ロックマンエグゼTR 作:謎沢
熱斗はともかく走った。なにも考えずに。ただ、良平を助けるために。時には休憩や立ち止まったりした。しかし、その時でも、良平のことを考えていた。
一方、国王は、このことを随時聞いていた。それを聞けば聞くほど笑みが増えた。
そして、部下にも。この国では、少年を殺すということを平気で言えるようになってしまったのである。そして、本当に実行に移してしまおうとしていた。
いつもなら国王が演説をする広場には、体を固定するための台が用意された。
「さあ、明日が楽しみだ。」
国王は喜びでなかなか寝付けなかった。そのころ、熱斗も、寝てはいられなかった。まだまだ首都は先であった。
後ろを歩いていたスバルたちは、砂漠の中で寝た。砂が入ってくるが、テントを出すことができないので、しょうがなくここで寝ているのである。
寝静まったころ、後ろに隠れていたスパイが現れた。そして、大きな袋に二人を入れた。しかし、梅園先生を入れるのは大変である。よっぽどの者であることは確かである。
間違いない!!
次の日、熱斗は疲れながらも走った。それにはロックマンも感心した。それとは対照的に、国王は熱斗を殺すことに何かを感じていた。多分、快楽殺人とかいうものなのだろう。しかし、今はだれもその事実に気がついていない。
「ついに、首都が見えた。」
熱斗は、地平線のかなたにある町を見つけた。これが首都のシェルパだ。
そのころ、ちょうどスバルたちも目覚めた。しかし、周りは白かった。そう。布の袋に入れられ、輸送されていたのだ。上里先生も気がついたが、いくら暴れても、それはスバルに被害が及ぶだけだった。
そして、スバルたちを乗せたトラックも首都へだんだんと近づいた。
国王は、部下に呼ばれて広場に出た。国王の顔は笑みが絶えなくなっていた。
熱斗は広場へ向かった。
「順平!」
熱斗は広場に入ると同時に叫んだ。しかし、この後思わぬ事態が熱斗たちを待ち受けていた。