「只今、戻りました。」
翌朝、ようやく、ハヤテとナギがお屋敷に戻ってきた。
あの料理勝負が終わったのは、明朝のことだったのだ。
「あらあら、どうしたのですか、こんなに遅くなって…。」
マリアさんはそう言って、ハヤテたちを出迎えた。
「それが、実は…」
ハヤテが事情を話そうとしたとき、ナギが眠たそうに、
「私は疲れたから寝るぞ。」
と言った。
ハヤテとマリアさんは、急いで、ナギの寝る準備をした。
準備が整うと、すぐにナギはぐっすりと寝てしまった。
「ハヤテ君は睡眠取らなくて大丈夫なのですか。」
マリアさんがそう言ってくれた。「はい、事情を話たら寝たいと思います。」
「一体、何があったのですか…」
そして、ハヤテは昨日から今日のことを話した。
「そうですか…。ナギが無事でなにより。」
「はい…。」
そう答えるとハヤテも寝てしまった。
「あらまあ…。」
マリアさんは椅子の上で寝てしまったハヤテに毛布を掛けた。
「しかし、なぜ、今更、世界征服なんて企んでいる人がいるのでしょうか…」
マリアさんは疑問に思いながらも、いつものように掃除などの仕事をこなした。
それから、ハヤテが目を覚ましたのは、昼過ぎだった。
ハヤテが目覚めたときは、まだ、ナギはぐっすりと寝ていた。
「マリアさん。毛布かけてくれて、ありがとうございました。」
マイアさんを見つけると、即座にハヤテはそういった。
「いえいえ、それより、もう少し寝ていなくていいのですか。」
そう聞かれたハヤテは、返答した。
「はい。もう、僕は大丈夫です。」
「そうですか。それでは、ハヤテ君にお買い物に行ってもらいたいのですか。」
マリアさんは、そう言った。
「いいですよ。」
ハヤテは、マリアさんから買い物リストを貰って、街に出た。
「こら!!」
「うわ…部長…。」
道を歩いていると誰かがこちらから向こうへ走っていった。
「あれって、亀有の人??ずいぶんと追いかけられているんだな…。」
ハヤテはそう思いながらも、商店街のほうに向かっていった。
商店街で買い物を済まして、商店街のアーケードを抜けた時に、ふと、いつも通っている五叉路が気になった。
「そういえば、この先って何があるんだろう…。」
ふとそうおもった。
まだ、時間はたっぷりあったので、試しに行ってみることにした。
少し行くと、ハヤテの目にある建物が目についた。
その建物は、少し、古そうな建物だった。
「なんだろうこの建物は。」
そういうと、あることに気づいた。
「人生を占います。」
そう表札のところに書かれていたのだ。
何故か、ハヤテは相談したくなって、ドアを開けた。
「ようこそ。そこにお座りなさい。」
入って、そう言われた。
「はい。」
ハヤテは、椅子に腰掛けた。
「さて、あなたは、私を必要としてますね。」
おばあさんはそういった。
「私は。安倍と申します。よろしくお願いします。あなたは、なぜここに来たかそれを聴かせてもらいましょうか。」
そうハヤテに聞いた。
「なぜだか、ここに引き込まれるように…。」
「いや、あなたの悩み、そう、昨日から今日にかけてあったことが不思議なんでしょ。」
安倍さんは、そう言った。
「なぜ、あなたは昨日の出来事を…。」
ハヤテは不思議におもった。
「私ね。相談を受け付けているけど、カウンセラーじゃないのよ。」
その安倍さんの言葉にさらに不思議がった。
「私、魔女なのよ。」
その言葉にハヤテは驚いた。
「そんな…。冗談ですよね。」
「いや、冗談ではないのよ。で、本題に入るけど、その男たち、なんで、あなたを連れていこうと思っていると思う。」
それに、ハヤテは、
「そ、それは、地球征服。」
「そう。地球征服。しかも、普通の地球征服じゃないわ。」
「えっ、それって、どういうことですか。」
ハヤテは食い入るように聞いた。
「それはね、魔法を使った地球征服だわ。しかも、あなたを魔女にして…。」
「えっ。魔女。魔法使いじゃなくて。」
ハヤテはそう聞いた。
「ええ、魔法使いだと、30歳を超えた独身男子になってしまうでしょ。」
それにハヤテは、こうおもった。
『いやいや、それは意味が違いますよね…。』
「しかし、魔法使いなんて、存在するのですか。あまりにも非科学過ぎないですか。まるで、地下鉄は地球の裏側までつながっているなんていう嘘と同等レベルじゃないですか。」
ハヤテはそう安倍に言った。
「まず、そこから説明しなくてはならないですか。」
安倍はため息をついて、さらに話を続けた。
「科学って、すべてが正しいと思われているけど、実はそれは違うのよ。科学では証明できないことだってある。
それは、人間に限界があるからなのよ。未だに原因が分からない病気だってある。物理現象だってある。それと同様に魔法っていうのもその原因が分からない物理現象の一つなの。
そして、今、世界では科学が普及していったと同時に、他の考え、要は、欧米の自由主義以外の考えが消されようとして、それに反発する勢力が出てきた。
その一つが、この勢力ってことよ。
しかも、今回は残念なことにあなたと、ヒナギクという女の子を使おうとしているの。」
それにハヤテはただ感心するしかなかった。
「それで、僕はどうしたらいいのでしょうか。」
そうハヤテは聞いた。
「あなたは地球平和のため、そして、あなたの生活を守るために戦わなくてはならないわ。」そう安倍は言った。
どうやらそれしか方法はなさそうだった。
その後、ハヤテは屋敷に戻ろうとした。
外は綺麗な夕焼けが覆っていた。
しかし、そのあとには夜の闇が待っている。
でも、無数の星が光を出して頑張っている。
いつかは朝日が顔を出す。
そうハヤテは思った。