問題児達+天帝が異世界から来るそうですよ!?   作:THE・Leaf

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やっと原作に入っていけます。

初めに言っておきますが、十六夜の過去編はありません。
というより、あるわけがないと言っておきます。
それこそ私が”大・爆・発”しますから。

とにかく、執筆していきましょう。


第壱拾七話 ~箱庭の貴族(笑)~

――――とある日のこと。今日の優希は不機嫌だった。滅茶苦茶不機嫌だった。

決して桜のせいではない。むしろ日常茶飯事なので割り切っている。

今回は白夜叉に聞いた話の内容だった。

 

「ハァ!? おかしいだろ!!? またかよ!! また魔王現れんの!?? そろそろ収穫祭行こうかなって時に!!??? しかも複数なんて冗談でも笑えねえよ!!!!!!!!!」

 

「落ち着け」

 

「落ち着けるかッ!! ”アジ=ダカーハ”? なんで”存在がチート”みたいな龍がいんだよ!!! ”傷口から分身を産み落とす”? やってられるかッ!!!!」

 

「落ち着け。臨機応変に対応せんと不特定多数、人を失うことになるぞ」

 

優希は盛大に舌打ちした後、一旦落ち着く。

それを確認して白夜叉が続ける。

 

「対抗策はおんしのギフトを存分に使う」

 

「分身でもしろと?」

 

「半分正解じゃな。”人数を増やす=分身”ではない。おんしのギフト、”空間の支配者∞”の一歩先の使い方――――」

 

「〝過去と未来を支配する〟とか言わねえよ、な?」

 

「正解だ!!!!」

 

「マジ? そんな事・・・・できるな。確かにできる。と思う」

 

「試にやってみろ。意外とできるやもしれん」

 

わかったよ、と少々投げやりながらも実際にやってみる。

過去と未来を支配し、”自らを召喚する”。

 

「召喚!!!」

 

と優希が叫ぶと、光に包まれながら召喚された”二人の優希”が現れた。

 

「案外できたな。二人だけど、これ以上は多分無理」

 

「上出来だ!!!! これで戦力が圧倒的に上がるぞッ!!!!」

 

白夜叉はヤッフーとか言っている。こんなのが最強の階層支配者など信じがたい事実である。

 

「なぁ、二人はどれぐらい先または過去から来たんだ? ちなみに今日は□△☆◇年×月○日だ」

 

と召喚者の優希が言う。白夜叉から見て右側が答える。

 

「俺は過去の□△☆◇年×月Д日から来たぜ」

 

「一昨日じゃねえかッ!!!」←召喚者の率直な感想及び速攻ツッコミ。

 

続いてその隣の優希が答える。

 

「ちなみに俺は未来の□△☆◇年×月§日から来た」

 

「明後日じゃねかッ!!!」←再びの召喚者の率直な感想及び速攻ツッコミ。

 

「過去と言えるほど過去では無く、未来と言えるほど未来でも無い。微妙じゃのぅ」

 

「「「『微妙』言うな!!!!」」」

 

三人の優希が同時に否定。未来過去と言えど同じ優希。完璧にシンクロした。

 

「一つ言っておくが、全員この世界から召喚したから。そうじゃないと日付に誤差が生じるはずだからな」

 

「うむ。それはありがたいのぅ」

 

「召喚と言っても死ぬまで此処にいられる訳じゃないし、あくまで本体は本来の時間軸にいる。だから疑似体と考えてくれていい。おそらくだが、致命傷を負うと消えると思う」

 

「なるほど、心得た。だが、使用時間などは無いのか?」

 

「さぁ? そこまでは分からないが、ギフトを多用したら発生するかもしれないな」

 

「・・・・そうか。要所要所で使っていく。これならあまり問題ないと思うが・・・・どうだ?」

 

「まぁ、好きにしてくれ。我が身の一部? なのは間違いないが、詳しい事は分からないからな」

 

「・・・・分かった。だが、とにかく気をつけろ。今回はペストのようには、いかんだろう。死ぬなよ。お前が死んだら、”ノーネーム”は――――」

 

「言っただろ? 守るさ。我が身も仲間も。俺はまだやり残したことだってあるんだ。成し遂げるまで死ぬに死ねえよ」

 

と言って、”ノーネーム”本拠の自室に空間移動した。

その後に考えたのが、最凶の増殖チート龍から仲間をどう、守るかである。

 

「確か、『奴は千の魔術を駆使する』とか明らかにふざけた事言ってたな」

 

考えてもきりが無い。初めに聞いた時も、”倒すことは考えない”を大前提で考えても分からなかった。唯一の攻略法が封印のみというのも明らかに笑えない。

 

「どうするかなんて考えても一緒だよな。”3つの頭と巨躯を誇る龍”こいつが現れたら全力で全員を守る。コンマ1秒でも隙を作れば全員を【無限の戦場】に移すことができるからな」

 

なんとかできる、と言えなかった。守りたいものを守れない。これだけは絶対にあってはならない。優希は龍が現れれば、できるだけ早く殺すことに決めた。

天帝の力を持ってして全力で皆を守る。そう心に誓った優希だった。

 

                   *

 

――――とある日の数週間ぐらい前の事。

優希たちは今後の活動方針のために、本拠の大広間に集まっていた。

大広間の中心に置かれた長机には上座からジン=ラッセル、白星優希、逆廻十六夜、久遠飛鳥、春日部耀、黒ウサギ、メイドのレティシア、そして年長組筆頭に選ばれたリリが座っている。

”ノーネーム”では会議の際、コミュニティの席次順に上座から並ぶのが礼式である。

優希本人は、

 

「十六夜が俺より後ろは明らかにおかしいだろ? 十六夜を俺より前にするんだ!」

 

とか言ってたが、生活用水は優希が(空間移動で)まかなってるし、レティシアを助けたのも優希。更にペストを倒したのも優希だ。

それはさておき、何故今日集まったのかを優希が黒ウサギに聞く。

 

「苦節三年・・・・とうとう我らのコミュニティにも招待状がジン坊っちゃんの名前で届くようになりました!」

 

「・・・・なるほど。だけど、それだけじゃ無いだろ?」

 

「YES! コミュニティの現状もお伝えしたいと思い集まってもらいましたのデス。リリ、お願いします」

 

リリが始めに言ったのは備蓄の事だった。最低限の生活を営むだけなら一年は問題ないらしい。そして優希が倒した”黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)”推定五桁の魔王だったこと。その報酬として別途に恩恵(ギフト)が貰えるようだ。

最後に農園区だが、これは1/4が既に使用可能だそう。

黒ウサギが、そこに特殊栽培の特区を設けたいという。

主に霊草・霊樹を栽培したいと言うと、

 

「バロメッツとか?」

 

「マンドラゴラとか?」

 

「マンドレイクとか?」

 

「マンイーターとか?」

 

「YES♪ っていやいや最後のおかしいですよ!!?」

 

「二番目もおかしいけどな」

 

「優希さん、固有名詞がおかしいとかそういう問題では無いのですよ」

 

「人喰い華のことだろ? 後抜いただけで即死レベルの悲鳴を上げる植物なんていらんだろ」

 

「優希さん、貴方が言ったバロメッツも十分おかしいのですが・・・・」

 

「いやいや、時期が来ると実をつけて、これを採取して割れば中から子羊が収穫できる植物の方がまだ――――」

 

「そんな気持ち悪い植物いりません!!!!」

 

「仕方がないな、妥協してラッビットイーターに一票」

 

「優希、俺も一票だ」

 

「私も一票入れる」

 

「以下同文。これで四票ね」

 

「それでは黒ウサギもって入れるわけないでしょこの、お馬鹿様ッ!!!」

 

言い出した優希にハリセンで一撃。

 

「そういえば、皆さんに見せたいものがあります」

 

と言って、”龍角を持つ鷲獅子”の印璽が押された招待状を開く。

それを優希が解釈して読む。

 

「前夜祭からの参加でしかも旅費と宿泊費は主催者(ホスト)が請け負ってくれるそうだ」

 

「そいつは太っ腹だな」

 

「それだけではございませんヨ? 場所は南屈指の景観を持っていますし、境界壁に負けない程の迫力がある美しい河川の舞台! 皆さんが喜ぶこと間違いございません!」

 

「「「「それで残念な場所なら”箱庭の貴族(笑)”」」」」

 

「”箱庭の貴族(笑)”!??」

 

「ゴメンやっぱり”箱庭の貴族w”が良かった?」

 

「『(笑)』であろうが『w』の違いないですよね!??」

 

「無いね」

 

優希は即答した。黒ウサギは傷ついたように項垂れてしまった。

 

「皆、知ってるか? この収穫祭、前夜祭入れて二五日間あるらしい」

 

「優希さんがおっしゃってる通りです。なのでレティシアさんと桜さんと共に一人残って欲し

 

「「「「嫌だ」」」」

 

即答だった。というより言い切る前に回答した。

 

「桜は論外として、レティシアとは嫌だ。それ以外は問題無い」

 

桜が何か言っているが無視。スルーだ。こういう時はスルーに限る。

 

「優希さん、それはちょっと・・・・」

 

「主殿、私の事が嫌いなのか?」

 

未だに駄々を捏ねる桜に対して、真っ直ぐな眼差しで優希を見つめるレティシア。

 

「止めてくれ、そんな顔で俺を見ないでくれレティシア。決して嫌いな訳じゃない。ないけど・・・・女性と二人なんて精神的に耐えられない」

 

「そうなのか?」

 

と、小動物の様な目で優希を見つめる。

 

「あぁ、そうなんだ。だからそんな目で俺を見ないでくれ」

 

と優希が言うと、レティシアは何故かしゅんとしてしまった。

桜も桜で、頬を膨らませてプイッとそっぽ向いてしまった。

 

「? なぁ、日数を絞って行くのは駄目なのか?」

 

「優希さん、それなら良いですよ」

 

とジンが快く答える。

 

「だったら、前夜祭二人、OPセレモニーから一週間を三人。残り日数を二人。で、どうだ?」

 

「それだと、一人だけ全部参加できるぜ?」

 

と十六夜が言う。

 

「分かってる。その一人をどう決めるか、だろ?」

 

「前夜祭までの期間で、誰が何日行くのかをゲームで決める。どうだ?」

 

「・・・・”前夜祭までに、最も多くの戦果を上げた者が勝者”とか、か?」

 

「なら、そいつを採用しよう。それで良いよな?」

 

と、飛鳥と耀にも訪ねる。

 

「分かったわ。それで良いわよ」

 

「うん、負けないから」

 

と言い、耀が優希に近寄る。

 

「優希にも負けないからね」

 

と言うと、にこやかに笑う。

そんな耀を見る優希は、嬉しくて堪らなかった。

作り笑顔では無い、耀が期待に胸を弾ませて笑う。そんな姿見れて嬉しかったのだ。

 

「あれ? 耀、そういえば指輪どうしたんだ?」

 

と耀の左手薬指に指輪が無いので尋ねる。

 

「あっとねっ、それはねっ、えっとねっ、私達にはまだ早いっていうか・・・・それに、その時が来ればちゃんと―――」

 

と盛大に真っ赤になった顔に手を当てて答える。

見てる側兼聞いてる側の優希としては、その動作が可愛過ぎて耀の事で頭がいっぱいになる。

 

「―――そうじゃなくって、・・・・指輪は凄く凄く嬉しかった。本当に貰って良かったの?」

 

以前赤面している耀だが、優希に尋ねる。

 

「勿論だ。それに、誠心誠意俺の気持ちだ」

 

「はぁぅ」

 

ドキューン! という効果音が似合うリアクションをとる耀。

・・・・しばらくこの超絶ピンクな空気が続いたのは言うまでもないのかもしれない。

 

                      *

―――時は現在

 

~優希サイド~

 

「―――何でか、記憶が所々無いんだよな・・・・全体的にばらけて、記憶が無いというか何と言うか自分でも分からない。もし分かれば―――」

 

と独り言を呟く優希。自分自身分かっているようで分かっていない・・・・記憶に辻褄が合ってないそんな感じなのだ。

 

「お兄ちゃん、知りたいの? 自分のこと・・・・」

 

と不意に桜の声が聞こえる。ちなみに、桜は身長としては、耀より少し小さい位で髪の毛は桜色。髪型はツインテか下してるかのどちらかであり、今日は下している。歳は一三。

容姿は素直に可愛い。華奢な体の持ち主で、美少女だ。

優希自身も家族としての付き合いが無かったら、見てるだけでもヒステリー症が発動してしまうかもしれない、と言うほど桜は可愛い。

 

「桜か、さっきのはどういうことなんだ?」

 

「そのままだよ♪」

 

素直に可愛いと思ってしまうので、普通にムカつく。

 

「・・・・それなら、聞かせてくれないか?」

 

と優希が言うと桜は頷く。

 

「お兄ちゃんはね、実は血が繋がってる人が一人もいないの。だから桜も義理の妹なの。・・・・黙ってるつもりは―――」

 

「そんなこと、どうでも良い。血が繋がってるとか繋がってないとかそんなこと、どうでもいい。だって、俺達は紛れも無い”家族”だろ?」

 

というと、桜はパッと顔を明るくしたと思えば、優希に向かって飛び込んだ。

 

「さ、桜!?」

 

「ありがとうお兄ちゃん。そうやって言って貰えて、凄く嬉しい」

 

と桜が言うと、優希は桜の頭を優しく撫でる。

桜は恥ずかしそうに笑っているが、嬉しそうだ。

 

「ところで、どういうことなんだ?」

 

と桜に尋ねる。優希は黒髪なので、血が繋がってない可能性が有る事は分かっていた。

だが、そんなことはどうでも良くて、自分が一体何故白星家にいるかだ。

 

「お兄ちゃんは、”人であって人でない”らしいよ? 確か”現人神”とか」

 

「いやいやいや、俺が半神半人な訳無いだろ?」

 

「お兄ちゃんは私たちのいる世界より未来の西暦二〇六〇年位から来たとされてるの」

 

「それで?」

 

「人類は滅んでお兄ちゃんだけになったんだって」

 

「いや、どうしてそうなった?」

 

「西暦約二〇三二年、異星人がやってきたの。それで西暦約二〇五一年に異星人を倒したんだけど、人類? は一人しかいなかったらしいよ」

 

「待て、なんで『人類?』なんだ?」

 

「人類と言っていいかどうか分からないんだって」

 

「仮にも人だろ? だったら人類で・・・・」

 

その瞬間優希に何かが駆け巡る。が、まだ何かが引っ掛かって分かりそうで分からない。

分からないものは仕方がないので続きを促す。

 

「―――倒した最後の異星人は死んでなくって、その異星人をベースにして最後の人の必要最低限の能力以外を与えたんだって」

 

「例えば?」

 

「その最後の人は普通の人間を遥かに凌駕した身体能力を持ってたらしいから、多分それだと思うよ?」

 

「成程。けどそれ、その時点では半神半人じゃないよな?」

 

「うん。けど、なんで半神半人なのかよく分かって無いんだって」

 

「やっぱその辺は曖昧になるよな・・・・だが、ここまで分かってるのに感謝しなきゃいけないな。ありがとな桜」

 

「うん♪ 愛してるよっ、お兄ちゃん♪」

 

と桜に言われると、優希は小さく笑うのだった。

 

「―――あっ、危なかった~。普通にヒスった気がするけど、戦略的撤退によってなんとか回避できたな。ヒス状態になったら何言って何するか分からんからな。本当危なかった。それに関しては耀といるのが一番危ないな。なんたって数秒見てるだけで病が発動するなんて・・・・」

 

前夜祭までの期間が残り少ない中、優希は何も戦果を挙げてなかった。

理由は多々あるが、一番大きいのは黒死斑の魔王を倒したことであろう。

それにより、”天帝”の強さが世に知れ渡ったのだ。

桜が言うには『あんなのまだ序の序だよ』だと言っていたが。

その桜も実は上層付近にいたらしく、裏桜が使っていた”絶対に解けない呪い”を解き尚且つ無傷で撃退。そんなこんなで、優希とギフトゲームをしてくれるコミュニティはいなかった。

 

「桜とレティシアとで留守番か。・・・・明らかに憂鬱だが仕方無いな」

 

自然と大きな溜息が出る優希であった。




まさか2日続けて更新できるなんて、思ってもみませんでした。
恐らく明日も更新できると思います。
原作に入ってるのは良いですが、オリ展開が入るので中々進みませんね(´・ω・`)

とにかく1話1話ゆっくり更新していきますね。

4月24日更新しました。

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