問題児達+天帝が異世界から来るそうですよ!? 作:THE・Leaf
番外編です!!
お約束どおり今回は”耀視点”で書きます。
くれぐれもご注意を!
―――ガルド決戦前夜及び箱庭での初夜のこと。
「・・・・・・」
耀は寝れなかった。色んな事がありすぎて眠れなかった。
なんとなく立ち上がって適当に徘徊でもしようかと思うとある部屋から光が洩れていた。
「・・・・白星・・・?」
「? ・・・・春日部さんか。僕の事は優希で良いよ」
そこには白星優希がいて、何か本を読んでいた。
気になってので聞いてみる。
「何読んでるの?」
「たいした物じゃないよ」
「ふ~ん・・・・優希も、眠れないの?」
「うん。なんだか、ね」
「ガルドと戦うのが怖いの?」
と不適な笑みを浮かべる。
「そういえば、そうだったね。全く考えてなかったよ」
と気にすらかけていない回答が返ってきた。
「・・・・もし良かったら、優希の世界のこと聞かせてくれないかな?」
と少し思い切って言ってみる。流石に踏み込みすぎたかな、と思ったが以外に
「別に、良いよ。寝れなくて暇だったから」
と言ってくれた。
「僕の世界は”殺伐とした”とか”カオスな”とかそういう言葉がまさにお似合いの世界だったよ」
「へぇ~、それに比べたら私の世界は案外普通だったかも。科学技術が発達してるってだけでそれ以外にはあんまかな」
「それは良いな。俺もそんな平和極まりない世界に住みたかったよ」
「その言い方だと優希の世界は戦争ばっかりな世界っていうふうに聞こえるけど?」
「あながち間違ってないかもしれないな。どの世界でも戦争は知らず知らず起こってるだろうし」
「じゃあ、どういう事なの?」
「人が人として見てない又は扱ってない最悪な世界だったよ」
「例えば?」
「親が子を子として見てない。”下僕”って言われてたよ。名前なんて呼んでくれなかったし、”あれ”とか物の様に言われてたよ」
「酷いね」
思わず申し訳ない気持ちになった。自分がこの質問をしたのは間違っていたのかもしれない。と思っていると、
「そんなに申し訳なさそうな顔しなくて良いよ。もっと肩の力を抜いて楽にして聞いてくれていいから」
と言ってくれたので肩の荷が下りて、素直に
「ありがとう」
と言った。
「実は此処に来る前、原因不明の病に冒されていてね、絶対に治らないって言われてたんだ」
「・・・・同じだね。私も不治の病だったんだ」
「そうなの?」
「うん。だけど、お父さんがくれたこのペンダントのおかげで、治ったけどね」
「確か、友達になった動物から力を貰うってかんじだったよね」
「そう。・・・・優希はどうしたの?」
「病院行って診察だけ受けて、不治宣告された瞬間に速攻逃げたよ」
「なんで?」
「解剖されるからだよ」
「あ・・・・・そっか、優希の世界はそんな世界だったんだ。その後どうしたの?」
「死んだ事にした」
「どうやって?」
「簡単だよ。不治の病って言われたんだから放って置けば死ぬ。死んだ事に”した”て言うより”された”の方が正しいのかもしれないけどね」
「どうやって治ったの?」
「自分でも分からないんだよ。逃げた後、幼馴染に会って事情説明したら『最後に思いっきり遊ぼう。命が尽きるまで』とか言ってたから、幼馴染と遊んでた」
「結果的に?」
「死ななかったよ。死んでたら此処にいないし、ね」
「それを知ってるのは?」
「幼馴染と実の妹くらいだと思う」
「妹?」
「あぁ。偶々妹に見つかって、最後らへんは幼馴染と妹と一緒に遊んでた」
「最後らへん? ・・・・まさか、優希の幼馴染は―――」
「突然死んだよ。何故死んだかも分からなかった。こっちの世界も医療だけは目茶苦茶なぐらい発達してたが原因不明だったらしい」
「妹さんから聞いたんだ?」
「あぁ。一応死んでる事にされてるから、聞くわけにもいかないし」
「ゴメンね。なんか色々聞いちゃって・・・・」
「いや、別に良いよ。・・・・春日部さんにも聞いて良いかな?」
「答えられる限りは答える」
「なんでそんなに悲しい顔をしているの?」
「そ、それは・・・・」
何故分かったのかなんて分からない。
表情を読み取られるほど自分の顔は変化していない筈だ。
「そんな、顔で笑っても笑った内に入らない。春日部さんは、あの時の僕に似ている。顔は平常を保っていても、本当は誰かに助けを求めたくてしょうがない。そんな顔だよ?」
図星だったが、実際怖かった。友達になっても、裏切られるんじゃないかと不安で一杯だった。
「―――・・・・なんで?」
「言ったよね? 春日部さんは過去の僕と似ている、と。僕の世界が世界だったから、良く分かる。昔は自分自身そんな顔をしていた」
そういうことか、と直に理解した。彼も、色々あったのだろう。
考えてみれば、優希は自分の世界のことを話してる時そうだった。
自分と同じような顔をしていた。だから申し訳なくなったのだ。
「・・・・決めた! 春日部さんを幸せにする!!」
と、唐突に聞こえた。
「・・・・・?」
「だから、春日部さんを幸せにするって言ったんだよ」
「ど、どうして? そんな・・・・」
「春日部さんを救いたい。だから、一生かかっても春日部さんを幸せにしたいんだ!!」
「・・・・―――で、でも」
「人は誰かの支え無しには生きれない。人は誰かと手を引っ張り合わなきゃ幸せになれない。孤独になんか、させない!」
その後も、優希の言葉を聞いた。信じても良いのかどうか。
それは彼の顔を見れば一目瞭然だった。真剣に自分に訴えかけている。
嬉しかった。こんな人は自分の世界には少なくとも居なかった。
「信じて欲しいんだ! 例え世界中を敵に回しても僕は君を守る!! 必ず幸せにする!! 例え世界中が君を信じていなくても、僕だけは君を信じる!! 例えどんなに君の顔が曇っていても僕が晴らす!! どれだけの時間がかかっても!! だから、だから、信じて欲しい―――」
気づけば泣いていた。優希の胸に飛び込んで盛大に泣いていた。嬉しかった。凄く、凄く嬉しかったのだ。子供みたいに泣き続けた。
優希は優しく背中や頭を撫でてくれた。決して拒む事をしなかった。
只、優しく優しくしてくれた。
―――気づけば朝になっており、鳥のさえずりが聞こえる。
「耀、起きたね。おはよう」
下の名前で呼び捨てにされたが、それよりも泣き疲れて、優希に抱きつき寝ていたなんて恥ずかしすぎる。
「ご、ごごごごご、ご、ゴメン! 優希!!」
思わず優希を突き飛ばすように起きてしまった。あんなに優しくしてもらったのに逆に申し訳なくなる。
「良いよ。疲れてたんだから、仕方が無いよ」
本格的に申し訳なくなってきた。嫌いになどなっていないだろうかと心底心配する。
「耀、あの約束は絶対に守る。例え、どんな事があっても」
と、言ってくれた。
思い出すだけで顔から火が出そうだが、それよりもやっぱり嬉しかった。
思わず笑みが零れると優希は、
「やっぱり、耀は笑ってる方が良い。その方が可愛いよ」
と言うのだが、実は異性から褒められるのは始めてだった。
「恥らう耀も可愛いね。今日はお互い頑張ろう」
と再び褒められた後、優希は部屋から去って行った。
自分でもわかる位、顔が真っ赤になっていたのだった。
*
―――ガルド戦後、ノーネーム本拠にて
優希が負傷し、ノーネーム本拠に戻ってきたすぐの事。
「耀さん、優希さんをそこに寝かせてください」
「わ、分かった」
「黒ウサギは医療用ギフトをすぐさま持ってきますので!」
「・・・・優希、大丈夫?」
「問題無いよ」
「私、あの時思わず『なんで』って言ったけど、優希はちゃんと約束を守ってくれたんだって思って・・・・」
「良いよ。少なくとも今こうやって謝ってくれてる。それに耀はきちんと『ありがとう』って言ったんだ。俺も嬉しかったよ」
「・・・・優希」
(入りずらいのデス。入りずらすぎます。御二方の邪魔を黒ウサギがするわけにはいきませんが、優希さんを治さない事には・・・・)
「黒ウサギ、いるんだろ? 入っておいで」
「す、すみません! 決して、盗み聞きをしていた訳では・・・・」
「悪いって思ってくれているんだ。良いよ」
「ありがとうございます。それでは治していきますよ」
優希は普段から優しいが、こうやって更に優しくなる時がある。
その時、優希はよく微笑む。
微笑んでくれると、なんだか落ち着く。ガルドと戦ってる時も、微笑んでくれた。
その優希は、素直に”カッコイイ”と思ってしまった。
それに優希は、耀を守るためなら・・・・って思い出しただけでも恥ずかしくなってくる。
だけど優希には、お礼をしたいと思っている。それだけ嬉しかった。
「はい、終わりました。思っていたよりも傷は浅かったので、しばらくゆっくりしていれば大丈夫なはずです」
「ありがとう。黒ウサギ。今度それの使い方を教えてくれないかな?」
「もちろん良いのですよ! むしろ御教授させて欲しいのです。使える人が増えれば、自然と傷ついてる人を治す人は増えるのですから」
「そうだね。・・・・本当、ありがとう。黒ウサギ」
「いえいえ、お礼を言われるまでも無いのですヨ」
「優しいんだね、黒ウサギは」
「そ、そうですか?」
「耀もありがとう」
「う、うん」
なんだろう? 優希が黒ウサギにお礼を言うのは当たり前。
それに優希は『優しいんだね』と思ったことを言ったまでだ。
なのに、なんでだろう? 少しイラッとする。
「そ、そういえば、もうそろそろ皆さんが帰ってきてもおかしくない頃でしょうし、黒ウサギは迎えに行きますね(とかなんとか言いながらも、耀さんから微かな殺気の様なものを感じるのデス。この状況で居続けられる程黒ウサギの胆は据わってないのデスヨ)」
と、もう間もなく十六夜たちが到着する頃であった。
*
―――とある日の事。
今日も軽くギフトゲームをこなす今日の事。
「終わっちゃった、ね」
「終わらせてしまったな」
「早かったね」
「早かったな」
というのも耀と優希が一つ上の上層にギフトゲームを挑んだのだ。
理由は簡単。同じ層のコミュニティなんて『暇すぎ』という安直すぎる理由である。
結果だけいうと瞬殺。即クリアだった。
「優希、ちゃんと手加減したの?」
「大丈夫少なくとも生きてる筈だ」
何を賭けたかというと、此方側は食料などである。あちら側は自由としている。
クリア条件は『どちらかが戦闘不能になれば、生き残ってる側の勝ち』という単純明快なものである。
あちら側が、
「なら、其処の御嬢さんを頂こうか?」
と少なくとも冗談(の筈)だった。
その瞬間、
「良いだろう。お前らの賭けたもの、後悔するがいい!!」
と優希が言って、即クリア。耀は何もしていない。本当に何もしていない。
普段はあまりする事はないのだが、今日は違った。
空間を斬って、そこに歪みが生じるので斬った後にその辺りが派手に吹っ飛ぶ。
そして、何事も無かったかのように優希が言った。
「耀、これから食べ歩きしよう!」
というので、快く「うん!!」と返事をした。
「―――これ美味しいね」
「うん、凄く美味しい!!」
なんだか、優希と二人って新鮮な気がする。次からこうやって食べ歩きしたいなぁ。
思い切って提案してみよう。
「優希、次からこうやって食べ歩きしない?」
「・・・・んぐ。それは、良い!」
「それにしても思ったより、人が多いね」
「俺らのとこはなんたって最下層だからな。人が少ないのも無理ないと思うが・・・・はぐれないように手、繋ごう?」
「う、うん」
て、手なんて初めて繋いだ! 優希と手を繋いでる(×3)!!
・・・・一旦落ち着かないと。けど、優希の手ってなんだか安心する。
どこか、心強いようなそんな感じ。
「次、何買う?」
「あ、甘いものは?」
「良いよ。甘いもの大好きなんだ」
「じゃ、じゃ、じゃあ、あのお店に」
と言って日が暮れるまで食べ歩いた。
そして、ノーネーム本拠に帰ると何故か黒ウサギに怒られた。
「今まで何処にいらしたのですか!!」
「だから、『一つ上の上層で食べ歩いてた』って言ってるだろ?」
「それは、分かりました。ですが、何故耀さんと二人っきりなんですか!!?」
「駄目だったの?」
「耀さん、駄目も何も二人なんて危なすぎます!」
「問題ないよ。はぐれないように手も繋いでたし」
「そんなこと聞いてません!!! 言ってません!!!」
「黒ウサギ、それぐらいにしとけよ。無事に帰ってきたんだから良いだろ?」
「流石十六夜」
「優希さん何が『流石』ですか!!」
「次は俺も連れてけよ? 次は五桁の外門にでも行こうぜ?」
「仕方ない。そのうちな」
「聞いてください!!!!」
「分かったよ。黒ウサギも連れてって―――」
スパーン、とハリセンで叩かれる。
「もう、良いです!! 次はなるべく早くに帰ってくる事!!! 良いですね!!!!??」
「「はぁーい」」
「今日は楽しかったね」
「そうだな。楽しかったな」
「次は連れてけよ?」
「「気が向いたら」」
「な」
「ね」
「・・・・仲の良い奴らだな」
と、また同じ事をして黒ウサギをからかう。兼、弄ぶ。
今日(おそらく明日)も賑やかなノーネームであった。
*
―――”ノーネーム”本拠にて。
時は農地開拓初日の次の日である。
朝から騒がしかった(らしい)。特に優希が。
というのは、欠伸の出ている十六夜から聞いた。
「優希あいつ、春日部に無視されて相当アレだぞ? ”無視”という行為でメンタルブレイク確立させてるようなもんだぜ?」
「そ、そんな事言われても・・・・」
そして、同じく欠伸の出ている飛鳥からも。
「優希君、本当”この世の終わりが来た”みたいな、そんな感じよ?」
「え、え~と・・・・」
そして、黒ウサギまでも欠伸をしながらだ。
「優希さんの事、なんとかしてあげて下さい!! 見ていて可哀そうになってくのです」
「あっと、その・・・・」
と、全員が寄って集って物申す。
そんな皆の声を聴くと優希が本格的に可哀そうになってきた。と思う。
そんなこんなで色々考えてると、ふと飛鳥が
「そういえば、『女性が嬉しがる物って何!?』って聞かれなかった?」
「聞かれましたね」
「確かに聞かれたな」
「なんて答えたの?」
「俺は女性陣に聞いた方が良い、と言っておいた!」
その言葉を聞いた黒ウサギと飛鳥が十六夜を睨んでいる。
言わずとも分かる状況が此処にある。と、この時思った。
「だが、花束が良いんじゃないか? とは一応参考までに、っていう前置きをして言っておいたぜ。そしたら、優希が
『確かバレンタインデーは男性が女性に花束を送る日』
だったよな? と此処で知識力を生かしてたぜ?」
それ、生かしてるのかな? とは思ったが口にはしない。
「私はアクセサリー・・・・指輪とかネックレスとかブレスレットが良いと思うわ、と言っておいたわ」
「黒ウサギも飛鳥さんと同じですね。やはり、そういう物は貰って嬉しいですから」
「さて、優希は今頃何してるんだろうな」
「「さぁ?」」
「まぁ、どうにかなるだろ。春日部、もし優希から手紙とか来ても捨てるなよ?」
「う、うん。わ、分かった」
三人ともどこか投げやりだったような気がするけど、やっぱりこういうところは仲間なんだなぁ、と思ったこの時であった。
~優希サイド~
―――時間は少し遡る。優希が”サウザンドアイズ”二一〇五三八〇外門支店に到着した途端に女性店員に言われた。
「・・・・・・・またですか」
「いる?」
「えぇ。いますよ」
「ありがとう」
「・・・・大丈夫でしょうか? 生気が全く無かったような・・・・・」
「―――・・・・白夜叉!! 何処にいるッ!!!」
「そんなに叫ばんとも聞こえとるわ」
「白夜叉、貸しあったよな? その貸しでこの店の品物何か一つ欲しいんだが・・・・」
「そんな程度で良いのか?」
「『そんな程度』って何だよ!! 俺にとって最重要なんだよッ!!!」
「・・・・一つと言わず、幾つか持っていくが良い」
「ありがとう、本当ありがとう。白夜叉、あんた良い人だな・・・・・・」
「分かりきったことを、何も泣いて感動するまでもないじゃろう? って聞かんのかッ!! ・・・・はぁ、ゆっくり選ぶが良いさ」
「あれ、これ胡蝶蘭じゃないか? 箱庭にもあったのか・・・・以外だな。よし、じゃあ、このピンクの胡蝶蘭と”これ”で・・・・後、この手紙用のやつも」
「胡蝶蘭は、やっぱりプレゼント用に包みますか?」
「・・・・? よく分かりましたね。御願いします」
(なんだろう? 店員達がさっきから耳打ちしあってるぞ? まぁ、良いか)
「はい、どうぞ。うまくいくと良いですね」
「? あっ、はい?」
「「「「ありがとうございました~~」」」」
~耀サイド~
「―――・・・・・・手紙? それに胡蝶蘭?」
「どうしたんですか? 耀さん」
「優希からピンクの胡蝶蘭と手紙が・・・・・・」
「なんと書かれているのですか?」
『耀へ
これから話したい事があります。どうしても、会いたいので部屋に来てください。もし、嫌であればこの場でこの手紙を破り捨ててください。
優希より』
「行ってあげてはどうでしょうか? きっと耀さんの事が―――」
「オイ、黒ウサギそれ以上はタブーだぜ? そいつは優希が言わなきゃいけねえんだ。他人が言うなんてそんな事しちまったら、優希の行為が無駄になるんだぜ?」
「そうね。春日部さん、行ってあげて」
「う、うん。分かった」
「―――・・・・よし。見守りに行こう!!」
「・・・・十六夜君――そんなの当たり前じゃない!!」
「黒ウサギは飛鳥さんと十六夜さんが邪魔しないか見守らなければ!!」
と野次馬三人は付いて来る。なんと言っても付いて来るだろう。無駄な事は極力しない。
―――コンコン、と優希の部屋の戸を叩く。
「は、はい! どうぞ!!」
と言われて戸を開ける。
「「・・・・・・・・・・・・・」」
「―――耀にどうしても伝えたい事があったんだ。・・・・ごめんなさい。自分がしたことの重さは分かってる。だけど、ああしないと耀は助からなかった」
「(やっぱり、呪い解除時のキスの事か)」
「(それ以外に何かあるの?)」
「(・・・・無いでしょうね)」
と三人が小さい声で話しているが、(聴力が優れているので)どうしても聞こえてしまう。
「えっと・・・・それは―――か、感謝してる。優希がああしなかったら、きっと死んでたから」
「・・・・少し前みたいに皆で楽しく喋っていたい。ご飯も一緒に食べたい。二人で食べ歩きもしたい。・・・・・・本当、耐えられなかったんだ」
「(実際精神的に耐えられてなかったな)」
「(最近は生気も無かったもの)」
「(泣きながら懇願されましたし・・・・)」
実際無視したりすると、皆が優希を励ましていたような気がする。
「―――・・・・ゴメン、優希。私・・・・なんだか優希を見ると――恥ずかしくなってきて・・・・」
「――――耀、今日伝えたい事と”渡したいもの”があったんだ」
「「「(・・・・・・・・・・・・・・・・・・頑張れ!!!)」」」
「・・・・受け取って欲しいんだ」
「う、うん」
「目を瞑ってくれないかな?」
と言われたので、目を閉じる。
「(あっ、今”銀河の門(ギャラクシアゲート)”から出しました!!)」
「「(黒ウサギ静かに!!)」」
「(すみません)」
――パカッ――
と何かが空いた音がする。すると左手を持たれた。
ブレスレットかな? と思っていると・・・・・・指を持たれた。
「えっ?」
「・・・・良かった。似合ってるよ?」
「「「(ひ、左手の・・・・く、薬指に!!!)」」」
ゆ、指輪!!!!!!!!!!!???????????????
「(やりやがった!! 優希がとうとうやりやがった!!!!!)」
「(だ、だだだ、だ、大胆すぎるでしょう!!!!?????)」
「(ピンクの胡蝶蘭の花言葉は『あなたを愛します』なので、恐らく・・・・)」
「―――――――――――――――――――――!!!!!??????」
「よ、耀、とにかく落ち着いて」
お、おおお(略)おおお、お、落ち着けないよ~~~~
ど、どどど(略)どどど、ど、どうしよう??????
「―――――・・・・・・耀、御願いだ。聞いてくれ」
ゆ、優希に・・・・だ、抱かれてる!!???
あ、頭が真っ白になって、何も考え・・・・られない。
「俺の一生をかける。だから・・・・―――――――」
「・・・・・・えっ?」
今、なんて言ったの? 聞き間違いじゃなかったら、優希は
『・・・・耀、君と”ずっと一緒にいたい”。笑っていたい。楽しくしていたい』
って。確かに言ってた。ピンクの胡蝶蘭の花言葉は『あなたを愛します』。
ゆ、優希は・・・・・。
「正直な気持ちを言うよ。耀、君の事が―――」
――――あれ? なんで自分が寝ているベットの上にいるんだろう?
確か・・・・優希と話していたような・・・・・・?
・・・・夢、だったのかな?
「・・・・指輪がついてる。銀色の彫ってある星が散りばめられているデザインの指輪が左手の薬指に・・・・ちゃんと、ついてる」
「あっ、起きたね。・・・・耀、驚いたよ。突然意識を失ったから」
やっぱり、夢じゃなかったんだ。
「耀?」
「あっ、ゴメン。ボーっとしてて・・・・」
「大丈夫か?」
「うん。もう大丈夫」
・・・・優希に伝えないといけない。ちゃんと。・・・・確かに恥ずかしい。
だけど、それでも自分の気持ちは伝えないといけない。
「優希・・・・えっと、ね・・・・私も優希の事――――」
「――――・・・・・・。ずっと、幸せでいたいね」
えっ? 何!!?? 意味深すぎる!!!!
どどど(略)どどど、どういう意味で言ったんだろう????
―――だけど、お互い気持ちは伝えられた。これで良かったんだと思う。
優希があの時言った言葉・・・・聞き逃すなんて勿体無さ過ぎる事はしてない。
『耀、君の事が”好きだ”』
って言ってくれた。だから私も答えた。
『私も優希の事”好きだよ”』
って。きっと優希にも届いてる。うんうん、絶対届いてる。
気づけば私と優希二人は、互いに”笑いあっていた”。
さて、どうでしたか? 番外編 其壱・・・・まだ何か書ける様な気がします。
ですが、そろそろ原作に戻らなければいけません。
実質まだ二巻終わっただけという・・・・
それはさて置き、うちの主人公がようやく告白しましたね。
この後の二人は一体どうなるのか? 自分自身書くのが楽しみです。
ということで、4月7日更新します。