IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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93話。
(´∇`)<Merry☆Christmas
ガノタ「リア充め、鋼鉄ガノタが相手だ! 死ねぇ!」新華、シン、弾を素通り
「「「え?」」」
一夏「ぐああああああ!?」
「「「一夏!?」」」
ガノタ「ざまぁみろ!」


キャノンボール・ファスト

 

 

 

キャノンボール・ファスト当日。快晴の空の下、新華は楯無と共に観客席の最上階で待機させられていた(・・・・・・・)。今日の新華は朝から心ここにあらずであり、放っておくと姿を消してしまいそうだったが故に警備を兼ねて楯無の監視下に置かれていた。

 

 

 

 

 

「………」

「ねぇ、さっきからそわそわしてどうしたの?」

「………」

「…いい加減しゃべる位の反応をしてくれないかしら」

「………」

「………はぁ(さっきからコレだけど、一体どうしたのかしら)」

「シンカ、オチツケ、シンカ、オチツケ」

「ソワソワ、ソワソワ」

「ヘンジシロ! ヘンジシロ!」

『------』

 

 

 

 

 

新華は全員からの言葉を聞かず、1人内心で焦りを感じていた。

 

 

 

 

 

「(この間の学園祭の時のように襲撃される可能性は高い。だが今は全くそんな気がしない。でも妙な焦りは感じる…)」

 

 

 

 

 

NTのカンとでも言うべきか、漠然とIS学園は襲撃されないと感じていた。しかし

 

 

 

 

 

「(明らかに明確な敵意も感じる…誰かに潜入されてるレベルだが、そこまで強くない。でも…)」

 

 

 

 

 

色々と考えながら観客席を見渡す。現在は2年生のレースが行われており観客は十分な盛り上がりを見せていた。

 

 

 

 

 

「(何があってもいいようにソレスタルビーイングには警戒態勢を敷かせておいたが…くそっ、帰って待機するにしても俺が離れた直後に一夏達が襲撃される可能性もある。それに…)」

「………ようやく話す気になったのかしら」

「(会長の警備という名の監視が着いている。突破出来ない事は無いが、やるにはタイミングが無い。無駄に騒ぎにすれば政府から色々と難癖付けられて後で時間を無駄に消費するだけだ。やはり大人しく監視されている方が得策か…)」

「…あのねぇ…」

 

 

 

 

 

楯無は自身を一瞥し再び無言になるのを見て呆れ顔になる。会場では2年生の部が終わろうとしていた。

 

 

 

 

 

「あら、今年もなかなか楽しめるレースね。誰が1位になってもおかしくないわ」

「………(まぁ、今悩んでも仕方無い。気を張りすぎても問題だからな。せめて各生徒達のレベルだけでも見ておくか)」

 

 

 

 

 

新華も楯無にならって視線を会場へと向ける。選手達はゴール目前だった。

 

 

 

 

 

「先頭はサラさんね。流石代表候補生といった所かしら」

「………セシリアの先輩、ですか…。専用機を持たないのに、よくやる」

「………やっと喋ったわね。あ、ゴール」

 

 

 

 

 

1位をイギリス代表候補生『サラ・ウェルキン』が取り、あと1歩の所で2位だった一般生徒が悔しがる。正直今回は代表候補生相手にデットヒートをした2位の女子の方が価値があった。

 

 

 

 

 

「努力で代表候補生にあと1歩まで喰らい付きますか…その努力は賞賛に値しますね」

「新華君が他人を褒めるなんて珍しいわね。惚れちゃった?」

「………努力の量と質にもよるが、どちらにしろ地力が違う代表候補生の実力に追いつく努力が出来た事が(・・・・・)素晴らしいな」

「あら、無視?」

「次は1年生専用機持ちの部…。何も起きなければいいが…」

「ねぇ、ちょっとは私と話してよぅ」

 

 

 

 

 

楯無が絡もうと体を寄せるが、新華は完全に無視して距離を取ろうとする。傍から見たら『近付く彼女と逃げる彼氏』くらいにしか見えなかった。

しかし楯無にその気はあろうとも新華には一切そんな気が無いのが悲しかった。

 

 

 

 

 

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---side 1年専用機持ち

 

 

 

 

 

一夏達はレースのスタート地点となるピットで全員待機していた。一夏と箒以外は全員高機動パックを付けた状態である。

一夏と箒の機体は素の状態で高機動が可能な為追加装備はない。

簪の高機動パックは、腰と肩の『山嵐』の後部にスラスターが接続されており、さらに姿勢制御の為か前進翼がスラスターに付けられていた。

ちなみにシャルロットの機体だが、新華が関わったせいで性能や機能に変わりがあるとはいえ、基本的な外見は対して変わらないので原作通りの装備である。

 

 

 

 

 

「おお…すごいデットヒートだった。セシリアの先輩が1位になったな」

「ええ。わたくしも先輩の顔に泥を塗らないよう力を尽くしますわ」

「気合入ってるな。俺も負けないぞ」

「アタシらも忘れんじゃないわよ、一夏!」

「おう! 最初から飛ばして行くからな!」

「…一夏、最初から飛ばしたらエネルギー不足になって負けるぞ」

「あ、そっか。サンキュ箒」

「嫁は肝心な所で駄目だな。何、戦いとは流れだ。全体を支配した者が勝つ」

 

 

 

 

 

一夏の回りにセシリア、鈴、箒、ラウラが集まる。一歩離れた所ではシャルロットと簪がそれを見ていた。

 

 

 

 

 

「一夏はやっぱり人気だね。僕も前はああだったから気持ちは分かるかな?」

「そうだね…。………あれだけアピールされても気付かないのは疑問だけど…」

「あはは…まぁ、それが一夏だし。鈍感でも気遣いが出来るから自然と、ね」

「そう…」

 

 

 

 

 

2人で話していると、山田先生が来て全員に声を掛ける。

 

 

 

 

 

「みなさーん、準備はいいですかー? スタートポイントまで移動しますよー」

「あ、はーい! よし、行くか」

「ああ」

「そうね」

「行きましょう」

「行くか」

「新華の御陰で強くなったラファールの性能を示さないとね」

「お姉ちゃんも応援してくれた…負けない」

 

 

 

 

 

全員が気合を入れ、マーカー誘導に従ってスタートラインに並ぶ。

 

 

 

 

 

『それでは皆さん、1年生専用機持ち組のレースを開催します! 尚、パンフレットにも書かれておりますが1年生の青木 新華は出場しません。詳しくはパンフレットの注意書きをご覧ください。それでは、カウントダウン!』

 

 

 

 

 

大きなアナウンスが流れ、カウントダウンが開始されると同時に一夏達はスラスターに火を入れ何時でも飛び出せるようにする。

 

 

 

 

 

『3、2、1、GOーーー!』

「「「「「「っ!」」」」」」

 

 

 

 

 

7人は同時に飛び出す。観客も見逃すまいと目を凝らし画面に注目し盛り上がる。

 

 

 

 

 

---side out

 

 

 

 

 

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視点は変わり再び新華。

 

 

 

 

 

「(やはり慣れのあるセシリアが先頭で行くか…。だが鈴やラウラも負けていない。簪さんも3人の後ろで状況を見ているし、なかなかどうして、見ごたえがありそうだ)」

「流石にオルコットちゃんが先頭になったわね。簪ちゃんも上位に入りそうだし、これは見逃せないわね」

 

 

 

 

 

新華だけが無言で歓声の中レースを見る。特に新華はこのところ鈴とセシリアとのトレーニングで直接鍛えた為に、トレーニングの成果をどう魅せるのか気にしていた。

しかしそんな新華の気持ちをぶち壊しにする知らせがハロに届く。

 

 

 

 

 

「ハロッ、シュウゲキ、シュウゲキ」pipipi、pipipi、pipipi

「…、何?」

「襲撃?」

「ハロ、モニター出せ。αとFもだ」

「「リョウカイ、リョウカイ」

「新華君!?」

 

 

 

 

 

楯無の叫びの直後、新華の回りにハロから出たモニターが浮かぶ。それを新華は一瞥して唸る。

 

 

 

 

 

「む…(亡国機業のIS2機…『サイレント・ゼフィルス』に、『アラクネ』だと!? あの糞ビッチが出やがったか!)」

「新華君、まさかソレスタルビーイングに亡国機業(やつら)が…」

「…大丈夫、この程度(・・・・)ならアイツらは負けない(ガードシェルが迎撃中。だが突破されるのも時間の問題…非戦闘員の退避は完了済み、配置は…既に終わっている? 早いな)」

 

 

 

 

 

新華は確認して操作する。そしてソレスタルビーイングの戦闘メンバーに許可を出す。

 

 

 

 

 

「(武装リミッター解除許可、そして出来れば2機とも鹵獲すること。防衛が目的で深追いはしないこと)」

「…新華君」

 

 

 

 

 

新華の意識から既に楯無は弾かれていた。今の新華は『IS学園の青木 新華』ではなく、『蒼天使』でもなく、『ソレスタルビーイング院長』だった。

 

 

 

 

 

「(総員、IS(女共)俺達の力(MS)を見せてやれ。思い知らせてやれ。そして、守り通せ)」

 

 

 

 

 

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---side オータム&M

 

 

 

 

 

一夏達のレースが始まる少し前、2人はソレスタルビーイングの敷地を囲む金網の外に居た。

 

 

 

 

 

「くっくっく…遂にあのガキに痛い目見させる事が出来るぜ…」

「…オータム、あまり油断するなよ」

「うるせぇ! 俺に指図するな。スコールの指示でなけりゃ俺1人で来たってのによぉ…」

「………(サーシェスが生きていればもっと安心出来たんだが…)」

 

 

 

 

 

2人はミッションでソレスタルビーイングが開発しているという『ISに代わる兵器』というのを強奪、ないしは開発施設の破壊というミッションを受けていた。

オータムはかつて誘拐した新華に、未完成の状態とはいえ当時の最高峰にあった『アラクネ』ごとボコボコにされ命からがら逃げ延びた事がある。その時は運良く新華が油断した御陰でアラクネのコアを抜き取りそれ以外を自爆させる事で難を逃れた。

しかしその経験からか、彼女は新華に対して凄まじいまでの憎悪(逆恨み)を抱き、いつか新華の命と新華の持つ物を全て奪ってやろうと考えていた。新華が彼女に対して容赦する理由がもう無くサーチ&デストロイする体勢にあるのを知らずに。

そしてMの方は、学園祭の時にサーシェスを殺られ新華に対する評価を大幅に上方修正した。そしてこのミッションで不安を抱いていた。『あれだけの殺しが出来る奴の本拠点とも言える場所がIS学園のような貧弱な迎撃システムではない筈』と。

そしてミッションが開始されると同時に彼女はその懸念が当たっていた事を知る。

 

 

 

 

 

「………(とにかく今は目の前のミッションに集中するか)」

「くくく…クソガキ、俺を敵に回した事を後悔しな」

 

 

 

 

 

オータムが五月蝿いがMは無視する。そして2人の持つISにスコールからの合図が入る。

 

 

 

 

 

「お、ようやくスコールからの合図だ。行くぜM!」

「…ああ(何だ? この漠然とした、それでいて圧倒的な不安は)」

 

 

 

 

 

2人は周りに人目がない事を確認してISを展開、ソレスタルビーイングの敷地内上空へと侵入していく。

しかし2人は気付かなかった。先程から監視カメラと敷地の地面にあったレンズが2人を捉えていた事を。

そして結果、2人が待機していた時には既に機械の迎撃体制が整っていた事を。

そして、質の差と数の暴力、新華の技術力に男たちの力を思い知らされる事になる。

 

 

 

 

 

---side out

 

 

 

 

 

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---side ソレスタルビーイング

 

 

 

 

 

院長室は普段の本や書類の沢山あった光景から大きく変化していた。壁からは本棚が消えいくつものスクリーンが浮き、院長が座るデスクにも細かなスクリーンが浮いている。現在そこにはメリオルが座り現状の把握と敵の把握に努めていた。

 

 

 

 

 

「………出ました。敵は亡国機業(ファントムタスク)所属、『アラクネ』と『サイレント・ゼフィルス』です。現在ガードシェルの攻撃で足止めをされていますがそちらに行くまで時間の問題です」

『こちらカナード、了解した。迎撃体制は既に完了している』

『こちらシン。新華さんの言った通り来ましたね』

『当然だろう、シン。だからこそ、きちんと準備出来た分キッチリ守り通すぞ』

『分かってますよ! 実、大丈夫か?』

『…ああ。今度こそ、彼女と話をしてみせる』

 

 

 

 

 

既に迎撃体制は整っており、MSを展開したカナードwithハイペリオン、劾withブルーフレーム2nd、ジニンwithジンクス、ワーカーwithリーオー、ソンネンwithドム、シンwithインパルス、スウェンwithストライクE+I.W.S.P.、実withゼロが待機していた。

メリオルは通信を飛ばし各員に指示を出す。

 

 

 

 

 

「では作戦通り、敵が一定のラインを超えたと同時にカナードのハイペリオンと実君のゼロが突撃、それ以外の各員は遠距離武装にてカナードの指示と同時に砲撃を開始してください」

『『『『『『了解』』』』』』

「実君、『サイレント・ゼフィルス』の方はあなたに任せました。カナードが粘っている間に何とかしてください」

『はい』

「各員は砲撃の後、余裕があれば突撃して攻撃してください。…あ」

『? どうしたメリオル』

「新華君…院長から指示が届きました。読み上げます」

『何…?』

 

 

 

 

 

メリオルの視界に新華からの指示が入り読み上げる。

 

 

 

 

 

「『武装リミッター解除許可、そして出来れば2機とも鹵獲すること。防衛が目的で深追いはしないこと』。以上です」

『鹵獲か…。正直難しいな。だが出来ればという事だから、別に倒してしまってもいいのだろう?』

「…まぁ出来ればですから。それに深追いはしない事と書かれているので無茶はしないように」

『分かっている。頭の隅に置いておく事にしよう』

「そうしてください。…来ました。ラインを超えます。3、2、1…」

 

 

 

 

 

浮いているスクリーンの1つ、レーダーにオータムとMが事前に決めたラインに近付くのが見えていた。そして

 

 

 

 

 

「…作戦を開始してください!」

『了解! 行くぞ実!』

『はい! 青木 実、ゼロ、行きます!』

 

 

 

 

 

ガードシェルの攻撃が止みカナードと実が飛び出していく。

ソレスタルビーイング側に悲壮感は全く無く、寧ろISを倒す事への気迫があった。

 

 

 

 

 

 




前書きで暴走したけど悔いは無い
さて次回はソレスタルビーイング視点の茶番(笑)です。
キャノンボール・ファストは普通に終わります。原作とは違って問題無く滞り無く終わらせる予定です。
順位も考えてあります。箒への風辺りの方も考えて…おきます(←おい

年明け前にもう1話投稿出来るといいな…

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