IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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ガノタは(無駄な方向に)やれば出来る子! 95話を投稿します。
これが正真正銘の今年最後の投稿です!
さぁ、キャノンボール・ファストの結果は…?


高機動レースの結果

 

 

 

 

 

 

新華はハロが映し出すディスプレイを見て安堵のため息を吐く。それを見た楯無は声を掛ける。

 

 

 

 

 

「終わった?」

「…Jud. レースの方も、終わりか…」

「ええ」

「オワッタ、オワッタ」

「ミンナガンバッタ、ミンナガンバッタ」

「オツカレ、オツカレ」

「ふぅ…」

『------』

 

 

 

 

 

ハロのディスプレイを消して壁にもたれ掛かる。よく見るとアリーナの上部にディスプレイが浮かんでいた。その画面を見てみると順位が表示されていた。

 

 

 

 

 

「えー…っと? 3位は、箒!? …頑張ったなぁ…」

「…ええ、頑張ってたわよ…」

「? んで、2位が簪さんで、1位はシャルロットか…鈴とセシリアは?」

『------』

「ハァ? 落ちたって何だ落ちたって。あれだけ特訓してたんだから良い成績残せる筈じゃないか。セシリアは特に偏向射撃が出来るようになってたんだし」

「………やっぱりアレは新華君の入れ知恵だったのね…。それで結構盛り上がったのだけれど…」

「? ………一体何が?」

「それがね…」

 

 

 

 

 

思わず新華は素になって楯無の話を聞く。そして話が終わった後に呆れ返るのだった。

 

 

 

 

 

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---side 専用機持ち達

 

 

 

 

 

ソレスタルビーイングが亡国機業の攻撃を受け実達が迎撃し戦いが終わりに近付いてた頃、キャノンボール・ファストの1年専用機組みも最終ラップに入っていた。

ここまでの順位は、先頭が一夏と簪、その後にセシリアと鈴が来てラウラに箒、シャルロットだった。

最終ラップに入った事でセシリアは一気に勝負を決めようと動く。

 

 

 

 

 

「一気に決めますわよ!」

「お!? セシリアが来るか!」

「オルコットさん…!」

 

 

 

 

 

先頭で雪平と薙刀をぶつけ合う一夏と簪はセシリアの闘気を感じて振り向く。もし新華が見ていれば『速度が落ちるから振り向くな、感じろ』と言っていただろうが、そうもいかない。

セシリアは『ストライク・ガンナー』のスラスターをそのままに、BTを全て射出する。同時にスナイパーライフルを進行方向に構え気合を入れる。

 

 

 

 

 

「一夏さんには申し訳ありませんが…ここらでわたくしの実力を見せて、出番を増やしますの!」

「「「「「「メタイメタイ!」」」」」」

「行きますわよ…!」

 

 

 

 

 

セシリアはスナイパーライフルのスコープで本格的な精密射撃を開始する。しかし一夏と簪はそれを優れた動体視力と反射神経で躱す。が、直後背中からレーザーを浴びてしまう。

 

 

 

 

 

「ぐあっ!? な、何が起きたんだ!?」

「い、今のは…」

「まだまだ行きますわよ!」

 

 

 

 

 

セシリアは次に一夏と簪を追い越し背を向ける。ハイパーセンサーがあるので前を見なくても問題無い。そして

 

 

 

 

 

「次は皆さん、お覚悟を!」

 

 

 

 

 

後ろに居た箒、ラウラ、シャルロットにレーザーを撃つ。今度はBTでの四方八方からも攻撃があった。しかしそれを箒達は回避しようとする。しかし次の瞬間に驚愕する。

レーザーが曲がり箒達に直撃したのだ。それもBTからのレーザーまでも曲がり1機を残して全弾命中。流石のラウラですらこれには焦った。

 

 

 

 

 

「なにっ!? まさか偏向射撃! 習得したのか…!」

「ええ! コレを習得するまで苦労しましたけど…!」

 

 

 

 

 

セシリアはその時の光景を思い出す。それは新華との会話でもあった。

 

 

 

 

 

『セシリア。お前が何故偏向射撃を使えないのか、分かるか?』

『何故って、どういう意味ですの?』

『そのままの意味だ。お前、『スペック』だ何だ言ってブルー・ティアーズを信じていないだろ』

『信じ…?』

『ISと操縦者は互いに信頼関係を強くする事で強くなる。一般に言われている搭乗時間の重要性は、実はコレだ』

『………そんなの初めて聞きましたわ』

『当たり前だろ。訓練機の場合は自分の体にISを馴染ませる目的だけどな。それに皆そこまでISを知っている訳でも、頭を回している訳でもない。ISに自我意識があるなら操縦者を見ていてもおかしくないだろ。話を戻すと、セシリアはブルー・ティアーズと自分ををちゃんと信じてやれば偏向射撃は出来るという事だ』

『ブルー・ティアーズと、わたくし自身を、ですの? でも…』

『俺は信じている。俺自身と、俺と戦場を駆けたこのクアンタを。俺だって以前までは偏向射撃、出来なかった』

『そ、そうなんですの!?』

『ああ。だがな、出来ないままでは駄目だった時もあった。その時に、信じられるのは自分とクアンタだけだった。だから、信じた。それまで以上に、自分とクアンタを。ただ、それだけだった』

『そ、それだけ…』

『ああ。それだけで、あっさり出来るようになっていた』

『へ?』

『俺もその時までは無意識のうちにクアンタを『使っていた』んだ。でも、それじゃあ駄目だ。『使う』んじゃなく『一緒に行く』んだ。でないと、出来る事も出来ない』

『『使う』のではなく、『一緒に行く』…』

『………一夏がそれを体現しているよ。白式は一夏と信頼し合って、セカンドシフトした。そして大きな力を一夏に貸している。セシリア、お前も一夏と一緒に居たいんだろ?』

『っ! え、ええ…』

『なら、ブルー・ティアーズを信じてやれ。お前が信じてやれば、ブルー・ティアーズは必ず答えてくれる。自分なら出来る、ブルー・ティアーズと自分なら、とな』

 

 

 

 

 

 

直撃により速度が落ちた一夏達。しかしその中で1機だけ無事でありセシリアへと攻撃する機体があった。

 

 

 

 

 

「くっ、やはり鈴さんが来ましたわね…!」

「あったりまえでしょ! あたしだって一緒に地獄を見たんだから!」

 

 

 

 

 

先頭のセシリアに追い付き近付きながら衝撃砲を打ち込む。セシリアはターゲットサイトを後方から横の鈴へと向ける。

 

 

 

 

 

「ですが、ここまで来たら勝利は目前。このまま勝たせてもらいますわ!」

「させないわよ! この高機動パッケージ『(フェン)』を舐めないでね…!」

 

 

 

 

 

そう言うと鈴はスラスターの出力を最大にしセシリアを追い抜こうとする。だが後ろから一夏が一気に近付いてくる。

 

 

 

 

 

「俺を忘れてもらっちゃ困るぜ! 2人とも!」

「無論、忘れてなどいませんわ!」

「一夏も一緒に倒して上げる………!? っと!」ヒュン

「我々もまだ終わりではない!」

 

 

 

 

 

一夏の後ろからラウラと簪、箒、シャルロットが加速してくる。全員が最後のスパートに出ていた。

簪がマルチロックオンで『山嵐』のミサイルを一斉射する。一夏達は即座に回避行動を取るが、発射されたミサイルは通常の物とは違っていた。

先頭に居たセシリアの前に抜けた後に爆発、煙幕が撒かれ視界が埋まる。

 

 

 

 

 

「よしっ…今なら…」

「悪いけど、勝つのは僕だよ! ラファール、システム起動! 一気に決めるよ!」

 

 

 

 

 

簪が薙刀を持ち前に出ようとするが、すんでの所でシャルロットが機体のコンデンサのエネルギーを解放し今までにない速度を出す。真っ直ぐ煙幕の中へと突入し両腕から簡易零落白夜を発動、目の前に現れた影を切り裂く。

 

 

 

 

 

「! てええい!」

「うおおお!?」

 

 

 

 

 

影の正体は一夏で、優れた反射神経により躱されるが、一夏が躱した先には鈴と絶賛対戦中のセシリアが居た。

 

 

 

 

 

「え?」

「はい?」

「セシリア! 逃がさないわよ!」

「あっ…」

「むっ!? うわあああ!?」

 

 

 

 

 

そこに鈴の衝撃砲が炸裂し一夏とセシリアは速度を急激に落とす。あまりに突然の事だったので後ろに居た箒を巻き込みそうになったが、箒は直感で思わず2人を両手の刀で斬り捨てた。一夏をセシリアごと落としてしまった事に鈴の顔が引き攣るが、すぐにラウラのキャノンが直撃して同じく速度を落とし箒に斬り捨てられた。

 

 

 

 

 

「ら、ラウラ…篠ノ之さん…」

「………スマン」

「な、なんだったんだ今のは…。思わず斬ってしまったが…」

「…と、兎に角このまま行かせてもらうからね!」

 

 

 

 

 

そのままシャルロットはゴールへと向かう。簪は今の一連を見て、半ば自分が生み出した光景から目を逸らして『山嵐』を格納、機体を軽くし加速する。

 

 

 

 

 

「なっ! くっ、待てっ!」

「行かせはせん、行かせはせんぞぉ!」

 

 

 

 

 

箒とラウラが2人に攻撃するが、簪はともかくシャルロットの加速が凄まじく攻撃を与えられない。簪も流石は日本代表候補生と言うべきか器用に回避し、それどころか瞬間加速まで使って引き離す。

機体性能の差からラウラと箒の順位も変わる。箒の紅椿が前へと出る。このままでは負けると思いラウラは紅椿の腕部と脚部にワイヤーを絡める。

 

 

 

 

 

「ぐっ!? ラウラ!」

「せめて3位は取らねばな!」

 

 

 

 

 

ワイヤーを巻き戻して箒へと肉薄するラウラ。箒もそうはさせまいとワイヤーを刀で切り離すがラウラは瞬間加速で両手からレーザー手刀を出して箒と斬り合う。

 

 

 

 

 

「くっ、やるな!」

「そちらもな! だが、負けん!」

「私もだ!」

 

 

 

 

 

ラウラが上段から両手で切りつける。それを箒は防御するが、斬った勢いでラウラは箒より前に出る。そして瞬間加速。箒との距離を稼ぐ。

 

 

 

 

 

「なっ、しまった!」

「よし、このまま…!」

「くっ(どうする…! これでは負ける! ここで負ければ…!)」

 

 

 

 

 

箒は自分の軽率な行動で紅椿を受け取り今の環境がある事を自覚できていた。だから、こういった大きなイベントで自分の実力を、紅椿に頼らない自分自身の実力を見せなければいけなかった。それが自分を守ってくれてる専用機持ち達が相手だとしても。

コース最後の曲がり角。この曲線を抜けるとゴールまでは一直線になる。そこで箒は勝負に出る。

 

 

 

 

 

「…やれるか、紅椿!?」

 

 

 

 

 

そう言って曲がり角を箒は猛スピードで直進する。観客が驚き悲鳴を上げる者も出るが先程からレースに集中している箒には聞こえなかった。

壁に足を叩き付け両手の刀を同時に壁に向けて振る。エネルギー波を放つと同時に今度は絶妙なタイミングで瞬間加速を使い、更に壁を蹴る。

箒が壁に放ったエネルギー波は壁を壊すも、元々流れ弾などISが自由に暴れても壊れないように出来ているアリーナ。大破には至らずエネルギー波が拡散し跳ね返る。同時に爆風が起きるが、箒の狙いはソレだった。

 

 

 

 

 

「っくぁ!」ドゥッ

 

 

 

 

 

拡散し返ってきたエネルギー波と爆風による摩擦エネルギーを瞬間加速のエネルギーとして取り込み、同時に壁を強く蹴る事で弾丸のような加速を手に入れる。さらに勝負に出た場所も絶妙だった。

箒の進行方向は丁度、反対側の壁スレスレでゴール一直線のコース。つまり無駄を削ったギリギリのライン。シャルロット、簪、ラウラはスラスターとバランスで曲がったが、高機動パッケージを必要としない紅椿だから出来る芸当であった。

しかしこれを行うにはすべての動作タイミングの一致と、壁にぶつからないだけのコース見極めが出来る計算能力が問われる。一歩間違えれば壁に激突したり体勢を崩して自爆する。箒はこれらを直感で行なった。

 

 

 

 

 

「いけえええええ!」

「何っ!?」

 

 

 

 

 

壁ギリギリを飛びラウラを追い越す。そして簪へと近付く。

 

 

 

 

 

「おおおおおお!」

「!? どうして…!? くっ…」

「よし、時間ギリギリでゴー…ルッ!」

 

 

 

 

 

シャルロットが2人の目の前でゴールする。簪は後ろから迫ってくる箒を確認して焦り、箒はあと少しの所で簪がゴールする事に焦った。

 

 

 

 

 

「このまま…一気に…!」

「届けえええええ!」

 

 

 

 

 

そして、2人が一気にゴールをくぐる。本人達も観客もどちらが早かったか分からなかった。その後ラウラがゴールをくぐり、慌てて全力でレースに戻った一夏、セシリア、鈴がゴールして終わりを迎えた。

レースが終わり簪と箒の順位判定をするために空中のディスプレイに再生動画が流れる。判定は、簪の勝ちであった。

しかし箒も土壇場での機転が功を奏し3位という結果に落ち着いた。

最後の機転で箒の実力が示され、箒を見直し唸る者も居り、箒への風当たりは少々軽減される事が予想された。

…その分セシリアと鈴の落ち込み具合は酷いものだったが。

 

 

 

 

 

---side out

 

 

 

 

 

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「…とまぁこんな感じだったわ」

「………」

 

 

 

 

 

新華は楯無の話を聞いて、額に手を当て空を仰いだ。セシリアと鈴はかなり良いところまで行けると思っていたが、まさかの結果。しかも不幸が連鎖していた事に不憫を感じた。

 

 

 

 

 

「あー…うん。まぁ、そういう事もあるか…。取り敢えず、セシリアの出番は多くしてやれ…」

 

 

 

 

 

それは今後の展開次第だな。まぁ、善処はする。

 

 

 

 

 

「そうしてくれ…」

「…? 今メタ臭がしたのだけど、誰と話してるの?」

「何でもありません…」

「そう? で、簪ちゃんが活躍していた時に起きてた事態はどうなったの?」

「…その前に、近いです。離れてください」

「新華君がディスプレイ消しちゃうから、何があったのか分からないでしょ? なら新華君に聞くしか無いじゃない」

「………ソレスタルビーイング関係です。IS学園とは関係無いんで首突っ込まないでください」

 

 

 

 

 

新華は近付く楯無の額を手で押して引き剥がす。ハロ3機が跳ね回って視線が集まって居る故、さっさとこの場を立ち去りたかった。

 

 

 

 

 

「…真面目な話、何かあったんでしょう? 新華君の顔、いつも以上に真剣だったわよ」

「………なら、尚更聞かないでくれませんか? 一応最低でも噂程度に抑えなきゃいけない事案が出来たんで。…会長は敵への対応をしていてください。気付いているんでしょう? 見られてたのを」

「………」

「俺はまた忙しくなりそうなんで自室に戻ります。後は頼みましたよ、『学園最強の生徒会長』サマ」

「………」

 

 

 

 

 

新華は手をひらひらと振り、ハロを連れアリーナを出る。新華の頭の中には既にキャノンボール・ファストの事は無く、ソレスタルビーイング関連の事や世間への対応、防衛機構の見直しなどで一杯だった。

 

 

 

 

 

「さて、世界はどう動くか…。今MSを発表すれば混乱を招く。それだけは避けたい。なるべく噂程度にして徐々に浸透させていかなければ…やれやれ、これからも大変だな」

 

 

 

 

 

新華は思う。今MSを世に出せば確実に混乱が起き下手をするとIS() 対 MS()の馬鹿げた戦争が起きかねないと。極端だが、ISコアを満足に解析出来ないまま当たり前のように使用して女尊男卑が広まる世界だ。可能性は高い。

 

 

 

 

 

「まずは寮に帰るか。侵入者は会長に丸投げしたし、俺は俺のするべき事をしないとな」

「カエル、カエル」

「リョウ? オウチ?」

「セシリアハ? リンハ?」

「…あの2人は今は忘れよう、うん。気にしてたら禿げる」

「「「ズラ、ズラ、ヌヴォオオオオオオオ!!」」」

「うん、黙っとけハロ達。いいから行くぞ」

「「「ユクゾッ、ユクゾッ、ユクユクユクゾッ!」」」

「そのネタはもう飽きた」

 

 

 

 

 

 




無駄な頑張り…バイトあったのにどうして投稿出来た俺ェ…。
まぁセシリアの出番は善処しますよ、ええ…。貴重なスナイパーの戦闘能力増加ですから使えるでしょうし。戦闘では。

そうそう、最近wikiを読んでMの機体を見たんですが…そこで思った事を1つ。

織斑家:千冬(白騎士、暮桜)一夏(白式[白騎士])マドカ(サイレント・ゼフィルス、黒騎士)
→騎士
青木家:新華(蒼天使)実(告死天使)
→天使

あるぇ? 狙ってなかったのに…

次回は一夏の誕生日になるかと思います。でも視点はソレスタルビーイングから。もう構想は出来てますが、三が日は忙しくなるので更新は遅くなるかと思われます。
では今度こそ。

Have A Nice Yesr!

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