ハイスクールD×Dの規格外   作:れいとん

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第二十三話

「つまり、上級悪魔にとって社交界とは―――」

俺は今、ミリキャスと共にグレモリー家本邸で上級悪魔にとって必要な礼儀などを教わっている

昨日、俺はヴェネラナを襲いそうになったがドライグが精神世界に俺を引きこんでくれたおかげで幾分か冷静になり、襲わずにすんだ。その後俺はヴェネラナに土下座した。ヴェネラナは許してくれたが、お詫びとして一昨日の話しを受けたのだ

「若さまは、悪魔文字をご存じなのですね」

「ああ、昔サーゼクスやセラ……セラフォルーに教わったからな」

教わったのが子供のときでよかった

「若さまにはグレモリー家のすべてをお教えしなければならないものですから。お覚悟を」

「………。さっきから気になっていたんだが、その『若さま』って何だ?」

「…………。さあ、次はグレモリー家の歴史についてお話しましょう」

はぐらかされた。貴族の仕組みだけではなく、グレモリー家の歴史まで知らないといけないのだろうか?まぁ歴史は好きだから苦でもないが……

ガチャ。

ドアが開けられ、入ってきたのはヴェネラナだった

「おばあさま!」

ミリキャスが嬉しそうに呼ぶ

「一誠くん、ミリキャス。お勉強ははかどっているのかしら?」

やさしい笑みを浮かべながら俺の方に近づいてくる

ヴェネラナは俺が書き込んでいるノートを見て微笑む

「サーゼクスやグレイフィアの報告通りね。ちゃんと文字を書けているし、授業も真面目に受けているのがわかります」

ヴェネラナから良い匂いがする。………まずい、昨日の事を思い出してしまった

「あらあら」

俺が顔を真っ赤になったのに気がついて微笑んでいる。

ヴェネラナがメイドを呼び、お茶を出してくれる

「もうすぐリアスが帰ってきます。今日は若手悪魔たちが魔王領に集まる恒例のしきたり行事がありますの」

そういえばサーゼクスから誘われていたな。一人抜きんでて優秀な若手悪魔がいるとか……

 

 

その後リアス達が帰ってくるまでの少しの間俺は自分に宛がわれた部屋に居た。ヴェネラナも一緒だ

「昨日は悪かったな」

「もう気にしなくても良いのよ?」

本当に気にしていないようだ

「それよりも昨日の話しの続きなのだけれど」

「なんだ?」

「あなたのご両親についてよ」

俺の両親?

「昨日も言ったが最後に会ったのはもう十年以上昔だ。もう顔も覚えちゃいない。―――――それに、俺は気味悪がれていたからな」

俺がそう言うと、ヴェネラナが俺を抱き寄せる。顔にヴェネラナの豊満な胸が当たる

「おまっ!!?」

「私はね、一人の親として貴方のご両親が許せないわ」

「―――――いきなりなんだよ」

「あのあと、サーゼクスから聞いたわ、貴方は人間からしたら異質な力を持っているが故に気味悪がれていたとね。でもね、どんな理由があろうと、親は子供を愛し、育てなければならないわ。貴方なら知っているかもしれないけどサーゼクスも悪魔からしたら異常の存在なの」

「知ってるよ。滅びの魔力によって形成されている、あの状態だろ?」

「ええ、そうよ。私はバアル家出身なの。そしてバアル家の特色である滅びの魔力がサーゼクスに特別強く受け継がれたのでしょうね。どうしてああなるのかはわからないのだけれど。それでも、サーゼクスは私の愛すべき息子だわ、サーゼクスだけじゃない、リアスもね」

俺を一段と強く抱きしめるヴェネラナ

「だからね、ほんの少し異常な力を持っていたというだけで貴方を見捨てた人たちを私は絶対に許せない!」

「―――なぁ、なんでそこまで俺のことを気にかけるんだ?」

「同族嫌悪でしょうね。私はね、初めてサーゼクスのあれを見たとき恐怖したの。自分の息子であるサーゼクスを。だから、もしかしたら私も貴方のご両親みたくサーゼクスを捨てていたかもしれない。その事を思い出したからでしょうね」

なるほどな

「――――それにね?もう貴方は私の息子みたいなものでしょう?」

「俺が?お前の?」

「ええ、一緒に食事を食べて、一緒にお風呂に入って、一緒に笑って。ね?私たちは家族でしょ?」

言っていることは無茶苦茶なのに言い返せない。

「―――――いいのか?俺は人間だぞ?」

「そんなこと、関係ないわ。貴方は立派な私の息子よ」

そう言って優しく俺を包み込んでくれるヴェネラナ。――――温かい

「もし世界中が貴方を否定しようと、私たちは貴方を肯定するわ」

そういってくれる。――――よくわからない感情がこみ上げる。涙が出てくる。何故だ?

「もう、一誠は一人じゃないわ。私たちがついているもの」

「――――――ありがとう。」

 

 

「だいぶ落ち着いたかしら?」

「―――ああ」

それから十分ほど、俺とヴェネラナ―――母さんは抱き合ったまま泣き合っていた。そのせいかお互いに目は腫れている

「あなたは今日からグレモリー家の男子ね!」

嬉しそうにほほ笑むヴェネラナ

「……わりぃけど、それは無理だ」

「どうして?」

悲しそうにそう聞いてくるヴェネラナ

「家族ってもんを俺が信用していないからだ」

コンコン

ドアがノックされる

「奥さま」

「どうしたのかしら?」

「お嬢様たちがお帰りになりました」

どうやらリアス達が帰ってきたことを伝えに来ただけらしい

「そう。ありがとう。すぐにむかうわ」

「お嬢様たちにお伝えしておきます」

「ええ、お願い」

「それでは失礼いたします」

ヴェネラナが俺の方をむく

「リアス達が帰ってきたみたい。一誠もサーゼクスに誘われているのでしょう?」

「ああ」

「それじゃリアス達の所に行きましょう」

「わかった」

俺はヴェネラナのあとに続いて部屋を出る

少しして昨日食事した部屋に着く

ヴェネラナがドアノブに手を掛け

「一誠」

「なんだ?」

「もしこれからの人生で辛いとき、悲しいとき、逃げ出したいときがあったらすぐに帰ってきなさい。私たちは貴方を待っているから」

「―――ありがとな」

俺がお礼を言うとヴェネラナが微笑みながらドアを開ける

 

あのあと俺はリアス達と共に冥界に来るときに使った列車でサーゼクスが居る領土へ移動した。途中、宙に展開してある巨大な長距離ジャンプ用魔法陣を何度か潜り抜けて列車は進んだ。列車に揺られること三時間。俺たちは都市部に到達した

「ここは魔王領の都市ルシファード。旧魔王ルシファーさまがおられたと言われている冥界の旧都市なの」

リアスが俺たちに説明をしてくれる

「このまま地下鉄に乗り換えますよ。表から行くと騒ぎになりますから」

木場がそう言う。

すぐに地下鉄のホームに着く

「キャーッ! リアス姫さまぁぁぁぁぁ!!」

反対側のホームにいる悪魔から黄色い歓声が発せられる

「ヒィィィィィ……。悪魔がいっぱい……」

ギャスパーは相変わらず人見知りをしている

「困ったわね。騒ぎになる前に急いで地下の列車に乗りましょう。専用の列車は用意してあるのよね?」

リアスが連れ添いの黒服男性の一人に訊く。こいつらは一応リアス達のボディガードだ

「はい。ついてきてください」

俺たちはボディガードに続いて地下鉄の列車へと移動した

 

 

「サイラオーグ!」

あれから五分ほどで会場に着いた。そこにいた使用人に続いていくと大柄の青年と会った

黒髪の短髪で瞳の色は紫、顔の面影はどこかサーゼクスに似ていたる。服の上からでも鍛えられた体がわかる。まるでプロレスラーみたいだ

「久しぶりだな、リアス」

リアスとにこやかに握手を交わす。サイラオーグの眷属らしき悪魔がこちらを見ている

「ええ、懐かしいわ。変わらないようで何よりよ。初めての者もいるわね。彼はサイラオーグ。私の母方の従兄弟でもあるの」

へぇ。ヴェネラナの。どうりでサーゼクスと似ているわけだ

「俺はサイラオーグ・バアル。バアル家の次期当主だ」

将来の『大王』ってわけか

「それで、こんな通路で何をしていたの?」

「ああ、くだらんから出てきただけだ」

「……くだらない?他のメンバーも来ているの?」

「アガレスとアスタロトも既に来ている。あげく、ゼファールドだ。着いた早々ゼファールドとアガレスがやり合い始めてな」

心底嫌そうな顔をする青年――――サイラオーグ

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

建物が揺れ、破砕音が聞こえてくる

リアスは気になったようで大きな扉へと向かった

「まったく、だから開始前の会合などいらないと進言したんだ」

サイラオーグは嘆息しながら眷属たちとリアスのあとに続く

扉の向こうでは一触即発の状態だ

一方は邪悪そうな格好の魔物やらの悪魔たち、もう一方は比較的普通そうな悪魔たちだ

ただ、両者ともに殺意に満ちている

「ゼファードル、こんな所で戦いを始めても仕方なくてはなくて?死ぬの?死にたいの?殺しても上に咎められないかしら」

眼鏡をかけた青いローブを着た女性悪魔は冷徹な言葉を発する

「ハッ!言ってろよクソアマッ!俺がせっかくそっちの個室で一発仕込んでやるって言ってやってんのによ!アガレスのお姉さんはガードが固くて嫌だね!だから未だに男も寄って来ずに処女やってんだろう?ったく、魔王眷属の女どもはどいつもこいつも処女臭くて敵わないぜ!だからこそ、俺が開通式をしてやろうって言ってんのによ!」

時代遅れのヤンキー風の悪魔が下品な事を言う

「ここは時間が来るまで待機する広間だったんだがな。もっと言うなら、若手が集まって軽い挨拶を交わす所でもあった。ところが、若手同士で挨拶したらこれだ。血の気の多い連中を集めるんだ、問題の1つも出てくる。それも良しとする旧家や上級悪魔の古き悪魔逹はどうしようもない――――無駄な者に関わりたくはなかったのだが、仕方ない」

サライオーグは首を鳴らしながら両者の間に割って入る

「アガレス家の姫シーグヴァイラ、グラシャラボラス家の凶児ゼファールド。これ以上やるなら、俺が相手する。いいか、いきなりだが、これは最終通告だ。次の行動次第で俺は容赦なく拳を放つ」

サイラオーグが堂々とそう言う

「バアル家の無能が―――」

ドゴンッ!

ヤンキーは言葉を言いきる前にサイラオーグに吹き飛ばされる。―――見た目だけかよ。あのヤンキー

「言ったはずだ。最終通告だと」

「おのれ」

「バアル家め」

―――――さっきからうるせぇんだよ

バゴォン!

俺はヤンキーの眷属を全員壁に叩きつける

「さっきからうるせぇんだよ。ザコが喚くんじゃねぇ」

「い、一誠!?」

俺はヤンキー達をこの建物のホールに転移させる

サライオーグが唖然としながらも

「まだ時間はある。化粧をし直してこい。邪悪なものをまとったままでは行事もままならんからな」

「―――ッ。わ、わかっています」

シーグヴァイラは踵を返して、眷属と共に広間をあとにした

「スタッフを呼んでこい。広間がめちゃくちゃすぎて、これではリアスと茶も出来ん」

サイラオーグが眷属達に指示をだす

「あ、兵藤さん」

聞きなれた声に呼ばれる。振り返ると駆王学園の制服を身に付けた悪魔が近づいてくる

「匙か、それとソーナも」

「ごきげんよう、リアス、兵藤さん」

ソーナ達も広間に到着したようだ

 

 

「先程は失礼しました。改めて自己紹介を、私はシーグヴァイラ・アガレス。大公アガレス家の次期当主です」

修復作業が終わり、ゼファードルとその眷属を抜かした者達でテーブルを囲んでいる。

主は席に着き、眷属は後方で待機している感じである。

「ごきげんよう、私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主です」

「私はソーナ・シトリー。シトリー家の次期当主です」

「俺はサイラオーグ・バアル。大王バアル家の次期当主だ」

リアスとソーナ、サイラオーグも挨拶する

「僕はディオドラ・アスタロト。アスタロト家の次期当主です。皆さん、よろしく」

先程の騒ぎに介入していなくお茶を飲んでいた少年も優しげな声で自己紹介をする

「グラシャラボラス家は先日、御家騒動があったらしくてな・・・。次期当主とされていた者が不慮の事故死を遂げたばかりだ。それで、先程のゼファードルは新たな次期当主の候補と言う事になる」

そんな事件があったのか。かなりどうでもいいが

ここに集まった悪魔の家柄は名高い名門ばかりだ。

―グレモリーがルシファー。

―シトリーがレヴィアタン。

―アスタロトがベルゼブブ。

―グラシャラボラスがアスモデウス。

現四大魔王が輩出された四家、大王のバアル家、大公のアガレス家

超豪華ドリームメンバーが目の前に揃っていた。

「それで?お前は誰だ?どうやら人間のようだが……」

サイラオーグが俺に聞いてくる

「兵藤一誠。赤龍帝」

俺が簡潔に答えると全員が驚いた顔をする

それからしばらくして扉が開き、使用人が入ってくる

「皆さま、大変長らくお待ちいただきました。――――皆さまがお待ちでございます」

どうやら恒例の行事とやらが始まるらしい

 




いつからNTRだと錯覚していた?

これはタグに張ってある通りR15だからね☆

そして一言 母強し

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