ハヤテが玄関から出ると、目の前に大泉とその部下がいた。
「あっ、この停電を起こしたのはお前たちだったのか!?」
そうハヤテが叫んだ。
しかし、部下は、
「問答無用、お前を倒す。」
と言って、ハヤテに襲いかかった。
ハヤテはそれを交わした。
しかし、今度は大泉も襲いかかった。
ハヤテは、それをさらに交わそうとした。
しかし、ハヤテは、大泉を避けることは出来たものの、地面に頭を強打した。
その瞬間だった。
ハヤテの中で本来の自分と、それまで、底のほうでずっと機会を伺っていた、もう一つの何かがスリかわった。
ハヤテは必死に、自分の体を取り戻そうとした。
しかし、自分の体は取り返せなかった。
大泉たちは一瞬、気を失ったハヤテを見て喜んだ。
大泉にとっては、自分が世界制服を企んだときから邪魔されていた、言わば、宿敵みたいな関係だ。
ようやく、倒すことができたと思ったのもつかの間、ハヤテは目を覚ました。
大泉たちは少し焦った。
しかし、自分たちのことを見ても、何にも攻撃して来なかった。
いや、ハヤテの口から恐るべき言葉が飛び出した。
「お前たちは、大泉というのだな。お前たちの作戦に協力してやる。」
そのハヤテの発言は、ハヤテの声であったが、ハヤテが発したものには、到底聞こえなかった。
そう、それは、あの前乗り移った悪霊の仕業だったのだ。
そういうことは全然知らない大泉たちは、急に態度を変えたハヤテに対して、疑問を持ちながらもそれを歓迎した。
大泉は思った。
ようやく、神は我に幸運を与えたと。
大泉たちは屋敷の中に侵入した。
そして、静かに、ナギとマリアがいる部屋に向かった。
「ああ、ハヤテ君、どうしたんですか。人を連れて戻ってきて。」
ハヤテがドアを開けたときに、マリアがドアのほうを見て、そう言った。
「お嬢様を誘拐しに来ました。」
そうハヤテはマリアに言った。
「えっ、ハヤテ君どうしたのですか、」
マリアは不思議がって、ハヤテに問い直そうとした最中、ハヤテや大泉たちは、それを無視して、マリアとナギに襲いかかった。
「何するのですか、ハヤテ君!」
マリアはそう言ったものの多勢に無勢で襲われてしまった。
その悲鳴を聞いて駆けつけてきたのは執事長のクラウスだ。
しかし、そのクラウスも多勢に無勢で、やられてしまった。
マリアとクラウスはガムテープで口を塞がれ、手足にはロープで頑丈に縛られてしまった。
そして、ナギはいとも簡単に連れ去られてしまった。
しかも、屋敷のSPは、停電によって、屋敷の中のことなどまったく頭になかったのだ。
偶然が重なったとしか思えない状況はさらに続くのであった。