問題児達+天帝が異世界から来るそうですよ!? 作:THE・Leaf
後、今回もアニメを混ぜようかなと思っています。
案外重要な事を言います。
私は学生なので明日から学校なんですよ。
そのため、更新が不定期になると思います。
なので、明日4月3日以降は日にちをつけ、更新したことをお知らせします。
ご理解とご了承を御願い申し上げます。
~優希・ラッテンサイド~
「―――審判決議? まぁ、交戦中止しろって言ってるんだからとりあえず皆を捜すか」
「まさか、知らないの?」
「ラッテンあんたは知ってるのか?」
「”主催者権限”によって作られたルールに不備が無いか確認する為よ」
「あ~なんか読んだ気がするぞ。・・・・確か”このギフトゲームに遺恨を一切持たない”という相互不可侵の契約を交わすものとする。とかだったような・・・・」
「その通りよ。負けたら・・・・お終いってこと」
「負けないから問題ねえよ。これ以上敵と話すのもマズイだろうからな・・・・じゃあな、ラッテン」
と言い、優希はラッテンの眼前で消えたのだった。
*
―――境界壁・舞台区画。大祭運営本陣営、貴賓室。
「オイ、毎晩勉強してきたのは何のためだ? こういう時に活かすためだろうが。折角出張ってきたんだ、いいとこ見して名を上げてやろうぜ。”リーダー”」
「は、はい!」
「そんなに緊張するなよ。為せばなるさ”リーダー”」
「頑張ります!」
十六夜と優希にリーダーと呼ばれて嬉しかったのかお互いに向けて勢いよく返事するジン。
「それでは、ギフトゲーム”The PIED PIPER of HAMELIN”の審議決議及び交渉を始めます」
厳かな声で黒ウサギが告げる。十六夜の対面には白黒の斑ワンピースを着た少女が座り、その両隣に軍服のヴェーザーと白装束のラッテンが立っている。
「まず”主催者(ホスト)”側に問います。此度のゲームですが、」
「不備は無いわ」
斑の少女は言葉を遮る様に吐き捨てる。
「・・・・・受理してもよろしいので? 黒ウサギの耳は箱庭の中枢と繋がっております。嘘を吐いてもすぐ分かってしまいますヨ?」
「ええ。その上で言わせて貰うけど、私達は今無実の疑いでゲームを中断させられている。―――言ってる事、分かるわよね?」
涼やかな瞳でサンドラを見つめる。対照的に、サンドラは歯噛みした。
「不正が無かった場合・・・・主催者側に有利な条件でゲームを再開させろ、と?」
「新たなルールを加えるかは後で交渉しましょう」
「・・・・分かりました。黒ウサギ」
「は、はい」
少し動揺したように頷く黒ウサギだったが、天を仰ぎ、ウサ耳をピクピクと動かす。
優希と十六夜はその間に、後ろに控えたマンドラに小声で問う。
「「なあ。どの程度ならゲームの不正に該当するんだ?」」
「今回のゲームに不備があるとすれば、まず白夜叉の封印。参加を明記しておきながら参戦は出来ぬという。其処には明文化された要因があるはず」
「「しかし記されていてのは『偽りの伝承を砕き真実の伝承を掲げよ』の一文のみ、か」」
そこで三人の会話が途切れる。
黒ウサギはしばし瞑想した後―――気まずそうに顔を伏せた。
「箱庭からの回答が届きました。此度のゲームに不備・不正はありません。白夜叉様の封印も正当な方法で造られたものです」
「当然ね。じゃ、ルールは現状維持。問題はルール再開の日取りよ」
「日取り? 日を跨ぐと?」
「ジャッジマスター、再開の日取りは最長でどれくらいまで伸ばせるの?」
「さ、最長ですか? ええと、今回の場合だと・・・・一ヶ月でしょうか」
「そっ、じゃあ一ヵ月後で―――」
「待ちな!」
「待てよ!」
「待ってください!」
十六夜と優希とジンが同時に声を上げる。
お互いが頷きあい、ジンに続きを促す。
「主催者に問います。貴方の両隣にいるのは”ラッテン”、”ヴェーザー”だと聞きました。そして、もう一体が”嵐(シュトロム)”だと。なら貴方の名は・・・・”黒死病(ペスト)”ではないですか?」
「ペストだと!?」
「はい。十四世紀から始まる寒冷期に大流行した、人類史上最大の疫病」
「正解よ」
「「そうか、だからギフトゲームが”黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)”!」」
「御見事。貴方の名前は?」
「”ノーネーム”のジン=ラッセルです」
「覚えておくわ。でも手遅れだったわね。私は既に参加者の一部に病原菌を潜伏させている」
「知ってるぜ? その位の事は、な」
「優希、どういうことだ?」
「黒死病はペスト菌が血液によって全身にまわり敗血症を起こすと、皮膚のあちこちに出血斑ができて、全身が黒いあざだらけになって死亡するんだ。まぁこれはペスト敗血症って言うんだけどな。<wiki参照>」
「敗血症?」
「あぁ。病原体によって引き起こされた全身性炎症反応症候群のことだ。症状としては悪寒、全身の炎症を反映して著しい発熱、倦怠感、鈍痛、認識力の低下とかだな<wiki参照>」
「それで?」
「ペストにかかる主な理由は四つ程ある内の二つが”ノミ”によるものだ。この辺一体のノミを全て死滅させている。大体30秒~1分位に一回は確認してる」
「だとよ。魔王様?」
「残念ね。私がかけたのは”呪い”よ。無機質の悪魔とかじゃない限り発症するものを、ね」
「単刀直入に言えよ」
「ええ。―――此処にいるメンバーと白夜叉。それらが”グリムグリモワール・ハーメルン”の傘下に下るなら、他のコミュニティは見逃してあげるわよ?」
「私、貴方達の事が気に入ったわ。殺気をこれまでかと放っているそこの君とジンは頭良いし」
「チッ、従わないなら皆殺しって言いたいんだろ」
「優希さん分かりますが、抑えて下さい」
「なぁ魔王、あんたのとこは新興のコミュニティだろ」
「答える義理は無いわ」
「優希、その情報が本当ならこいつらは優秀な人材が欲しいからこういうことをしてる事になる」
「・・・・・・・・・」
「”是”・・・・か」
「だから何?」
「お前等は少なくとも俺達を無傷で手に入れたい筈だ。一ヵ月もすれば流石に死ぬ」
「優希さんの言う通りです。死んでしまえば手に入らない」
「もう一度言うわ。だから何? 私達には再会の日取りを自由にする権利がある。一ヵ月でなくとも・・・・二十日。二十日後に再開すれば、病死前の人材を」
「では発症したものを殺す」
全員が驚く中、優希が続きを促す。
「続けてくれ」
「たとえサンドラだろうと、この私であろうと殺す。例外は無い」
そして、十六夜が何か閃いたように会話を繋げる。
「黒ウサギまだルールの改変は可能か?」
「へ? ・・・・・あ、YES!」
「交渉しようぜ”黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)”。俺達はルールに”自決・同士討ちを禁ずる”と加える。だから再開を三日後にしろ」
「却下。二週間よ」
「黒ウサギをつける。五日後にしろ」
と優希が言う。
「・・・・十日。これ以上は譲れないわ」
「ゲームに期限をつけます」
「なんですって?」
「再開は一週間後。ゲーム終了は・・・・その二十四時間後。そして、ゲームの終了とともに主催者側の勝利とします」
「よく言った、リーダー! 主催者の総取りは覚悟の上だ」
「一週間は死者が現れないギリギリのラインです。精神的にも身体的にもギリギリ耐えられる瀬戸際。それ以上は僕らも耐えられないだから全コミュニティが無条件降伏を呑みます」
「―――ねえジン。もしも一週間生き残れたとして・・・・貴方は、魔王に勝てるつもり?」
「勝てます」
根拠は無いが自分の同士の勝利だけは疑っていなかった。
「・・・・・そう。良く分かったわ」
ペストは不機嫌そうな顔を一転させ、にっこりと笑った。
「宣言するわ。―――」
「俺達は”絶対に”勝つ!!!」
優希の言葉遮られたが、魔王は一枚の黒い”契約書類”だけを残し、その場から消えたのだった。
*
「そういえば飛鳥がいないな」
唐突に優希がそう呟いた。
「突然消えたんです」
「いやいやいや、人がいきなり消失するなんて物理的にありえないぜ? リーダー」
「すみません、少なくとも僕の不注意で居なくなったというのは変わりません」
「とりあえず合流することを考えるか」
一方、その飛鳥はと言うとギフトゲームを受けていた。
そのギフトゲームはとんがり帽子の精霊達によるものだった。
精霊達はハーメルンで犠牲になった一三〇人の御霊であるという。
飛鳥に懐いているのは彼らの一三一人目の同士だったのだ。
そしてギフトゲームの内容は決戦の日までに紅き鋼の巨人”ディーン”を服従させることであった・・・・。
―――境界壁・舞台区画。大祭本陣営、隔離部屋個室。
「駄目だ、解けない。後もう少しでなんか分かりそうなんだが・・・・・・」
「焦ったところで何も出ねえぞ、優希」
「はぁ~~って・・・・耀、起きたね。体はどう?」
耀が起きると十六夜と優希が傍におり、十六夜は本を読んでおり優希は紙とペンを持って何かしている。きっと二人とも今回のゲームに役立たせることをしているのだろうとは見てすぐに分かった。
「耀、触診させてくれないか?」
「・・・・・・・うん」
「優希、お前医者か?」
「免許は持ってるが、何か問題でも?」
「優希、歳はいくつだ?」
「十六だ」
と、言いながら耀の体のあちこちを触って確かめている。
「ゲームクリアの目処はたった?」
「あれから六日が経ったんだけどまだ核心に至ってない・・・・終わったよ。まだ大丈夫なほうかな。安心して、きっと魔王は倒すから」
「二人は何処まで分かってるの?」
「ラッテンはドイツ語でネズミだ。ネズミと人心を操る悪魔の具現。で、ヴェーザーは地災や河の氾濫、地盤の陥没とかから生まれた悪魔の具現。シュトロムもドイツ語で嵐。暴風雨とかの悪魔の具現だ。最後に黒死病だが、こいつは黒死病による悪魔の具現だ」
「偽りの伝承、真実の伝承が指すのは一二八四年六月二六日のハーメルンで起きた事実を十六夜の言った悪魔のうちどれかなんだ」
「其処まで分かっているのに?」
「そう。此処まで分かってるんだよ・・・・此処までは、ね」
「春日部、以前黒ウサギが話してた『立体交差行世界論』を覚えてるか?」
「うん、知ってる」
「あれを要約するとね、『異なる事象が時間平行線で起きているにも拘わらず、結果が収束するクロスポイント』って言えば、分かるかな?」
「うん」
「つまりだ。ヴェーザー=ラッテン=シュトロム=ペストこれらが一三〇人の死とその殺害方法とのくい違いが発生するのが”真実の伝承”or”偽りの伝承”のはずなんだ」
「真実は置いておくとしてどれが偽者だと思ってるの?」
「「ペストだ」」
十六夜と優希全く同じ回答で、全く同じタイミングで答えた。
「だって一二八四年六月二六日っていう限られた時間内で一三〇人の生贄が死ななくちゃいけないんだ。ペストの最短発症は二日だし」
「それで、魔王を倒せば良いってわけじゃない。何故ならゲームマスターの打倒と被るからだ」
「優希に”ヒントなんて無い”て言われて自棄でペストの事調べてみたが、案の定だったぜ」
「それで、『偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ』これは”砕き”、”掲げる”ことが出来る物・・・・ハーメルンの碑文と共に飾られた”ステンドグラス”なんだ」
「あいつらが現れたのも、美術工芸の出展物を通じて現れたと推測できる」
「それでも、此処までなんだよね。ステンドグラスなんて一〇〇枚以上あるのにどれが偽りで真実かも分からないんだ。やってられないよ」
こんなに頭の言い二人がお手上げ状態を見て耀は小さく笑った。
「十六夜、耀に笑われてしまったよ」
「春日部、それは流石にどうよ?」
「耀が一人の病室で寂しい思いをしてるんじゃないかと思ってね。後、個人的にも心配だったし」
「ありがとう、優希」と、耀が嬉しそうに笑うのだった。
「何にせよ明日で全部終わるからな・・・・」
「そういえば白夜叉は?」
「封印されたままで、参戦状況も分からずじまいだよ」
「そっか。・・・・でも、どうやって封印したんだろうね? そういう一文はハーメルンの碑文にあるの?」
「まさか。夜叉っていうのは仏神側で、本来持っている白夜の精霊の力を封印する為に、仏門に下って霊格を落としてんだと」
「・・・・・本来の力?」
「うん。なんでも白夜叉は、箱庭の太陽の主権を持っていて太陽そのものの属性と、太陽の運行を―――十六夜!! 今すぐ知識をぶちまけろ!!!」
「分かってらぁ!! ハーメルンの碑文が一二八四年で黒死病大流行が一三五〇年以後数百年だ」
「やっぱりか!! 時代背景が合ってない! 黒死病が大流行した寒冷の原因は・・・・”太陽が寒冷期に入って”世界そのものが寒冷に見舞わされたんだ!」
「ならそれが、白夜叉を封印したルールの正体だ!!」
「やられたよ。俺達は”完全に騙されていた”!!」
「「あいつらはグリム童話上の”ハーメルンの笛吹き”であっても〝本物の”ハーメルンの笛吹き”じゃない〟!!!!」」
「耀のおかげだ!!」
「ナイスだ春日部!」
「「謎が解けた! 後は任せて枕高くして寝て(な)!!」」
「そう。頑張ってね」
と二人を見送った。耀には理解できなかったが、きっとあの二人なら大丈夫だと思い再び眠りにつくのだった。
*
―――そして二十時間後。
火龍誕生祭・運営本陣営に活動できる全コミュニティが集結する。
”黒死斑の魔王”との最終決戦が始まろうとしていた。
ということで第壱拾四話が書き終わりました!
次話はとうとうお待ちかね(誰が待ってた)のvs黒死斑の魔王ですね。
主人公が、やっと・・・・やっとギフトを存分に使える(泣)
兎にも角にも更新します!!