魔法少女リリカルなのは【魔を滅する転生砲】   作:月乃杜

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 置き場をミスってた……





第3話:遺失物 妄りに封を解くべからず

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 とある無人世界。

 

 幾つかの無人世界には、ユートの手が入って無人でなくなり、真皇国の領国として活用が成されている。

 

 例えば一〇年後に島流しになる筈だったルーテシア・アルピーノの流し先……無人世界【カルナージ】も真皇国・幻世領国となって普通に住民が住んでいた。

 

 例えば嘗て古代ベルカの時代、竜王ライが治めていたゴジョウの民が主に住む天竜領国。

 

 時空管理局に従わない、そんな領国が幾つも有る。

 

 勿論、新暦より数十年が経過している今現在とて、管理局は自分達の管理世界へと恭順する様、真皇国へと常に通達をしていた。

 

 魔法を持っていて、自ら次元世界を航る術を手にする真皇本国と真皇領国は、時空管理局の理念から云うなら管理世界として登録をされて然るべきだからだ。

 

 しかも古代ベルカ時代、約六〇〇年間の積み重ねを維持しており、時空管理局が云う古代遺失物(ロスト・ロギア)も有る筈。

 

 事実として真皇国は本国も領国も、時空管理局からの使者を名乗る侵略者とも云える武力介入をしてくる連中を、特殊な機械兵器により退けてきた。

 

 すわ、質量兵器かと怒りを露わにする管理局員達ではあるが、時空管理局とは無関係な真皇国が彼らの掲げる理念や法律に従う謂れなど無く、更には魔導兵器だから質量兵器という訳では決して無い。

 

 彼ら真皇国民が守護者(クストース)と呼ぶ存在、見た目が鷲や鮫や豹に似た三種類が謂わば雑兵の如くわらわらと現れ、それらを同じ姿ながら大きな三機が操っているらしい。

 

 更には龍や虎や亀や鳥を象る人型の機体。

 

 それはゲートを守護し、アイラ――呂守や璃亜の母を討ち斃した【龍人機】、更に【虎人機】と【玄人機】と【雀人機】だ。

 

 そしてその下位互換的に鋼機人(ヒューマシン)――【轟龍】と【雷虎】と【光雀】と【嵐武】が。

 

 但し本来の鋼機人と違い基本的に人型から獣型へ、トランスフォームが可能になっている。

 

 尚、管理局員は見てないが更に上位互換に超機人が存在しており、【龍王機】と【虎王機】と【雀王機】と【武王機】が存在している上に、四霊の超機人まで中ボスに設定されていた。

 

 各領国の全てに。

 

 そして本国は統括をするガンエデンが在る。

 

 真皇閃妃の一人、イルイ・ナシム・ガンエデン・オガタが護っているのだ。

 

 真皇閃妃というよりは、【閃妃】となった【閃姫】な訳だけど、彼女らは必ず名前に【緒方】か【オガタ】を入れている。

 

 とはいっても【閃姫】も中には【緒方】か【オガタ】を名乗る場合もあるし、厳密な意味合いで使われている訳でも無かった。

 

 解り易く云うと【閃姫】は恋人枠、【閃妃】が妻枠として呼び分けられてる。

 

 イルイは【閃妃】だが、何故か見た目を大人(ナシム)モードではなく、子供(イルイ)モードで過ごしていた。

 

 まあ、年齢的に合法ロリだから問題も無い。

 

 クストースと共に出現をする黒い忍者らしき機体、DGGの三号機たる雷鳳の量産型も小型化された物が領国を護っている。

 

 量産型【雷鳳】。

 

 これの基型はジンライだったけど、【磁雷夜】というのが此方で正式な機体名となる。

 

 戦力が多過ぎて管理局は基本的に逃げ帰っていた。

 

 結果として地球側から離れた地へ管理局の艦船は向かっており、L級第八番艦アースラも艦長を若き少年とも云えるクロノ・ハラオウンに代えて向かう。

 

 提督でもあったリンディ・ハラオウンが辞職をした為に、その御鉢がクロノへと回ってきたからだ。

 だけど今現在のクロノは後悔の真っ只中。

 

 地球とは真反対の方向に存在したとある無人世界、名前というか管理局謹製のナンバーすら無い世界へと古代遺失物(ロスト・ロギア)を求めて来たのだが、見付かった七隻もの黒い艦に艦隊を率いていた某提督は喜色満面、反対に一緒に任務として来ていたユーノ・スクライアは渋面。

 

 クロノは提督に封印解除をしない様に上申したが、全く聞き入れられずクロノとユーノを外して作業開始の運びとなった。

 

「クソ! ユーノ、本当にあのロスト・ロギアはヤバい物なのか!?」

 

「う、うん。殆んどの文面は全く解らない文字だったから読めないんだけどさ、一隻の艦に在った文だけが何故か古代ベルカの文字に似ていて、何と無くだけど意味が解る文章だったよ」

 

 ――次元世界に撒かれた闇を畏れよ。

 

 ――恐るべきは魔王。

 

 ――六つの恐怖。

 

 ――銀河に悪夢を。

 

「銀河というのは宇宙の事なのだろうが、悪夢というのはどういう事なんだ?」

 

「僕に訊かないでよ!」

 

「それに六つの恐怖とは? 艦の事を云っているなら数が合わないぞ」

 

「だから訊かないでって。解る文字だけを文章に起こしたらそうなったんだ!」

 

「兎に角、封印解除は拙いと言うんだな?」

 

「うん。前にユートから聞いたんだ」

 

「む、何をだ?」

 

 若干、苦手意識があるのだろうか? 少し躊躇いがちに訊ねた。

 

「封印とは大概が良くないナニかを閉じ込める為に在るんだって」

 

「それは当たり前と言えば当たり前だが……」

 

「事、ロスト・ロギア相手なら封印は解かない方が良いらしい」

 

「何故だ?」

 

「場合によっては良くないナニかが解放されるから」

 

 ロスト・ロギアの定義は『喪われた世界や喪われた技術により造られており、現代では完全なる再現などが難しいモノ』だろう。

 

 ジュエルシードや闇の書もそれに当たる。

 

 とはいえジュエルシードならユートは造れるから、最早ロスト・ロギアとも云えなくなった。

 

 実際、何処ぞのドクターがやったみたいに模造品のジュエルシードを、ユートは新造した機体のエネルギー源として使っている。

 

 他はまた別のエネルギー源を使い、魔力稼働の機体として扱っていた。

 

 つまり、時空管理局から質量兵器がどうのという、ある種のクレームは来ないという訳だ。

 

 若しこれを質量兵器呼ばわりするなら、時空管理局の艦船も質量兵器だと弾劾される為、クレームなんて付け様がなかった。

 

 しかもその稼働に使っているのが、元ロスト・ロギアとあっては時空管理局の面目は丸潰れだろう。

 

 説明を受けて報告をしたクロノは胃が痛かった。

 

 だけどだからこそユートならば? とも考える。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「という訳なんだが……」

 

〔そうか、すぐに逃げろ〕

 

「は?」

 

〔時空管理局、莫迦だ莫迦だとは思っていたけどな。此処まで飛び抜けた莫迦だったとは愚かに過ぎる〕

 

「どういう事だ?」

 

〔まさか地球の反対側に、そんなのが在ったとか迂闊だったが、時空管理局は調べもせずに封印を解除なんてしたのか?〕

 

「何か知ってるのか?」

 

〔遺失宇宙船〕

 

「ロスト・シップ?」

 

〔万年レベルで昔に、先史文明時代に造られた艦船。それもたった七隻しか造られていない特別製〕

 

「なな……隻……?」

 

 確かに七隻在った。

 

 遺失宇宙船とはピンからキリまで在るが、特別製と云える艦船はたった七隻。

 

〔六隻の闇の艦船と最新鋭となる光の艦船。訊くが、遺失宇宙船は其処に何隻が在った?〕

 

「七隻だ」

 

〔終わったな。先に目覚めるのは闇側の方だろうし、唯一の光側の遺失宇宙船は目覚める前に破壊される〕

 

 ユートは溜息を吐いて、時空管理局という組織の愚かさを再認識した。

 

「何故、闇側が先にと?」

 

〔七隻の特別製の艦船には特別製足り得るシステムが有り、その中に感情を艦船のエネルギー源とする物が存在する。光の側は愛情と勇気と希望という正の感情をエネルギー源に。闇側は憎悪と恐怖と絶望という負の感情をエネルギー源だ〕

 

「感情を……?」

 

〔そうだ。そして派生的な負の感情や欲望を丸出しな感情も闇側には美味しい。人間は正より負の感情の方が先立ち易いから、当然ながら闇側の遺失宇宙船が先に目覚める訳だな〕

 

 実際、ユートが識っている噺でも闇側の遺失宇宙船がアルバート・ヴァン・スターゲイザーに接触して、彼を闇に引き入れてしまっている。

 

 その後アルバートを捜していたアリシア・ツォン・スターゲイザーに、光側の遺失宇宙船ヴォルフィードが接触した。

 

「然し、仮にそうだとしてもそこら辺は乗り手次第じゃないのか?」

 

〔クロノ、自分でも信じていない事は口にするな〕

 

「ぐっ!」

 

 欲望丸出しな提督が封印を解くべく動き、だからこそ今の内にクロノはユートに連絡をしたのだ。

 

 成程、上手くやれたなら“成果”としては充分。

 

 きっと上を目指せるだけのアドバンテージでも得られるだろうが、場合によればその場で生命すら失う事を考慮していない。

 

〔特別製の遺失宇宙船は、本来なら造られるのは一隻だけ。紡錘形の艦船が無かったか?〕

 

「在った。二等辺三角形みたいなのとか、翼を閉じた鳥みたいなのとか、紡錘形だとか色々な形だったな」

 

〔二等辺三角形はラグド・メゼギス、翼を閉じた鳥型はゴルン・ノヴァだろう。でだ、紡錘形の艦船の名はデュグラ・ディグドゥだ。本来ならそいつだけを造る計画だったが、二つのミスから六隻が追加された〕

 

「二つのミス?」

 

〔一つは搭載されたシステムがどうしても納まり切らなくて、艦船のリソースを完全に使い切ってしまったから護衛艦が必要になったって事〕

 

 デュグラ・ディグドゥに与えられたシステムとは、即ちシステム・ダークスターと呼ばれる致死兵器。

 

 システム・ダークスターを使うと赤い魔法陣が顕現して、それを直に処か映像越しでも視れば死ぬ。

 

 そんな説明を受けては、クロノとしても青褪めた。

 

「そんなシステムが?」

 

〔まるで魔法的だろう? だから当時の科学者連中はシステムに、遥かな古の頃に暴れたという魔王の名前を取り『闇を撒くもの』、システム・ダークスターと名付けたのさね〕

 

「闇を……撒くだって? 次元世界に撒かれた闇を畏れよってのは!」

 

〔碑を遺したのが誰なのかは兎も角、その誰かさんは理解していたんだろうね〕

 

「くっ、君はその碑文から僕らに逃げろと言ったな。ならば君もやはり識っていたのか?」

 

〔【闇を撒くもの(ダークスター)】デュグラ・ディグドゥの存在は……な〕

 

「そうか……」

 

 沈黙するクロノ。

 

〔二つ目の欠陥だけどな、システムは艦内にも及ぶからブリッジに誰も入れなかった。だからブリッジは造られたが、実際に使われたりはしなかったんだけど、その為に連中は人格を持たせる事にした。つまりは、無人艦という訳だね〕

 

「それで?」

 

〔連中は創造主を裏切り、システム・ダークスターの最初の犠牲者にしたんだ〕

 

「はぁ? あ、それだったら提督達は!」

 

〔生きて帰りはしないな〕

 

 ゾクリと背筋に氷水でもぶちまけられた気分に。

 

「即刻、此処を離れるぞ! ランディ、アレックス、ルキノ!」

 

「「「了解!」」」

 

 取り敢えずオペレーターに出発を命じる。

 

「それで? 五隻というのはどんな謂れが?」

 

 アースラが現場を離れるのを確認後、クロノは再びモニターに視線を戻す。

 

〔デュグラ・ディグドゥの二つ名、【闇を撒くもの】というのは己れの分身とも云える五つの武器を別世界に撒いた事に由来をする。【烈光の剣(ゴルン・ノヴァ)】、【瞬撃槍(ラグド・メゼギス)】、【毒牙爪(ネザード)】、【破神縋(ボーディガー)】、【颶風弓(ガルヴェイラ)】だ。五隻の艦船には嘗て魔王が振るった五つの武器の名前を名付けたらしい〕

 

 その能力は飽く迄も当時の兵器だが、名前は普通にダークスターの五つの武器を由来としていた。

 

〔故にこそ、対抗する手段としてどうにか一隻だけ、光側の艦船が造られた〕

 

「光側……ね」

 

〔先ず、システム・ダークスター有りきだから無人艦である必要がある〕

 

「だろうね……」

 

〔次にメンテナンスフリーで自己修復機能も必要で、エネルギー源も確保する為に感情をという、闇側と同じシステムが必須だろう〕

 

「確かにその通りだよ」

 

 魔王を討伐する勇者は、魔王と同じかそれ以上の力を持たねばならない。

 

 仮面ライダークウガが、ダグバを斃すべくアルティメットフォーム化したみたいに、同じ存在にまで自身を引き上げる必要がある。

 

〔とはいえ、また暴走とかされても困るから使われる感情は正の感情な訳だよ。それで暴走しないかは賭けに等しいが……〕

 

「確かにね」

 

〔そうして奴らを一掃するシステム、自身のエネルギーにより相手のエネルギーを対消滅、実質的に封印をするシステムを搭載した。【戦闘封印艦】が完成だ。名前は魔王に対抗してか、デュグラ・ディグドゥとは不倶戴天たる光側の神――【漆黒の竜神(ナイト・ドラゴン)】を由来として、ヴォルフィードとした〕

 

 一九六メートル級【戦闘封印艦】ヴォルフィード。

 

 彼の艦船は六隻全てを、一度に相手取りエネルギーを対消滅、自身と共に敵艦を行動不可能にしたのだ。

 

 当時の人類が完全滅亡をした後に。

 

 間抜けな話だが、人類側は連中に気付かれない様にしていた筈だけど、遂にはバレて攻撃を受けたのだ。

 

 幸いにもヴォルフィードは完成していたが、出撃が出来ない状態に陥ってしまったから、何とか抜け出そうと四苦八苦して脱出を図るものの、間に合わず人類は滅亡させられていた。

 

 それでもヴォルフィードは使命を果たしたのだ。

 

〔何で【ロスト・ユニバース】のロスト・シップが、とかは考えても意味すら無いだろうな。どんな形かは兎も角として物語が習合されているんだろう。それにチャンスかも知れないし〕

 

 ユートはニヤリと笑い、クロノは何故か寒気が増していた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ユートは嘗て、前世に於いて異世界を放浪していた時期がある。

 

 ハルケギニア邪神大戦、その最終決戦で【黒の王】と【白の王】から託された神器を使い、世界から弾かれてしまったのが原因だ。

 

 最初に訪れたのが実は、この世界の別地域である。

 

 【鬼神楽】と呼ばれているエロゲな世界観、ユートは現在の市乃……イチ様に拾われたのだ。

 

 実際には何度かこの世界に来ており、【AYAKASHI】的な世界観も目にした。

 

 因みに、今がその時分らしくて結界が張られて同じ人間が居る状態を緩和中。

 

 【ハイスクールD×D】世界で、ユートが招喚した一人である夜明エイムとはこの時に出逢う。

 

「混ざり過ぎ……とは言うまい。僕の再誕世界だって混淆世界としては正しく、混沌としていたからな」

 

 簡単に挙げても……

 

 魔法先生ネギま!。

 

 聖闘士星矢。

 

 ONI!シリーズ。

 

 Fate/シリーズ。

 

 エルドランシリーズ。

 

 GATE。

 

 ゼロの使い魔。

 

 真・恋姫†無双。

 

 魔法戦士シリーズ。

 

 キャッスルファンタジアシリーズ。

 

 ゴッドハンド輝。

 

 東京ザナドゥ。

 

 軽く考えてもこれだ。

 

 魔法戦士シリーズに関してはユーキから聞き齧り、【世界扉(ワールド・ドア)】の魔法で異世界ロアへと落とされて知った。

 

 落ちた先で今正に、銀髪なイケメンに犯されそうになっていた金髪少女を救出して、取り敢えず銀髪男は二度と使えない様に踏み躙って処分しておく。

 

 序でに鋭い槍で後ろの穴を掘ってやった。

 

 ココノ・アクアと名乗った少女に案内され、王国の女王たるクイーングロリアに謁見、彼女らの敵対組織を潰すその代わりにココノと王女ティアナを貰い受ける契約をした。

 

 その後、本来の歴史なら地上の魔法戦士となる筈だった少女――若干一名ばかり少女じゃないが――達を聖闘少女として採り入れ、数年後に魔法戦士となる筈だった少女達は、鋼鉄聖衣を与えてやった。

 

 【ゼロの使い魔】と【真・恋姫†無双】は同じ世界の違う地域、キャッスルファンタジアも同じくだ。

 

 ユートの再誕世界と繋がるハルケギニア大陸。

 

 故にある意味でユートが三人居た形だ。

 

 ハルケギニアのユート、再誕世界現代版のユートと過去へ跳んだユート。

 

「さて、時間はまだ掛かるんだろうけど此方も準備をしておくか」

 

 機動光覇艦アウローラ、或いは神魔因子保有艦シャブラニグドゥを。

 

 ユートが嘗て関わった、【ロスト・ユニバース】の遺失宇宙船の技術を得て造った艦である。

 

 主に光側ヴォルフィードの技術、何しろあの手は使えないから一隻一隻を斃さないといけないから、基本的にはプラズマブラストで破壊していた。

 

 主砲に焼かれた闇側は、完全破壊を免れない。

 

 だから破片から技術を取り入れるしかなかったが、幸いにもヴォルフィードにはシステム・ダークスターを始めとする、闇側の技術で造られた兵器の資料などが残っていた為、ある程度は再現が可能だったのは助かる話。

 

 だからといってシステム・ダークスターを造らなくても良いのに、取り敢えずは試しにと造っている。

 

 シャブラニグドゥに搭載しているものの、やっぱり乗組員が居たら使えない。

 

 尤も、造った当初は確かにそうだったのだが、今なら多少ながら話が違う。

 

 先ず、冥王たるユートにはシステム・ダークスターなど既に効かない訳だし、ユートの保護下の【閃姫】達にも効く事は無いから。

 

 そして冥闘士もやっぱりシステム・ダークスターは効かない為、クライド・ハラオウンを副官としてなら連れても行ける。

 

 相手が遺失宇宙船だからシステム・ダークスターは使えないけど。

 

「一隻でも手に入ったら、色々と解剖しちゃる!」

 

 その瞬間、この場に居ない筈のデュグラ・ディグドゥ達が、何故か凄まじいばかりの悪寒に襲われた。

 

 ユートはどう足掻いても正義の味方っぽくはなく、下手をしたら悪より悪徳を積む悪党でもある。

 

 【BASTARD!! -暗黒の破壊神-】世界でも、メインヒロインなティア・ノート・ヨーコを拉致してるし、【ゲンジ通信あげだま】な世界ではノットリダマス側に付いて、怨夜巫女と共にあげだマンを叩き潰した。

 

 【BASTARD!! -暗黒の破壊神-】世界では、世界の滅亡後に時間を巻き戻して無かった事にした挙げ句、時間の外側に残されてしまったヨーコは喰った訳で、その後はシレッとDS側で戦いつつ、シーン・ハリをマジ喰い――原典では耳朶を甘噛みしただけだった――してみたり、カイ・ハーンを斃して喰ってみたり、封印を破る為に攫われていたシーラ・ウィル・メタ=リカーナを喰ってみたりと好き放題し放題。

 

 遂にはガブリエルにまで手を出していた。

 

 【ゲンジ通信あげだま】世界では、ノットリダマスの方に味方した後にボコったあげだマンを故郷送りにしてしまい、平家いぶきを攫ってしまった。

 

 尚、怨夜巫女の九鬼 麗とは契約を交わしており、あげだマンを斃した場合は麗が下に付く……と。

 

 その後は世界制覇が私の野望とばかりに世界征服、麗が高校生に上がったばかりの頃に完了した。

 

 九鬼 麗と平家いぶきを両手に華と抱え、逆襲しに来たあげだマンを叩き潰してやる。

 

 完全な悪であった。

 

 そんなユートがクスクスと悪党な嗤いを見せつつ、クロノ・ハラオウンの到着を待っている。

 

 これから行われるのは、悪か善か? それはもう神にすら解らない事だった。

 

 

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