魔法少女リリカルなのは【魔を滅する転生砲】   作:月乃杜

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第27話:真実を 闘いは終わって

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 アースラに帰還してすぐユートはブリッジに入り、フラフラと進んでいく。

 

「あの、ユートさん!」

 

「今の兄貴に近付くな!」

 

 ユーキの怒鳴り声に肩を震わせ、カリムは思わず足を止めてしまう。

 

「あ、あの?」

 

「兄貴は激しい闘いに赴くと血に酔うんだ。そうなった兄貴は戦闘後、可成りの狂暴性を持つ。カリム・グラシア、アンタが兄貴に身を任せて構わないなら止めはしないけど?」

 

「み、身を任せる……ですか?」

 

「そう、今の兄貴の状態を鎮める為には性行が一番。尤も普段は優しいけれど、この時ばかりは……ねぇ」

 

 普段から思う様に抱くのは同じだが、現在のユートは射精する為に相手の負担を全く考慮に入れない。

 

 それを覚悟しないといけなかった。

 

「少なくとも、処女にお奨めはしないね」

 

「そ、そうですか。星聖衣の事を是非に訊きたかったのですが……」

 

 今のユートは十六歳前後の容姿であり、カリムからすれば同い年くらいの男、まだまだ乙女な彼女が異性のグロテスクな分身を胎内に受け容れ、吐き出される熱い欲望の塊を受け止める覚悟など有りはしない。

 

 況してや、分身を拒む壁を貫かれるなどゾッとしない話だった。

 

 とはいえ、興味はあるのだろうか? カリムが赤らめた顔でチラホラとユートの方を見遣っている。

 

「まあ、仕事仕事でいつの間にか十年が経って、延いては十五年が経ってしまって三十路のお局様となり、婚期を逃して処女の侭……よりは此処で兄貴に散らして貰った方がマシかな?」

 

「な、何ですかそのリアルに想像が出来る未来予想図はぁぁぁっ!?」

 

 絶叫するカリムだけど、残念ながらこれは未来予想図というより、ユーキからすれば確度の高い事実。

 

 現在(A's)から見て、十五年後のForcs編でカリム・グラシアに男の影は無かったのだから。

 

 今が十六歳であるなら、十五年後は三十一歳。

 

 若い人間が仕事に就き、先に進むミッドチルダからすればそろそろ嫁き遅れ、グラシア家の明日はどっちだろうか? 的な頃。

 

 単純に必要性が無いから描写をされなかっただけ、なら良いのだけど二十五歳か其処らのなのはさん達も明らかに結婚とかしていなさそうだったし、カリムが婚期を逃していたとしてもやはりおかしくはない。

 

「フッ、貴女の継承しているレアスキル──【預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)】だけが未来を知る術じゃないさ」

 

「わ、私のレアスキルを知っているのですか!?」

 

「だから言ったろ? 貴女のレアスキルだけが某かを知る術じゃないって」

 

 ユーキはカリムにニコリと笑って言う。

 

「それで、どうする?」

 

「いえ、どうするとか訊かれましても……」

 

「ボクとしては生贄は多い程良かったりするしねぇ」

 

「い、生贄!?」

 

「大丈夫、処女なカリムにはぶっちゃけ後方支援からして貰うし、ある程度なら兄貴が落ち着いた頃に貫いて貰えば負担も減るよ」

 

「って、私の参加が何故か前提に話が進んでます!」

 

「え? 処女、捨てたくはないの? 兄貴なら其処らの男よりよっぽど巧い……と思うよ?」

 

「断定はしないのですね」

 

「だって、ボクは他の男のなんて……」

 

 ハルケギニア時代に結婚したコルベールくらい。

 

 況してや、アラフォーな童貞コルベールは技術など無かったし、最初は挿入の瞬間に射精()してしまって落ち込んだくらいだ。

 

 仕方がないから二度目はユーキがお口で御奉仕し、三回くらい射精()させてから挿入をさせた。

 

 その結果として一分と保たずに果てたが……

 

 ユーキは処女だったが、それでも男の頃の経験から果て易い部位も把握して、更には翔子という良き教材が居たから、勉強にはなったのであろう。

 

 その頃にはユーキの事も自分の中で決着を着けて、ユートとの関係を深めていたから、見学をさせて貰ったりしていたから。

 

 しかも、挿入こそしなかったがお口の御奉仕は練習だってしたくらい。

 

 

 

 閑話休題

 

 

 

「それに、兄貴だって抱いた女を無碍には扱わない。カリムが抱かれた上でさ、星聖衣を求めれば存外とくれるかもよ?」

 

「……え!?」

 

 目を見張るカリム。

 

「知りたかったんでしょ? 星聖衣の事をさ」

 

「そ、それは……聖王様の所縁となる物ですから」

 

「その聖王様、オリヴィエ・ゼーゲブレヒトが纏っていたのが星聖衣双子座……なら、それ以外だろうね」

 

「? 何故ですか?」

 

「双子座はオリヴィエが手にした。ならば、双子座を兄貴が喪ってはならない。いつか、兄貴はオリヴィエに双子座を与えるからね」

 

「っな!?」

 

 クロノが驚愕する。

 

「あ、でもそうだなぁ……そうなると兄貴の事だから覇王にも渡すか? 序でにエレミアにも」

 

 覇王なら獅子座だろう、エレミアだと……何だろうかとユーキは考えた。

 

 黒のエレミア──現代に継承者へ記憶として技術を伝えているが、若しやすれば星聖衣さえも?

 

「ま、無理にとは言わないけどさ。カリムにも覚悟とか要るだろうし」

 

 ヤレヤレ的な身振り手振りで言い、チラリと猫姉妹の方を見遣って……

 

「アリアとロッテは強制的に連れてくからね?」

 

 釘を刺す。

 

「にゃはは、やっぱり?」

 

「お父様、先立つ不幸を許してね?」

 

 引き攣るアリアとロッテの二人、既にユートと致しているからどんな事になるかは知っていた。

 

 敗けて拘留されてから、二人はユートの権能を受けていた為、優先順位に変動が起きてユートに付く。

 

 そして人間形態で戴かれてしまったのだ。

 

「後は……グィネヴィアとランスロットかな?」

 

「はい、ユーキ様」

 

「心得ておるとも」

 

 呼ばれたグィネヴィアとランスロットは快諾した。

 

 久方振りだからだろう、二人は嬉しそうだ。

 

「アテナはどうする?」

 

「妾は処女神故な……」

 

「けど、(メティス)の相だって持っているよね? 貴女は、女王(メドゥサ)(メティス)とアテナという三相から成る原初の女神なんだから」

 

「確かに……な。だが赦せよユーキ。妾もこればかりは如何ともし難い」

 

「ま、しょうがないか」

 

 【カンピオーネ!】世界で出逢ってより幾年月か、未だにアテナはユートとの直接的な性行にまでは及んでいない。

 

 口や手では致すが……

 

 その後、二十四時間という長い時間をユート達は居なくなり、一夜が明けてから夕方となった頃にやっとユートがスッキリした顔で戻ってきた。

 

 因みに、養護室は何処のレ○プ現場かという有り様となっており、担当者が片付けるのに難儀したとか。

 

 ユーキ、グィネヴィア、ランスロット、猫姉妹。

 

 五人はきっと頑張った。

 

 尚、小学生組は真っ赤になって俯いていたらしい。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 数日後、アースラ組にしろ聖王教会組にしろ、相生家にしろ、高町家にしろ、月村家にしろ喫茶翠屋へと集合をしていた。

 

 理由は簡単で、ユートがこの面子を呼んだのだ。

 

「さて、今日は喫茶翠屋の貸切状態にしてまで集合して貰った訳だが、君らとて知りたい事が山程にある筈だから、君ら自身が辿り着いた疑問には答えよう」

 

 それは余りにも魅力的、カリムが早速挙手した。

 

「はい、カリム」

 

 席を立ったカリムが質問をする。

 

「あの、貴方は星聖衣を持つと聞きましたが……」

 

「星聖衣、今までに僕が造った聖衣はパワーアシスト機能が付いた初心者向け。星聖衣はどんなエネルギーでも扱えるが、アシストの機能はオミットしてある。確かに僕は星聖衣を所持しているね。何故か数百年も前の聖王オリヴィエ・ゼーゲブレヒトが手にしていたと聞いたが」

 

 そう、氣と魔力の強制的な融合によって咸卦の氣を扱える機能、これをパワーアシストにしていた。

 

 だが、新たに造ったこの星聖衣は小宇宙でも魔力でも氣力でも霊力でも念力でも扱える代わりに、パワーアシストはオミットする。

 

 以前のが素人向けなら、星聖衣は玄人の武装用だ。

 

 例えなら単に武装をした武装怪獣と、鍛え上げられた戦士が武装した闘士程。

 

 星聖衣は魔力でも充分に扱えるから成程、オリヴィエにはピッタリの武装となるであろう。

 

「前にも言ったが、聖衣は僕が使う双子座以外は僕の造った物だよ。当然ながら星聖衣も同じくだね」

 

「ですが、オリヴィエ陛下は星聖衣を使っておられました。貴方が時間すら越えて渡した……とは聞きましたけど、やはりその……」

 

「確かに僕には時間移動を可能とする能力があるね。【刻の支配者(ハイパークロックアップ)】という、仮面ライダーハイパーカブトが使うのと同じ権能だ。まあ、仮面ライダーだとか言われても解らないかな。特撮ヒーローなんだよね」

 

「は、はぁ……」

 

 とはいえ、この世界での地球に仮面ライダーなんて存在しないし、特撮番組でさえ作られてはいない。

 

 よって、地球でもそんな情報は得られないのだ。

 

「だから、捜せば在るかも知れない。僕が古代ベルカ時代の諸王達の戦いに加わった証拠とかが」

 

「……そういえば、真王という王が覇王や聖王陛下と懇意だったとか。その真王が纏うのは闇の如く翠に輝く水晶の様な鎧だったと。ただ、実在は疑われていますけど……」

 

「真王ね。実在の疑いというのは?」

 

「聖王陛下と覇王陛下──両陛下は絵画が残されていますが、真王陛下は僅かに名前が残るのみでした」

 

「真王……か。確かマダラは双子だった筈だけど……真王に成るのを嫌がったって彼の王名とは」

 

 魍魎戦記マダラという、主人公のマダラは光の王子として、双子の兄の影王が闇の王子として戦った。

 

 恐らくは其処から取った名前だろう。

 

「折角だし他に質問は?」

 

 挙手したのはリンディ。

 

「貴方の持つ星聖衣というのを、我々管理局が購入とか出来るのかしら?」

 

「不可能、以上」

 

「何故、と訊いても?」

 

「聖衣を造るネックは通常の聖衣と変わらないから、一つの星聖衣に大量の神秘金属と小宇宙の篭る血液が必要なんだ。量産は利かないんだよ。それを売れる筈も無いだろう?」

 

 僅か五百足らずのコアで世界各国に分け、二十個か其処らを用いて量産機だとか何だとほざくISじゃあるまいし、これで市場に出せる訳もなかった。

 

 一応、黒鍛星聖衣(ブラック・スタークロス)ならある程度の量産も見込めるのだが、それは黒鍛鋼という神秘金属を精製しなければならず、少なくとも情報を持たない管理局にどうこうは出来ない。

 

 まあ、昔の暗黒聖衣なら通常金属も混じってるが、それでも神鍛鋼(オリハルコン)とガマニオンと銀星砂(スターダストサンド)が必要となってくる。

 

 況してや、暗黒聖衣とて聖衣には違いないのだし、多少なり小宇宙は必要だ。

 

「そうですか……」

 

 余り期待はしていなかったらしく、肩は落としても激しく落胆はしていない。

 

 次に挙手したのはクロノ・ハラオウン。

 

「君が時空管理局に対し、どんな感情を持っているか訊きたい」

 

「呂守にも訊かれたな……同じ答えだ、何とも思ってはいない」

 

「何とも?」

 

「地球にさえ関わらないのなら栄枯盛衰、勝手にやっていれば良いんだ。但し、地球に干渉をするなら覚悟を決めろ。その時は地球上の愛と平和を守るといった名目の元、時空管理局本局に銀河爆砕をぶっ放す! 本局の座標は把握しているからね、この場からでも放てるんだ。そうなったら、次元の海の藻屑すら残らず消滅するだろうな」

 

 銀河爆砕はアプスとの闘いでも観ていたし、クロノは真っ青になっていた。

 

「そ、そうか……」

 

 銀河爆砕である必要性も無くて、何ならタナトスの権能でも構わない。

 

 この場合、本局は無事に残るだろうけど中身となる人間は全滅をする。

 

 タナトスは死を司る神、如何な次元を隔てようとも死の概念を届け、生命体に対して死を送り付けた。

 

 小宇宙による防御は可能なれど、そもそもこの世界に小宇宙を扱える人間など限り無く少ない為、少なくとも魔法至上主義とも云える管理局の人間に、防御を行うのはまず不可能。

 

 とはいえ、神ならぬ身で生を至上とする生命体たるユートは、死の概念を自在にする事が出来ない。

 

 故に、死の神タナトスの権能を扱うには可成り厳しい制限がある。

 

 因みに、眠りの神であるヒュプノスに関してだが、眠りは生命体に必須である事からか、タナトスの権能みたいな制限は無い。

 

「地球が管理世界入りとかは考えないのか?」

 

「それは僕個人で答えられはしないけど、その質問は予測もされていたからね。既に連邦政府と掛け合い、答えも受けている」

 

「それは?」

 

「NOだ。そもそも、僕と交渉を持つまでは自分達、地球内の意見すら纏められなかったんだぞ? それが今更、管理世界の後進国として搾取されるなんてのを受け容れる訳無いだろ?」

 

「搾取って……」

 

「保安維持に必要とかで、税金なり何なり徴収するのだろう? とはいっても、戦力は本局に吸収されていっては本来の治安維持なんて出来ないのは、第一世界ミッドチルダが証明済み。管理世界入りは百害あって一利無しという事さ」

 

 尚、ミッドチルダというのは【第一管理世界】ではなく【第一世界】である。

 

 つまり、実は時空管理局は管理世界と管理外世界の二極化ではなく、ミッドチルダみたいな【管理】の付かない世界も存在している差別化を行っている。

 

 尚、無人世界など言い回しが他にも有るには有るのだが、それらはオマケみたいなものであり、植民化が可能になった世界は管理世界となるのだろう。

 

 また第四管理世界カルナログはヴァイス・グランセニックの出身世界であり、第四世界ファストラウムはリンディ・ハラオウンの出身世界である。

 

 クロノ、リンディにしても心当たりでもあるのか、押し黙ってしまった。

 

 何故だか冥闘士・地陰星デュラハンのキューブ(仮)が頭を振っている。

 

「はい」

 

 すずかが挙手した。

 

「すずか?」

 

「あの、ね? ユート君のその姿って……本来の姿って言っていたよね?」

 

「ああ、そうだが」

 

「どうして私達と同じくらいの姿で居たの?」

 

「答えは簡単、この平行異世界の地球に送り込まれた際に子供化されたから」

 

「平行異世界の地球?」

 

「忍や高町の大人組やら、海鳴の力在る者達や連邦政府は知っているけれどね、僕は別の地球──平行世界から来たんだ」

 

『なっ!?』

 

 管理局や聖王教会組から驚愕が漏れた。

 

「地球人には違いないし、この世界には何度か来ていた事も手伝って、僕は戸籍をきちんと持っているよ。何処ぞの別世界の人間や、死亡扱いに近い追放された地球人と違ってね」

 

 そう言われては返す言葉も無い。

 

 とはいえ、この世界にてユートが関わった出来事は基本的にエロゲばかり。

 

 【鬼神楽】

 

 【AYAKASHI】

 

 【MAPLE COLOS】

 

 他に幾つか。

 

 リリカルなのはだって、元を正せば【とらいあんぐるハート】を源流としているエロゲからだし。

 

「まさか! 貴方が秘密にしたがっていたのは!?」

 

「そう、地球には平行異世界へのゲートが存在する。時空管理局が知ったら嬉々として占拠、平行異世界をも管理すべきと莫迦な主張をしかねないからね」

 

「それを今、話したのは」

 

「僕を斃せるとアイラなら思うのか? 或いは管理局の面々は?」

 

 思える筈も無い。

 

 単なるパンチがSSS級の砲撃魔法並だとか、生命が幾ら在っても足りないであろうから。

 

「それに、彼処にはおうる……守護神の欠片が存在していて護っている。それはアイラも知っている筈だ」

 

「……そうね、だから私は死に掛けた。新也に出逢った切っ掛けでもあるけど」

 

「オーバーSランク騎士である貴女が!?」

 

「ええ、騎士カリム。私を以てしても数秒間も保たない程の強さ。近付けば死ぬしかないでしょうね」

 

 アイラ・レオンフォードは運が良かったに過ぎず、彼処の守りは魔導師や騎士に突破は出来ない。

 

 守護騎が強過ぎる。

 

 おうるの眷属の龍人機、スパロボでのクスハ・ミズハの乗機……龍王機のカスタマイズされた姿であり、ユートの記憶から生み出された訳で、大きさもユートのゴーレムと同じくらい。

 

 しかも一機や二機なんかではなく、それが数個師団くらいは存在している。

 

 一機にやられたアイラ、つまりオーバーSが百人は束になっても突破不可能という結果になるだろう。

 

 おうる本人は応龍皇の姿を好んで取るが、これだけでも時空管理局という組織を滅ぼすには充分過ぎる。

 

 何しろ、龍鱗機を飛ばすだけで済むのだから。

 

「じゃあ、今はどうして元の姿になってるの?」

 

「神の精気を吸収して元の姿に戻ったから」

 

「神の……精気を吸収?」

 

「水杜神社の祭神の夏の神ナツ。ナッちゃんから分けて貰ったんだよ」

 

 流石にエッチして吸収したとは言えない。

 

 そして話し合いは続く。

 

 

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 管理世界の考察はコミック版を読んで、ミッドチルダを第一世界としていて、リンディの出身世界の事を第四世界としていた事からかです。

 明らかに後付けな新設定っぽいけど……



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