魔法少女リリカルなのは【魔を滅する転生砲】   作:月乃杜

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第2話:覇王 求めるモノは真なる王〈後編〉

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「カイザブレイガン!」

 

 戦隊ヒーローや仮面ライダーを通して、決して珍しくもない銃と剣の一体型。

 

 近接も中距離も可能で、非常に便利な武器。

 

「懐かしいね……ホムラのカイザも」

 

 アスティオンに向かっているほむらを見つめつつ、頷いてカイザと自身の神獣の戦いの観戦モード。

 

 取り敢えずほむらとしては助かる。

 

 只でさえイングヴァルトは“ファイズに勝った”。

 

 確かに切札を越えた鬼札を出さなかったとはいえ、ファイズブラスターフォームを斃した覇王。

 

「彼はいずれ来ますよ……貴方の目論見の通りに」

 

「それは嬉しいね」

 

 黄昏の魔女ホムラによる仮面ライダーカイザでは、間違いなく覇王イングヴァルトに勝てはしない。

 

 魔法少女の能力も込みで敗ける程に強いから。

 

「然しアスティオンとは、クラウスもロマンチストな事をするっ!」

 

 ガンモードでトリガーを引いて、フォトンバレットを撃ち放つものの神獣には中々に効かないもの。

 

 カイザのフォトンブラッドは黄色、当然ながらそのエネルギーを弾丸にするからにはバレットも黄色。

 

 そして……

 

「ブレードモード!」

 

 刃はフォトンブラッドで生成したエネルギー刃で、やはりその色は黄である。

 

「はぁっ!」

 

 野生の獣としての俊敏、肉食獣としての剛力。

 

 雪原豹型神獣アスティオンは弾丸は簡単に躱すし、その毛皮は中々に硬いから刃が通らない。

 

 勿論、覇王国シュトゥラでは本来の雪原豹が戦に用いられていたとはいえど、こんな鋼かと見紛うくらい硬い筈はない。

 

 何処ぞのムティカパみたいな特性だが、水が苦手とかの弱点も無いだろう。

 

「これ程とは……」

 

 生きて産まれていたら、本当のアスティオンも梃子摺らされたのか?

 

 それは最早判らない。

 

《READY》

 

 左腰のSB-913 C カイザショットを右拳に着けて、カイザフォンのミッションメモリを装填する。

 

《EXCEED CHARGE!》

 

 【ENTER】キーを押すと電子音声と共に、フォトンブラッドのエネルギーが拳のカイザショットへと収束されていく。

 

「グランインパクト!」

 

 ファイズのグランインパクトより威力に勝る五.五トンの破壊力を秘めた拳、それがアスティオンの躰躯へと直撃した。

 

『グルッ!』

 

「っ!」

 

 多少の身動ぎはしたが、痛痒を与えたという程にはダメージを受けた印象など無く、カイザはすぐにバックステップしてアスティオンから離れた。

 

「やはり優斗さんに比べると私はスペック通りだし、神獣が相手でも簡単には往かないわよね」

 

 ユートの仮面ライダー、それは基本スペックは原典と掛け離れていないけど、担い手の能力が高いならばそれがシステムに反映される形になる。

 

 まあ、きっと原典も同じではあるのだろうが……

 

 五.五トンはほむらが放った場合であり、それ自体は他の人間が装着者であれ恐らく変わらない。

 

 例えばほむらのパンチ力が二〇キロだったとして、五.五トンに加えてみた処でキロに直せば五千五百二十キロとなる。

 

 謂わば誤差の範疇内だ。

 

 だけどユートの通常的なパンチ力が、仮面ライダー並かそれ以上ならば?

 

 当然ながら仮面ライダーになれば倍とかに。

 

 というより、ヘビー球のボクサーでさえ一トン未満という世界で、聖闘士にしてカンピオーネたるユートなら仮面ライダーを生身でも越えたパンチ力だろう。

 

 仮にユートがカイザへと変身した場合、ほむらより遥かに強いという話に。

 

 まあ、仮面ライダーとは基本スペックが飾りになったりするのだけど。

 

 実際、カタログスペックが明らかに劣るライダーに敗けるライダーとか普通に居るし、作品を越えて共演した場合は間違いなく無粋な設定群だろう。

 

 つまりは余り気にするなという事だった。

 

「それでも敗ける訳には! せめて優斗さんが来るまでは保たせないと!」

 

 ほむらは魔法少女として――生きた年数は既に数百年を越えるが――の能力、タイムストップやタイムクイック、タイムリバースを使って何とか戦う。

 

 インキュベーター製品の魔法少女は、願い事を叶えて貰った対価で成る。

 

 その特殊な能力は願い事に付随したものだ。

 

 例えば誰かの快復を願ったら治癒力が強くなる。

 

 ほむらの場合『もう一度まどかとの出逢いをやり直したい』であり、その結果として獲たのが【時間操作】の能力だった。

 

 鹿目まどかという得難い親友、だけど【ワルプルギスの夜】と呼ばれる魔女と戦って死亡。

 

 それがほむらが魔法少女に成る切っ掛け。

 

 まどかが死ぬ度に時間を逆行し続け、何とか救おうとしていたほむら。

 

 結果、原典では誰かに対して期待するのを止めて、兎に角まどかを救う事だけを考える様になる。

 

 この世界線では感情が摩り切れる前にユートが介入した為、三つ編み御下げな眼鏡っ娘なキャラクターで明るく少しドジ。

 

 運動能力は魔法少女としての力で矯正している。

 

 古代ベルカにユートと共に跳ばされた際、時間逆行を幾度も行っていただけあってか混乱はしなかった。

 

 【黄昏の魔女】と呼ばれ仮面ライダーカイザに変身して戦い、必要ならユートの性欲を解消する為に自らの肢体を投げ出す。

 

 勿論、初めての時は普通に愛されたのだが……

 

 魔法少女の時間操作能力はそれなりに有効だけど、元々の力が盾に備え付けられた砂時計を停める事による【時間停止】、一ヶ月分の遡行をする【時間逆行】だけだったが、ユートとの【閃姫契約】で能力が拡大されて発現した。

 

 【タイムリバース】。

 

 【タイムクイック】。

 

 【タイムストップ】。

 

 【タイムスロー】。

 

 名前からどんな能力かは丸判りだが、これらの力がほむらをアスティオンとの戦いを上手くやれる要因。

 

 魔法少女としてのほむらは最弱で、実は魔力が可成り弱い部類だった。

 

 リリカルな魔導師ならば精々がEランク。

 

 だから攻撃系の魔法など使えなかった為、ユートが彼女に与えたのがあからさまに武器として見える銃器や爆弾ではなく、携帯電話の形をしたデバイスだ。

 

 端からは決して武器には見えず、通信機器でしかないカイザフォンである。

 

 とはいっても、腰に装着するカイザドライバーにはカイザブレイガンが有り、だから変身するまでツールは基本的に、量子変換によりカイザドライバー内に納められていた。

 

 今は普通に出している。

 

《READY》

 

 ミッションメモリーを再び外し、またカイザブレイガンへと装填。

 

 更にカイザフォンを開いて【ENTER】キーを押す。

 

《EXCEED CHARGE!》

 

 ベルトからダブルストリームを通し、フォトンブラッドがカイザブレイガンへと充填される。

 

 ピピピ!

 

 軽快な音が鳴り響くと、ほむらはコッキングレバーを引いて引き金を引く。

 

 ガチッ! レバーが戻った瞬間に黄色いエネルギーが弾丸となって、敵であるアスティオンへと突き刺さり全身を拘束した。

 

「ふっ!」

 

 そもそも引き金を引くというアクションの関係上、カイザブレイガンは逆手に持つ事になる為、見た目にアバンストラッシュっぽくなるのが御愛嬌か。

 

 ググッと身体を捻って、カイザブレイガンを持った右腕を後ろに。

 

「カイザスラッシュ!」

 

 黄色いΧとしか言い様が無い光の奔流と共に疾駆、次の瞬間にはアスティオンの背後に居た。

 

 そしてアスティオンにはΧの文字が浮かび、崩れ去る光となって消滅する。

 

「大したものだね。まさかアスティオンを斃すとは。以前のカイザでは不可能な筈だったけど?」

 

「カイザのスペック自体は変わってないわ。でも私は数百年もの間に戦いを続けてきた。ユートさんに抱かれて閃姫となり、肉体的にもパワーアップしている」

 

「……そうだったね」

 

 フッと笑うクラウス。

 

「そして、時間稼ぎは成功をした訳だ……だろう? ユート」

 

「ああ」

 

 それが数百年振りに対峙する真王と覇王。

 

「まつろわぬ神になってまで舞い戻るか。理由は何だ……クラウス?」

 

「決着を」

 

「……単純な決着は着いているだろう?」

 

「そうだね」

 

「クラウス、お前が僕に勝って終わったんだからな」

 

 真王と覇王の戦いは確かに覇王が勝利した。

 

 ファイズブラスターフォームと戦い、僅かな天秤の揺れの差で【覇王断空拳】がファイズドライバーへと突き刺さり、変身の解除を余儀無くされてしまった。

 

「だけど君は新しいベルトを出そうとしていたよね。とはいえその前に我が国も君の国も色々とあったが」

 

「確かにそういう意味では決着といかないな」

 

 古代ベルカでは王が戦うのは寧ろ常識で常道。

 

 ガレア王国の冥府の炎王イクスヴェリアは、個人の武勇ではなくマリアージュなる傀儡で戦っていたが、それの方が稀有なもの。

 

 だがそれも“王の力”には変わりないだろう。

 

「僕との決着の為にか? 自らの魂をまつろわぬ神にするシステムまで構築し、こうして子孫を憑代にして顕現をしたのは」

 

「それもある」

 

「それも?」

 

「あの時の私は彼女にさえ勝てなかった」

 

「いや、そう言われてしまうとそんなクラウスに負けた僕はどうなるよ?」

 

「君の場合は少し違うさ、色々と枷が在ったんだろ。コスモとかも使えなかったみたいだし?」

 

「地球は存在していても、関わりの無い地球は異世界と変わらないとはねぇ」

 

 未来ではガッツリと関わるのだが、数百年前は全く関わっていない。

 

 だから小宇宙を扱うには制限が掛かっていた。

 

 故に仮面ライダーだ。

 

 未来の時間軸でライオトルーパーを基にしたベルト――ライオットトルーパーが採用されていた事。

 

 共に過去へ跳ばされていた二人の内、シュテルにはデルタを与えた事で未来に戻ったら、シュテルの仲間にはデルタを基に造られたという設定の【天】と【地】の帝王のベルトを与えようと考えた為、ユート自身は仮面ライダーファイズ、ほむらは仮面ライダーカイザと【仮面ライダー555】系統で纏めたのである。

 

 後の世に鳴り響く渾名、【暁天の魔王】と【黄昏の魔女】に【雷鳴の斬華】と【常闇の女帝】が増えてはいたが、ユートにはまた別に使うべきベルトが在る。

 

「さあ、使うと良い! 嘗て使おうとした力を!」

 

「……望むなら」

 

 ユートがアイテム・ストレージからドライバーを取り出すと……

 

《ZIKU DRIVER!》

 

 随分と凄い自己主張をしてきた。

 

 腰にセットアップ。

 

 手にするは時計であり、表面の盤を回してスイッチを押す。

 

《SHIN-O!》

 

 それをバックルの右側に装填すると、カチカチという待機音が響いてきた。

 

 ロックを解除。

 

「変身っ!」

 

 ポーズを決めてベルトのバックルを回転。

 

《RIDER TIME!》

 

《KAMENRIDER SHIN-O》

 

 それは色違いのジオウ、仮面ライダージオウと呼ぶ最後の平成仮面ライダー、それを基にしたのがユートの造ったシンオウ。

 

 仮面ライダーシンオウ。

 

「祝え! 全ライダーの力と王達の力を受け継ぎし、時空を超え、過去と未来を知ろしめす時の王者。その名も仮面ライダーシンオウ……正に生誕の瞬間である! ってね」

 

 それはジオウがウォズから受ける祝福の言葉だが、少しだけオリジナルと異なる部分が在った。

 

「成程、真王か。フフフ、佳い名だな」

 

 嬉しそうに笑うクラウスを見て、ユートは仮面で判らないが瞑目をする。

 

「さあ、始めようか」

 

「ああ、時間は有限だ」

 

 疾走してぶつかり合う互いの拳と拳。

 

 けたたましい爆音を響かせながら、互いにバックステップで後ろに跳ぶ。

 

「嗚呼、これだよ! これが私のしたかった事だ!」

 

 クラウス・G・S・イングヴァルトは嘗て、死地に赴く友を――オリヴィエ・ゼーゲブレヒトを力尽で止めようとしたが、敵わずに大地に平伏して見送る事しか出来なかった。

 

 オリヴィエがクラウスより遥かに強かった為に。

 

「それまでは愉しかった。僕が居てオリヴィエが居てクラウスが居て、リッド――ヴィルフリッドが居た。クロやほむらとシュテルが笑って眺めていた光景だ。あの頃がベルカ時代で一番の想い出だろうね」

 

「違いないな……」

 

 クラウスの哀しみを帯びた笑顔が痛々しい。

 

「それじゃあ、続きだ!」

 

「何かイケる気がする」

 

 オリヴィエとの敗北から鍛えた覇王流、ユートは自らが過去に習っていた舞闘を舞う。

 

 緒方逸真流格闘術。

 

 格闘術なら【篝火派】が正しく継承をしていたが、篝火白雪との関係は仲良くはあっても深くは無かったから習っていない。

 

 無意識な下心が有ったからか、【緒方逸真流狼摩派鉄扇術】は狼摩白夜から習っていたのだが……

 

 どちらも緒方の女の子、美少女なのは変わらなかったものの、ユートは白夜の方がどちらかと云えば好みに合っていたから。

 

 どちらかしか選べないのなら狼摩白夜であった。

 

 とはいえ、技だけならば使えない訳ではない。

 

「ふっ!」

 

「はぁっ!」

 

 互いの技と技、力と力、魔法と魔法がぶつかる。

 

 然しながらユートは変則な闘い方をしていた。

 

 クラウスが覇王流の技を放つと……

 

「メラミ!」

 

 魔法で迎撃をした。

 

 力尽くでくれば……

 

「緒方逸真流が格闘術……【天翔】!」

 

 技を放つ。

 

 ならば魔法を使うと……

 

「うりゃぁぁっ!」

 

 力で対抗をしてくる。

 

「これが君の云う、力には技を、技には魔法を、魔法には力を……か!」

 

 実にやり難い。

 

 勿論、覇王流の技に魔法への対抗手段が有ったり、飽く迄も相手の出方次第となるのだが、ユートはその経験値故に闘い方を弁えていたのだ。

 

「まつろわぬ神になっていなかった頃、人間時代でのクラウスの最終的な能力、それは決してオリヴィエに劣るものじゃなかった」

 

「君に言われると実に信じられるね」

 

「だからこそ試そう」

 

「――?」

 

 ユートが出したのは時計……ライドウォッチだ。

 

 それを回して頭頂部にあるスイッチを押す。

 

《SEI-O》

 

 ライドウォッチに金髪で緋と翠の虹彩異色な少女、オリヴィエ・ゼーゲブレヒトの顔が浮かぶ。

 

 それをジクウドライバーの左側に装填し、変身時と同じ様にロックを解除してぐるりと一回転させた。

 

《KING TIME》

 

 顕れたのはオリヴィエを模したローブ。

 

 

《KAMEN RIDER SEI-O》

 

 それが分割されて装着。

 

《SEI-O!》

 

「祝え! 全ライダーの力と王達の力を受け継ぎし、時空を超え、過去と未来を知ろしめす時の王者。その名も仮面ライダーシンオウ……セイオウローブ!」

 

 シンオウの姿ながら聖王を思わせる。

 

 そんな姿に変身した。

 

「時空を越えて過去と未来を知らしめす……か。あながち間違いでは無いね」

 

 ユートはしょっちゅう、過去へ跳ばされている上に偶に未来にも跳ぶ。

 

 確かに間違いではない。

 

「さて、始めるよ」

 

「覇王と聖王の決戦か」

 

 ユートが使うのはコロナ・ティミルが使っていた技――ネフィリム・フィストの全身バージョン。

 

 オリヴィエは幼い頃より両腕を喪っており、基本的には義腕を使って行動をしていた。

 

 魔力で義腕を操作して、戦闘すら熟すオリヴィエ。

 

 その基礎を教えたのが、ヴィルフリッド・エレミアという少女、古代ベルカで当代の【黒のエレミア】。

 

「くっ、ある意味で屈辱的な闘い方だね、それは!」

 

 あの日、オリヴィエに負けたからこそ強くなれた。

 

 オリヴィエに敗北して、彼女を永遠に喪って力を得たのだから。

 

 皮肉に過ぎる。

 

 その皮肉の大元であろうオリヴィエの力。

 

 まつろわぬ神とはいえ、ユートも神殺しの魔王。

 

 仮面ライダーに変身している分、当然ながらパワーアップをしていた。

 

 だからスペック云々でならば決して劣らない。

 

 ならば後は互いの技と技の応酬――否、業と業というべきであろうか?

 

「はっ!」

 

「なんとっ!」

 

「ふっ!」

 

「然し!」

 

 繰り広げられるのはだが魔導師や騎士などでなく、寧ろDBの世界としか思えないラッシュの応酬。

 

 違うのは大地を確り咬み締める覇王流なだけにか、完全な地上戦に終始をしている処だろう。

 

「オオオオオッ!」

 

 ガキンッ!

 

「虹色の魔力光……それに【聖王の鎧】だと!?」

 

「強大な防御力は砲撃魔法すら防ぎ切るし、こいつを攻撃に回したなら……」

 

「ガッ!?」

 

「高い攻撃力に早変わり」

 

 アッパーを喰らって吹き飛ぶクラウス。

 

「ぐっ! そういう事か、オリヴィエの力を使えるなら即ち、【聖王の鎧】をも扱えると……?」

 

「それが原典に於いては、常磐ソウゴが変身していた仮面ライダージオウの力。僕が造ったのは色違いとなる仮面ライダーシンオウ。仮面ライダーだけでなく、古代ベルカの王や他の力も扱えるシステムだ」

 

「ふふ、セイントだとは聞いていたんだがな」

 

 起き上がり口元の血を拭いながら言う。

 

「こういうのも出来るぞ」

 

 ライドウォッチを回す。

 

《BUILD》

 

 スイッチを押すと鳴り響く電子音声、その表面には赤と青で左右非対称な顔が浮かび上がった。

 

 それをセイオウ・ライドウォッチの代わりに装填。

 

 ロックを解除して回転。

 

《RIDER TIME KAMEN RIDER SHIN-O!》

 

 何だか変なポージングをするビルドっぽいナニか、それにユート――シンオウが触ると……

 

《ARMOR TIME BEST MATC》

 

 バラバラになって装着されていく。

 

《BUILD!》

 

 それはやはり仮面ライダービルドっぽい姿。

 

 顔には【ビルド】と書かれており、両肩にフルボトルっぽいショルダー。

 

 手には【ドリルクラッシャークラッシャー】とか、オリジナルのジオウと殆んど変わらない。

 

「仮面ライダーシンオウ・ビルドアーマーだ。勝利の法則は決まった!」

 

 当たり前だが元よりこれはジオウのレプリカ。

 

 力は同じでも得たからといって、オリジナルが消えたりはしない。

 

 ドリルクラッシャークラッシャーを手に、回す回す回していくと色々な数式が視覚化して顕れた。

 

 勿論ながら『よくわからない式』とかではなくて、桐生戦兎が仮面ライダービルドとなった際の数式。

 

 ライドウォッチは両方のスイッチを押して回す。

 

《FINISH TIME BUILD》

 

「うっ!? これは拘束の魔法なのか?」

 

 放物線を描くグラフにより囚われたクラウス。

 

《VOLTECH TIME BREAK!》

「おりゃぁぁぁぁっ!」

 

「がはぁぁぁっ!?」

 

 ドリルクラッシャークラッシャーでの必殺の一撃。

 

「魅せてやる! あの日に使えなかった鬼札!」

 

 ジクウドライバーを外して変身解除、顕現をさせたファイズのドライバーに、更にファイズフォンを持ってコード入力。

 

 【5】【5】【5】……【ENTER】。

 

《STANDING BY》

 

「変身!」

 

《COMPLETE!》

 

 仮面ライダーファイズ。

 

 ファイズブラスターへとファイズフォンを装填。

 

《AWAKENING》

 

 ファイズブラスターの方に変身コードを入力する。

 

 【5】【5】【5】……【ENTER】。

 

《STANDING BY》

 

 あっという間でファイズブラスターフォームに。

 

「ファ、イズ……?」

 

《COMPLETE!》

 

 ファイズアクセルに装填されるミッションメモリ。

 

 フルメタルラングが開いて肩に当てられた。

 

 フォトンブラッドの流動が止まり、スーツを白銀のフォトンブラッド色に染めてしまう。

 

 仮面ライダーファイズ・アクセルブラスターフォームという、正に究極最大の仮面ライダーファイズ。

 

「終わらせる!」

 

《START UP》

 

 僅か一〇秒間の無双。

 

 刹那、無数のポインターに囲まれたクラウス。

 

「アクセルブラスター・クリムゾンスマッシュ!」

 

「うおおおおおっ!?」

 

 防ぐ事も叶わずまともに受けてしまった。

 

 カウンターが00を指し示すと……

 

《REFRMATION》

 

 フルメタルラングが閉じてしまい、ブラスターフォームへと戻っていく。

 

 トガァァァァンッ!

 

 φの紋様が浮かび上がっての大・爆・発!

 

 後には、ズタボロになったクラウスが残るのみだったと云う。

 

 

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 因みに当初はジオウ放映前だったから、ディケイドっぽい仮面ライダーになってた筈でした。



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