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クライドはなのは達が連れて来たマテリアル娘に、頭が痛いとばかりに溜息を吐いてしまう。
別にマテリアル娘が悪い訳ではなく、その話の内容に頭痛の種が有ったから。
『ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者が居たら、私の所に来なさい!』
という部分から始まればそりゃ頭痛もする。
尚、まだ未来人は居ないが宇宙人以外は海鳴市に揃い踏みだったり。
なのはやフェイトは魔法使いにカテゴライズされ、超能力者ならHGS患者が何人か存在もしているし、ユートは正しく異世界人にカテゴライズされた。
そして、原典的に未来人が数名だが顕れる筈。
宇宙人が居ないのが残念なくらいだった。
それは兎も角、シュテルが大真面目に言うから身を乗り出せば、まさかこんなジョークを聞く羽目になるとは思わなかった。
尚、遥かな未来に於いてユートは宇宙人の血を引く家系に転生予定である為、宇宙人、未来人、異世界人に超能力者をたった一人にて網羅してしまう。
「まあ、冗談はこの際ですから置いときましょうか」
((((自分から言っておいて!?))))
きっと、この瞬間だけは皆の心は一つだった。
「まず、ユートさんです」
「あ、そうだよそうだよ! シュテルちゃん、優斗君は何処に居るの!?」
「落ち着きなさいナノハ。彼は現在、過去の彼が消えた瞬間に姿を現して探し者をしています」
「探し物?」
「はい、未来人を」
『『『『それはもうええっちゅーねん!』』』』
全ツッコミが入るけど、フルフルと首を横に振ったシュテル。
「違います、間違っていますよ皆さん」
「何がかな?」
「私の言った未来人とは、ミッドチルダに十数年間で確かに現れる存在です」
「――へ?」
なのはは吃驚したのか、目を見開いていた。
それはクライドやリンディなんかも同じ……どうもそこまで詳しくは聞いていなかったらしい。
「私が聞かされたのは……滅び逝く世界から機械人が顕れ、紫天の書の構築体や盟主と共に【砕け得ぬ闇】を手にする為に行動する事になりますが、彼女らが使ったタイムマシン? みたいなのに引っ張られナノハに所縁のある人物が数名、現在に跳ばされるとか」
「にゃ? わ、私ぃ?」
「とはいえ、それは本来の歴史ですがね」
と、正しておく。
「本来の……か。つまり、彼が言っていた十年後に起きる大きな事件」
「無関係ではありません。そして途中までは歴史通りに動いて貰う予定です」
「何故だい?」
「そうしないと誕生しない子が居ます。エゴだと理解していてもユートは事件を起こさせる心算でしょう」
クイッと眼鏡を手で上げながら言う。
二番ドゥーエによるハニトラで聖遺物が盗まれて、ソコにこびり付いた聖王の血からクローンを産む。
それを阻止すれば良いだけだが、恐らくは別の形で結局は事件が起きる可能性が高く、それなら事象制御が可能な方が有り難い。
そんな目論見もあった。
「ねぇねぇ、シュテるん」
「何ですか、レヴィ?」
「みらいから来るきかいじんってどんなの?」
「確か、エルトリアという世界から姉妹が来るとか。機械人――ギアーズと呼ばれています。エルトリアの滅びを回避しようとしたらしいグランツ博士が病で死に掛け、死ぬ前に滅亡回避が出来たエルトリアを見せたい一心で、わざわざ過去まで遡って来るのですよ。まあ、自然主義とかギアーズを造ったとは思えない人ですが……」
機械人といってみても、人型のギアーズは二人しか存在しないけど。
ギアーズを造った理由は理解も出来るが、然しながら本人は自然主義だったから病も本格的に治さない。
ユート的には『だったら世界の滅亡もまた自然だろうに』となる。
実際、人間による滅亡ではなく自然の不可思議現象での滅亡なら、それを受け容れろという話だった。
【死蝕】と呼ばれる現象による緩やかな滅び。
星の人間は移住を余儀無くされたのだと云う。
アトリエ世界でフローベル教会から、錬金術の事を『神が定めた形を不自然に歪める技術』として否定的な事を言っていたのだが、ユートは『如何なるモノであれ加工をしたら、錬金術と同じく不自然に歪めているだろう』と反論。
更にぶっちゃけてしまい――『自然に生きるのが良いなら、家に住まず服を着る事も無く料理もせずに、自然を体現する動物と同じ生活をしたら良い』……とミルカッセ・フローベルに言ってみたら、不満はあるからか膨れっ面ではあったものの、考え込んで『もう少し考えてみます』と言ってきた。
自然に生きるとは確かに医学に掛かるのは宜しくないかもだが、そもそもの話がギアーズはモロに人工物な訳だし、自然は何処に逝ったと物申したい。
「話を戻しますと、ナノハが関わるのは飽く迄も本来の歴史です。ユートは初めから地球の魔導師をミッドチルダに関わらせる心算が全くありません」
「けど、それなら十年後の事件とやらは?」
「既に地上本部にテコ入れをしています。事件は地上で起きるのに、縄張りからわざわざはみ出して本局が動くのは不自然ですから」
「本局が?」
「はい。まあ、本来の目的の為には事態の把握とかをしたいのでしょうし、事件の解決を本局側でやれたら地上も……レジアス・ゲイズも強硬には出られないでしょうからね」
リンディの疑問に答えたシュテル、原典にて事件を解決したのは本局付き……古代遺物管理部・機動六課が動いて解決している。
尤も、本来であれば事を動かしていた連中はスカリエッティの造反で死亡し、レジアス・ゲイズも死んでしまったから有耶無耶になってしまったらしい。
あれはトップが事件を起こしたに等しい訳だから、時空管理局の進退……最低でも可成り上が懲戒を喰らっていないといけない。
幾らなんでも上が全く知らなかった……というのは有り得ないのだから。
結構な数が居た筈である……最高評議会のシンパ、息の掛かった者達が。
それが全く居ないクリーンな組織? 少なくとも、最高評議会というトップがやらかしていた組織には、クリーンなんて無い。
勿論、真面目に次元世界の守護者をやっている局員だって相当数が居る筈ではあるが、事は善きより悪しきの方こそが目立つもの。
そういう意味では、正しい管理局員は割を喰っているとも云える。
まあ、ユートは時空管理局に関しては善きも悪しきも関係無いけど。
簡易魔導ギアをレジアスに渡して地上本部に肩入れをした形にはなるのだが、それはミッドチルダ地上に拠点を公で持つ為。
Vivid編はミッドチルダが主な活動場所だし、ならばどうしたって必要となってくるからだ。
「ユートが将来の為に力を貸したみたいなものです」
「そう……」
少し考えるリンディ。
「未来から来るのは誰? 若しかして、それが関係をしてくるのではない?」
「御明察です。未来から跳ばされて来るのは五名……高町ヴィヴィオ」
「にゃ? 高町って?」
「本来の世界線でナノハが養子にした形です」
「養子なの? 何だ、本当の子供じゃないんだ……」
「ええ、そもそも二五歳にもなって結婚してません」
「へ?」
「寧ろ、恋人ポジションがフェイトですから」
ピシッ!
空気が凍る。
一応、クロノ・ハラオウンやユーノ・スクライアといった男キャラは存在してはいるが、原作とも云える【とらいあんぐるハート3】の外伝では恋人となったクロノはエイミィ・リミエッタと結婚し、ユーノとは遅々として仲が進まない。
ひょっとしたら三十路に突入したら或いは? ともなるだろうが、少なくともForceの時点でそんな気配は微塵にも無かった。
そんな中でもフェイトとは同じ家に住み、ヴィヴィオの両親っぽい形になっているとなれば、もういっそフェイトと同性婚してしまえと言いたくなる。
「まあ、高町なのは本来の話に過ぎませんよ。ナノハが関わらないならヴィヴィオを引き取るも何もありませんからね」
「本来の私って……」
「私がなのはの旦那様? 寧ろお嫁さん?」
なのはとフェイトが撃沈されていたが、構う事無くシュテルは話を続ける。
「一緒にアインハルトという子が来る筈です」
「アインハルト?」
「本名はハイディ・
「イングヴァルトって……まさか覇王の?」
「ええ……覇王クラウス・G・S・イングヴァルトの子孫に当たります」
記憶継承が成された辺りを鑑みれば直系、シュテルは嘗て得た知識から類推してアインハルトの正体に気付いていた。
ベルカに乱立した王達。
例えば【聖王】。
例えば【覇王】。
例えば【冥王】。
例えば【雷帝】。
例えば【真王】。
時は古代ベルカの時代。
群雄割拠して合戦に明け暮れ、各国の王達は勝利と栄光を目指して鎬を削っていた訳だ。
勿論、中には時代が違っていた場合もあった。
その中でも不可思議で、最後の【聖王】と【真王】が知り合いであったという情報は、何故か現代に於いても伝わっている。
双子座の星聖衣の存在と共に……だ。
「この関係でユートと私が過去、古代ベルカの時代に跳ばされました。三百年かそこら前ですね」
「……最後の聖王オリヴィエ・ゼーゲブレヒトの」
「その通りです。詳細は省きますが……オリヴィエとの邂逅はその侭、覇王イングヴァルトや鉄腕のエレミアとの出逢いに直結をしていまして、恐らく子孫には星聖衣が継承されていると思われます」
ユートとシュテルが過去に降り立ってすぐ、賊らしき者共な襲撃される馬車を発見した。
馬車内に居たのは長袖の両腕の部位が風に揺れて、然し強さと可憐さを合わせ持つ美少女と、ちょっとだけ年上の御付きらしき女性が何人かだった。
戦えたのはあろう事か、両腕を持たない女の子のみであり、ユートとシュテルはすぐに加勢をする。
時を同じくして加勢したのが黒いフーデッドマントを被る者、後にエレミアという事を聞かされた。
ヴィルフリット・エレミアと名乗られたのだ。
【鉄腕】のスキルを持つエレミア、記憶継承に似た魔導を以て【技術】【技能】【経験】のみを継承していく体で後世に技を伝える一族である。
クラウス自身の記憶を、子孫へ継承するのともまた異なる方式だ。
その魔導の形は【破壊】に特化されていた。
【黒のエレミア】と呼ばれるが、代々が黒装束を好んで纏うからだろうか?
「後に彼は真王となりましたが、聖王女や覇王となる前のイングヴァルト殿下、ヴィルフリッド・エレミアとの交流は続きました」
「古代ベルカの王族と」
幾ら冥闘士となったからとはいえ、そこら辺までは知らなかったクライド。
「序でに言えばヴィルフリッドとは男女の仲です」
『『『『え゛?』』』』
なのはやフェイト達が、凄まじい驚き様だ。
「何を驚いてるのです?」
「だって、だって!」
「それって、ヴィルフリッド……さん? とは恋人って事だよね?」
「わ、私敗けましたわ」
三人娘が面白い反応をしているのを横目にしつつ、ダメなナニかを視る目をしながら溜息を吐く。
「忘れているかも知れませんが、ユートはそも何千年も生きています。今更ながら愛だ恋だと考えたりすると思いますか?」
「「「……」」」
「そんなのは前世で済ませていますよ。いえ、前々世で一応は初恋も経験済みだとか聞きましたね」
混乱するだろうし寝物語にとは言わずにおく。
三百年も傍に居たのだ、そりゃ恋愛沙汰無しであれ欲情して肉欲的に求め愛をしてもおかしくはないし、彼女自身の心はとっくの昔にユートに寄っていた。
記憶が混濁をしながら、フラフラと海鳴市を彷徨っていたのを拾われてから、ずっとシュテルはユートに依存していたし、記憶の方がスッキリとしてからも、その想いは消えずに残る。
見た目は今現在のなのはの2Pカラーに等しかったのだが、オリヴィエが居なくなってから後にクラウスも死亡、ヴィルフリッドは閃姫契約をしていたけど、精神性が一つ所に留まらないからフラッと居なくなっては現れていた。
そんな中にあってユートの傍に常に侍るシュテル、それは【真王】ユートの妃と視られておかしくない。
特に一回だけとはいえ、その身を委ねてから肉体を自在に変化が可能となり、謂わば大人モードを体得したから余計に……だ。
今のシュテルがレヴィと違って大きいのも、ユートから肉体を貰ったと言っていたが、実際には抱かれて構築体としては変質した、それが理由だったりする。
魔法とは違う形での形態であり、その姿は自由自在に成長率を変えられた。
その気になれば幼稚園児や小学生や中学生、高校生に大学生に中年に老婆と、そうなりたいと望むだけで変化が可能。
それは何もシュテルに限った事ではない。
半閃姫は状態維持が限度だが、真なる閃姫なら同じく成長率変化が出来る。
実際、ユートはシュテルとヴィルフリッドを使い、古代ベルカの【真王】として君臨していた頃、妃となる存在を交互に回しながら子供も同じくしていた。
子供が成長したらキリが良い処で、やはり姿を変えたユートが婿入りをする。
事実上、妃がシュテルとヴィルフリッドで王女様は妃ではない方、そして王として立つのは常にユートという形だった。
まあ、ヴィルフリッドは勝手に居なくなる事もあったし、本当の子供の子孫を見守ってもいたのだが……
尚、現在はまだ二歳にも満たないジークリンデ・エレミアが居る。
きっとヴィルフリッドはジークリンデを、何処かで見守っているのだろう。
つまり、ジークリンデ・エレミアとはこの世界線に限れば、実質ユートの子孫という事にもなる。
シュテルもそれとなく、ジークリンデを捜し当てて見守っていた。
【真王】が歴史の闇に埋もれてからは、【OGATA】という企業が興る。
今現在のミッドチルダに存在するあの企業だ。
古代ベルカの頃から土台が在った為、ミッドチルダにもスムーズに移行した。
そう、ユートは全てに於いて原作へ備えていたという訳だ。
そも、【ライオットギア】だって型落ちな代物でしかない魔導甲冑であるが、それは最新鋭版に劣るというだけであり、また型落ちだから安く仕上げて売れる品となっていた。
古代ベルカ時代から続くならば、その程度の積み重ねは普通に有るのだから。
装備品にしても素人に与える訳でなく、確りと鍛え上げられた局員に与える。
インスタント魔導師など地上本部や支部には不要、【ライオットギア】を与えられるという事は、超闘士激伝で云えば極限まで鍛えられた者が武装する【闘士】になるというに等しい。
謂わば、インスタント魔導師は【武装怪獣ゴモラ】であり、【ライオットギア】を与えられるのは【闘士ゴモラ】である。
ユートは今まで素人でもある程度は戦える武装を、謂わば【武装怪獣】の量産で戦力を補う事もあった。
だが、再誕世界などでは鍛えて武装を与える形……【闘士】を生み出す事を、主眼としてきたもの。
鋼鉄聖闘士がそれだ。
旧作アニメでは可成り叩かれた存在だが、鋼鉄聖衣を量産して鍛えた人間へと与え、雑兵の皆さんと違った戦力としてきた。
そもそも、敵側は雑兵といえど簡易鱗衣やスケルトンの冥衣を与えられているのに、聖闘士側の雑兵だと頑丈なだけの服に革のプロテクターである。
正規の聖闘士も聖域では普段がこの格好。
正に『死んでこい』とか言わんばかりの装備だ。
その改善に鋼鉄聖衣というのはアリだった。
まあ、形は旧作に出てきたオリジナル鋼鉄聖闘士の鋼鉄聖衣を元にデザインをしたし、だから野暮ったい感じにはなったが……
「それと、更に少し経った時代からトーマ・アヴェニールとリリィ・シュトロゼックが顕れます」
「それは?」
「所謂、違法研究で生み出されたEC兵器。その為の改造ツールたるECウィルスに感染した少年。それとディバイダー996とそれの対である銀十字の書と、リアクト・プラグと呼ばれる少女……この少女というのがリリィ・シュトロゼックですね」
「ま、待って頂戴!」
「何ですか? リンディ・ハラオウン」
リンディからの待ったに首を傾げるシュテル。
「EC兵器にウィルス? そのトーマ君だったかしら……大丈夫なの?」
「まあ、リアクトして特殊な能力――ゼロ・エフェクトを使うと五感に異常を来したりしますし、殺人衝動があったりしますからね。大丈夫とは言い難いです。適合力が高かったらしく、取り敢えずは何とかなっていますが」
「そ、そう……」
下手に殺人衝動へ抗うと対消滅して肉塊化するし。
「心配しなくとも普段からは良い子らしいですね」
「まあ、それなら良いわ」
無闇矢鱈と暴れないのであれば、本人にあるマイナス面は兎も角として許容範囲であろう。
「この二組に問題があるとしたら、それはこの世界線ではどんな感じになっているか判らない点でしょう」
「……というと?」
続きを促すクライド。
「そもそも私からして本来の立ち位置と異なります。それにナノハ達が未来での事件に関わらないのなら、ヴィヴィオのママは誰でしょうか?」
「ママって、本来は私……なんだよね?」
「はい。ナノハママとフェイトママですね」
「「そうでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」
余りに百合百合しい関係に頭を抱える二人。
「頬を染めながら『なのは』『フェイトちゃん』と、呼び合いつつ一つのベッドに二人の影が……」
「「やーめーてー!」」
勿論、一緒のベッドで寝ているだけで如何わしい事を致している訳ではない。
とはいえ、そんな雰囲気だから男がデキなかったという可能性も?
忙しさでそれにかまけて婚期を逃す、一応はなのはもフェイトもはやてもまだ二五歳、三十路にも達してはいないのだろうが……
原典のオーリス・ゲイズもファミリーネームから判る通り、三十路で未婚たるキャリアウーマンだ。
あの三人がそうならないと誰が思えるか?
なのははユーノ・スクライアと良い雰囲気だけど、それだけでしかないとも取れるのも確か。
取り敢えず、養子とはいえ娘も居るから結婚とかは考えなくなった可能性も。
お腹を痛めて産んだ娘ではないけど、全身全霊にして全力全開の手加減無しにぶつかり合ったから解り合えた我が子だから。
問題なのは、この世界線でのヴィヴィオが果たしてどうなっているのか?
それが未知という事。
(まあ、ユートはヴィヴィオをお気に入りみたいですからね。上手く取り込んでいる可能性もありますか)
最初の転生でユートの、緒方優斗の前に高町なのは――否、日乃森なのはが現れた際にも『ヴィヴィオなら良かったのに』とか発言しているくらいだし。
目の前のなのはに喧嘩を売る発言だったと云う。
「大変です!」
「どうしたのエイミィ?」
リンディが辞職後に彼女も辞職している。
未来の姑と仲良くするのは良い事であろう……というジョークは置いといて、時空管理局のトップが真っ黒と知り、クロノが辞職を勧めたのである。
勿論、将来のあれやこれやを約束した上で。
「海鳴市の上空に時空震動現象が!」
「来ましたね、来訪者が」
「なら、これが時空間転移だと云うの?」
「ええ、クライド・ハラオウン……すぐにナノハ達を向かわせなさい」
リンディの問い掛けに頷いて、シュテルはクライドへと命令を下す。
一応、クライドが日本での司令官となっているが、総司令官とは即ちユートであり、その副司令がシュテルとなっているから命令権があった。
「了解をした。聖騎士部隊はすぐに出動!」
『『『了解!』』』
なのは達の実働部隊は、未来からの来訪者を迎えるべく出動した。
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