ガノタの野望 ~地球独立戦争記~    作:スクナ法師

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初めてお会いする方、はじめまして。 お久しぶりな方、お久しぶりです。 長らくお待たせしてすみません。 


プロローグ

PSPでガンダムゲームをやってたんだ…

 

うん。

 

 

そしたらいつの間にか船のブリッジらしきところに居た。

 

 

…なんで?

 

室内の真ん中に据えられた一段高い席に座りながら周りを見渡すと、ガンダムのマスコットキャラのハロが端末の前の席に鎮座してたり、室内をプカプカ浮いてた。 もっさりとした髭を生やしたハロまで居る…

 

そういえば重力を感じない。

 

あれ?

 

足が地面から浮いてプカプカと…

 

 

そこで席の脇に付いたひじ掛けにメモが貼ってあるのに気づく。

 

メモの内容は…

 

 

“拝啓、突然の事で戸惑ってるだろうけど落ち着いて読んでほしい。

 

私は君達人類の言葉で当てはめるのなら、神とも呼ばれる存在だ。

 

実は此方のミスで、君の存在を君の世界から消してしまった。

 

すまない。 本当にすまない。

 

君が居た元の世界では君が居たという記憶も記録も全て消滅してしまい、君が元の世界で生きるのは不可能になった。

 

そのまま放置すれば君の魂までもが消滅してしまうので、緊急措置として別の平行世界に飛んでもらったのだが…

 

 

重ねてすまない。

 

君が転移可能な世界が一つしかなく、しかもその世界は危険に溢れた世界なのだ。

 

更には君が今居る世界は、世界律が狂った世界で本来の歩むべき道から逸れた枝の世界なのだ。

 

本来歩むべきこの世界の姿は、異世界人の君も知っている。”

 

 

そこまで読むと、急に激しい頭痛が起こり、様々な映像と知識が流れ込んできた…

 

地球外生命体

 

地球侵略

 

生存を掛けた戦争

 

BETA

 

戦術機

 

オルタネイティブ計画…

 

 

 

「マ…ブラヴ? おる…た?」

 

 

えっ… 今居るのはゲームの世界…?

 

半ば茫然としながらも手紙の続きを読む。

 

 

“本来ならば、この世界も君がゲームとして知る歴史を辿るはずだったのだが、君がその場に居る原因ともなった我々、神が存在する高異次元世界の争いの余波で世界の因果律が狂ってしまった。

 

 

その結果、このまま歴史が進んでも、最終的にはこの世界の地球生命は人類も含めて滅んでしまう結末になってしまうのだ。

 

可能性を秘めた生命は貴重であり、我々のミスで失ってしまうのは余りにも惜しく、申し訳ない。 そして最早、細かな歴史修正ではどうにもならない現状で我々が下した決断は、歴史に大幅な介入を施し、本来は生存するはずのこの世界の地球生命の救済を行う事にしたのだ。

 

そこで勝手ながら、異世人たる君に我々の代行者として地球生命の為に戦って欲しいのだ。

 

代行者たる君には、制限付きながら必要な力を我々から贈らせて貰う。

 

君が此処に来る直前にやっていたゲームと、君の知識を元にした力を受け取って欲しい。

 

 

本来であれば我々が自ら行いたいのだが、我々が直接力を行使するとその不安定な世界が崩壊する恐れが有るため、君にしか頼めないのだ。

 

我々の失態に勝手に付き合わせて本当にすまない。

 

しかし、願わくばその世界の地球生命を助けてやって欲しい。

 

やり方は君に任せる。 だから、どうか我々の頼みを聞いて欲しい。”

 

 

 

 

え~… いきなり過ぎるよ。

 

 

なに、この超展開?

 

これは断れるのか?

 

ていうか、俺にそんな大それた事が出来んのか?

 

 

…現状は手紙と、さっきの知識の流れ込みで分かった。

 

俺本体は、見た目はそのままで能力はガンダムのエースパイロット、アムロ・レイと同等… なんて畏れ多い。

 

上着のポケットに入ったPSPを使って兵器の生産とか出来るらしい。 因みに技術レベルがあって、それによって生産可能な兵器と生産効率が左右される。レベルは何かを作ったり、開発してけば上がるのは、直前にやってたゲーム、ギレンの野望とちょっと違うな…

 

 

兵器の生産には資源を使わないが生産数に上限があり、拠点を増やせば上限は上がる。

 

 

「現在地は、マゼラン級戦艦アナンケに搭乗して6つの戦隊を率い、月と地球の間…ラグランジュポイントに位置するコロニーの周囲に待機中か…」

 

戦力は、マゼラン戦艦にサラミス巡洋艦と補給艦のコロンブス級。 艦載機はセーバーフィッシュにトリアーエズとボール。

 

あとはオープンタイプのコロニーが一基…

 

パイロットと艦の運営は高性能AIと擬似人格?を入れたハロがやるので人間は俺一人…

 

 

微妙…技術レベルが1だし、これでやれと?

「はぁ… 断れないんだろうな…」

 

え~と、現在の地球の時間は…

 

西暦1997年の1月3日か…

 

まだこの時期は日本は無事なのかな?

 

 

「え~っと、ハロ? 」

 

『ハロ!』

 

とりあえず地球の状況が知りたいので、ハロに声を掛けるとプカプカ浮いていたハロの一つが、羽のようなカバーをパタパタさせてこっちを振り向いた。

 

「あのね? 地球の世界情勢が知りたいんだけど…」

 

『ハロ!』

 

 

応えたハロが俺の席に近づき、口を開けてケーブルを伸ばすと椅子に備え付けられた端子に接続して 、ひじ掛けから端末とディスプレイを展開させる。

 

モニターに浮かぶのはBETAに真っ赤に染められた世界地図に、各国のメディア情報から機密情報まで…

 

希望が持てる情報が少ない…

 

 

現在の生産可能なMSは、ザクⅠ、Ⅱ…

 

原作通りに行っても救われない地球…

 

 

俺が何かをやらなきゃならない…

 

 

なんというリアルムリゲー…!?

 

 

 

駄目だ。 どうすりゃいいのか分からない。orz

 

 

いっそ吊るか?

 

待て待て。 諦めたらそこで試合終了のお知らせだ。

 

先ずは落ち着いて優先事項を考えよう。

 

…先ずは戦力を整える事かな?

 

手持ちの戦力じゃ何も出来そうにないし、生産数を増やして技術レベルを上げるために地球へ降りて土地貸してもらって拠点を増やす… 無理だな。

 

いきなり土地を貸して下さいと言っても貸してくれそうもないし…

 

そこら辺の交渉とかややこしそうだな。

 

…暫くはコロニーに引き込もって、技術レベル上げたりして細々と戦力を蓄えるか。

 

うん! そうしよう! 先ずは戦力を整えつつ、情勢の正確な把握に努めよう!!

 

 

「ハロ! 艦をコロニーの港に着けて。 あと、他の艦はコロニー周囲の警戒よろしく!」

 

『ハロ!』

 

俺の指示に従い、艦はゆっくりと向きを変える。 するとブリッジの横に円筒形の巨大な建造物、スペースコロニーの姿が流れ込んで来る。

 

「…シリンダーの中に街がある…か。 い言えて妙だな…」

こんな状況じゃなきゃ、素直に感動出来るんだけどな~

 

異世界に一人で住むには大き過ぎる家だな。 狭くとも楽しい我が家が恋しい…

 

しっかり者の兄貴と姉が居るから父さんと母さんは大丈夫だろう。 俺の記憶が消滅したらしいから、悲しませないで済むのは幸いだ…

 

 

 

…幸いなのか?

 

 

やべっ。 涙が滲んできた。

 

無重力だと、涙って周りに漂うんだ…

 

それすらも今は悲しいな…

 

『ハロ? シンジ大丈夫カ? オ腹イタイカ?』

 

「違うよハロ… 心配してくれてありがとう」

 

『シンジガンバレ! シンジガンバレ! ハロモガンバル!』

 

ハロに励まされた… 悪い気はしない。 更に涙が零れそうになるがグッと我慢する。

 

見れば周りのハロ達も俺を心配してか、羽をパタパタさせながら『ハロ、ハロ』と合唱している。

 

「大丈夫だよ、みんな。 …艦隊とコロニーに居る全てのハロに通信を開ける?」

 

『ハロ! 出来ル、出来ル!』

 

これから一緒にやって行くんだから、挨拶はしとかないとね。

 

『繋ガッタ、繋ガッタ』

 

 

「ありがとう。 …え~、みんな初めまして。 この度、みんなの指令長官? になった藤枝慎治(フジエダシンジ)です」

 

『ハロ、ハロ!』 『ハロ、初メマシテシンジ』 『テヤンデイ!』

 

通信スクリーンには他艦のブリッジに詰めるハロ、細いアームを伸ばして格納庫や機関室でメンテナンス作業を行っているハロに、食堂でキッチン帽を被ったハロが入れ替わり立ち替わり現れる。

 

一瞬、ライトグリーン色のハロ達の中に、ピンクのハロを見たのは気のせいだと思う。

 

 

「みんな宜しくね? 此れから俺たちがどんな風に成るかはまだ分からないけど、なんとかやってみようと思う。 だから皆で一緒に頑張ろう」

 

そう、頑張らなきゃいけない。

 

この世界で生きてく為には…

 

逃げ場なんて何処にも無いんだから…

 

 

 

 

 

 


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