インフィニット・ストラトス ~迷い込んだイレギュラー~   作:S-MIST

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第16話 緊急ミッション-1(後編)

 

 ―――SYSTEM CHECK START

    →HEAD:063AN02・・・・・・・・OK

    →CORE:EKHAZAR-CORE ・・・・・OK

    →ARMS:AM-LANCEL・・・・・・・OK

    →LEGS:WHITE-GLINT/LEGS ・・・OK

    

    →R ARM UNIT  :-

    →L ARM UNIT  :-

    →R BACK UNIT  :050ANR(レーダー)・・・・OK

    →L BACK UNIT  :050ANR(レーダー)・・・・OK

    →SHOULDER UNIT :EUPHORIA(シールド強化装置)・・・OK

    →R HANGER UNIT :EB-O600(レーザーブレード)・・・・OK

    →L HANGER UNIT :PG02-DENEB(パルスガン)・・・OK

 

 ―――STABILIZER

    →CORE R LOWER :03-AALIYAH/CLS1・・・・・OK

    →CORE L LOWER :03-AALIYAH/CLS1・・・・・OK

    →LEGS BACK  :HILBERT-G7-LBSA・・・・・OK

    →LEGS R UPPER :04-ALICIA/LUS2 ・・・・・OK

    →LEGS L UPPER :04-ALICIA/LUS2 ・・・・・OK

    →LEGS R MIDDLE:LG-HOGIRE-OPK01・・・・・OK

    →LEGS L MIDDLE:LG-HOGIRE-OPK01・・・・・OK

 

 ―――VANGUARD OVERED BOOST

    →MAIN BOOST-1・・・・OK

    →MAIN BOOST-2・・・・OK

    →MAIN BOOST-3・・・・OK

    →MAIN BOOST-4・・・・OK

    →MAIN BOOST-5・・・・OK

    →SUB BOOST-1 ・・・・OK

    →SUB BOOST-2 ・・・・OK

    →SUB BOOST-3 ・・・・OK

    →SUB BOOST-4 ・・・・OK

    →SUB BOOST-5 ・・・・OK

    →SUB BOOST-6 ・・・・OK

    →SUB BOOST-7 ・・・・OK

    →SUB BOOST-8 ・・・・OK

 

 ―――SYSTEM CHECK ALL CLEAR

 

 (薙原晶)の脳内に、自己診断プログラムの結果が流れていく。

 流石は束博士。

 一度もマッチングをしていないのに、完璧な調整が施されている。

 ここは博士の自宅。その研究室の一角。

 台座の上に固定されている大型外付けブースター(VOB)に、背中からドッキングしている俺に、博士が声をかけてきた。

 

「薙原、いい。このブースターはちゃんと動くけど、拡張領域(パススロット)へ格納する際のアルゴリズムが最適化されていないんだ。だからパージしたら、そのまま自壊するようにセットしてある。パージタイミングに気をつけて」

「分かった。行ってくる」

「無理しちゃ駄目だよ。貴重な話し相手がいなくなるのは困るからね」

「貴重な?」

「常識過ぎる発想に囚われないって意味」

「常識人のつもりなんだけどな?」

「本当にそうなら、世の中もっと面白いんだけどね」

 

 そう言って博士が手元のスイッチを押すと、天井の隔壁が一枚づつ開いていく。

 と同時に俺が立っている台座がリフトアップ。

 隔壁が開き、良く晴れた空が見えるシャフトを昇っていく。

 その最中、VOBに起動コマンド。

 

 ―――VOB待機(アイドリング)モードへ移行。

 

 程よいレスポンスで脳裏にメッセージが返ってくると、低い起動音と僅かな振動が、背中から伝わってくる。

 更にコマンドを送り、PICをコジマ粒子による擬似慣性制御エミュレートモードから、IS本来の慣性制御モードに切り替え。

 リフトアップが完了し、外に出た俺の両足が大地から離れる。

 だが、まだVOBは待機(アイドリング)モードのまま。

 ゆっくりと大地を離れ、ネクストともISとも思えないような、ノロノロとした速度で第三アリーナ上空へ向かう。

 先に連絡しておいたので、濃い緑色のラファールに身を包んだ山田先生は、既に待機していた。

 

「それが、私を連れて行く手段ですか?」

 

 あまりに巨大なブースターを背負い、ノロノロと進む姿に不安を覚えたのだろうか。

 少し疑わしそうな目をしている。

 まぁこんな大げさな、全長4mもあるようなデカイものを背負っていれば、そう思うか。

 VOBの形は、ACFAと殆ど変わらない。中央に一際大きな大口径ブースター。それを取り囲むように配置された4つの中口径ブースター。

 そして各所に配置された8つの小口径ブースター。唯一違うのは、上面に捕まる為の取っ手と、足を乗せる為の台座、そして身体を固定する為の器具が追加されているくらいだ。

 

「ああ。これが手段だ。とりあえず上に乗ってくれ」

「え、ええ」

 

 そう言われた山田先生はVOB上面に乗り、うつ伏せになった。

 

「作戦情報で確認していると思いますが、“本当に”しっかりと固定して下さい。万一振り落とされたらラファールじゃ追いつけないし、こっちも回収するのに時間がかかりますから」

「大丈夫。しっかりと固定してますから」

 

 センサーで後ろを確認すると、確かにしっかりと固定していた。

 うん。これなら大丈夫だろう。

 思わず視線が押し潰されている2つの丸くて大きいものに吸い寄せられそうになるが、今は我慢。

 こんな状況じゃなければ、じっくり見たんだけどなぁ。残念。

 これから先は、流石にそんな余裕は無い。

 宇宙で出した速度よりは遅くなるが、大気っていう邪魔物がある中での加速だ。気が抜けないだろう。

 

「そうか。じゃぁ、行くぞ」

 

 機体本体のブースターを使い、IS学園から離れつつ高度2万mまで上昇。

 ここまで上がれば、地上の心配はしなくていい。

 

「あの、随分ゆっくりしてますけど、大丈夫なんですか?」

「大丈夫。――――――最後に確認しておきたい。問題は?」

「システムオールクリア。固定も万全。問題無し」

「じゃぁ・・・・・始めるか」

 

 エネルギーシールドを前方に鋭く長く尖った円錐状に、馬上槍のように形成。大気を切り裂く刃とする。

 更にPICの制御範囲を、後ろにいる山田先生も含めるように再設定。これから出す速度は、ラファールの性能限界を突破しているから、万一の事態にそなえての安全策だ。

 そして最後に、VOBにシフトアップをコマンド。

 

 ―――VOB巡航(クルーズ)モードへ移行。

 

 無機質なメッセージが脳内を流れると、背後から甲高い機械音が聞こえてきた。

 背中に圧倒的な推力を感じさせる、力強い圧力がかかり始め、通常のISではありえない加速力を持って進み始める。

 速度計の数値が一気に跳ね上がり、僅か数秒で時速5000kmを突破。

 

「こ、これは!! 凄いですね」

 

 後ろから声が聞こえる。

 だが、まだ先がある。

 更にシフトアップをコマンド。

 

 ―――VOB戦闘(コンバット)モードへ移行。

 

 加速は更に続き、数秒後には時速6000kmに突入。

 全てが一瞬のうちに遥か彼方後方へ流れ、遠くに見える雲すらも、瞬きする間に目の前に迫る。

 まるで世界の中で、自分だけが動いているような感覚。

 そして、最後のシフトアップをコマンド。

 

 ―――VOB最大出力(マックス)モードへ移行。

 

 前方に円錐状に展開しているエネルギーシールドが、大気摩擦により、飛行開始から僅か十数秒しか経っていないにも関わらず、赤熱化を始める。

 その様は、文字通り一筋の閃光。あらゆるものを置き去りし空を駆ける。

 作戦目標である超音速旅客機(SST)を目指して。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「見えました!!」

「ああ。ようやく捉えた」

 

 (薙原晶)の背中に装着されている大型の外付けブースターに捕まること、約1時間15分。

 北アフリカ西北端の国モロッコから、北大西洋へと抜けた洋上で、目的の超音速旅客機(SST)を発見しました。

 

「一度超音速旅客機(SST)の前に出てから減速。速度を合わせる」

「分かりました」

 

 ここからパリまでは約2050km。超音速旅客機(SST)なら一時間とかからない距離です。

 その間にエンジンを止めて、内部で回路を切断してもらい、着陸可能な速度にまで減速してもらう。

 トラブルが無ければ間に合うと思いますけど・・・・・この嫌な感じは一体?

 いえ、気にしても仕方ありません。まずは仕事に取り掛かりましょう。

 生徒の前で無様な姿は見せられませんから。

 彼が見事な旋回機動で超音速旅客機(SST)との並行軌道に入り、そのまま一度前に出た後に減速を開始する間、私は超音速旅客機(SST)のパイロットに連絡。これからの手順を確認しておきます。

 そうして確認が終わったところで、彼はピタリと右翼中央に設置されているエンジン部、しかも私の手が整備用パネルに届く位置という絶好の位置にポジショニング。

 凄い。この速度で完璧に合わせてくるなんて。

 私も負けていられない。

 そう自分を奮い立たせて、機体を傷つけないように細心の注意を払いながら整備用パネルをオープン。

 

「え?」

 

 一瞬、自分の目を疑ってしまいました。

 でも何度瞬きしても、ハイパーセンサーで確認しても、間違いありません。

 

「どうした?」

「パネルが、パネルが壊れてるんです!!」

「なっ!!!! なら反対側だ」

 

 すぐに彼は軌道修正。左翼エンジン部にポジション。

 でも、

 

「こっ、こっちもです」

「チッ、一度離れる」

 

 彼は接触を避ける為、すぐに超音速旅客機(SST)から離れました。

 これでは最悪の可能性が。何か、何か方法は・・・・そうです!!

 

「薙原君。もう一度左翼にアプローチして下さい。燃料タンクを手動で開けて燃料を放出。エンジンを自然停止させます」

「なるほど!!」

 

 見事なアプローチのおかげで左、そして右側のタンクもすぐに開けられました。

 でも、これだけでは足りません。

 燃料が全て放出されてエンジンが停止するまでの時間と減速時間、そして回路の切断と空港への進入経路の調整。

 全部含めて考えたら、多分間に合わない。

 すると、

 

「なぁ先生。オートパイロットってのは、自動的に目的地に行く為の機能だよな?」

「え、ええ」

 

 こんな状況で何を?

 質問の意図が分かりません。

 

「なら進路が狂えば、当然オートで進路調整はするよな」

「ええ」

「エンジン停止までの時間と減速時間を考えたら間に合わないよな」

「ええ」

「ならちょっと・・・・・いや大分危険だけどやりたい事がある」

「この際、助ける手段があるなら手を尽くすべきでしょう」

 

 そうして彼が語った手段は、確かに危険極まりない事でした。

 意図的に超音速旅客機(SST)と接触して進路を狂わせる。

 そうして暴走したオートパイロットに進路調整を繰り返させ、燃料を浪費させる。

 イメージとしては並走している車同士の接触でしょうか。

 でも難易度は桁違いです。

 下手に傷つけたら、そのまま空中分解しかねない。

 

「どうする? 俺にはこれ以上の方法が見つからない」

「・・・・・やりましょう。私にも、それ以上の方法が見つかりません」

 

 本当は物凄く怖いです。帰りたいです。でもやらなければ、助けられません。

 そして他に助けられる人はいないんです。

 

「・・・・・」

「どうしたんですか?」

「意外だ。一応話したが、断られると思ってた」

「仮に断っていたら、どうしました?」

「代案が無いなら、振り落として1人でやった」

 

 ・・・・・薙原君は、どうやら酷い生徒みたいです。

 優等生のふりをして安心させて、いざとなったらポイですか。こんな海の真ん中で。

 帰ったら授業でレポート倍増に、私のお手伝いの刑です。

 放課後のトレーニング? 知りません。教師に向かって堂々とポイ捨て宣言なんて許しません。

 でもそれは、全ては帰ってからです。

 今は助ける事だけを考えましょう。

 

「考えているアプローチ方法は?」

「機体右側に並走、コクピット横で左に90度ロール。頭を機体側に向けて先生に押してもらう」

「私が、機体と薙原君の間でクッションの役割をすればいいんですね」

「そうだ。それで大西洋側に進路変更させる」

「分かりました。頑張りましょうね」

「勿論だ」

 

 アプローチする間に、またパイロットに連絡。

 多分機体が揺れるだろうから、乗客にもしっかりと対ショック姿勢をとってもらうように話す。

 

「じゃぁ、行くぞ」

「ええ!!」

 

 私は身体の固定を緩めて、ある程度身体が動くようにします。

 そして90度ロール。接触。

 慎重に。慎重に機体を押します。進路を僅かでもずらせれば、それだけ燃料を多く浪費させられる。

 でも焦ってはいけない。汗が止まらなくても、口の中がカラカラになっても、力加減を間違ってはいけない。

 機体を傷つけたら、全てが終わってしまう。

 そうしてどれほど時間が経ったでしょうか?

 

「先生!! この辺で大丈夫だ!! 離れるぞ」

 

 視界に表示されているMAPを確認すると、当初の予定コースから大幅にずれています。

 この速度で超音速旅客機(SST)がパリへ向かうなら、大幅な遠回りになるから、燃料が空になるのは間違いない。

 やりました!!

 

「どうにかなったか」

「ええ。やりましたね。後は―――」

「ああ、後は着陸だけだ」

 

 この後、超音速旅客機(SST)が十分に減速したところで私は単独飛行を開始。

 彼はそれと同時に、外付けの大型ブースターをパージ。

 予め打ち合わせておいた両サイドにそれぞれ移動し、着陸に備えました。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ―――フランス。ナント・アトランティック国際空港

 

 滑走路には万一の事態に備え、多くの消防車や救急車が既に待機していた。

 そしてレスキュー隊員や居合わせた旅行客達は、こちらを、固唾を呑んで見守っている。

 (薙原晶)はそんな光景を遠くに見ながら、コンコルドMKⅡを挟んで、反対側にいる山田先生に通信を開いた。

 

「なぁ先生」

「なんですか?」

 

 思っていた通り声が硬い。

 本当は多分、逆なんだろうな。そんな事を思いながら言葉を続ける。

 

「物凄くどうでも良い事だけどさ。今日授業に出ていない分の単位ってどうなるのかな?」

「え?」

「いや。だから単位。ほら、俺一応今学生だしさ。休んだ分はどうなるのかなと思って」

「え、ああ。そうですね。やっぱり補習になってしまうと思います。疎かにして良い授業っていうのはありませんから」

「そこ、何とかならないかな? 今回のは仕方無い事態だと思うんだ。なら、何か思いやりのある対応をしてくれても良いと思うんだけど」

「そうですね。今日の動きを見ていれば、実技の単位はあげても良いと思うんですけど・・・・・流石に座学まではあげられません。幸い今日休んだ分の授業は、私と織斑先生の担当ですから、補習はすぐにしてあげられると思いますよ」

「残念。座学もくれたらよかったのに」

 

 しかし、考えてみれば美人教師と2人きりで補習っていうのは美味しいな。うん。

 そう思った俺だったが、さっきの『ポイ捨て』宣言のおかげでレポートが倍増され、そんなシチュエーションを楽しむ余裕なんて欠片も無くなるとは、この時は思ってもいなかった。

 

「世の中、そんなに甘くありませんよ」

「甘くないから、たまに甘いのが欲しくなるんだよ」

「それを教師に求めるのは間違いです。教師は辛いのやすっぱいのしかあげません」

「どんなスパルタだよそれは。たまには甘いのもくれ」

 

 そんな馬鹿話をしていると、山田先生の声が柔らかくなってきた。

 緊張も少しは解れたかな?

 遠くに見えていた滑走路が近付いてくると、コンコルドMKⅡのパイロットから通信が入った。

 

『これからアプローチに入る。よろしく頼む』

『任された。安心して行ってくれ』

『はい。安心して降りて下さい』

 

 コンコルドMKⅡのランディングギアが降り、空気抵抗で更に減速を開始。

 もう後戻りは出来ない。

 天候は無風・快晴で視界良好という最高のもの。

 徐々に高度が下がり、滑走路が近付いてくる。

 タッチダウンまで残り5m・・・4m・・・3m・・・2m・・・。

 行けるか? そう思った時、風が吹いた。

 

「向かい風!?」

 

 突如として、突風とも言える向かい風が吹き、コンコルドMKⅡの巨体がフワリと浮く。

 俺と山田先生は即座に機体を両側から掴み安定させ、パイロットは突然の事態にも冷静に機体をコントロール。

 全てが奇跡的に上手く噛み合い、無事にタッチダウン。

 だが、機体が浮いて前進した分、今度は滑走路の長さが足りなくなった。このままだとオーバーラン。最悪で横転だ。

 

「ったく、次から次へと!!」

「本当にですね!!」

 

 俺と山田先生はコンコルドMKⅡの正面へ出て、2人揃って前から押してブレーキをかける。

 ここまでやったんだ。死人も怪我人も、1人だって出してたまるか!!

 だが、徐々に滑走路の終端が迫る。

 しかも力加減が難しくてブースターを全開に出来ない。

 止めるだけなら出力を全開にすれば良いが、ただの飛行機でしかないコンコルドMKⅡが、どこまで正面からの加重に耐えられるのかが分からない。もし加重限界を越えて機体を破壊してしまったら、それこそ悪夢だ。

 更に近付いてくる終端。募るもどかしさ。

 そんな中、刹那の閃きが脳内を走る。

 正面から押すのが駄目なら、後ろに引っ張ったら?

 ドラッグレースやスペースシャトルは、後ろに減速用パラシュートがついている。

 アレみたいにやったら? 後ろに引っ張るなら、小難しい事は考えなくて良い。

 機体のフレームが引きちぎれない限り、乗客は安全なはずだ。よし!!

 

「山田先生。確か工作用の装備には、特殊鋼製のロープがあったはずですね」

「あるけど、この状況じゃ――――――」

「使えます。ロープで後ろから引っ張るんですよ」

「え?」

「前から押したら、力加減が難しくて“NEXT”の全力を出せない。でも後ろに引っ張るなら、気兼ねなく全力でやれる」

「分かりました」

 

 2人同時にコンコルドMKⅡの正面から離れて後ろに回る。

 そして山田先生は、ラファールの固定兵装兼ハードポイントでもある盾。その裏側に装備されているアンカーロープを、コンコルドMKⅡの後部へと打ち込んだ。

 

「よし、ちゃんと機体フレームに食いつきました。これでちょっとやそっとじゃ外れません」

「流石先生だ!!」

 

 すかさず俺はロープを掴み、ブースター出力をシフトアップ。

 滑走路の終端が、すぐそこまで迫ってきている。

 だが、もうオーバーランなど有り得ない。

 ネクストISの圧倒的推力が、超音速旅客機(SST)という巨体を減速させていく。

 自分でも現実離れした光景だと思うが、多分見ている人達はもっとそう思っているだろう。

 脳裏の片隅で、不謹慎にもそんな事を思っている間に、コンコルドMKⅡは更にその速度を減じ、無事に停止する。

 こうして(薙原晶)は、山田先生の協力もあって、無事に依頼を遂行する事ができた。

 でもこれが、今後どういう影響を及ぼすのかは、正直考えたくなかった。

 とりあえず。今はゆっくり休みたい・・・・・疲れたよ。

 

 

 

 第17話に続く。

 

 

 


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