問題児達+天帝が異世界から来るそうですよ!?   作:THE・Leaf

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すいません。色々あって今の今まで執筆できませんでした。

GWなのでゆっくり書いていきたいと思います。


第壱拾八話 ~嫌な予感~

前夜祭の期間まで残りわずかなのだが、優希は大切な事を忘れていた。

自分の武器が十分使える状態でない事に。裏桜に武器を消失(ロスト)されたので、なんとかしなければと思っていたのだが、今の今まで忘れていたのだ。

 

「・・・・記憶が正しければ持ってきていた筈だが」

 

といって、閉まっておいた空間内を探しまくる。

 

「あっ、あった! 最強タングステンとCNF(カーボンナノファイバー)で作られた剣が! 作った奴の神経が解る筈もないが、やっぱり前ののより少し軽いな・・・・」

 

片刃の剣であり、優希はそれを二本持っている。

「うっ・・・・なんだ? 今、頭に電撃を受けたような衝撃が・・・・」

 

思わず二本の剣を落としてしまい、頭を抱える。

そして、優希の頭の中にとある記憶が蘇る。

 

{・・・・ユキ、いつか使う時が来ると思うから。これ}

 

{本当に良いの?}

 

{うん。もう私には必要ないから、ユキにあげるよ}

 

{これ、名前とかあるの?}

 

{うん。それの名前は”イクサブレード”だった・・・・かな?}

 

{―――がそう言うんだから、きっとそうだよ}

 

{そう、かな?}

 

{そうだよ}

 

何時の記憶かは全く検討がつかないが、元居た自分の世界でなかった・・・・様な気がする。となると、別の世界に居た自分? という事になる。

 

「―――はぁ、はぁはぁはぁ、はぁ・・・・・・なん、だったんだ? あの黒い服装の・・・・声からして女の人だって事は分かるが・・・・それに名前も呼んでたが、聞き取れなかった」

 

優希は呼吸を整え、記憶の中の会話を思い出す。

目を瞑って記憶の中に出てきた剣の名前を呼ぶ。

 

「―――召喚、イクサブレード」

 

というと、眼前に鍔の形が五芒星、刀身が濃い蒼色と黒である剣が現れた。ちなみに刃が蒼く、峰の部分が黒い。長さは、太刀より短く長巻より少々長い程度であろう。

 

「・・・・現れたって事は、黒服の女性と”一緒に居た”ってことになるな・・・・・・色々考えても仕方無いし、有り難く使わせて貰おうかな」

 

と言った後に、半分以上ロストした鍔の形が五芒星の長巻が納刀状態で優希の眼前に現れた。

 

「ロストさせられた剣と、貰ったと思われる剣。それにタングステン&CNFの剣をアレに入れるか」

 

と言って、”銀河の門(ギャラクシアゲート)”が現れる。本人はコレの名前を知らないので、『アレ』と呼んだのだ。

優希が銀河の門に手を翳すと、三本の剣が銀河の門に吸い込まれる。

眩しい光の閃光が放たれると同時に、一本の剣が出現した。

鍔の形は五芒星のままであり、持ってみると少し軽いように感じる。

色などは綺麗だったのでイクサブレードの色をそのまま採用。

刀身がキラキラ光っているが、星が散りばめられたようなデザインも兼ね備えているので、光の乱反射によりキラキラ光るのだ。

銀河の門に入れると、どうやっても星が散りばめられたデザインが必ずどこかにある。だが、その他は自由に変えられる。

それに、優希自身この必ず出現するデザインは気に入っている。

 

「・・・・う~ん、剣に名前が無いと色々と不便だよな。特に空間から引っ張り出すとき。・・・・安直に、イクサブレード改とかでも良い様な気がするけどなんか・・・・あっ! 思いついた! ”蒼星剣(そうせいけん)”! これも安直な気がするけど只”改”を付けるよりマシだし、良いかな」

 

だが、優希はもう一本ロストしている長巻を一体どうするかを考える。

優希は、多人数相手又は手加減目的で双刀を使っているので二本無いと困る。

 

「仕方ないな。ロストしたもう一本の剣とタングステン&CNFの剣で一本作るか」

 

と言って、ロストした剣を出すと銀河の門に吸い込まれる。すると、鍔の形が六芒星の剣が現れた。変わった所と言えば、刀身に星が散りばめられているデザインが加わった位だ。

 

「こっちも名前を付けないとな。・・・・安直に”六芒星剣(ろくぼうせいけん)”で良いかな」

 

と言った後に、蒼星剣と六芒星剣を空間にしまい込むのであった。

 

                     *

 

―――それから数分経った。

 

「ん? 十六夜か?」

 

優希が向こう側から歩いてきた十六夜に気づく。

 

「優希、どうだ? なんか派手な戦果が」

 

「ないぞ」

 

「やっぱりなってハァ? ねえって・・・・あぁ~分かったぜ。ペスト倒したせいでギフトゲームに参加させてくれる場所が無かったんだろ?」

 

「あぁ、おかげで農地開拓とかしかやってねえよ。使えそうな所はほぼ全部使えるようになったからな。今は、はっきり言って暇だ。『納得するまで止めない』みたいなこと飛鳥が言ってたが、あんまりやることが無いせいで落ち込んでたよ」

 

「じゃあ、一応あっちにいるのか?」

 

「あぁ。ここで喋っていても何だし、あっちに行こう」

 

と優希が言い、歩き出す。それに十六夜が付いて行く。

 

「お~い、飛鳥~」

 

「優希君、それに十六夜君じゃない」

 

「家屋をバラして、何やってんだ? 整備か?」

 

と十六夜が辺りを見回し尋ねる。

 

「あぁ。農地を十分すぎる位開拓した後に、こっちもそのままじゃ駄目だなって思ってな」

 

「成る程な」

 

「それにしても、二人とも何か目ぼしい成果はあったの?」

 

「おう。何とか間に合ったてところだな」

 

「俺は・・・・ん? 耀がこっちに向かってきてるな。後少しかな?」

 

と、優希が言うと上空から耀が現れた。

 

「皆今から帰るところ?」

 

「あぁ。空間移動で帰ろうかと思ってたけど、耀が近くにいるのが分かったんだ」

 

「そうなんだ」

 

と、耀が嬉しそうに言う。

 

「お腹も減ったし帰ろうか」

 

と優希が言うと、四人は空間移動で本拠の前に移動するのであった。

 

                *

 

昼食を取り終えたその後、収穫祭に誰が何日参加するのかを決めるため、優希・十六夜・飛鳥・耀が戦果を報告し、審査役にジンとレティシアが席に着く。

 

「おい、黒ウサギは?」十六夜が問う。

 

「”サウザンドアイズ”の店だ」と優希が答える。

 

「審査基準は聞いていますから。僕とレティシアだけでも十分です」

 

「後は十六夜の報告だけだしな」

 

そっか、と十六夜が頷く。

 

「細かい戦果は後に置いておくとして。まず、皆さんが挙げた大きな戦果から報告しましょう。まず、優希さんが土地系のことを、ほぼ全てして下さいまして飛鳥さんもやって下さいました。それに飛鳥さんは山羊十頭を手に入れてくれたそうです。小屋と土地の準備が整い次第 連れてくる予定です」

 

「へぇ~、飛鳥そんな事もやってたんだ」

 

「もちろんよ。暇を持て余してた優希君とは違うわ」

 

「確かに暇を持て余してたな。長~い夏休みが早く終わってくれと言わんばかりに持て余してたな」

 

と優希が言った後、

 

「洗物終わった~」

 

と桜の声が聞こえる。その後、優希の姿を視界に捉える同時に飛び込んできた。

 

「お兄ちゃ~ん!」

 

「させない!!」

 

と、優希に飛び掛る桜に耀が飛び掛る。

 

「ちょっと! 止めてよ!!」

 

「駄目! 優希に抱きつこうなんて、優希が許しても私が許さない!」

 

例によって例の如く乱闘。こんなのがほぼ毎日起こるというカオスさ。

 

「はぁ~・・・・二人とも、止めろ」

 

と溜息をつきながら優希が二人の服を掴んで止める。

 

「「は~い」」

 

と二人が返事をすると優希が二人を離す。

その瞬間に、

 

「お兄ちゃん♪」

 

と桜が優希の左腕に抱きつく。

耀がムッという顔をした後、耀も優希の右腕に抱きつく。

 

「・・・・はぁ~」

 

と思わず深い溜息をついてしまう優希。以前二人が優希の両腕に抱きつきながら、睨み合っている。溜息が出るのも当然かもしれない。

 

「―――という事です」

 

気づけば会話が終了していた。

 

「―――よし! 優希、そういうことだから”サウザンドアイズ”に空間移動だ」

 

「いや、どういう事だよ」

 

「戦果を見てもらう為さ」

 

「はいはい」

 

と言って、優希達は空間移動でサウザンドアイズ支店前に到着した。

 

「・・・・またですか」

 

「質の悪いクレーマーが来たみたいな顔しないで頂けたいんですけど?」

 

「実際に同じ様なものです」

 

「それなら、お邪魔しま~す」

 

「帰れッ!!」

 

と言って竹箒を振り回す。

 

「〝ファントムモード〟」

 

だが優希はそんな女性店員をスルー。お構い無しに店の中に入っていく。

 

「おお、スマンスマン。っと、なぜおぬしだけ入ってきておる!?」

 

「何時から俺だけ入ってきていたと錯覚していたんだ?」

 

と言うと、優希の周りには十六夜達がいる。

 

「まぁ、良い。入ってきているんだ、付いて来い」

 

と、白夜叉がいうと女性店員は肩を落とすのだった。

 

「―――・・・・悪い、先に行ってくれ。ちょっと確認したいことがある」

 

と優希がいう。

 

「優希さん何か良からぬ事なのですか?」

 

と、ジンが尋ねる。

 

「いや、違う。そうたいした事じゃない。終わったらすぐ行くよ」

 

「わかりました」

 

とジンが了承した後、優希は全員が店内の奥に入っていくのを確認する。

 

「気のせいだと有りがたいんだがな・・・・」

 

と呟くと、優希は空間を歪まし、その歪んだ空間を足場にして上空に行く。

すると、上空に居た男に声をかけられる。

 

「―――・・・・やっぱり生きていたか。久しぶりだな。」

 

「・・・・白星涼(しらほし りょう)、なぜお前が此処にいる?」

 

「第一声がそれか? 弟よ」

 

と、涼と呼ばれた男が少しニヤけながら答える。

 

「俺はあんたの弟じゃないだろ? そうであったとしても義理だ」

 

優希は嫌な予感がしていたのだが、その予感は的中した。

眼前に居るのは元居た世界の義理の兄なのだ。

まぁ、義理だと知ったのはつい最近の事なのだが・・・・。

 

「あれ? 桜から聞いちゃったの? ツマラないなぁ~」

 

「どうでもいいが、質問に答えろよ。なぜ此処にいる?」

 

「あっ、そうだった! 弟よ、伝えたい事があったんだ」

 

「はぁ~・・・・なんだよ?」

 

と優希が溜息を吐きながら尋ねる。

すると、涼は真剣な眼差しで優希に話す。

 

「村正柚葉(むらまさ ゆずは)、あいつはこの世界にいる」

 

「なっ・・・・なん、だと?」

 

と優希は顔色を変えて涼に聞きなおす。

 

「もう一度だけ言う。聞き逃すなよ? ”弟よ、お前の幼馴染、村正柚葉は生きている。そして、この箱庭にいる”」

 

「う、嘘・・・・だろ?」

 

優希は信じられなかった。”死んだはずの幼馴染が生きている”などという事は。

 

「俺は、柚葉の葬式を一番最初から最後まで見た!」

 

「そうだったのか? 気づかなかったよ。それはさて置き、俺も見たよ? 実際遺体を焼くところも見たし」

 

「だったら、死んでるはずだろ!!」

 

「・・・・村正柚葉は”神によって転生させられた”んだよ」

 

「馬鹿な事言ってんじゃねぇよ!」

 

「やれやれ。相変わらず聞き分けが悪いな。そんなに信じられないなら、一緒に来ると良い」

 

と涼が言うと爆風と共に、

 

「駄目!!!!!」

 

という声が聞こえた。

 

「・・・・耀」

 

「行ったら駄目! ・・・・行か、ないで」

 

と、いきなり現れた耀が言うと、涼が

 

「チッ、邪魔だ失せろ!!」

 

と言い、耀に殴りかかる。

その瞬間、優希が涼の殴りかかった右拳を右手で止めた。

 

「耀には指一本触れさせない。・・・・柚葉が生きている? それがなんだ。今守るべき人と好きな人が居る、それで十分だ。・・・・耀止めてくれて嬉かったよ。今度ご褒美をあげるよ」

 

と、優希が言うと耀は顔を真っ赤にして俯く。

すると優希は右手を大きく振り払い、蒼星剣を空間から出して涼に斬りかかる。

 

「危ないなぁ~、殺すつもりだっただろ?」

 

と涼は蒼星剣を親指と中指で真剣白刃取りしながら尋ねる。

が、優希は無視。何も持ってない右手で、六芒星剣を空間から出してそのまま斬りかかる。

 

「お~怖い怖い」

 

と言いながら、同じく真剣白刃取りしている。

 

「相変わらずウザイな」

 

と優希が言うと、二本の剣を空間にしまう。それと同時に涼の懐に潜り込む。

再び二本の剣を空間から引っ張り出し、それと同時に斬る。

 

「〝当たる確率 0%〟」

 

と涼の声が聞こえる。優希は、振り切らずに空間移動で後退。

 

「”確率承諾”か。相変わらず面倒だ」

 

「そんな嫌みみたいに言わなくてもいいだろ?」

 

「気にしなくて良い。・・・・嫌みだから」

 

「冷たっ! 冷たすぎる」

 

「さっさと帰れよ。俺はあんたとは戦いたくない」

 

「・・・・優希、それは家族だからか?」

 

「面倒だからだ」

 

「酷いっ!」

 

「但し、この人に何かしようものなら、あんたを躊躇無く殺す」

 

「言うようになったな。”真後ろに立たれて”そんな事が言えるなんて感心するよ」

 

その瞬間優希は涼に向かって剣を振った。涼は造作無いといった様子で避けようとするが、着ている服を斬られた。

 

(どういう事だ? 確率承諾が発動してない!?)

 

涼は考えてみるが分からない。どうやって自分に刃を届かせたのかが。

 

「仕方ない。不本意だったんだけど、やるしかないかな」

 

そう言った瞬間涼は優希の頭に手を置いて、

 

「〝現在使用しているギフト以外使用できる確率 0%〟」

 

優希は咄嗟に後退するが、遅すぎた。涼に確率をかけられたのだ。

 

「クソッ! 面倒な事しやがって」

 

優希は確率をかけられた事により、現在使用しているギフト”空間の支配者∞”しか使用で出来なくなった。

 

「まぁ、目的は達成できたことだし。弟にも帰れって言われたし。気になることはあるけど、別に良いや。――じゃぁな、また会うことになるだろう」

 

涼が言い終わると同時に姿が消えた。

 

「・・・・逃げたと言うべきか、逃されたと言うべきか。どっちにしろ面倒な事になったな」

 

「優希大丈夫?」

 

「もちろんだよ。耀も怪我とか無いかい?」

 

「あっ、う、うん。ぜっ、全然大丈夫」

 

と言うと、耀は自分でも顔が赤くなっているのを悟ったのか、両手を顔に当てている。実際、耀の顔は赤くなっているので見ていて非常に可愛らしい。

 

「そろそろ、皆のところに戻るかい?」

 

と優希が優しい口調で耀に問いかける。

 

「もう少し、一緒に居たい、な」

 

「耀が望む限りずっと一緒に居てあげるよ」

 

と優希が言うと、耀の顔は真っ赤になる。恥ずかしかったのか、耀は優希に抱きつく。

 

「み、見ないでッ」

 

と耀は言うが、可愛いので見たくなってくる。が、そこは女性が『見ないで』と言っているので、見ないようにする。

 

「恥らう耀も可愛くて良いと思うんだけどな」

 

と優希が言うと、耀はプシューと頭から煙をあげている。

 

「そっ、そんなこと・・・・もっ、もう行くよ!」

 

優希から離れた耀は、顔をプイッと背けて優希に言う。

すると優希は優しい顔で笑みを浮かべながら、

 

「そうだね」

 

と言って地上に降りていくのだった。

 

             *

 

店内に戻ると騒がしい声が聞こえている方に優希と耀は歩みを進める。

すると、なんだかよく分からないが黒ウサギは十六夜に抱きついている。

十六夜はそんな黒ウサギにセクハラしている。その周りで喜びの声をあげている仲間達。そんな中飛鳥だけがこちらに気づき、首を振っている。口を動かして何か喋っているので、(自身は無いが)読唇術を優希は使う。

 

「(駄目だったわ私達の負けね)」

 

と言ったのだと思う。僅かに声を発していたのか耀もそれを聞き取り、頷くのであった――――

 




おっ? ギリギリ時間内に終わった!

と、いう事で久々ですが、

5月19日更新しました。

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