魔法少女リリカルなのは【魔を滅する転生砲】   作:月乃杜

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 時間軸とか書いてないけど原作から三年くらいが過ぎています。





第7話:来客 クロノ・ハラオウンは御悩み中

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「それで、用件は? まさか忙しい艦船の艦長が休暇を利用して遊びに来た訳でもあるまいし? 用事が有って来たんだろ」

 

「まぁ、確かに気軽に遊びに来る仲では無いな。用件としては以前に君から聞いた未来についての話を少し詳しく知りたくてね」

 

 シニカルな笑みを浮かべて言うクロノ。

 

「未来? 一〇年後に起きる『JS事件』の事を言っているのか?」

 

「ああ。父さん達も関わったエルトリアからの来訪者、エグザミアや紫天ファミリー、そして来訪者に引っ張られる形で顕れた未来人達。その未来から来た連中、どうやら君との関わりが深いみたいだったし、君もあの子らについてな情報は持っていたみたいだからね」

 

 だからどうしても気になったというクロノに、ユートはお茶を飲んでから溜息を吐く。

 

「確かに僕は未来を識っていると言っても過言じゃないが、それは飽く迄も僕が全く関わらなかったα世界線での未来だ。僕が関わる現在のβ世界線の未来は確定されている訳じゃ無い」

 

「世界線?」

 

「時間とは一本のロープの如く伸びているという訳では無く、樹の枝葉の如く本筋から幾つにも枝分かれをする不確定性の高いモノ。仮に僕の識る未来をα世界線とするなら、僕が関わって変化が起きたであろう未来をβ世界線とするってね」

 

「成程……」

 

 一本のロープなら変えようが無い概念だけど、樹木の枝葉の如く枝分かれしているなら変化する事も有り得る、そういう前提で聞かないといけないのだとユートは指摘する。

 

「事実、ヴィヴィオ達は僕を識っていたけど……僕が関わって無い筈の世界なら当然ながら識っている筈も無い。あの子らが僕を識る以上は未来も僕が識るものと異なるんだろう。だから参考以上にはならないと思うぞ?」

 

「それで構わない」

 

 クロノは万事を承知したと頷いた。

 

「前にも言ったけどあの事件は時空管理局最高評議会により造られた、コードネーム『無限の欲望(アンリミテッド・デザイア)』ジェイル・スカリエッティが引き起こした」

 

「広域次元犯罪者が管理局の選りにも選って最高評議会により造られた……か。時空管理局の局員としては決して信じたくは無いな」

 

 それを認めたら自分達の組織こそ犯罪結社だと言う様なものなのだから。

 

「勿論、大半の局員が真面目に次元世界の平和の為にと日夜動いているんだろう。というよりは、最高評議会も自分達を正義に邁進する徒なんだと確信して動いている」

 

「ハァ?」

 

「否、自分達こそが正義の体言者だと謂わんばかりなんじゃないかな?」

 

「犯罪に手を染めているという自覚すら無しに、自分達を正義の味方だと称しているというのか」

 

 アニメでもそんな遣り取りは確かに在ったし、ユートからしたら――否、大半の人間からしたなら巫山戯ているとしか思えない。

 

「まぁ、大半の管理局を識る人間は言うだろう。『管理局はそんな組織じゃない!』とね」

 

「言いたくもなるさ」

 

 ユートも別に時空管理局を全否定しているという訳では無く、確実に悪党がのさばっているといった認識を持っているという事。

 

 例えばティアナ・ランスターの兄のティーダ・ランスターの葬式時、遺族たるティアナの居る前で平然と罵倒をした上司が居た様に。

 

 しかも可成り酷い言い種だったとか。

 

 例えば時空管理局を実質的に支配下へと置いている最高評議会、真意はどうあれ彼らのやらかした事は明らかに管理局法を逸脱した犯罪だ。

 

 しかもジェイル・スカリエッティを云ってみればスケープゴートにしている。

 

 正確にはアレの頭脳を以て目的を達成しようとしている……だが。

 

 他にもキャロ・ル・ルシエに対して可成り辛辣な(あげつら)い方をした管理局の研究員、フェイトが怒りから自ら引き取る事を強行した程度には酷い。

 

「少なくとも、君や嘗てのリンディ・ハラオウン提督が不祥事などしていないのは識っているし、彼女の親友のレティ・ロウラン提督も間違い無く汚職はしていない」

 

「レティ提督の事も識ってるのか」

 

「其処まで詳しくは識らんよ。飽く迄もアニメや漫画などの媒体で出演した分くらいだ」

 

「それがまた判らないものだな。僕らのやってきた事がアニメーションに成ってるなんて」

 

「何なら観るか?」

 

「っ!?」

 

 思わずといった具合に息を呑んだクロノだったけど忙しなく視線を動かし、然しながらすぐにもユートに視線を戻すと首を横に振った。

 

「取り敢えず今は止めておこう」

 

「理由は?」

 

「恥ずかしいじゃないか」

 

 そりゃ、役者なら兎も角として一般の人間なら映像化された自分を客観的に観るのは、何処かしら気恥ずかしさを感じるのも無理は無い。

 

「いずれ、歳を取って振り返ってみたくなったら試しに違う自分を観てみたくなるかも知れない。その時には頼むかもな」

 

 プイッと明後日の方向へ顔を背けながら顔に朱を差して言うクロノ、誰得なツンデレっぽさを魅せてくるのはどうなんだろうか?

 

「そうか、ならそうしよう」

 

 ユートも頷いておく。

 

「さて、本来の世界線の未来……か。それならばこれは外せないな」

 

「外せない情報?」

 

「『(ふる)き結晶と、無限の欲望が交わる地。死せる王の下、聖地より彼の翼が蘇る。使者達は踊り、中つ大地の法の塔は虚しく焼け落ち、それを先駆けに数多の法の船は砕け墜ちる』」

 

「それは……?」

 

「騎士カリム――カリム・グラシアの保有しているレアスキル『預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)』にて、少しずつだけど付け足されていく形で出た預言だよ」

 

「確か古代ベルカ語の詩文形式で最短で数ヶ月、最長では数年先の未来を記すとされてるな」

 

「まぁね。その真髄は世界の情報を精査した上で起きるであろう未来の不完全な予測。発動するにはミッドチルダの二つの月が上手く合わさった時である必要性から一年に一度、しかも古代ベルカの言語は地域によって同じ言葉が別の意味合いを持つ事もあり、更に世界に起きる事件をランダムに書き記すだけだからな。彼のレアスキルの正確性というか確度は割とよく当たる占い程度」

 

「つまり、今のは『JS事件』と君が呼ぶ事件の数年前から出ていた預言という事か?」

 

 ユートはクロノの問いに頷く。

 

「とはいえ、詳しく知った処でこの世界線で起きるとは限らない。Dr.ジェイル・スカリエッティは確かに存在するみたいだし、彼が生み出したであろう人造魔導師や戦闘機人も存在してはいるが、前提条件を破綻させる謂わば破壊者が此処に居るんだからな」

 

「それが君か」

 

「イグザクトリー。だからこそ地上本部のお偉いさんに繋ぎを作ったんだ」

 

 事実上、ジェイル・スカリエッティや最高評議会と繋がる筈の男――レジアス・ゲイズ。

 

 処がぎっちょんというか、ユートはレジアス・ゲイズに渡りを付けてライオットギアと呼称をされる魔導具、見た目には仮面ライダーファイズの量産型みたいなライオトルーパーの色違いとなるバリアジャケットだか騎士甲冑、パワーアシストが付いているから単純な身体能力が引き上げられて人類枠から外れ過ぎない程度にパワーアップ、それをある程度ながら譲渡して更に売買契約も結ぶ事で人手不足を補える様にした。

 

 人手自体もユートの聖域から補充をする一種の傭兵契約もしており、レジアス・ゲイズは違法な手段に出なくても良くなっている。

 

 故に今は最高評議会ともジェイル・スカリエッティとも手は切れていた……が、とは言ってみても管理局員であるからには最高評議会と完璧に切れるのは勿論ながら不可能だけど。

 

 だからといって最早、最高評議会から指令を受けるという事も有り得ないだろう。

 

 問題はジェイル・スカリエッティ側で役に立たないレジアス・ゲイズを暗殺するべく、その役割に特化したIS『ライアーズマスク』の使い手たる戦闘機人の二番ドゥーエが動きかねない事。

 

 一応、本当に一応だけどレジアス・ゲイズとしても暗殺されるのは面白くない為、仕事中の腰には専用のライオットギアが装着されている。

 

 指揮官用にと、部の両側には指令用のパーツが追加されていた。

 

 感じとしては【機動戦士Vガンダム】に登場をする『Vガンダムヘキサ』、あれを主人公が乗る『Vガンダム』と比較すればきっと解り易い。

 

 家には家でユートが護衛を()()()いるからか、特に彼への過干渉は見受けられなかった。

 

 ユートが嘗て生きた世界――勿論だけど其処は太陽系な第三惑星地球に間違い無いのだけれど、この世界の地球では無い別の地球……平行異世界と呼ばれる場所の事、通常の平行世界とは飽く迄もその世界の理と枠組みで鏡合わせとなっている世界をいみするが、平行異世界とは理すら違っている正しく異世界と呼べるモノ。

 

 解り易く云えば【機動戦士ガンダム】の世界と【重甲ビーファイター】の世界、もっと云うなら【カンピオーネ!】の世界と【ハイスクールD×D】の世界とかを想像してみれば良い。

 

 【カンピオーネ!】に存在する闇の女神であるアテナと、【ハイスクールD×D】に存在するとされるオリンポス一二神のアテナは当然別な存在。

 

 根源的には同じでも生まれ方から在り方まで、全てが異なる女神アテナという存在だ。

 

 ユートが嘗て住んだ平行異世界の地球なんて云ってみても、それはユートにとってみれば幾百と在る筈の住んだ経験がある平行異世界の一つに過ぎないという事。

 

 転生者という枠組みとしての通常転生は二度だけしかしていなかったけど、疑似転生や世界転移という手段を用いて様々な世界へと赴いた。

 

 其処は【メガテン】シリーズが連なるとされたマルチバース、例えば【女神転生】と【女神転生Ⅱ】は同じ世界の過去と未来。

 

 然しながら【真・女神転生】とこの二つに繋がりは全く存在しない。

 

 【真・女神転生】と【真・女神転生Ⅱ】は矢張り同じ世界の過去と未来だが、【真・女神転生Ⅲ】や【真・女神転生Ⅳ】や【真・女神転生Ⅴ】では各々で繋がりは無かった。

 

 スティーブンは同一存在らしいが……

 

 同じ【真・女神転生】のタイトルを冠してはいても、世界観の繋がり自体は無いけどマルチバースとしては同一世界として存在する。

 

 それは例えるならばウルトラマンの世界みたいな感じで、昭和から平成に掛けて連綿と続いてきたMー78星雲を主とするウルトラマンの世界とは別に、ウルトラマンギンガが守った地球やウルトラマンXが守った地球やウルトラマンオーブが守った地球やウルトラマンジードが守った地球など別の世界の地球が存在する宇宙、時空の壁と次元の海に隔てられた平行世界としてマルチバースといった概念が在るみたいな。

 

 尚、ウルトラマンジードはMー78星雲が存在する宇宙出身のウルトラマンベリアルの息子だが、守った地球は初代ウルトラマン~ウルトラマンメビウスが守った地球とは別の地球である。

 

 それは兎も角、ユートが行った【メガテン】が連なるマルチバースの中でもちょっと特殊な立ち位置な世界で、【真・女神転生-東京黙示録-】と【真・女神転生if】ときて【女神異聞録ペルソナ】へと繋がる世界観だった。

 

 【真・女神転生-東京黙示録-】は後のゲームに【偽典女神転生-東京黙示録-】が出て、世界観的には【真・女神転生】で主人公達が東京大破壊から金剛神界へ跳んだ三〇年間の噺で、その前日譚となる【真・女神転生-東京黙示録-】は東京大破壊が起きていない【ペルソナ】とは繋がらない。

 

 世界は同じでも明確に平行世界として分かたれた世界観だったが、大破壊を起こす元凶は判っているのだからユートが排除してしまった。

 

 つまりゴトウとトールマンを。

 

 それはそれとして、【真・女神転生-東京黙示録-】のヒロイン枠となるキョウコという少女が、この世界ではガイア教が潰れて祖父も死亡してしまった上、本人も記憶喪失となって契約をしていた妖精の女王マブとの契約が更新されなかった事から、ユートがキョウコを保護した後にマブとの契約の上書きをしてしまっている。

 

 妖精の女王のマブを通じてユートはピクシーを何体か契約し育てていたが、その内の一体を護りとしてレジアス・ゲイズに憑けていた。

 

 通常のピクシーはユニゾンデバイスと変わらない体長でしかなく、魔力も決して強い訳では無い存在だが幸いにも()()()であるから方法は有り、その方法で膨大なる魔力を持たせて魔法を覚えさせれば充分過ぎる戦力と成る。

 

 仮にドゥーエがレジアス・ゲイズの暗殺に動いたとしても、ユートが張り憑けたピクシーにより撃退をされてしまうであろう。

 

 何しろレベル自体が高くなっている上で加護と祝福を与えられ、更にインストール・カードによりユートが扱える魔界魔法も修得している。

 

 因みに、魔界魔法とはメガテン系で扱われているアギやブフやディアなどのメガテンで主に悪魔と呼ばれる存在が使う魔法を指す。

 

 そしてユートが派遣をしたピクシーには初めから修得していたディアとジオに因んで、ジオンガとジオダインとマハジオとマハジオンガとディアラマを修得させている。

 

 つまり戦闘機人が何の対策もしないで闘ったら普通に木っ端微塵になるのだ。

 

 尚、メタを張られてジオ系が効かない可能性も鑑みてフレイダインも修得させていた。

 

 実験をしていて判ったけど、実は魔界魔法だとAMFは効果を顕さなかったりする。

 

 理由は実に簡単で、リリカル系の魔法は使う前に魔法陣を形成しつつ魔力を集めて発動に至るのだけど、魔界魔法は体内で魔法を既に形成してから放っているという相違点、そして似た方法を用いてリリカル系の魔法でも多少は重たくなるにせよ使用可能、AMFとは魔法に変換される前の魔力の形成を阻害する魔法であり、完成された魔法に干渉をする程の力は持ち合わせていない。

 

 故にこそ戦闘機人が虎の子のAMFを出してきてもピクシーは問題無く魔法を使える。

 

 

 閑話休題

 

 

「さて、最早起きない事件に考えを及ばせるより次に起きる筈の事件を考えようか」

 

「……というと?」

 

「少なくとも『JS事件』はその侭な形で起きないだろうが、それでも似たり寄ったりな事件として何かが起きる筈だからな」

 

「それは何故だ?」

 

「前にも教えたとは思うが、僕以外にもこの世界には転生者が入り込んでいる」

 

「聞いたな」

 

 ニャル子の姿をした這い寄る混沌――ニャルラトホテプ或いはナイアルラトホテップ、作品により呼ばれ方が変わる事も屡々あるけどそんな神が送り込んで来たのだ。

 

 その人数は不明だが、黄金聖衣を欲しがる筈の人間を事故に見せ掛けたりなどで死亡させた上、転生特典に黄金聖衣を与えている。

 

 今までにも相生呂守と相生璃亜という射手座と獅子座の黄金聖衣を与えられた兄妹、御手洗史珈という名前の魚座の黄金聖衣を特典に与えられた少女……というか両性具有体、そんな三人とは既に出逢っていた。

 

 現状では三人だったけど、黄金聖闘士とは全部で黄道一二星座の数だけ存在しているものだし、つまり最大限に居たなら残りは蛇遣座も含めると一〇人が居る計算となる。

 

 ユートは双子座の黄金聖衣を持つ黄金聖闘士ではあるが、転生者の中に別口で双子座の黄金聖衣を持つ人間が居てもおかしくは無い。

 

 尚、ユートが転生者を黄金聖闘士とは呼ばないのは彼らが修業して聖衣を得た訳では無いから、ユート自身はハルケギニア時代の子供の頃に肉体的には聖闘士星矢系の修業をしたし、聖域に於いて牡牛座のアルデバランと勝負した際に小宇宙に目覚めていた上、その前に【機神咆哮デモンベイン】の世界で末那識――第七感セブンセンシズにも覚醒していたから黄金聖闘士を名乗っている。

 

 冥王ハーデスとの大決戦に向けて阿頼耶識にも覚醒したし、何なら数秒間でしかなかったけれど第九識の阿摩羅識という神や仏にまで通ずる感覚だったり、第十識たる乾栗蛇耶識にも刹那の刻だが到達をしていた。

 

 そういう意味で云えばユートは既に到達者すら越えた超越者、レジアス・ゲイズがどうのこうのといった葛藤など余録に過ぎない。

 

「転生者には幾つかの方針がある。一つは原典への介入を一切しない」

 

「一切?」

 

「そうだ。例えば【魔法少女リリカルなのは】であるなら、なのはやフェイトやはやてとかいった主要人物とは会わないし、何なら海鳴市にも絶対に行かないと徹底的に関わらない方針」

 

「確かに其処まで徹底すれば関わらないのかも知れないな……」

 

「次にガッツリと関わる方針」

 

「それも確かにって処だろうな」

 

 大まかに二種類、関わるか関わらないかという実にシンプルな話であったと云う。

 

「関わる場合は生まれた場所も重要だ」

 

「と言うと?」

 

「地球生まれなら海鳴市でなのはやはやてと関わっていけば良い。然しミッドチルダだったり他の次元世界ならアプローチも変わる。それこそ時すら変わってくるな。ティアナ・ランスターやスバル・ナカジマなら兎も角、今から七年後に一〇歳な年少組に合わせるなら原典開始の三年前からではまだ生まれてさえいないからな」

 

「ああ……そりゃそうだ」

 

 三年前の『PT事件』や『闇の書事件』となる筈であった時期、あの頃にキャロ・ル・ルシエとエリオ・モンディアルは生まれている……のだがエリオはオリジナルの方だったりする。

 

 プロジェクトFの残滓とか蔑称で呼ばれているフェイト誕生の設計の書、アレを使って造られた存在こそが人造魔導師のエリオ・モンディアルであり、死んだエリオ・モンディアルと同じだけの年齢まで培養して生み出されていた。

 

 そしてオリジナルのエリオ・モンディアルは死なせない、故に人造魔導師としての原典キャラクターなエリオ・モンディアルは生まれてこないだろうし、だからといってオリジナルが機動六課入りが叶う程の魔導師には成れまい。

 

「僕の計画としては少なくとも原典に登場をする女性陣、彼女達が七年後の『JS事件』の代わりとなる某かに関わらない様にする。ミッドチルダに居るであろう転生者達が関われない様にな」

 

「女性陣?」

 

「言っておくが本来ならクロノの母親なリンディ・ハラオウンも対象だぞ」

 

「……は? 今でも三十路過ぎてるのに七年後なら四十路越えだぞ?」

 

「美人で未亡人ってのがツボな奴だって居るかも知れん。下手したらクロノの嫁さんにもコナを掛けるかもな」

 

「エ、エイミィに!?」

 

 正確には一六歳の時に婚約をしただけで嫁さんというのは違うが、元より内縁の妻の如く扱われていたからそれが確定的になったに過ぎない。

 

 とはいえ、流石に貞操関連は未だだから二人は童貞と処女の侭に軽いキスですら割と最近になってヤったらしいと聞く。

 

 それまではデートをしても手を繋ぐくらいで、エイミィから腕を組まないといけなかったとか。

 

 それでもキスはクロノからだった。

 

 それは兎も角、中には変態チックな人間も居るだろうからエイミィがクロノの子を孕んだタイミングで、少なくとも尋常ならざる手段にてヤリに来ても決しておかしくは無いであろう。

 

 所謂、ボテ腹が大好きな変態野郎。

 

 だったら自分の女を孕ませろと言いたくなるものだけど、大抵はその手段が胸糞悪くなるくらいのレ○プでヤりたい腐れ野郎であり、そういった手段はそれこそ幾つも在る筈だ。

 

「少なくとも、相生兄妹は関わりたい派。それで史珈は関わりたく無い派になる」

 

 相生呂守と相生璃亜が離れた土地から海鳴市にまでやって来た理由、それは即ち原典の物語へと関わり合いたかったからに他なら無い。

 

 対して御手洗史珈は逆に関わらない方針だったからこそ、海鳴市の名前を地図上で見つけ出したにも拘わらず動いてはいなかった。

 

 仕事として退魔巫女の見習いみたいな事をしており、()() ()()と天神うづきが継いでいる天乃杜神社にて働いている。

 

 後で聞いた話によると木島 卓は天神家に婿入りした形らしくて、戸籍上では天神に姓が変わっていたから木島 歩と木島皐月の姉妹の戸籍上の姓名は天神 歩と天神皐月だったが、普段の名乗り的には木島姓の方を使っているのだとか。

 

「そしてミッドチルダに転生したと思われる連中はガッツリと関わりたい派、問題なのは連中が誰をターゲットにしているのか? 鉄板だとしたら高町なのは、フェイト・テスタロッサ、八神はやての三人だろう。連中が手を組んでいるってんならターゲットは分散してると思うけどな」

 

 流石に同じターゲットではあるまい。

 

「しかも地球で見付けたのが三人だった以上は、残りが最大限で一〇人も居る訳だよ」

 

「そうなるな……」

 

 まぁ、ターゲット候補は一〇人を越えているから獲物には困らないだろうが……

 

 数の子だけで一二人、黄金聖衣持ちが一二人だったら一人ずつ分け分けが出来てしまう上に趣味嗜好的に様々に居る……知的や姉属性や妹属性や双子や性別謎っ子やダンマリやロリや年増や元気娘や嗜虐女王など。

 

 因みに、相生呂守に数の子の中では誰が好みかを訊ねたならば……

 

『セッテ』

 

 ……と、小さく答えた。

 

 何でも余りに機械的なセッテを自分好みに染め上げてみたい……だそうな。

 

 これには相生璃亜も引いた。

 

 尚、関係は無いけどオットーも一応は女の子であるらしい。

 

「……未来では矢張り大変な事態が起きる上に、解決する人間が軒並みミッドチルダに居ないか。ユートに訊きたい事がある」

 

「何だ?」

 

「僕は強くなりたい、君程にとは言わないまでもなのはやフェイトやはやて達と肩を並べられる、その程度には……強くなる手段は在るか?」

 

「……無くはないな」

 

 ちょっとばかり言葉に詰まりながらもユートは肯定をするのであった。

 

 

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 尚、ゼスト隊はレジアスと無関係にナンバーズにより壊滅しています。



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