そして、翌日。
ふらっと、伊澄が迷子になって、紛れ込んできた。
「あら…。ここは、、、あっ。ナギの家だわ。」
そんな能天気にしていたとき。
「あら、伊澄さんではないですか。今日は何かのご用事で。」
とマリアが声をかけてきた。
「いや、その、、、迷子になってしまって…。」
「まあ、そうですか。では、せっかくなので、ナギと遊んでいってはどうですか?その間に、連絡しておきますので。」
「では。」
そう言って、伊澄は、ナギの家へと入って行った。
「ナギ、伊澄さんがおいでになりましたよ。」
ゲームに夢中になっていたナギをマリアが呼んだ…。
「おう。」
そして、ナギは伊澄と挨拶をかわした。
「そういえば、最近、ハヤテに何かあったのかしらないが、家から勝手に逃亡して、大変だったんだが…。」
そうナギが口にすると、ふと後ろから、
「まさか、借金執事、ナギに飽きたちゃうか。」
という関西弁が聞こえてきた。
「おお、咲夜(さくや)ではないか。」
ナギがそういうと、咲夜は話を続けた。
「借金執事もいよいよ化けの皮がはがれてもうたか。そういえば、借金執事はどこに。」
咲夜が聞くと、ナギはこう答えた。
「今、買い物をしてもらっている。」
その話を訊いた伊澄はなにか嫌なものを感じた。
「どうかしたのか、伊澄さん?」
咲夜が伊澄に訊いたが、伊澄は、
「いいえ別に。」
と答えた。しかし、心の中では、こう思っていた。
『ハヤテさまの中になにか悪いものが入って、そして、どんどんと、ハヤテさまの身体を乗っとっていこうとしている…。』
その頃、ハヤテは屋敷に帰ろうとして、歩いていた。
「うっ。」
突然、道端で頭が痛み、道に倒れそうになった。
「ああ、大丈夫だ。しかし、この身体、昔と違って、かわいいというかなんというか、違う気が…。」
そんなことをハヤテは思った。
「おっ。これは、、、」
手に持った買い物袋をみてこう思った。
「ああ、買い物かあ…。それでは、この前の屋敷にとりあえず戻れば…。」
そう言って、ハヤテは、屋敷の方へと向かった。
そんなことが起きているのも知らず、ナギたちは普通に過ごしていた。
「たいだま戻りました。」
ハヤテが屋敷へと戻ってきた。
しかし、そのとき。
「ううっ。」
ハヤテはその場に倒れ込んでしまった。
「ハヤテ!」
「ハヤテ君!」
悲鳴を聞いたマリアやナギたちが慌ててハヤテの前に現れた。
そして、ハヤテは病院へと搬送されたのであった。
「別に、どこか、身体に異常があるものがないので、もしかすると、貧血などによるものなのかもしれません。」
診察してくれた医師はそう、マリアに電話で診断の結果を伝えた。
「そうですか。」
その診断結果に少し安心したが、ここ数日のハヤテの行動をみていると、完全に心配が取れることはなかった。
ハヤテが倒れたあと、家に戻った伊澄は、マリアにこう言った。
「もしかすると、ハヤテ様は呪われてしまっているのかもしれません。」
しかし、それは、マリアに伝わったのか、真偽の程ははっきりしない。