三奈やおばあさんと楽しく会話して、お風呂に入らせてもらったハヤテ。
「じゃあ、ハヤテ君の布団はここね。」
三奈がそうハヤテに言った。
「本当にありがとうございます。」
ハヤテはただ、お礼をいうしかなかった。
そして、就寝した。
それから数時間後…。
近所の家…。
ゴンゴン…。
外から誰かが叩く音に目をさました。
「誰だか。こんな遅くに。」
電気をつけてその家の人は驚いた。
得体のしれない黒い物体がそこに立っているではないか。
その人は一目散に逃げ出した。そして、近くに住んでいた三奈の家に駆け込んできた…。
「サチさん。大変だべ。」
その声に三奈の家にいたものはみんな目を覚ました。
「あら、新井さん。どうしたんだい。」
サチはそう訊いた。
「ぶ、ぶ、不気味な黒い物体が…。」
そして、三奈、サチ、ハヤテの三人が外に出た。
街灯はないが、月が明るく照らしている田園風景がそこには広がっていた。
「あっ、下がっていてください。」
ハヤテはそう言って、その黒い物体を倒そうとした。
しかし、その黒い物体は、ハヤテの体をすり抜けた。
「まさか、本当に…。」
そして、後ろから、ハヤテは不意打ちをされてしまった。
「ハヤテ様…。」
ハヤテが目を覚ますと、そこには、伊澄が立っていた。
「うお…。」
びっくりして立ち上がろうとしたが、体がうまく動かなかった。
「そのまま、安静にしていてください。」
伊澄はそう言って、ハヤテを寝かせた。
「もしかすると、ハヤテ様の体に何か、不吉なものを埋め込んでいったのかしれない…。」
そう伊澄は思った。
しかし、それ以外のことはわからなかった。
そして、そんなことが起きている間に、夜は明けてしまった。
「あっ。夜があけてしまいましたね…。お礼に、朝御飯くらいは作らせて…。」
そうハヤテは言った。
しかし、三奈は、
「いや、ハヤテ君があんな目に遭ったのに、そんなことをしてもらわなくても…。」
と言った。
そして、朝食を摂ったあと、伊澄の執事たちによって、三千院家まで送られることとなったハヤテであったが、そこには一昨日のハヤテとは少しちがったハヤテがいるようであった。