IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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88話。
今回はグロ的な意味でR-18入れた方がいいかなぁ?
新華ブチギレ回です。
真っ赤です。


戦争の経験

 

 

 

 

---side (みのる)

 

 

 

 

 

「あれ、くっそ。見失った…」

 

 

 

 

 

一夏が攫われてシンデレラが中止になった頃、実は少女を追っていた。しかし途中で見失い(撒かれ)校内をさまよう。

 

 

 

 

 

「………ハァ、俺何やってんだろ。これじゃストーカーじゃんか」

 

 

 

 

 

1人ため息を吐きシンデレラの会場へと戻ろうとする。しかし

 

 

 

 

 

「あれ、青木君!?」

「シンデレラに行ってる筈じゃあ…」

「ん? でもちょっと違うような…」

「あのー、青木君?」

「ん? 何ですか」

 

 

 

 

 

シンデレラに参加しなかった一般生徒に話掛けられる。

 

 

 

 

 

「青木君シンデレラは? 男子は強制参加の筈…」

「え? ああ、兄貴の事ですか」

「「「「「「兄貴!?」」」」」」

「俺の名前は青木 実。青木 新華の弟で兄貴に招待されたので来てみたんです。中々楽しませてもらってますよ」

「そ、そうなんだ…。青木君に弟が居たなんて…今いくつ?」

「14歳です」

「「「「「「へぇ~」」」」」」

 

 

 

 

 

実の周りに生徒達が集まり出す。その状況に実は焦った。

 

 

 

 

 

「(ま、またか!? 中学でもそうだが兄貴の弟ってだけで物珍しさで集まらないでくれ!)」

 

 

 

 

 

………どうやら一夏と同じタイプの鈍感のようだ。だが何故だろう、一夏とは違い苛立ちが湧いてこない。クローンとして実験動物にされていた反動だと思ってしまうせいなのか。兄の新華とはある意味正反対である。

しかし考えてほしい。新華は前世において女性関係は殆どからっきしであった。そして女性関係を構築する余裕など無かった。

戦前は一兎を中心に人間関係が構築されており、志甫は一兎に好意を抱き新華は応援、睦美には(女の)恋人が居り、尾褄には女性が沢山居たが新華に影響する事はなく尾褄の本命は勇樹という。しかも新華はその中で生活の為にバイトをしており時間的にも金銭的にも、そして心理的にも余裕が無かった。

戦後は新華、志甫、勇樹以外のメンバーが死亡、又は意識不明になった上に人類の総数も大幅に減った。新華は復興と孤児院経営のフォローに回り、傍に彩香先生が居たものの女性関係にうつつを抜かすだけの余裕は無かった。それに転生前の戦闘で死ななければ彩香先生の優しさに惹かれ始める筈だった。

 

こ の 状 況 で ど う 恋 愛 を し ろ と ?

 

本来ならば新華も鈍感だったのである。そう考えるとやはりクローン、いや兄弟である。そもそも実は恋愛感情を知っているのだろうか?

では何故新華は鈍感ではなかったのか。一夏の存在、これに尽きる。もし一夏と同レベルの鈍感であれば違ったかもしれないが、新華は2度死んでる。経験の差が出ていた。

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ! どこの中学に通ってるの?」

「付き合ってる子とか居る?」

「家で青木君、君のお兄さんはどんな感じ?」

「ちょっちょっと! あまり集まらないでください!」

「え~。いいじゃないいいじゃない」

「色々聞きたい事はあるんだし」

「「「「「「ね~」」」」」」

「くっ(兄貴、よくこんな環境で生活出来るな…! 俺だったら無理だ!)」

 

 

 

 

 

なんだか入学当初の一夏を見ているようだが、一夏の時とは違い実に幼馴染と呼べる人物は居ないし仲間はソレスタルビーイング辺りに居て助けを求められない。まさに四面楚歌だった。

 

 

 

 

 

「そ、そういえば織斑さんに似た人見ませんでしたか?」

「え、織斑君に?」

「はい。なんだか気になったんですが見失って…」

「へぇ…ナンパ?」

「違いますよ! ただ何となく気になっただけです」

「「「「「「ふぅ~~~~~~ん?」」」」」」

「…なっ、なんですか…。それで、見ませんでした?」

「んー………あ、さっきそんな感じの子を見たけど、何か屋上の方に向かってた気がする」

「…本当ですか? (屋上? なんでそんな所に?)」

「うん。もしかしたら違うかもしれないけど」

「…そうですか。ありがとうございます」

「あ、でも屋上は今鍵が掛かってて行けない筈だよ?」

「一応行って、居なければ諦めますよ。情報、ありがとう御座いましたっ」ダダッ

「「「「「「あっ、逃げた!」」」」」」

 

 

 

 

 

実は一気に走り出し女子の群れから抜け出し屋上へと向かう。屋上と聞き嫌な予感と共に変な確信があった。

 

 

 

 

 

「多分、あの子は屋上に居る。なんでかは知らないけど、そんな気がするな…」

 

 

 

 

 

そして実はパンフレットの地図通りに屋上へと続く階段を見つけると一気に駆け上がる。

 

 

 

 

 

「確か鍵が掛かってる筈だけど…あ」ギイィ

 

 

 

 

 

実が屋上のドアに手を掛けると、ドアの鍵が開いていた。音を立てないように慎重にドアを開け屋上を覗く。

 

 

 

 

 

「………居た」

 

 

 

 

 

実の視線の先には、先程見失った少女が何処か1点をじっと見据えていた。

ドアを完全に開け少女に話掛ける。

 

 

 

 

 

「…君」

「!」

 

 

 

 

 

少女が振り返る。そしてお互いに驚き絶句する。

 

 

 

 

 

「なっ!? き、君は…」

「!? 貴様は…!?」

 

 

 

 

 

お互いがある人物に似過ぎていた。しかし直後、女性の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

『おら、出てこいよMゥ!』

「チッ、死ねっ!」ビシュウ!

「!?」

 

 

 

 

 

Mと呼ばれた少女は、突然ISを展開し実に攻撃した。それを実はW0のウィングを展開して防ぐ。

 

 

 

 

 

「ぐっ、ま、待てっ!」

 

 

 

 

 

少女はISを展開したまま飛んでいった。そして実もW0を展開して追いかける。攻撃されても追いかける理由、それは彼女を過去の自分と重ねたから。

未だ全く話していないが、実には直感的に彼女がどういう存在か分かった。それに以前新華がこう言っている。

 

 

 

 

 

『俺に対してお前のような存在が居るなら、千冬さんや束さんにもそういう存在は居るだろうな…』

 

 

 

 

 

実は彼女にかつての自分を重ねた。救出されて新華を『兄貴』ではなく『オリジナル』と呼んでいた頃の自分と。

放ってはおけなかった。

 

 

 

 

 

「ま、待ってくれっ、君!」

 

 

 

 

 

告死天使は羽ばたく。死を告げるためではなく、1人の少女と話をするために。

 

 

 

 

 

---side out

 

 

 

 

 

----

----------

------------------

 

 

 

 

 

「オラオラァ!」

「っ!」ガキィン

「新華! 援護する!」

「そうでなくっちゃなァ! 行けよ、ファングゥ!」

「くそっ!」

「私だって…!」

「それが例の『紅椿』かァ! 機体は良くてもパイロットがイマイチなようだなァ!」

「なっ!? 紅椿と同じように、足にもサーベル!?」

「チョイサァ!」

「くっ!」

「サーシェス、あまり勝手をするな…!」

 

 

 

 

 

サーシェスの操縦技術とIS『ヤークトアルケー』は新華と切り結びながらも左肩のキャノンやファングを使い専用機持ち達を翻弄する。合流してきたIS『サイレント・ゼフィルス』も共に戦闘に参加していた。

 

 

 

 

 

「新華君!」

「新華! 皆!」

「織斑 一夏か…! この数だと不利だ。引くぞサーシェス」

「知ったことかよ! ようやくIS同士の戦争をやれるんだァ、帰るならテメェ1人で帰りなァ!」

「何?」

「………」

 

 

 

 

 

一夏と楯無が来たのを確認したMからの提案を突っぱねるサーシェス。彼女(・・)の顔は爛々と輝いていた。

 

 

 

 

 

「今度は逃がさないわよ」

「本当に敵がもう1人…!?」

「さァて、全員揃った所で、本気で行くかねェ…!」

「くっ、気を付けろ皆! 会長の攻撃に反応出来る程の奴だ!」

「なっ、本当なの一夏!?」

「ああ! でもそれが本気じゃないとすると…!」

「只者じゃないわね…。アンタら、何者なのよ! いきなり人の学園祭ぶち壊しにして!」

「言う訳ねェだろうがァ! アッハハハハハハハハ!」

 

 

 

 

 

サーシェスは高笑いをする。Mは頭を抱えたかった。

 

 

 

 

 

「(サーシェスは撤退拒否。私は迂闊にも顔を見られ、顔を見た相手()は見た所『蒼天使』のクローンでMSを所持…! こんな状況になるのなら、まだオータムと来た方がマシだった!)」

 

 

 

 

 

Mの視界には新華に近付く実の姿が。実は新華にMの事について話す。

 

 

 

 

 

「兄貴」

「実…どうしてゼロを使った。誰かに見られていたら問題になるぞ」

「分かってる。でも、あの子が気になって…」

「………どういう事だ?」

「それは後で話すよ。兎に角、あの青い方は俺に任せてくれないか?」

「………それは「その機体はっ!」」

「お、オルコットさん…!?」

 

 

 

 

 

セシリアが狙撃ポイントから飛び出しMに銃口を向ける。その顔は驚愕が露になっていた。

 

 

 

 

 

「その機体、まさか『サイレント・ゼフィルス』ですの!?」

「…フン、1号機か。だが今は貴様に構っている暇は無い」

「あなたに無くとも、わたくしにはありますわ!」

「…セシリア、待て」

「新華さん!? どうして止めますの!? あの機体は…!」

「戦うなら実と一緒にやれ。その前にちょっと待ってろ」

「…新華さん?」

「兄貴?」

「………おい、そこの赤いの」

「あ? 何だ『蒼天使』」

 

 

 

 

 

新華はサーシェスに言葉を掛ける。新華の様子は大人しく見えたが、声には震えが入っていた。だがその震えは決して怯えによるものではない。

 

 

 

 

 

「さっきから黙っていれば…『戦争』という単語を連発し過ぎだ。戦争をなんだと思ってやがる」

「なんだよ、そんな事か」

「そんな事、だと…」

「俺は戦争が大好きでねぇ…戦争のスリルと高揚する感情、人を殺す快感と人同時が殺し合う光景が堪んねぇんだよォ!」

「「「「「「っ!」」」」」」

「………」

「戦争にある空気は俺の生きる世界の空気だ。人殺しの世界のなァ! 俺は戦争が大好きなんだよォ!」

「く、狂ってる」

「ハハハハハハ! 狂ってる!? 違うねェ、これが俺さ! ハハハハハハハハ!」

 

 

 

 

 

サーシェスの笑いが響く。一夏達は呻き信じられない目でソレを見ていた。新華は体を震わせる。

 

 

 

 

 

「…兄貴?」

「…新華さん? どうしたのですの?」

「………………………プフッ」

「「「「「「!?」」」」」」

「あはっ、あははハハハハハハハハハハハハはハハハハハハはハハハハハハハハハハハ!」

 

 

 

 

 

新華が行き成り大声で笑いだした。サーシェスの笑いが思わず止まる位に大声で、体を折って。

 

 

 

 

 

この程度(・・・・)で、戦争!? アハハハハハハハハ、アハハハハハハハハハハハふっざけんなあああああああああああああああああああああああああ!!!!」

「「「「「「!?」」」」」」

「『戦争』を知らない餓鬼が偉そうに語るな! こんなのは『戦争』と比べたらただの遊びにしかならねぇよ!」

「餓鬼? 遊びだと…?」

「ISなんて『オモチャ』で、戦争!? 人類のレベルはそこまで堕ちたかよ! この程度のじゃれ合いで戦争なんて、笑わせてくれる!」

 

 

 

 

 

新華の叫びは『選択戦争』を経験した者ならではの物だった。人類 対 乾燥者の戦争。生き残った者がIS世界を見たら新華のように笑い出すか失笑するだろう。

 

 

 

 

 

「おいお前ら、全員手を出すな!」

「し、新華、何を言って…!」

「この糞ガキに『あの戦争』にあった『絶望』を教えてやる! 死にたくなければ手を出すんじゃねぇ! そこの『サイレント・ゼフィルス』もだ!」

「………」

「あ、兄貴! 落ち着け!」

「ハハハハハハハ! この俺をガキ呼ばわりか…調子こいてんじゃねぇぞ、糞ガキがァ!」

「何も知らないガキは大人しくしてろ! 『ヤークトアルケーガンダム』程度でこの『Evolveクアンタガンダム』と俺に勝てると思うな!」

「なっ!? なんでこの機体の名前を…!」

 

 

 

 

 

サーシェスは新華の言葉に驚愕する。『ガンダム』という単語に聞き覚えは無いがアルケーは機体の名称で、知っているのは開発者()と亡国機業だけだった筈だった。

 

 

 

 

 

「P・V・Fなど使うまでもねぇ! お前のようなガキは、俺が、駆逐する!」

「ハッ、やってみろよ、糞ガキがァ!」

 

 

 

 

 

新華とサーシェスがお互いに飛び出し剣をぶつけ合う。高速で移動しながらの戦闘でファングも使われ一夏達に介入する余地は無かった。

 

 

 

 

 

「チョイサァ!」ブゥン

「舐めるな!」

「ところがギッチョン!」ガチッ

「その武装は『知っている』!」

「何っ!?」

 

 

 

 

 

サーシェスは大剣を振り新華の目の前でライフルモードにしてライフルグリップを掴み撃つ。しかし新華はそれを『知っていた』が故に難なく避けた。そしてカウンターとして頭突きを当てる。

 

 

 

 

 

「がっ」

「これでっ」

「! くそっ…たれがあああああああああ!」

 

 

 

 

 

新華はルガーランスを取り出してサーシェスに突き出す。それをサーシェスは右腕の装甲で本体を庇う。ルガーランスは腕装甲の、肉体の腕がある部分に刺さり腕にまで到達するが、内部で絶対防御が発動し止められる。

 

 

 

 

 

「惜しかったなァ!」

「吹き飛べえええええええ!」

 

 

 

 

 

新華はルガーランスの駆動機構を展開し装甲を切り開かせる。そして腕に向けてビームを撃ち放つ。

サーシェスの右腕が宙を舞った。血飛沫がクアンタの白い装甲を赤く染める。

 

 

 

 

 

「がああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

「この程度で音を上げるなあああああああああああ!!!!!!!!」

「化けもんがああああああああああああああああああああ!!!」

「戦争はこんなんじゃまだまだ終わってくれねぇ、よっ!」ガチャン

 

 

 

 

 

さらに追撃GNソードⅤの柄部分を連結、回転させながら投擲、エネルギーを削る。サーシェスも片腕で攻撃するが全て新華に見切られていた。ファングの操作も腕を飛ばされた激痛で疎かになりSビットの前に破壊されていく。

 

 

 

 

 

----

------------

---------------------------

 

 

 

 

 

---side 専用機持ち達

 

 

 

 

 

 

それを一夏達は呆然と見ているしかなかった。

 

 

 

 

 

「え…」

「こ、こんな…」

「う、腕が…!?」

「(サーシェスはもう駄目だろう。この隙に…)」

「…あっ、君! 待てっ!」

「逃がすわけ無いでしょ?」

「! 逃がしませんわ!」

 

 

 

 

 

『サイレント・ゼフィルス』が離脱しようとするのを、実、楯無、セシリアが銃口を向け牽制する。セシリアはともかく実のゼロが持つ『ツインバスターライフル』の破壊力は絶大であり、当たればエネルギーの莫大な消費を余儀なくされるものだった。同時にゼロには新華の改造で『フェザーファンネル』が翼と一体化されており、こちらもエネルギーの消費が激しい為に活動限界時間が短かった。

しかし牽制には十分であり実も実験動物時代から戦闘能力を上げられており、この距離であれば十分当てられた。

しかしここで更なるイレギュラーが現れる。

 

 

 

 

 

「蘭! こんな所に居たのか!」

「あ、お兄…!?」

「「「「「「!?」」」」」」

「…………」ガチャ

「「え?」」

 

 

 

 

 

カメラを持った蘭と、蘭を探しに来たのであろう弾が居たのだ。新華の豹変で気付かなかった一同だが、『サイレント・ゼフィルス』は気付いた直後に銃口を向けた。

五反田兄妹は自分達に向けて銃口を向けられた事に呆然としてしまう。

 

 

 

 

 

「ゴミが。丁度いい。見せしめに、消えろ」

「やめ----」

「弾、蘭!」

「駄目だ、そんな事をしちゃいけない!」ガシッ

「!? 離せ!」ドウッ

 

 

 

 

 

実が『サイレント・ゼフィルス』の腕を掴み銃口を上に向ける。直後にトリガーが引かれレーザーが放たれる。

 

 

 

 

 

「今のうちに!」

「わかってるわ!」

 

 

 

 

 

楯無が弾達の所に向かう。

 

 

 

 

 

「あなた達!」

「あ、は、はい!」

「ここは危ないから直ぐに避難しなさい! でないと---」

『うらあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!』

「「「「「「!!」」」」」」

 

 

 

 

 

---side out

 

 

 

 

 

----

--------------

-------------------------------

 

 

 

 

 

 

一夏達が五反田兄妹を見付けた時

 

 

 

 

 

「ガアァッ!」

「さっきまでの威勢はどうしたガキンチョ!」

「調子に乗ってんじゃねェ!」

 

 

 

 

 

サーシェスの頭部に装備された装甲は破壊され絶対防御があるにも関わらず傷を負い血が流れていた。大剣を振り下ろすが

 

 

 

 

 

「っは!」ザンッ

「チッ、まだ武器は---」

「シールドの事か?」

「何!?」

「『知ってる』と言った! シールド内蔵サーベルのリーチじゃ俺に届かん!」

「な、なんなんだテメェはよぉ!」

 

 

 

 

 

足のサーベルで新華を斬る。しかしそれは両手に持ったビームピストルの持ち手部分にあるGNソードで弾かれる。

 

 

 

 

 

「ビームを受けろおおおお!」

「その程度!」

 

 

 

 

 

弾かれた反動を利用して右肩のGNロングキャノンを押し当て放とうとする。しかし新華はビームピストルをフルセイバーに戻し握り潰す。

 

 

 

 

 

「後は…!?」ビシュウ

「隙ありィ!」

「ぐっ、逃がさん!」ガシッ

「なんだと!?」

 

 

 

 

 

空に向けて放たれたレーザーに気を取られた新華の胴にサーシェスの蹴りが決まる。サーシェスはそのまま距離を取ろうとしたが、足首にあたる部分を掴まれてしまった。

 

 

 

 

 

「離しやがれ!」

「うらあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

「うおおおおおおお!?」

 

 

 

 

 

新華はそのまま地面へと急降下する。そして

 

 

 

 

 

バァン!

 

「がっ」

 

 

 

 

 

サーシェスの足を振り回し地面へと叩きつけた。そこで

 

 

 

 

 

「ぐっ、!? くそっ、動け! 動けってんだよ!」

 

 

 

 

 

絶対防御が切れISが停止してしまった。ヤークトパックに擬似GN粒子が入っていたが、アルケーはGN粒子で動くようには作られていなかった為に重りと化した。

 

 

 

 

 

「はっ」

「………」

 

 

 

 

 

サーシェスの目の前にはGNソードⅤを両手に装備した新華が立っていた。そして

 

 

 

 

 

「や、やめ------」

「これが、戦争の現実だあああああああああ!!!!!」ザンッ

「がはっ」

 

 

 

 

 

絶対防御が切れたISにリミッター解除時のクアンタの武装を防ぐ手段は無い。GNソードⅤがサーシェスの体を貫き血飛沫を上げ再びクアンタの装甲が赤く染まる。

 

 

 

 

 

「がああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?!?!?!?!?!?!?!?」

「戦場ではっ、止まった奴からっ、死ぬ! エネルギーがっ、切れたからと、言って、敵がっ、攻撃を止める、事はッ、無い!」ザグザグザグザグッ

「がはっ、がっ、ごふっ!?」

 

 

 

 

 

再びGNソードを振り上げ、今度はSビットと共にサーシェスを斬る。サーシェスの叫び声は止まったが新華の斬撃と血飛沫は舞い続ける。

 

 

 

 

 

「戦争なんてっ、碌でもないっ! 後に、残るのはっ、血とっ、罪だけだっ!」

「-----、-----------!」

「帰る場所をっ、失った、時のっ! あのっ、悲しみをっ! 知らない癖にイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!」ザンッ、ザンッザンッ

「………」

「『戦争』を騙るなっ、糞ガキがアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああ!!!!!!!」ザンッ

「………」

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、はあっ」

 

 

 

 

 

サーシェスの呼吸は止まり、新華の斬撃も止まる。地面には血のプールが広がり内蔵が散らばっている。

 

 

 

 

 

「はあっ、はあっ、はあっ、死んだ…?」

「………」

「は、ははは…………死んだ、死んだか……? …………………ふっざけんじゃねぇぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

 

 

 

 

物言わぬサーシェスの死体を前に返り血で真っ赤に染まったクアンタ。新華は血など関係ないと言うように大型ハンドユニットを展開して拳を振り上げる。

 

 

 

 

 

「この程度で勝手にっ、死んでんじゃっ、ねェよおおおおおおおおおおお!」グシャッ、グシャッ、グシャッ

 

 

 

 

 

サーシェスの死体と共にアルケーの装甲も潰していく。白かったハンドユニットが真っ赤に染まる。

 

 

 

 

 

「『あの戦争』はっ、一兎にっ、死ぬ事を許さなかったっ! 月日が経ち、自分達の体が成長していく中! 時間の止まった戦友を見るのが、どれだけ苦しかったか! なのに…!」

 

 

 

 

 

最後に大きく右腕を振り上げる。

 

 

 

 

 

「死んで勝手に『救い』を手に入れるなああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」グシャッ

 

 

 

 

 

残っていたサーシェスの頭を殴り潰す。静寂が訪れた。あるのは新華自身の荒い呼吸のみ。

 

 

 

 

 

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ」

 

 

 

 

 

呼吸をだんだんと落ち着けていく。呼吸が荒いのは戦闘のせいではなく、叫び続けたから。呼吸を落ち着けて姿勢を戻して一夏達に振り返る。

 

 

 

 

 

「………お前ら」

「「「ヒッ」」」

「………うっ」

「…?」

「「「「うっぷ、オエエエエエエエエエエエエエ!!」」」」

 

 

 

 

 

弾、一夏、鈴、簪が新華の引き起こした惨状に嘔吐した。蘭は気絶し、楯無、シャルロット、ラウラ、実、箒、セシリアは耐えた。その光景に

 

 

 

 

 

「あ………あはっ、あははははははははははははっはははははははは、あははははははははははははは!!!!!」

 

 

 

 

 

新華は自分がした事、してきた事を再度自覚して、嗤った。

 

 

 

 

 

「あははははははは、ははははははははは!!!!!(そうだ、俺は人殺しだ! そして目の前のこいつらは人を殺した時の感触も、戦争での悲しさも、目の前で誰かが殺される事も知らない!)」

 

 

 

 

 

嗤う、嗤う、嗤う。サーシェスの死体から未だに流れる大量の血と、クアンタの白い装甲を赤く染める血が不気味だった。

 

 

 

 

 

「(俺はっ、コイツらに何を期待していたんだ! 慈悲か!? 救いか!? 哀れみか!? ただの人殺しがそんなものを得て良いはずがないだろうがっ!)」

 

 

 

 

 

クアンタの装甲の下で、嗤いながらも1人涙を流す。そして

 

 

 

 

 

「…! 今だっ」バッ

「あっ…」

 

 

 

 

 

実に腕を掴まれていた『サイレント・ゼフィルス』が実の腕を振り払い空へと飛ぶ。しかし彼女を追撃する余裕が、今は誰にも無かった。

 

 

 

 

 

「あははははっ、あはははははははははは! アハハハハハハ! アハハハハハハハハハハッ、アハハハハハハハハ!」

 

 

 

 

 

しばらくしてGN粒子による通信妨害は収まる事になるが、新華の嗤いはIS学園中に伝わり世間でしばらく話題に上るようになる。

 

 

 

 

「アハハハははははははハハハハハハ!(くそっくそっくそっ! 今殺したコイツも、俺も、クソッタレがああああああああああああああ!!!!)」

 

 

 

 

 




実×マドカは確定でもいいですかね?
弾と蘭があの場所に居た理由は、蘭が迷い込み仕事で通行規制を教師と共に始めた虚と別れた弾が探しに来た、です。教師と千冬が来なかったのはソレが理由です。
ちなみに新華は最後弾と蘭の存在に気付かないまま嗤ってます。
あと、福音の時に一夏達に『死ぬのを見るのはまだ早い』的な事を言っていたのを忘れていました。切れてましたし。
ルガーランスは攻撃段階的に零落白夜と同じ気がしてあそこまでの威力にしました。

次回は後処理になる予定です。

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