ロックマンエグゼTR 作:謎沢
そして、オアシスに来ると確かにスバルは木陰の後ろにいた。
熱斗は急いでスバルの前へ行った。そして、頭を下げて言った。
「さっきはありがとう。」
しかし、スバルは下を向いたままだった。その状態が何分か続いていた。
後ろでは、昭二と上里先生が話していた。
「・・・ほんと、男なら一度は通る道なんだけどな。」
「上里さん。」
昭二は、上里先生を静かにさせた。そして、やっとスバルは口を開いた。
「いつから熱斗はそうなったんだ。前の熱斗のほうが好きだった。」
それに熱斗は困った。自分ではそう思っていなかった。
上里先生はついにスバルに怒った。
「別に、いいじゃん。男なら通る道なんだよ。ねえスバル。」
それにスバルは言った。
「確かにそうかもしれない。しかし、熱斗だけにはなってほしくなかった。熱斗は、素直だからいいんだ。でも、なんだかだんだん素直さが無くなっていっているようにしか見えないんだ。」
熱斗はスバルの言葉に何かを感じた。それは何か忘れていたものかもしれない。でもその正体は謎のままだった。
<自分は何かが変わってしまったんだ。>
熱斗の心の中をその言葉が飛び交った。
「スバルもいい加減にしないか。お前の気持ちだって分かるが・・・」
上里先生が言ったが、熱斗が上里先生を止めた。そして、スバルに言った。
「たしかに、何かおかしかったかもしれない。でも、俺にはわからないんだ。どこが変わってしまったのか。」
それにスバルは言った。
「もしかすると、僕もおかしかったかもしれない。ごめん、こんな迷惑をかけて。上里先生も。」
それに上里先生は謝りたかった。上里先生も自分で言いすぎたと思ったのだ。
「さあ、見つからないうちにどこかへ行かなければ。」
昭二が言った時、砂漠の中に少女が立っていた。
「あの子は、研究所の。」
熱斗は驚いた口調で言った。