連邦兵のザンスカール戦争記   作:かまらん

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ギレン「コロニーの皆は不安よな。ギレン、動きます。」→スペースコロニーをドオオン!

デラーズ「ジオンの皆は不安よな。デラーズ、動きます。」→スペースコロニーを穀倉地帯にドオオン!

ジャミトフ「アースノイドの皆は不安よな。ジャミトフ、動きます(大嘘)」→部下がスペースコロニーに毒ガスをプシュー!

ハマーン「ネオ・ジオンの皆は不安よな。ハマーン、動きます。」→スペースコロニーを(ry

シャア「ネオ・ジオンの皆は不安よな。シャア、動きます。」→アクシズを地球にドオオン!(未遂)

鉄仮面「コスモ貴族の皆は不安よな。バグ、動きます」→コロニーにバグをシュバババ!

カガチ「マリア主義の皆は不安よな。カガチ、動きます」→タイヤでゴーロゴロ!エンゼルハイロゥで地球をスヤスヤ!(未遂)

ガンダムの指導者は極端な奴しかいないのか(呆れ)


第21話 休息 後編

「…それで、お前ら2人はその姉妹に恋い焦がれてるって事なんだな?」

 

「「その通りです」」

 

俺が椅子に座っているのに対し、2人は何故か椅子が2つ分あるにもかかわらず、床に正座していた。

一応椅子に腰かけろと言ったもの、奴らは尊敬しているからこそ誠意を表したいとか云々と口にし、一向に座らない。

これ以上何を言っても無駄だと思い、現在2人の悩みを聞いていた。

 

奴らの恋い焦がれている相手というのは、あのエリシャとマルチナの姉妹というのだ。

オデロはエリシャ、ウォレンはマルチナという関係構図であり、俺に口説き方というものを教えて欲しいという訳であった。

 

正直に言うと、俺自身そこまで色沙汰には詳しくはない。一応遊びとかもしたが、そんな恋とかはそれ程体験してはない。

だが、それでも奴らは俺を頼ってきた。それならば、多少詳しくなくても教えてやるのが大人の優雅というものだ。

別に見栄張ってるわけではない。わけではない。

 

「まぁ、とりあえずは現状を話せ」

「はい、俺たちは2人が作業している時にこう手伝おうとしてるんですけど…何だか素っ気無くって」

 

ウォレンが暗い表情で事をつらつらと話す。余程悩んでいるんだろう。

それは置いといて、女というものは大概が脈無しの場合だと、普通に態度も露わになってしまう。その脈無しがグイグイと食いかかってきているなら、尚更対応も冷たくなるのは必然。それは大人でも子供でも変わらない。

 

しかしある方法を使えば、その状況がひっくり返るかもしれない。

 

「お前ら、1つ言っておくぞ。女ってのはプレゼントに弱いんだ」

「ぷ、プレゼントですか?」

 

 

相変わらず敬語を使ってくるオデロ。

彼らはそのままお互いの顔を見合わせ、溜息をついた。

「その…俺たちお金とかないんですよ」

「それに、何を送れば良いんだか…」

「全く、それだからお前らはケツの青い餓鬼なんだ」

 

俺は2人の悩みに、鼻笑いで一蹴する。…この優越感、案外いいかもしれない。

 

「花だよ、花。リーンホースにも栽培している植物があるのさ。あれは一応酸素を作り出すためのものだが、別に1つや2つぐらいはどうって事ないさ」

「…な、成る程、流石はメオさん!」

「凄いです!」

 

俺を持ち上げてくる2人。中々良いね…これぞ、大人の余裕ってものだ。

 

「だけど、決して俺が花をやれとか言った事は内緒だぞ…船の爺さん達は口がうるさいからな」

「「はい!ありがとうございます!」」

 

2人は感謝を俺に口にすると、脱兎の如く部屋から出て行った。もしかして、すぐに実行を移す気なのだろうか。元気で良いねぇ子供ってのは。

..

さてと迷える子羊を導いた後は、俺は俺の問題を片付けないといけない。

今のご時世、女は男よりも気が強いから恐ろしいものだ。

 

「随分と兄貴ぶってるじゃない、メオ」

…部屋の扉の前に、ケイトがこちらをじと目で見ていた。しかも、俺とあいつらの会話まで聞かされていたようだ。

 

「あ、いやー俺もな?こう頼れる男だからさ。ああして弟分の世話を見るのも仕事なんだよ」

「危険な行動して、突っ走ってる”死にもの狂い”のあんたが、そんな事しているんだ」

 

死にものぐるいの部分を強調しているケイト。やはり、あの時の俺の対応に怒っているのか。

確かにアレは、無謀と呼べる行為だ。ビームと弾丸と爆発が飛び交う戦場で、運良く俺は被弾せずに生き残る事ができた。

ケイトも俺の身を案じて静止してくれたのだろう。しかし、俺はそれを振り払ってしまった。

 

「…すまん、軽率だったと今は俺も思っている」

 

俺の言葉を聞いたケイトは少し間を置き、強張っていた表情を緩め、静かに笑った。

 

「別に怒ってはないのよ。ただ…あんたもジュンコみたいに、生き急いでいるみたいだったから」

「…ジュンコ?俺がか?」

 

彼女と俺が同じとはどういう意味か聞こうと思ったが、今思えば自身に思い当たる節はあった。

 

いつも軍人としての役割を果たさなければならない。戦場への駆り出す時はいつもそう思っていた。

女子供が駆り出されているこの戦争で俺は自身が情けないと感じたからこそ、軍人としての矜持を示そうと焦っていた。

 

「その顔見てみると、あんた自身もわかってるんでしょう?」

「…そうだな。俺は少し焦っていたかもしれない」

 

側から見れば、俺は死に急いでいたように見えたのだろう。だからこそケイトは心配してくれている。

…ジュンコの身を案じていたが、俺も同類だったようだ。

 

「…ジブラルタルで私も死を目の当たりにしたように、戦争はいつ何時だってぽっくり逝ってもおかしくない」

 

ケイトは悲しげに笑う。

 

「今こうやって生きているのもあんたのお陰なんだよ、メオ」

「…それはどうも」

 

彼女は俺の言葉を聞くと、普段の明るい満面の笑みで、小さくではあるがじゃあねと、部屋を出て行った。

ネスも同じ事を言っていたが…、彼女も俺が死に急いでいるように見えていたのだろうか。

それなら、尚更俺は情けないな。こんなにも心配されているなんて。

 

俺も、もう少し立ち回りを考えないといけないな。愛機も失って、心機一転しないといけないこの時にこそ、自分の身は自分で守るべきだ。

 

 

——

 

 

 

ネスに栄養ゼリーのチューブを貰ったが、やっぱり口にするならハンバーガーだろう。

という訳でリーンホースの食堂へとやってきた。

 

人はまばらではあるものの、ここの飯は案外美味い。

昔、サラミス級に軍事訓練で食堂へと通ってはいたものの、どれも余り口に合わなかった。所詮は栄養を重点的にしている食事はそんなものだろう。

 

シェフからハンバーガーを注文し、トレーへと食べ物を詰めていく。

見事に茶色っ気のあるものばかりではあるが、好きなものは好きなように食べていかないと、損ではないかという俺の信念であり、こればかりは譲れない。

トレーを両手で持ちながら、席を探していると遠くでウッソの姿が見えた。どうやらあいつも食事をとりに来たらしい。

 

「よう、ウッソ」

「…あ!お疲れ様です」

 

ウッソが俺の存在に気づくと、すぐさま席を立ってお辞儀をしてきた。彼は俺に対して畏まった態度だ。別に上司でもないから、あまり気にする必要は無いと思うが。

 

ウッソのトレーには1つのパンと、少量のサラダが乗っかっていた。まるで体型を気にしている女の食事みたいだ。見るからに物足りなさを感じる。

 

「おいおい、育ち盛りだからもっと食え。ほら」

 

見るに堪えなかった俺は、大盛りのマッシュポテトを彼のトレーへと盛り付ける。

 

「ハハ…ありがとうございます」

 

苦笑いを浮かべたウッソ。あまりマッシュポテトは好んでいないのだろうか。こんなにも美味しいけどな。

…今思えば、MSデッキであんなにもはしゃいでいたウッソが、今は元気が萎んでいるようにみえる。

 

「どうしたんだ?シャクティ達は無事なんだろう?何か暗いぞお前の顔」

「…確かに最初はとても嬉しかったんですけど、カテジナさんの事を考えると…」

 

目を伏せるウッソ。どうやら、彼自身も俺と同様の疑問を抱いていたみたいだ。

女といえど、ザンスカールはギロチンの下による恐怖政治を行っている。

捕虜として扱わられているならばまだしも、拷問に掛けられる事は無いとは言い切れない。

 

だが彼女の行動はどちらかといえば、自らザンスカール帝国へと歩み寄っている様に感じる。

 

ウッソの話す、カテジナという少女。元はウーイッグのお嬢様という事らしいが…。

何か嫌な予感がするのは気のせいなのだろうか。

 

「…まぁ考えても仕方ないだろうさ」

 

静寂に包まれた食事、重苦しい雰囲気になっている事に気付き、俺は話題を変える事とした。

 

「そういえば、ラビアンローズに行って補給を受けるって話は聞いたか?」

「はい、リーンホースが改装する間、僕は味方の生存者の探索でVを出す予定です」

 

これは丁度いい。補給がてら、ジャベリンの試運転もいきたいところだ。感覚をいち早く掴まないと、また戦闘で手間を取らしてしまう可能性がある。

 

「俺もいいか?ジャベリンの試運転も兼ねて、準備運動をしておきたいんだ」

「大丈夫です!僕の方こそよろしくお願いします」

 

そんなこんなでウッソと話を続けていたら、不意に肩に手を置かれた。

 

「ご苦労、メオとウッソ!」

「オリファーさん!」

 

スケコマシで有名なオリファーの登場だ。敢えて小さくご苦労と口にすると、彼はすっとぼけた表情で首を傾げる。

 

「おいおいなんだメオ。最近、僕に素っ気なくないか?」

「それは自分の胸に手を当てて考えろ」

 

何だそれと、笑いながら俺の隣へと座るオリファー。この様子だと絶対に自分が今置かれている立場をわかっていないようだ。この眼鏡男は妙に女にモテているような節がある。

 

少し羨ましいと思ったが、この戦争中にそんな色沙汰は勘弁なものだ。ただでさえ、今日まで生きてきたのが奇跡と言っても良いほどに運がある。

だが先程ケイトが話していた通り、そんな運が続くわけもなく、さらには唐突に死というものはやってくるだろう。いつまでもラッキーマンではいられないな。

オリファーの能天気な態度を目にして、そんな風に決心を固めた俺はハンバーガーを丸呑みにする。

 

「ングッ」

「ど、どうしたんだメオ…そんな奇行に走るなんて頭でもやられてしまったか?」

「やられてる訳がないだろ?俺はプロ軍人だからな。これからはストイックに生きてこうと決めたのさ。俺は先に準備しとくからなウッソ!」

「は、はい!」

 

いつもはMSの出撃が気怠いと嫌気が差していた。しかし、今の俺にとっては何だかいつもよりも身体が軽いように感じた。

 


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