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「ユニット起動、無限連環機構作動開始。システム【アンブレイカブル・ダーク】正常作動。何故? 貴方は何故……私を解放したのですか?」
「面倒事を片す為だ」
「――?」
意味が解らないと小首を傾げるユーリは、端から見れば保護欲を掻き立てられる可愛らしさ。
「永遠結晶エグザミア……ちゃんとした持ち主が浮いた侭だと面倒なだけだし、だから紫天の盟主ユーリ・エーべルヴァインに起きて貰った。放っておいたら、それだけで面倒ばかりになるのは、周りを見れば判る通りだからね」
キリエとアミタ。
ディアーチェ。
更にはタイムシフトに巻き込まれた未来組。
「マテリアル−D及びSとLを確認、ディアーチェとシュテルとレヴィ……」
約一名、デルタな姿をしているけど判るらしい。
「ですがこのシステムは私にも制御は出来ません……皆が私を制御しようとしました。だけどそれは出来ませんでした。だから必死で沈めました……私に繋がるシステムを破断した上で、別のシステムで上書きして闇の書に関わる全ての情報から私のデータを抹消し、夜天の主と管制融合騎も知り得ない、闇の書が抱える真なる闇……それこそが、私なんです」
「説明をありがとう。取り敢えず僕の口から説明する手間は省けたな」
「貴方は!」
「心配しなくても君の制御は可能だ。その為の手段は既にシュテルに伝えてあるからね」
「……っ!?」
ユーリは驚きに目を見開いてしまう。
「私を……制御……?」
「ああ」
「そんな……造られてからずっと、何百年と制御が出来なかったこの【システムU−D】を?」
その口調は『有り得ない』と言っている。
ユーリ自身が何度も試みたのだ、【システムU−D】の制御を。
それをぽっと出なユートに可能とは思えない。
「今までにマテリアル三基が揃った事は?」
「ありません。そもそもが私もディアーチェ達に会うのは初めてです」
「だろうな。ディアーチェも【大いなる翼】という事以外、何ら情報を持っていないくらいだからね」
原典でも人型だとは思ってもなかったみたいだし。
「貴方は本当に私を制御、止められる心算ですか? 言っておきますが今の私の状態は……」
「識ってる。赤い戦闘モードが在るんだろ?」
「っ! 何故、其処まで知ってるんですか? いえ、知りながら私を目覚めさせたというんですか!?」
「言ったろ? 僕には君の制御をする方法が有ると。ならばやらない理由は何処にも無いな」
「いったいどうやって?」
「まず、赤い戦闘モードなユーリをぶっ飛ばす」
「ぶっ飛ばされるんですか私は!?」
行き成りぶっ飛んだ方法に吃驚してしまう。
「次に弱ったユーリに対して紫天チームが必殺技」
「またぶっ飛ばされるのが確定!?」
その為のアイテムだって用意をしてある。
原典ではデルタギアからデータを得て造られたとされる二つのギア、劇場版の前日譚で三原修二がカイザ――草加に殺されている。
その後に回収されたギアを元に、オーガとサイガのギアは作製された。
つまりシュテルが着けたデルタギア、それと深い関わりを持っているのだ。
「ディアーチェ、レヴィ、貴女達も変身を」
「ぬ?」
「おお!?」
シュテルが二人に渡したトランク、特にそういった描写は無かったのだけど、ファイズギアもカイザギアデルタギアも、トランクへ普通に納められているのだから、それもアリと考えて造ったのだろう。
「ディアーチェに渡したのはオーガギア。レヴィのはサイガギアです」
二人が早速、トランクを開けてみると入っていたのはドライバーと携帯電話。
そしてオーガギアには、オーガストランザーという武器が入っている。
「ふむ? どうすれば……シュテルのとは形が違う」
「それは今から見れます」
シュテル……デルタが指差す先にはユート。
腰にファイズドライバーを装着、右腰にファイズポインターを左腰にファイズショットを装備していた。
「ベルトを腰に装着して、これは右に装備……か?」
ディアーチェが辿々しくオーガギアを装着。
「ボクも!」
同じくサイガギアを装着するレヴィ。
ユートが携帯電話を――ファイズフォンを開いて、【5】【5】【5】というコードを押して【ENTER】キーを最後に押す。
《STANDING BY》
「変身っ!」
電子音声が響くとそれを高らかに掲げ、ドライバーのバックル部に装填してから横倒しにする。
この変身ポーズは原典で主人公、乾 巧がやっていたものだ。
変身するのがファイズ、それならば……という。
《COMPLETE!》
赤い流動……フォトンブラッドが身体全体を奔り、黒いアンダースーツに銀色のアーマー、黄色のアルティメットファインダーを持った顔にΦを象る騎士――仮面ライダーファイズの姿に変身をした。
乾 巧の如く右手をスナップさせる。
「さあ、始めようか」
ユーリも服の色が血の様な禍々しい赤に変わって、目が据わった状態となるとファイズへ攻撃を開始。
「ぬ、どれを押したのだ? 此処からでは見えんぞ」
「あ、コードはそれぞれで違いますよ」
「ならばさっさとそれを教えんか!」
ディアーチェは至極尤もなツッコミを入れた。
ユーリというか無限連還機構エグザミアを制御する為には、マテリアル三基が揃っていなければならないのは原典から判る。
とはいえ、色々とすっ飛ばしているから原典みたいな融合とかは出来ないであろうし、それを補う意味で先ずはユートが闘って相手を弱らせる。
なのは達に特殊カートリッジを渡すのも無理だし。
三人の役目はその次だ。
ディアーチェがコードを入力していく。
【0】【0】【0】……
ファイズフォンとは異なる音、ディアーチェは次に【ENTER】を押した。
《STANDING BY》
「変身!」
《COMPLETE!》
ユートが先程やった様にオーガフォンを装填。
電子音声と共にベルトから金色のオメガストリームが奔って、黒いアーマーや【
顔はΩを象り赤いアルティメットファインダー。
仮面ライダーオーガ。
所謂、ダークライダー枠となる仮面ライダーだ。
「次はボクだね!」
【3】【1】【5】……【ENTER】
《STANDING BY》
「変身!」
何故かクルッと回しながら軽く宙に投げ、受け取ると同時にドライバーへ装填しながらキメ顔で叫ぶ。
《COMPLETE!》
青いフォトンストリーム Ver.2が奔り、白いアンダースーツに白いアーマー、Ψを象る顔に紫のアルティメットファインダー。
帝王のベルト【天】……仮面ライダーサイガだ。
本来はデルタではなく、此方が三人目のライダーとしてデザインされていた。
尚、帝王のベルト【地】が仮面ライダーオーガ。
サイガは機動性。
オーガはパワー。
それぞれに設計思想が異なる仮面ライダーである。
「ふむ、何故か身長が伸びておるな」
「おお、なんだかスゴいぞ! カッコいい!」
取り敢えずチェックするディアーチェと、はしゃぎまくるレヴィ。
「ディアーチェ、レヴィ、準備をして下さい」
「うん? まだ戦い始めて然程経たぬぞ?」
「時間はそんなに掛かりませんよ。古代ベルカに於いて列強なる王を差し置いて【真なる王】、【真王】と呼ばれたのは伊達や酔狂ではありませんから」
当初、ユートは【真王】を自らが【魍魎戦記MADARA】の摩陀羅から名付けたものと思っていたが、王として名乗り上げるより前から、諸王より【真王】と呼ばれ始めていた。
民を護り激しい強さと涼やかな守護、そして目にも留まらぬ疾さで敵兵や王を圧倒していたから。
仮令、護る事と戦う事のジレンマが終わらずとも、ユートは走り続けてきた。
まあ、その姿は当然ながら仮面ライダーファイズ。
安定した通常フォーム、速度に特化をしたアクセルフォーム、そして強大な力を持つブラスターフォームへの変身。
傍らに侍る弐姫、ほむらのカイザとシュテルが変身したデルタ、【555】系の三ライダー揃い踏みでの力は、いざや敵対した覇王も冷や汗を掻いたと云う。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「さて、原典に存在しないフォームを魅せてやる!」
適度に戦いをしながら、やはり守りの硬いユーリに対して言い放つ。
原典に存在しないというより、やろうと思えば出来たのでは? というもの。
「ま、一〇秒間しか使えないんだがな……」
トランクみたいな物を取り出し、バックルに填まるファイズフォンを外すと、手にしたそれのスロットへ装填する。
《AWAKENING》
そして手にしたそれ――ファイズブラスターの方に変身コード入力。
【5】【5】【5】……【ENTER】。
《STANDING BY》
ファイズブラスターから激しい光が明滅、原典ならコードを受け取った衛星から強化変身のあれこれではあるが、こいつは単に模倣しただけだから強化ツールに適切な行動をすれば変身が可能となる。
強化ツールの方に必要なエネルギー、フォームの為のデータが在るからだ。
先ずはフォトンブラッドが止まり、フォトンストリームの流動が無くなったから黒くなった。
逆にスーツの部位全て、そこにフォトンブラッドが流れる事で赤く染まる。
アーマー部分も形状が変わって、背中に新ユニットとして【フォトン・フィールド・フローター】が装備された。
また、そのユニットから【ブラッディキャノン】を展開が可能。
「光栄に思え、覇王クラウスにさえ使わなかったんだからな!」
それを聞いたアインハルトが眉根を寄せる。
ユートはファイズブラスターに装填されたファイズフォンから、ミッションメモリを外して左手首に填まる【ファイズアクセル】に装填をする。
《COMPLETE!》
仮面ライダーファイズ・アクセルブラスター。
ブラスターフォーム時にアクセル化するものだ。
勿論、公式には存在しないフォームである。
だけどブラスターフォーム時にも、【ファイズアクセル】は普通に装着されているのだし、ミッションメモリを装填すれば不可能ではない筈だ……が、そもそもブラスター自体がオルフェノクにとって負担が掛かるものを、更に負担を掛ける形だから恐らく使ったらその瞬間に死ぬ。
というのが予測される。
アークオルフェノクなら判らないけど。
とはいえこれは本物ではなく、更にはユートも別にオルフェノクという訳でもないし、負担など気にせず変身が出来たりする。
ブラスターフォームによるフルメタルラングが展開して、両肩のショルダーアーマーの様になった。
色もフォトンブラッドが止まったフォトンストリームは黒の侭、アクセルフォームの白銀なフォトンブラッドがスーツを染める。
アクセルフォームの複眼と同じく複眼が赤に染まっており、最強を越えた究極のフォームと成った。
「シュテル!」
「準備万端です!」
「っしゃ!」
ファイズアクセルのスイッチを押す。
《START UP!》
アイドリングモードからスタート。
約一〇〇〇倍のスピードは即ち、通常フォームより逸いブラスターフォームなら更にスピードアップだ。
負担が関係無くても同じ一〇秒間縛りとなるのは、聖魔獣の
ユートの中でアクセルフォームは一〇秒間だから、創造された聖魔獣ファイズのアクセルフォームもまた一〇秒間という訳だ。
ユートの知識が想像力にプラスされ、仮面ライダーの聖魔獣を創造が出来ていた様に、逆に知識が阻害をした形となるだろう。
意味無くチートというのではなく、やはり何処かで何かの縛りはあるらしい。
ユートが動く。
然しながら仮面ライダーディケイドで、カブト系列のクロックアップと同列の疾さであったアクセルフォームが、更にブラスターで底上げされているから誰の目にも留まらない。
「ああ! もう始まっちゃってるなんて!」
などと叫ぶ眼鏡に黒髪なお下げ二本の暁美ほむら、そしてシュテル・スタークスの二人を除いて。
否、未来組とフローリアン姉妹も視えていた。
フローリアン姉妹はそもそも、アクセラレイターなる技を使えるから高速化にも慣れていたし、未来組はユートからの修行によって【心眼之法訣】を修得さすられていたから。
ヴィヴィオに至っては、【神眼】に開花するだけのモノがある訳だし。
現代の聖域組は修業不足から視えていない。
刹那、幾つものポインターがユーリを囲む。
「アクセルブラスター・クリムゾンスマッシュ!」
「嗚呼っ!?」
Φの紋様が浮かびながらユーリが燃える。
まあ、非殺傷設定込みだから死なないけど。
《TIME OUT》
そしてカウンターは00を指し示す。
《REFRMATION》
フルメタルラングが再び閉じ、ブラスターフォームへと戻るファイズ。
流石の硬いユーリとはいっても、アクセルブラスターフォームの必殺技には耐え切れなかったらしい。
「マテリアルズ!」
「チィ、解っておるわ!」
ユートからの指令に文句を言いつつ……
《EXCEED CHARGE!》
【ENTER】キーを押す。
「よし、ボクもだね!」
《EXCEED CHARGE!》
仮面ライダーオーガは、ミッションメモリをオーガストランザーに。
ポインターを持ってないサイガは、背中のフライングアタッカーにエネルギーをチャージして飛翔。
ミッションメモリーを、デルタが装填する。
《READY》
「チェック!」
《EXCEED CHARGE!》
デルタは当然ポインターモードのデルタムーバへの口頭命令、ベルトから銃身にフォトンブラッドがチャージされていく。
「オーガストラッシュ!」
「コバルトスマッシュ!」
「ルシファーズハンマァァァァーッ!」
伸びた剣身がユーリを薙ぎ斬って、コバルトブルーとシルバーのポインターが更に拘束、二人の蹴り技がユーリへと炸裂した。
尚、ファイズ関係は普通に技名は叫ばない。
「
「我が手に在る紫天の書、ユーリ・エーベルヴァインを受け容れよ!」
「だってボクらは家族なんだからさ!」
三人が揃って制御術式を発動させた。
元々、ユートが数百年の暇な時間に構築した術式。
一番扱い易かったのが、デモンベインでアル・アジフが自身の断章を取り戻す為にやっていたアレ。
あの術式を紫天の書用に再構築、【王】と【理】と【力】でユーリを制御可能にするものとした。
因みに、【紫天の書】のデータはゲーム原典を遊び直した上で、シュテルを抱いてその絶頂の瞬間に彼女の内部にアクセスをして、データの一部をコピーする事でだいたいを把握する。
高速展開されるは魔法陣――しかも魔法陣の文字がそれぞれにやっぱり極小な魔法陣で形成されており、立体的な巨大魔法陣を造り出していた。
それは嘗てハルケギニア時代の最終決戦に於いて、ユーキ発案でユートが作成した【
あれは這い寄る混沌以外を封印せしめた術式だが、今回のこれは制御不可能と云われた【システムU−D】の制御の為。
「何つー術式だ……」
「おっきい……」
「思い出しますね。私の初めてを貫かれて初めて絶頂をしたあの日を……」
「だから、聞いとらん! んな艶話なんぞ!」
頬を赤らめるシュテル、それに対して裏拳ツッコミを入れるディアーチェに、意味が解らないレヴィが首を傾げている。
そんなバカをやっている間に、ユーリの赤い服装が再び白に戻っていった。
「む! 戻るのか?」
「どうやら上手くいったみたいですね」
空中でヘタリ込むとか、器用な座り方をしながらもペタペタと自分を触る。
「そんな……本当に制御がされています!?」
暴走していない。
自分の意志の侭に動き、全てを決められる状態。
その名は【自由】。
「本当……だった……」
涙が溢れ止まらない。
「やれやれ、終わったか」
ファイズフォンをファイズブラスターから外して、変身解除を行ったユートは本来の姿に戻る。
「はぁ、優斗さんとゴルドスマッシュを極めたかったんだけどな〜」
魔法少女モードなほむらが苦笑いで近付く。
その肩には猫。
「済みません、ほむら……私の登録に付き合わせてしまったばかりに」
「ううん。誰かがやらなきゃいけないなら、優斗さんとシュテルは無理だから、自然と私になっちゃうよ」
「……え? ま、まさか……リニス?」
「ええ。久し振りですね、フェイト」
ほむらの肩から降りて、人型を取ったリニス。
「どうして? だって……リニスは……」
「私は魂がユートの冥界に堕ちていて、それを拾われて契約を交わしたのです。今の私はユートの冥闘士、地獣星ケットシーのリニスを名乗っています」
「冥闘士って……クロノのお父さんと同じ?」
「はい」
にこやかに笑うリニス。
どうやらこちらも色々と解決がされそうだ。
「俺達って結局、何だったんだ?」
「ねえ?」
トーマとリリィがぼやいてしまうが、そもそもにして未来組はゲスト参戦。
メタ的に云うなら単純に過去に跳ばして参加させたに過ぎないから、戦力としてはユートの方も考えてはいなかった。
実際、ゲームでも戦っていくのはなのは達だし。
「あのう……」
遠慮がちに小さく挙手をするのはキリエ。
「何かな?」
「いえ、何だか大団円っぽいんだけど……エルトリアはどうなるのかなと」
「シュテル辺りが説明しなかったか?」
「されましたけど……」
「【システムU−D】を使わずとも、僕がエルトリアまで【腐蝕の月光】を伴って往けば、【死蝕】に侵された星を甦らせる事が可能だよ。序でにグランツ博士も説得して治療もしよう」
「ほ、本当に?」
「博士の病が……治るのですか?」
キリエもアミタも驚く。
「説得が成功したらな」
そもそも、グランツ博士は自分の病を治そうとは考えていない。
それが不自然な事であると思っているからだ。
仮に彼の病を治せるにしても、本人が治療を拒否っていてはどうにもならないのである。
恐らく治せる筈だ。
事実としてグランツ博士の病は識らない、それでも後天性免疫不全症候群や、先天性免疫不全症候群なども治療をしていたりする。
尚、前者は紺野木綿季と紺野藍子であり、後者ではミシェール・リードブルクの事を指す。
視れば……ユートになら解る筈だから。
「だから、行こうか」
「……え?」
「アミティエ・フローリアンとキリエ・フローリアンの故郷……エルトリアに」
ユートの言葉にポカンとなる二人。
「アーデルハイトは現地で招喚すれば良いとして……コストは普通に足りてる。まあ、数百年を過ごしていたから当然かな?」
「あの、良いの?」
「元より君らの世界を救うのもプランの内。仲好くなったシュテルをエルトリアに連れて行かれても困る」
ユーリやディアーチェやレヴィは兎も角、シュテルは共に数百年を過ごしてきた訳で、連れて行かれてしまってはやはりアレだ。
「古代ベルカ時代から練り上げたプラン、舐めて貰っちゃいけないな」
こうしてユートはほむらや紫天ファミリーを連れ、未来組は未来に還した上でエルトリアへと航る。
【腐蝕の月光】と渾名されるアーデルハイト招喚、彼女の二つ名と同じ名前の能力――【腐蝕の月光】で【死触】に侵され滅亡するのみだったエルトリアを、ユートは救うのに成功。
グランツ博士の病も説得して視て治療、無事にそれにも成功をして彼は寿命が尽きるまで生きるだろう。
感極まったキリエが何とアミタを引き連れ、ユートが使っていた寝室にダイブをしてきた。
ギアーズとはいっても、どうやら二人は完全な機械ではなく、元々が今は亡きエレノア・フローリアンの産んだ双子らしい。
道理で子供の頃の写真が存在する訳だ。
要するに彼女らはスバルやギンガ、戦闘機人みたいな存在であるらしい。
生体部分には子を産む為の部位も在り、えちぃ行為も普通に出来たのである。
アミタは――『キリエ、もっとムードとかあるでしょう!?』とか、真っ赤になりながら叫んでいたり。
それでも受け容れた辺りから、やはり感謝をしていたのであろう。
グランツ博士は呑気に、『エレノア……孫を抱ける日が近そうだよ』とか墓に話し掛けていた。
何はともあれ色々とおかしな部分もあったろうが、【砕け得ぬ闇事件】は終息したのである。
それから暫く経って預言の出来事が起き、その解決を以てミッドチルダの地上本部に更なる伝手が。
物語は新たなる事件へと向かうのだった。
.
僕は漸く登り始めたばかりだからな、この果てしなく遠いリリカル坂をよ!
ユートは叫びながら坂を登って行きました。