ハヤテのごとく next   作:謎沢

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第25話 責任感と…

ハヤテは、誘拐事件の後、暫く気絶したままだった。

 

とりあえず、一旦、三千院家に戻り、ハヤテを一室に寝かせた。

そして、その横で、マリアは看病をした。

マリアには、こんな綺麗な寝顔をしたハヤテが、事件を起こすなんて、今から考えると、有り得ないと思った。

しかし、実際には、昨日の夜、マリアとクラウスを縛って、ナギを連れ去っていったのだ。

今回は、ハヤテとナギが出会ったときみたいな、誘拐未遂ではない。

誘拐事件を起こしたのだ。

しかし、マリアには、今までのハヤテの行動を見てきて、今回は何かが違うようにも見えた。

昨日、クラウスと話したときには、そんなこと、全然気付かなかった。

しかし、今、冷静になって考えると、あんな事件を起こすような性格ではない。何かがハヤテの中に起きたのではないかと考えた。

 

いつの間にか、時が流れていた。

「うっ…」

ハヤテが、うめいた。

「ハヤテ君!?」

「マリアさん…。」

「大丈夫ですか。」

マリアは、いつものようにハヤテに接した。

昨日の事件があったのにも関わらずだ。

「ええ。それよりも、僕は一体?」

ハヤテは、そうマリアに尋ねた。

「えっ、まさか、ナギを誘拐して、SPに倒されたことを記憶してないのですか。」

マリアとハヤテは驚いて、二人とも頭の中が真っ白になった。

『まさか、僕が、お嬢様を誘拐?何かの間違いだよな。』

『ハヤテ君、本当にナギを誘拐したの知らないのでは。しかし、昨日のハヤテ君は何だったのだろう。』二人はしばらくの間黙ってしまった。

「マリアさん…」

ハヤテが静まり返った部屋で言い始めた。

「…僕が、お嬢様を誘拐したのであれば、執事を今日限りで、辞めさせていただきます。借金については、全額、僕が自分の命に掛けて完済させるので、借用証なり発行してください。」

そのハヤテの言葉に、マリアは力が抜けそうになった。

しかし、残っている力を振り絞って、こう言った。

「ハヤテ君は、このまま執事を続けてください。」

「でも、僕は犯罪者ですよ。お嬢様に初めて会った時だって、僕はお嬢様を誘拐しようとした。そんな僕に救いの手を差し伸べてくれたお嬢様をまた…。」そうハヤテは反論した。

「ハヤテ君はいつも、マイナスの方向にしか考えないですね…。」マリアはハヤテにこう言った。

「…ハヤテ君は、一流の執事になろうとして、頑張っています。しかし、自分の中では、一流の執事になれてないと何処か、引っ込み思案になっていませんか。私が見ていて、ハヤテ君はナギの一流の執事です。世界一のナギの執事です。ハヤテ君が辞めてしまったら、ナギの執事は誰がやるのですか。ナギの執事はハヤテ君にしかできないのですよ。」マリアはそれを言いながら、目から涙をちらつかせた。

それにハヤテは何も言えなかった。

しばらく、またシーンとした空気が漂った。

そして、ハヤテは言った。

「少しだけ、休みをもらってもいいですか。」

それに対して、マリアはうなずいた。

翌日の早朝、まだ太陽はのぼっていない頃、こっそりとハヤテは屋敷を出た。

「はあ、しかし、屋敷を抜け出したけど、これからどうすれば…」

ハヤテは行き着くあてもなく、街をさまようことになった。

しばらく、歩いているとふとあることを思い出した。

「あっ、そういえば予備校にまだ、受付して以来、一度も足を運んでいない。白皇の進学のためにも、少しは勉強を進めなければ…」

それを思いついたハヤテはとりあえず、予備校へと向かった。


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