お茶が水に着いて、入学の手続きを終わらせたハヤテ。
帰りも来たときと同じ高田馬鹿に着いた。
ここでまた電車を乗り換える。
ホームは帰りの通勤客で満員だった。
「まもなく、1番線に通勤田舎快速 本田舎行きが8両でまいります。」
黄色い電車がホームに滑り込んできた。
ハヤテの降りる駅にはこの電車は止まらないので、乗らないように横にいたが、運悪く後ろのおじさんに押されて電車に乗り込んでしまった.
「おっと、ちょ…。」
ハヤテが降りようとしたときには、ドアが閉まってしまった。
そして、電車は動き始めた。
『本日も奥東京鉄道をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、通勤田舎快速本田舎行きです。停車駅は、武蔵田舎、東武蔵、所情時、新所情時、お茶市、終点、本田舎です…。』
ハヤテはその放送にビックリした。
「ええっ、まさか、降りる駅よりも10個以上も先の駅に…。」
ハヤテはがっかりした。
しかし、電車は満員の状態でグダグダと走って行った。
「うわあ…。」
本来なら降りなきゃいけない駅をこの電車は通り過ぎた。
ハヤテはそれを眺めて、悲しくなった。
それから15分後。
ようやく、最初の停車駅、武蔵田舎に着いた。
満員の電車を降りたハヤテであったが、降りたのはハヤテひとりだけ。
しかも、明らかに、どこかで見たことのある駅だった。
ホーム上には、屋根がなく、駅員もいない。そして、駅前にすら家一軒もなく、田んぼと森しかなかった。
「で、逆の電車はって、えぇー。」
ハヤテは驚いた。
なぜなら、逆行きの上り電車がないのである。
上り電車の最終はなんと、午後4時。
「そんな駅が…。」
ハヤテはすっかり気を落とした。
「これからどうしよう。周りを見ても、幹線道路が見えないし…。だいたい、明らかにあるおばあさんの命令をうけたランプが迎えに来そうな雰囲気だし…。」
そんなことを考えていると、線路の前を何か巨大な動物が横を通り過ぎて行った。
「うわっ。」
その得体の知れない動物にハヤテは驚いた。
その後、数十分たっても、その場に立ち尽くしていた。
しかし、一向に電車が止まる気配はなく、ほとんどの電車が通り過ぎて行った。
不思議な駅だった。
「誰だ!!」
いきなり後ろから、ハヤテは声をかけられた。
「うわっ。」
ハヤテは後ろを振り返ると、明らかに時代錯誤な縄文時代の人のような格好をした少女が現れた。
「まさか、もののけ…。」
「おっと、そこまでだ。」
少女はそう言った。
「お前は何をしに来た。」
「いやあ、電車を間違えて乗ってしまって…。」
ハヤテは少女にそう言った。
「全く、たまに馬鹿なやつがこの駅で降りて、家に帰れなくなるんだ。まあ、明日の朝になれば帰れるけど、ここで一夜を明かすのはあまりにも危険だから、うちに来い。」
少女はそう言って、ハヤテを家へ連れて行ったのだった…。
しかし、ハヤテをさらなる苦しみの底に至らしめることが起きるだの、このときは想像もできなかった。