その頃、三千院家では、久しぶりにナギが学校に行かされるハメになった。
ナギは、またもや、学校に最近行ってなかったのだ。
「お嬢様は、しばらく、学校に、僕と一緒に行ってもらいますからね。」
そうハヤテは少しキツい言い方でナギに言った。
少々、ナギは面倒臭いような態度をとってたが、それと同時に、ハヤテと学校に行けるという嬉しさも少なからずあった。
学校に着くと、クラスメートの生徒会三人娘に囲まれた。
「へぇ、これは珍しい。」
「ナギちゃん、学校いつぶりなんだろう…」
そう茶化す三人に、ナギは頭に血が上って、
「そんなに言わんでもいいだろ」と言った。
まあ、そんなこんなで、授業はスタートした。
一方、大泉たちは、そんな三千院ナギと綾崎ハヤテの行動を追跡していた。
とりあえず、学校に行って、裏のほうから、学校内に侵入した。
なんと、たまたまそこは警備が疎かになっていた。
普段ならば、侵入者が入ったら、すぐさまSPが駆けつけるはずなのに、そこから入っても警報機すら鳴らなかったのである。
敷地の広すぎる白皇学園ならではの問題である。
さて、そうして奇跡的に侵入に成功した大泉たちだったが、大泉たちを悩ませる問題がでた。
それは、学校の中なのに、絶えず人が外の庭の中をうろうろしていることであった。
別に、学級崩壊を起こして、生徒がウロウロしている訳ではない。
この学園内では、単位さえ取れれば、なんとかなってしまうのである。
そんな制度があることも知らず、大泉たちは困り果てた。
大泉たちが横切ろうとすると、明らかに女子のコスプレを楽しんでいる生徒や、ド○ゴンボールの衣装を着て、孫○空の必殺技をしようと励んでる生徒、さらには、柔道着を着て、「1、2、3、4、アル○ック、2、2、3、4、ア○ソック」と連呼している生徒たちまでが、まるで、嫌がらせのように通っていった…。
そんなこんなしているうちに、あっという間に授業が終了する、午後3時頃を迎えてしまった…
「お嬢様、久しぶりの学校はどうでしたか。」
帰りの自転車を漕いでいたハヤテはナギにそう訊いた。
「ああ、ものすごく退屈だったぞ、ハヤテ。なんであんな知ってるものをあんなに細かく教わらなければならないのだ。あれだったら、よっぽど、宇宙怪獣対戦アニメで物理学を学んだほうがマシだ。」
「いやあ、それは、単なる無理矢理な…。」
そんな会話をしながら、学校を後にして行く二人であった…。
「くそっ。一旦撤退だ。」
時計を見て。大泉はそう言った。
そして、白皇学園から撤退した大泉たちは、残された時間は少なかった。
「作戦変更しましょう。ともかく、三千院家に潜入し、住宅に送電する送電線を遮断、対応に追われているうちに連れ去るという方法をとりましょう。」
そう部下として手配された男が進言してきた。
「そんなの、できるのか。」
大泉は尋ねた。
「なんとか、」
そう大泉の問に答えた。
そして、一行は、急いで三千院家に向かった。