギ、すまないが少し席を外す。皆 を頼むよ」

 

「分かりました。気をつけてくださいね」

 

あぁ、と優希が答えると優希は消えた。

 

~涼サイド~

 

「ーーーー・・・・やっぱり来たな。優希」

 

「・・・・」

 

「どうして此処が分かったんだ?」

 

「何となくだよ」

 

「相変わらず素っ気ないな。何しに来たんだ?」

 

「お前の息の根を止めに来た。これでいいか?」

 

「あぁ~怖い怖い。正直戦いたくないんだ。戦って勝てる相手じゃない」

 

「だがな、お前がいると面倒なんだよ」

 

「無駄だぜ? 永久発動すれば確率は残り続ける」

 

「ブラフだな。お前のほかに確率を使う奴がいるんだろ」

 

「さぁ? そればっかりは言えない」

 

「そうか。なら仕方ない」

 

「殺すのかい? だけどこっちも、はいそうですかと言って死ぬわけにもいかない。だから3対1の全力勝負だ」

 

「後2人はどこに隠れているか知らないが、無駄だ」

 

「無駄かどうかは戦ってみないと分からないものだ。そうだろ?」

 

「そうだ、なっ!」

 

と、優希は飛びかかるように涼に斬りかかる。

が、その瞬間誰かが優希の眼前に現れた。

それでも、優希はその突然現れた人物を確認せず攻撃しようとするが、その人物の顔を確認すると同時に、空中でバックステップした。

 

「なる程、美羽か。だが反射チートなんて置いても無駄だぜ?」

 

「優希、お姉さんなんだから・・・・」

 

「姉は姉でも義理だろ。あんたは正直言って邪魔だ。だから、どいてもらうぜ」

 

「素手で倒すの?」

 

「・・・・あぁ、あんたらには素手に見えるのか。俺は此処に来た時点で〝ファントムモード・改〟を発動させているし、武器も持ってる」

 

「じゃあそれは、武器が不可視になる。そういうことか」

 

「そうと言えばそうだが、違うと言えば違う。惜しいな涼」

 

「武器が見えなくなった。それがどう戦況を有利にできるんだ? ”兄貴”?」

 

「・・・・!? 3人目は、分断した桜か」

 

何処にいるかは暗くてよくわからないが声で判断する優希。

その次の瞬間だった。突然、何かが優希を斬りつける。

ファントムモード・改を発動していたので、服を斬られた程度で済んだが、どんな武器でどこから攻撃されたのかも分からない。

 

「【無限の戦場(インフェニティフィールド)】展開」

 

何処にいるか分からないならば、戦う場所を変えればいい。優希はそう思い、展開したものの何故か分からないがインフェニティフィールドが展開出来ない。

 

「どういう、ことだ?」

 

「ギフト”ロストオール”これはオリジナル(桜)のギフトだ。このギフトは神格及び相手のギフトによって〝変化〟する”特殊ギフト”。ギフトネーム”ロストオール”またの名を”ギフトジャマー”」

 

「・・・・ギフトジャマー?」

 

「分かってると思うが文字どおり、ギフトの効果や発動とかを邪魔するギフトだ」

 

「そうか! そう、いう・・・・ことか」

 

優希は理解してしまった。したくなくとも、してしまった。

まず、何処に居るかも分からない裏の桜を倒さなければ美羽の反射が破れない。が、裏の桜を攻撃しようとしても、美羽に攻撃を跳ね返される。それができなかったとしても、確率がある。完全に”詰み”の状態なのだ。

 

「・・・・・・。どうすれば良いかなんて考えるだけ時間の無駄だ。ーーー〝真・ファントムモード〟!!」

 

~優希サイド~

 

さっきのファントムモード・改が自身の幻影化+武器の不可視化だとすれば、この真・ファントムモードは”空間自体を幻影化”する。

 

「ーーーギフトが使えない? だからどうした。ギフトが使えないなら、物理で殴ればいいだけだ。・・・・それに、目も慣れてきた」

 

推測すると、ギフトジャマーは恐らくギフトの発動を邪魔するものだ。

現に継続発動の真・ファントムモードは邪魔されてもいないし、途切れてもいない。

もしかしたら、扱い切れていないのかもしれない。それはそれで、桜を敵に回すと厄介極まりないな。俺がする事は、裏桜がギフトジャマーを扱い切れていない内に倒すことだ。

 

「どうした? 優希。この状況を打開する方法を考えていたのか?」

 

涼が喋りかけてきたが無視。まずは、確率のあいつを倒さないことには状況が変わらない。俺は今までギフトとかを発動する時は、殆ど技名を言っていた。

だが、技名なんて本当は言う必要性は皆無だ。重要なのはイメージ。

名を付けるならば、【終焉終式・天変地異】。確率は少なくとも自然現象の筈だ。

 

「涼」

 

「なんだ?」

 

「さよならだ」

 

「あぁ。そうだな」

 

「「・・・・・・」」

 

終焉のギフトは”終わらせる”ギフト。・・・・確率を終わらせる。

 

ーーーーザッ、と優希の足音が美羽と裏桜に聞こえたときだった。

 

「! ッ」

 

瞬時に気づいた裏桜が舌打ちをし、大鎌を横凪一閃。

伸縮が自在なのか、柄が長くなる。が、遅かったようだ。

気付けば辺りは明るくなっている。確率で暗闇にしていたようだ。

元々、死ねば確率が解けるようにしていたのか、そうでないかは定かではない。

 

「・・・・はぁぁー、はぁぁー、ふぅー。ヤバいな、・・・・これ」

 

一方優希は深手を負っていた。息も荒く、相当のダメージであろう。

 

「駄目だ。急に明るくなったせいで目が・・・・。ム○カの気持ちが今なら少し分かるような気がする」

 

「何を余裕ぶっているの?」

 

と、美羽が優希に攻撃を仕掛ける。

優希は美羽がいる方向とは逆方向にバックステップする。・・・・した筈だった。

優希は”強烈な衝撃を受けて吹っ飛んだ”のだ。

あまりの衝撃に骨や内臓等がもっていかれ、血を吐き出す。吹っ飛んだ後も血を吐き出し、咳き込む。血だらけになりながら、やっとの事で立ち上がる。

全身血だらけ、身体も見るからにボロボロ。立って息をしているのが限界といった様子だ。

 

「・・・・そっう、いう・・・・ことっ、か」

 

といい、優希はその場に倒れる。

 

平衡感覚だけじゃない。痛覚とか感覚その他諸々全部”反対”になってやがる。

普通ならこれだけのダメージを受けて正常でいられる筈がない。

頭がおかしくなりそうだ。確率のせいで天変地異も消えてる。

あぁ、ヤバい。もう、意識も殆ど無い・・・・。

桜、ごめんな・・・・。俺は約束を守れそうにない。

・・・・きっと、嘘つきって言われるだろうな。他の皆にも怒られるだろうな・・・・。

桜が作ったご飯、滅茶苦茶美味しかったな。帰って食べたいと思っている自分がいる。

 

「・・・・【最終終焉(ジエンド・オブ・フィナーレ)】」

 

と、優希が立ち上がる。優希には異様な黒いオーラがが纏われているが自身は気付いていない様子だ。

 

「桜、好きだ」

 

「なっ! 何言ってんだ、バカ兄貴!!」

 

「今言っておかないと、きっと後悔する。何故なら俺はもうすぐ死ぬからだ」

 

「どっどうせ、妹として好きだって意味に決まってる!」

 

「確かに妹として好きだ。だけどな桜、俺は桜をーーーー」

 

「うわああああああああああぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

~裏桜サイド~

 

おにい、・・・・じゃない、バカ兄貴が何か言ってきたけど聞こえないよう、じゃなくて、無意識の内に思いっきり叫んで、バカ兄貴に一本の大鎌を持って飛びかかろうとしていた。

勢いよく大鎌を振り付けた。だけどバカ兄貴は私を抱きしめてきた。思いっきり。

わけわからない。頭の中が真っ白になって何も考えられない。

そんな時だった。私とバカ兄貴に何かが突き刺さってきたのだ。

見覚えがある。これはバカ兄貴の剣だ。鍔の形が 六芒星の剣だ。

きっと衝撃を受けたときに一緒に吹っ飛んで、どこかに転がっていたんだ。

何故自分が一緒に刺されているのか。そんな問いが出て来たが、直ぐに自問自答する。

”知らないし、どうでもいい”と。

バカ兄貴は何処までもバカで、刺される瞬間、自分が先に刺されるように私との位置を反転させたのだ。その次に言った台詞がまた、バカだった。

 

『妹は兄より1秒も多く生きていなきゃいけない』・・・・本当にバカだ。

今にも死にそうなのに平然を振る舞って、クサい台詞を言う。

その次の瞬間だった。剣が引き抜かれ、盛大に血飛沫をあげる。

バカ兄貴は死に際の台詞までもが、バカでバカでしょうがなかった。

 

『桜、愛して・・・・る、よ』

どれだけシスコンなのだろう。叫び声で消そうと思っても聞こえてきたのは、

 

『女性としても好きだよ』

シスコンだけじゃなくてロリコンだったらしい。

 

私ももう直ぐ死ぬだろう。美羽のギフトは反射ではなく”ベクトルの変換”。

バカ兄貴はバカ兄貴らしく反射と思って死んでいるに違いない。

 

「バカなお兄ちゃん、世界で一番愛してるよ」

 

~優希サイド~

 

・・・・あれ? 死んだよね? あっ! 俗に言う幽体離脱ってやつか。

けど、なんか熱い。燃えるような熱さが全身を包み込むかのように・・・・。

って、本当熱い!! あれ? よく考えたら”熱い”って、感覚だよね。

おかしいな。幽霊って感覚無いよね・・・・・・。俺、もしかして生きてる?

 

「ーーーーー・・・・・・全身が燃えてる!!?」

 

さっき完璧に声でたな。・・・・意識がちゃんとある。普通に立てる。

とりあえず、この焔を振り払うか。

 

優希は右手で焔を切り払う。ヴァーン、という効果音と共に焔が雲散霧消する。

優希の右手にはギフトカードが現れており、それを確認する。

 

「ギフトネーム”神鳥・鳳凰(ゴットバード・フェニックス)”」

 

~美羽サイド~

 

優希を倒した! そう確信した。実際、優希は桜と一緒に死んでいる。

”手駒”が一つ減ったのは少し惜しい。が、また作ればいい。

そんな事を思っている時だった。優希の身体が突然、盛大に燃えだした。

そして、立ち上がる。私は夢でも見ているのだろうか・・・・。

その現象を見守る。すると、焔が振り払われる。

焔の中から現れたのは案の定、優希だった。

何か呟いている様子だったが、うまく聞き取れなかった。

優希は私を見て、一秒程目を瞑った。その次の瞬間だった。

 

ーーーードッ、バッ、ドッーーーゴーン

 

という効果音が聞こえたと思えば、優希の立ち位置が変わっている。

どうやら、攻撃されたらしい。全く、分からなかった。

 

「反射じゃないのか? 反射なら物量で押し切れる筈だから・・・・・・方向変換とかされたのか? まぁ、どうであれ次手を打つか」

 

気付けば優希が私の能力を見破っている。兎に角、頭の中を整理しなければいけない。

 

~優希サイド~

 

反射であれ変換であれ、共通して弱点がある。それは、”一度変換(反射)させればいい”。たったそれだけだ。だから俺は、

 

「〝ファントムソード〟」

 

幻影の剣を蒼星剣に纏わせる。

 

ーーーーダッ

 

美羽は俺の速度に対応出来ない。あいつのステータスは能力取ったら一般人に等しいからだ。

 

「ハァァァァァァァ!!」

 

美羽が止まって見える。実際止まっているのかもしれないが、俺はそれ程速く動いている。

 

ーーーーバキッ、パァーン

 

幻影の刃が変換バリアらしきものに当たる。それと同時に幻影の刃とバリアが雲散霧消。

そのまま、体重と速度が乗った”突き”を放つ。

蒼星剣は美羽の胸部付近を貫いた。その瞬間、蒼星剣を持っている手を離す。

数メートル美羽が吹っ飛ぶ。俺はそこまでしか美羽の姿を確認していない。

後ろを向き、前へ進む。後方では、ジャキンッカラカカラッという音が聞こえた。

 

「ーーー・・・・・・一応、桜の状態見に行くか。・・・・早く此処から離れよう」

 

~桜サイド~

 

「うわっ!」

 

「『うわっ!』は無いだろ」

 

「お、驚いただけだもん! いきなり現れてっ!」

 

「微妙に日本語が変だぞ? まぁ、そんな事はどうでも良い。取り合えず、ただいま」

 

「・・・・おかえり」

 

「ギフト、戻ったか?」

 

「うん。ちゃんと戻ってるよ」

 

「そうか。半信半疑だったが・・・・戻って良かったな」

 

「うん」

 

「? 珍しく元気がないな。どうしたんだ?」

 

「えっと、その、ねっ? お兄ちゃん、”あれ”本当?」

 

「”あれ”?」

 

「うん。・・・・”女性としても好き”っていう・・・・」

 

「あぁ、本当だ。本心だよ」

 

「それって!!!」

 

「あぁ、尊敬の意だよ」

 

「おにっ・・・・今、なんて言ったの?」

 

「だから、”尊敬の意”だって」

 

「はぁ~~~~~~~~~~~~」

 

「溜め息、長っ」

 

「良いよ、別に」

 

「何が?」

 

「な・ん・で・も・な・いっ!」

 

「左様ですか。・・・・俺は、そろそろアンダーウッドに戻る」

 

「気をつけてね」

 

「分かってるさ」

 

「『つもり』じゃなくて?」

 

「あぁ、大丈夫だ。問題無い」

 

「それ、死亡フラグ」

 

「もう一回、死んでる」

 

「そうだね。けど、もう死んだら駄目」

 

「了~解。じゃあ、行ってくる」

 

「行ってらっしゃい。・・・・一つ訊いても良い?」

 

「なんだ? 答えられるものなら答えるぞ?」

 

「『愛してる』ってどういう意味で言ったの?」

 

「勿論、”家族として”だ」

 

「ーーー・・・・改めて、行ってらっしゃい」

 

「あぁ。改めて、行ってくる」

 

            *

 

「到着!」

 

ーーーバゴーン

 

「優希さん!」

 

「優希っ!」

 

「くたばれデカ物がっ!」

 

よし。状況を順番に整理しよう。

空間移動で耀と黒ウサギがいる部屋に到着→巨人が部屋を一部破壊→取り合えずファントムソードで巨人を切り刻んだ。

・・・・おかしくね? 不幸すぎじゃね? まぁ、あれだ。考えない事にしよう。

 

「兎に角、この雑魚共を1分位で蹴散らしてくる」

 

「優希さん一人で!? 無茶です!」

 

「黒ウサギ、1分以内に倒し終わらなかったら何でも言うことを聞く。これで良いか?」

 

「もう! 分かりました。但し1分だけですよ?」

 

「邪魔するなよ? 戦いにくいことこの上ないからな」

 

ーーードッゴーン

 

「あーあ、壊れた。本当に面倒だっ!」

 

空間移動で黒ウサギ達を移動させ、一撃で巨人を仕留める。

 

「1回死んで色々思い出したからな。・・・・やってみるか」

 

と、優希が言いながら空中を駆ける。

次々に降ってくる巨人を殺しながら。

いつの間にか優希は黒いオーラを纏っている。

黒いオーラは優希の全身を包み込んだかと思うと竜巻が消える時のようにオーラが雲散霧消する。

すると現れたのは” 上半身の服装が、裾がコートのように長い前開きの黒いパーカーのみを羽織っており、パーカーの背中と左胸には白い星マークがある。更に、袖には白のラインが走っている”。 ”下半身は黒いホットパンツに白いベルト、黒のロングブーツを着用している”優希であった。

それだけでなく、髪も右側が短く左側が長い、黒色で左右非対称のツインテールになっている。

本当に優希本人かどうか疑ってしまいそうになる程変わっている。

両手には黒い手袋をおり、左腕には身の丈ほどもある黒色の機関砲がある。

右手には黒色の日本刀らしきものが握られている。

 

「さぁ、1分間雑魚退治だっ!」

 

ーーーーズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド、バシュッ、ブシャー、 ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドーーーー

 

「ーーー・・・・1分も要らなかったな」

 

と呟く優希の辺りには巨人が死に絶えている。ものの30秒程でこの状況である。

 

「ーーー何者ですか、貴方は」

 

と、唐突に声が聞こえる。

声のする方向を見ると、多少鎧が巨人の血で染まっている女性騎士がいた。

 

「俺のことか? 俺は、白星優希だ。少なくとも君の敵では無い筈だ」

 

「・・・・・・。貴方は男ですか?」

 

「えっ? いや、まごうこと無き男だけど?」

 

「違います。男か男の娘かを訊いたのです」

 

「初対面の人間にカミングアウトとか、どんだけ失礼なんだよ! 俺は男だっ! それに、容姿と服装は俺であって、俺でない」

 

「・・・・」

 

「元々、こういうような姿をしている女性がいたんだ。・・・・その名を、”B★RS(ブラック★ロックシューター)”」

 

「・・・・私の名は、フェイス・レスです。また、会うことになるでしょう」

 

「あっ! ・・・・行ってしまった。取り合えず、皆ところに戻らないと」

 

優希はそう呟くと、パチンと指を鳴らすと優希は元の姿、元の服装に戻る。

すると優希は空間移動するのであった。

 

              *

 

「ーーーー耀と飛鳥がこの辺にいると思うんだが・・・・」

 

「・・・・・・・ぁ、」

 

「耀! どうしたんだ! 耀!!」

 

「ゆ・・・・き?」

 

「春日部さん!」

 

「耀、一体どうしたって言うんだ!」

 

ーーーバキッ、ドゴーン

 

「ーーーーふぅ、間一髪だった」

 

「空中!?」

 

そう、空中である。

 

「地上は色々と、危ないからな。安全だと思う場所が空中しかなかったんだ。それと、今のこの状況を整理しよう」

 

「違う。私、違うよ、優希」

 

耀は今にも泣きそうな、悲しそうな顔をして、優希に言う。

 

「分かってる。分かってるよ。そんな顔をしているのに疑うはずがない」

 

と、言いながら優希は耀を抱きしめて頭を撫でる。

 

「一体どうしたんだい?」

 

「入れた覚えもないのに、私の鞄に入ってた」

 

「成る程。それなら、入れた犯人の匂いが残っているかもしれない」

 

「試してみる。ーーー予想通り、残ってた」

 

「それじゃあ、その犯人の所に行こう」

 

                *

 

「ーーーはい、着いた」

 

「・・・・・・三毛猫」

 

「案外、予想通りだったかな?」

 

「どうして?」

 

「耀があまりにも不憫で可哀想だったから、仕返しにーーーみたいな感じ?」

 

『・・・・その通りや』

 

「・・・・優希、飛鳥。なんとかしてヘッドホンを直さないといけない。・・・・手伝ってくれる?」

 

「「喜んで」」

 

「二人共、ありがとう」

 

「困った時はお互い様。直すと決まったからには、早く行動しよう」

 

「うん。ありがとう、優希」

 

                 *

 

ーーーー”アンダーウッドの地下都市”宿舎の瓦礫前。

 

「諦めましょう」

 

ヘッドホンの残骸を見るや否や、飛鳥は言った。

 

「・・・・・・。ええと、もう少し頑張ってみない?」

 

「確かに、頑張れば復元できなくもないな」

 

「優希君の言う通りって・・・・」

 

「「ゑっ!?」」

 

「優希。今、なんて言ったの?」

 

「だから、頑張れば復元できなくもない」

 

「って言うことは・・・・」

 

「復元できる」

 

「どうやって」

 

「ヘッドホンのある辺りの空間の”時間の概念”を巻き戻せば・・・・そうかっ!!」

 

「どうしたの?」

 

「ヘッドホンは勿論直せる。それに、柚葉の”時間遡行”も攻略できる!」

 

ーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

「あ~もうっ! 何なんだよ、一体!!」

 

「巨人がかつて無い大軍を率いて・・・・」

 

「一々面倒な奴らだな。さっさと終わらせに行く」

 

ーーーパチン、ヴァワーン

 

優希が指を鳴らすと、青蒼の炎が優希を包み込み、雲散霧消。

優希の左目には青蒼の炎が灯っており、B★RSになっている。

 

「「「優希(さん)[君]!」」」

 

「説明は後だ。地上に出るぞ」

 

                *

 

「ーーーこれは、酷い有り様だな。!? 琴線を弾いた音だな。しかも普通の物じゃない」

 

「優希さん! 待って下さい!」

 

「なんだ?」

 

「敵の数は500超えています! いくらなんでもーーー」

 

「たった500か」

 

「えっ!?」

 

「5分で十分だ」

 

そういうと、優希は空中を駆けだして行った。

 

「ーーー【エアロバスター】!!!」

 

ーーーーズドーン、バァーン

 

「おいおい、どうした巨人共!!」

 

ーーーーズドドドドドドドドドドドドド

 

「!? 琴線の音が消えたな。まぁ、俺には関係無かったが。さて、後始末に入りますか!!!」

 

その後、数分も経たずに巨人が死に絶えたのは言うまでもない。

 

                    *

 

ーーーー”アンダーウッドの地下都市”新宿舎。

 

「始めるのは何時だって構わない。けどさ、なんでフェイス・レスとかジャックがいるんだ? いや、別に構わないが何故いるのかだけ教えてほしい」

 

「見学です。どの様にするかの」

 

「お二人共知り合いだったのですか?」

 

「あぁ。巨人を倒した時知り合った。もう色々と面倒だから、始めるぞ」

 

すると、原型が無いに等しかったヘッドホンが元の形に戻っていく。

 

「ーーーーはっ、はぁ、はぁ、ふぅ~」

 

「元に戻った!」

 

「戻ったのは良かったが、時間を操るっていうのは、かなり神経使うな。戦闘に使うとしたら、数秒止めるのが限界だな・・・・」

 

と言うと、優希はその場に倒れるように座り込む。

 

「優希、ありがとう!」

 

「言っただろ? 困ったときはお互い様だ」

 

「・・・・貴方は”人”ですか?」

 

唐突にフェイス・レスの声が聞こえる。

 

「さぁ? あんたがそう思えばそうだし、そうじゃ無いと思えばそうじゃ無い。が、少なくとも自分は、人だと思ってる」

 

「空間の事象を操るなどという事は、神にも等しい行為です」

 

「・・・・そうか。それなら、俺は神にも等しい存在かもしれないな」

 

「ーーー優希さん、昨日のお姿の事で訊きたいことが」

 

「分かった。説明するよ」

 

「・・・・」

 

「ーーーまず、何から説明すれば良いのか・・・・。そうだな、俺が兄と姉、人工的に作られた裏人格の妹と戦った所からだ」

 

■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□NOW LOADING

 

「ーーーで、その死んだ時に走馬灯現象が起こったんだ」

 

~B★RSサイド~ 〃走馬灯現象〃

 

{ユキ、私はもう生きられない}

 

{”ステラ(B★RS)”!}

 

{ユキの身体は”シング・ラブ”と私の力の結晶だから}

 

{身体のベース及びその他諸々が”シング・ラブ”で形成されていて、力とか行動力源は”ステラ”貰っている。そういう存在・・・・}

 

{ユキ、教えた事忘れちゃ駄目だよ? 忘れても思い出さなきゃ駄目だよ?}

 

{”ステラ”っ! 忘れない! 忘れても、絶対に思いだす!!}

 

{ユ、キ}

 

~優希サイド~

 

「だから、走馬灯現象からするに、俺は人間だけど人間じゃない」

 

「”ステラ”さんというのは・・・・」

 

「”B★RS(ブラック★ロックシューター)”のことだ。ステラは”シング・ラブ”の・・・・なんていうか、クローンみたいな存在だ。”シング・ラブ”は、”W☆RS(ホワイト☆ロックシューター)”の事だ」

 

「安直に言えば、あの姿は”ステラ”さんそのものということですか?」

 

「まぁ、そういうことかな」

 

「優希ってどういう意味でつけて貰ったの?」

 

耀が尋ねる。

 

「”ステラ”が『そう呼びたい』って言ったんだ。『なんだか、いいでしょ?』って笑ってたのを覚えてる」

 

「へぇ~、そうなんだ」

 

「あれ? 棒読み?」

 

「そんなことないよ~(棒)」

 

「・・・・”ステラ”は、俺にとっての親なんだ。人一人いない、空っぽ同然の地球でたった一人の親だったんだ。今でも、いや、今だからこそ色々感謝してる」

 

「ごめん、優希。ちょっと、妬きもち妬いてた」

 

「良いよ」

 

と言いながら優希は耀の頭を撫でる。

 

「十六夜とレティシアがこっちに向かって来てる。とりあえず行く? 十六夜の事だ、到着するなり大樹に行ったりするだろうから・・・・」

 

「そうですね、黒ウサギが行ってきます。何かあった時のために優希さんは、皆さんのことをお願いします」

 

「何もない方がいいけど、あんまり良い予感がしない。黒ウサギも気をつけてくれ」

 

「分かりました」

 

ーーーーものの数分後、轟々と響く龍の雄叫びが聞こえてくるのであったーーーー




原作3巻を実質書き終えた訳ですが・・・・すいません。全然書けなくて。
自分、文才無いなぁと思ってるので、面白くなかったら全力で謝ります。
本当に、すいません。 兎に角、第弐拾話更新しました!

8月3日23時47分位

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『ブラック★ロックシューター(B★RS)』の服装や武器の内容等は、
『Wikipedia』、『ピクシブ百科事典』より引用させて戴きました。
並びに、『 ブラック★ロックシューター THE GAME 』より、名前等をお借りさせて戴きました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。