◇4 問題児たちが異世界から来るそうですよ?にお気楽転生者が転生《完結》 作:こいし
さて、レティシアが
そして今度は自爆せずに珱嗄の用意した斑模様の水着を着用して写真に撮られる。レティシアの撮影シーンを見ていたからか、その撮影自体は恙無く終了した。
「ふぅ、案外疲れるものね」
「まぁ材料は十分かね。とはいえ、まだやってもらう事は有るんだけど」
「?」
「全裸」
「は?」
「全裸」
「……ここで全裸になれって事かしら」
珱嗄はその言葉に一つ、頷いた。ペストはその頷きに対して軽蔑と失意の念を込めてジト目を送った。その意味は、絶対嫌だ。
だが珱嗄はそんな視線を気にせずにギフトを使って自分とペストを風呂場へと移動させた。
「ここは……お風呂?」
「そう。作るのはお風呂ポスター。風呂場に貼ってあたかも一緒に入浴をしている様に自己満足するグッズだ」
「それはつまり全裸を購入者全員に公開する、ということかしら?」
「!」
ペストの言葉にレティシアがまんざらでも無い様な表情でぴくりと反応した。だがペストはそれに気付いた上でスルー。もう手遅れだ。
「いや、一応大事な部分は編集で靄が掛かる事になる。一応そこらへんのモラルは守らないとね?」
「そう……それはどの程度の靄なのかしら」
「水着並の露出度になるね」
「………ならいいわ」
ペストは珱嗄の言葉を信用した訳ではないが、もしも全裸公開でばら撒かれた場合は購入全員漏れなく疫病で殺してやれば良いと結論づけた様だ。
「で、どうすればいいの?」
「とりあえずその岩に腰掛けて脚をお湯に入れてくれ。ああ、必要ならタオル使っても良いよ」
「あら、そうなの……じゃあ使う」
「つまらん奴め」
タオルを巻いて言われたとおりにするペストだが、珱嗄はそんなペストの巻いたタオルという無粋な物に唇を尖らせた。使っても良いとは言った物の、本当に使われると少し残念な事をしたと思う物だ。何処に自宅の風呂でタオルを巻いて入る奴がいると言うのか。
「いいじゃない。一緒にお風呂に入った気分を味あわせてあげるんだから」
「傲慢不遜。お前にそこまでの魅力は無い」
「あら、私は需要があるんでしょう?」
「ほんの指先程度の微かにね」
「それはそれでムカつくわね……」
「悔しかったらもっといろんな部分で成長するんだな。ペドロリ」
「私の名前はペストだ!!」
珱嗄とのやりとりを一通り終えて、最終的にタオルは巻かずに手で持つだけにした。手を放せばすぐにでもタオルはひらりと落ち、その身体を露わにするだろう。
「さ、撮るよー」
「今思ったけれど、私もレティシアもなんでこうも簡単に裸になるのかしら……?」
今更何を、と思う程今更な疑問を抱くペストだが、その答えを用意するのなら、やはり『珱嗄に影響されたんだよ。』としか言いようがない。
「はぁ……でもこんな生活も悪くないって思う私もどうかしてるのかしら……」
ペストは自嘲気味に笑って、またポーズをとるのだった。
―――次はサンドラである。