IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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86話
シンデレラは1話で終わらせます。


ヤンデレラ(誰かとは言わない)

 

 

 

 

 

---第4アリーナ更衣室。

新華と一夏は楯無の招集で、これから行われる『一夏争奪戦』の為に着替えていた。

 

 

 

 

 

「「………(この格好は…)」」

「新華君、織斑君、ちゃんと着たかしら? 開けるわよ?」プシュー

「開けてから言わないでくださいよ!」

「なんだ、ちゃんと着てるじゃない。おねーさんがっかり」

「…なんでですか。というかそういう事は新華にやってくださいよ!」

「えー。だって新華君にやると返り討ちに遭うんだもの。面白くないじゃない」

「か、返り討ち!? い、一体何をしてるんですかアンタら!?」

「んー、ナニかしらね」

「おいこら本人の前で下ネタやめーや。というか冗談でもそういう事を年頃の女子が言っていいんですか」

「あ、冗談か…」

「たりめーだ」

 

 

 

 

 

楯無が更衣室に入ってきて、手に持つ物を2人に渡す。

 

 

 

 

 

「はい、織斑君には王冠」

「はぁ…」

「青木君にはこれ。フォークとナイフセット」

「…なぁ、明らかに俺らにやらせたい構図が見えたんだが」

「いいからいいから♪ さて、そろそろ始めるわよ」

「その前に聞きたい…」

 

 

 

 

 

第4アリーナは、その内観を大きく変えていた。観客席は変わらないものの訓練スペースが全て中世ヨーロッパをイメージしてセットされており、まるでディ○ニーラ○ドのシンデレラ城のような物が作られていた。

一夏はぱっと見王子様という服装に着替えさせられていた。王冠も相まって王子になっている。割とシンプルな物故、イケメン顔の一夏には似合っていた。しかし一夏の乗機は白式、白騎士のISコアを使った機体である。どちらかと言えば王子ではなく騎士である。

対する新華は…

 

 

 

 

 

「なんでここに俺がさっきまで着てた執事服と伊達眼鏡がある? ちゃんとクラスの更衣室に仕舞ってきた筈だぞ」

「そりゃ取ってきたからに決まってるじゃない。本音ちゃんが」

「…本音さんが?」

「なかなか良い黒い笑みで持ってきてくれたわ。一体何をしたの?」

「………途中クラスを抜け出したせいか…」

 

 

 

 

 

クラスで着ていた執事服だった。そして楯無から受け取ったのはフォークとナイフセットである。もう何となく新華も読者も分かるだろう。ちなみにサヤカは待機状態でハロは収納してある。

新華はシャルロットが言っていた本音の様子を思い出す。そして、先程から感じている戦闘タイプの嫌な予感に加え別のベクトルからの嫌な予感を感じた。

 

 

 

 

 

「…なんだろう、こう…被食者になった気分だ」

「ふふふ…始まるまでのお楽しみよ♪ じゃあ私は最後の仕上げがあるから行くわね」

「ハァ、わかりました。あまり無茶振りはしないでくださいよ」

「もう遅いわ♪」

「俺に内緒の時点でそうだと思ったよ…」

 

 

 

 

 

新華との会話が終わり楯無が立ち去ろうとする。しかし一夏には色々と分かってない事が多い為に不安要素があった。

 

 

 

 

 

「あ、あのー、脚本とか台本とか1度も見てないんですけど」

「大丈夫。基本はこちらからアナウンスするから、その通りに動いてくれればいいわ。あ、勿論セリフはアドリブでお願いね」

「は、はぁ」

「一夏、諦めろ。こういう人だ」

 

 

 

 

 

新華の諦めた苦笑顔を見て一夏も諦めたのか、2人で舞台袖に行く。なんだかんだで仲のいい2人である。

男子2人が舞台袖に下がったのを見送ると、楯無は開幕の声を上げる。

 

 

 

 

 

「さあ、幕開けよ!」

 

 

 

 

 

ブザーが鳴り照明が落ちる。そしてセット全体に掛かった幕があげられ、ライトが点等する。

 

 

 

 

 

『むかしむかし、あるところにシンデレラという少女が居ました』

「(あ、普通の始まり方だ。よかっ…)」

「来るぞ…」

「へ?」

 

 

 

 

 

舞台の舞踏会エリアへと足を運ぶ2人。楯無のアナウンスに一夏は安心しかけるが、新華の呟きに疑問を上げる。そしてその疑問はすぐに解消される。

 

 

 

 

 

『否、それはもはや名前ではない。幾多の舞踏会をくぐり抜け、群がる敵を薙ぎ倒し、灰燼を纏う事さえ厭わぬ地上最強の戦士達。彼女たちを呼ぶに相応しい称号…それこそが『灰被り姫(シンデレラ)』!』

「………え?」

「そう来たかっ! なまじ間違ってないから困る」

『今宵もまた、血に飢えたシンデレラ達の夜が始まる。王子の冠に隠された隣国の軍事機密を狙い、舞踏会という名の死地に少女達が舞い踊る!』

「は、はぁっ!?」

「もらったああああああああああああ!」

「ふんっ!」

「ぐっ!?」

 

 

 

 

 

叫び声と共に現れたのは純白のドレスに身を包んだ鈴。そしてそれを楯無から受け取ったフォークを3本指に挟んで迎撃した執事(バトラー)

 

 

 

 

 

「いつつ…邪魔しないでよ新華!」

「済まないが、流石に危なかったぞ今のは」

「それでもっ!」

「う、うおお!?」

 

 

 

 

 

新華の後ろに居た一夏を睨み中国版の手裏剣『飛刀』を投げる鈴。新華を避けるようにして一夏に向かうが、一夏自身が近くにあったティーセットをひっくり返しトレーで防ぐ。そしてそこに楯無のアナウンスが追加される。

 

 

 

 

 

『そして王子と機密を守るべく馳せ参じた執事(バトラー)。突然の事態に普段の武装は出来ずにナイフとフォークで応戦していく。しかし彼の胸元のポケットにあるハンカチにも、国王から託されたミッションで手に入れた別国の機密が隠されていた。突然の事態に仕舞う事が出来なかったのだ』

「…ハアァ!」

「なっ!? くっ」ガキィン!

「新華!? うぉ!?」

「サンキュー更識! 今のうちに一夏を!」

 

 

 

 

 

ドレス姿の簪が横から薙刀で新華を強襲し新華はナイフを取り出して応戦する。その隙に鈴は一夏へと向かい、一夏に更に赤いターゲットサイトの赤い光りが迫る。

 

 

 

 

 

「一夏! 動かないと死ぬぞ! チイィ!」

「ごめんなさい新華君…でも、これは譲れない…!」

「胸ポケのハンカチ…あった。勝手に仕込んだなあの女狐(楯無)ェ…! クソッ、何だか一夏が王冠を取られてもいけない気がしてきた! 簪さんには悪いg「そうはさせないよぉ~」!?」

 

 

 

 

 

下がり一夏の方へ向かおうとした新華の背後に本音が居た。簪や鈴達とは違い真っ黒なドレス姿である。いつものダボダボな衣装とは180°違うドレス姿。そのせいで普段は分からない驚愕のスタイルが露になっていた。

本音が手に持つ得物は釘バット。明らかに鈴や簪の持つ武器とは毛色が違うが、新華は得体の知れない恐怖を抱く。

 

 

 

 

 

「ほ、本音さん…? そんなにクラスを抜けた事を怒ってるのか?」

「だってぇ~、あおきー自分は私に色々と言ったのに忙しい時に抜けちゃうしさ~。それにかいちょーに聞いたら警備しないでかんちゃんとピアノ弾いてたって言うしさ~…」

「ほ、本音さん?」

「ほ、本音?」

「だってぇ~、だってぇ~………うん、殺ろうか」

「「ヒイッ!?」」ガシッ

 

 

 

 

 

本音はいつも通りの表情なのに、全身から発する黒いオーラと靡く黒いドレス、手に持つ釘バットによって新華と簪は底知れない恐怖を抱いた。最後に本音とは思えない物騒で、本音が出すとは思わなかった平坦な言葉に、思わず2人は場所を考えずに抱き合った。

本音は切れていた。いくら本音がいつものほほんとしていても人間。ストレスもあるし苦悩もする。今日は新華が忙しい自分達を置いて警備という名のサボリを敢行しあまつさえ簪とのデートでピアノを弾くといった事をやった。本音は忙しかったにも関わらずだ。

実を言うと本音は他人の2/3くらいのスピードでしか動いていなかったのだが、普段1/2で生活している故働きまくった方なのだ。そして本音以上に働いていた1組メンバーは、本音と同意見であり新華に殺気を放っていた。

 

 

 

 

 

「うん、大丈夫。今ならあおきーでも何とか出来る気がするから」

「ほ、本音さん? く、口調が変わってるんだけど」

「あ、かんちゃん。そのままあおきーを抑えておいて? 胸ポケからハンカチ取ってもいいよ。私は別にいらないから」

「ほ、本音…?」

「うん、もう1度言うよ。あおきー、殺ろうか」

 

 

 

 

 

そこには修羅が居た。いつものおっとりとした顔のままであるにも関わらず殺気を振りまく修羅、人修羅が。動作も決して早い訳ではない、むしろかなり遅いのに、かえってその遅さがまた恐怖を誘った。

 

 

 

 

 

「さぁあおきー、覚悟はいい?」

「や、ヤバイ…! これは下手しなくても一夏の状況よりヤバイ…! こうなったら!」

「どこへ行こうと言うんだい?」

「「!?」」

 

 

 

 

 

今度は本音の反対側からシャルロットが盾を持って現れた。しかしこちらも本音同様殺気を振りまいていた。原因は

 

 

 

 

 

「新華…いつまで更識さんと抱き合ってるの?」

「へっ? あ、スマン」

「あっ…」

「ふふふ…僕の前でイチャつくなんで、いい度胸じゃない新華…? もう胸ポケットにある『新華を1日自由に出来る権利』なんで…いや、やっぱりそっちも欲しいな、うん」

「な、なんだソレ!? まさか一夏の王冠も似た設定が…!? なのにどうして一夏からはラブコメ臭が漂って、俺の方からは死亡フラグ臭しか漂ってこない…!?」

「それはね新華。新華が楽をしようとクラスを抜け出したり、警備とか言って遊んでたからだよ? それ相応の報いは必要だと思わない? ね、のほほんさん」

「そうだよー。ちゃんとOSIOKIしないとねー」

「「ねー」」

「くそっ、中々背筋に来るじゃねぇか…。そして簪さんもさり気なく取ろうとしないで、ガチで」

「くっ…」

「見事に味方が居ないとは…。何とか一夏と合流して生き延びねば…」

「「させると思う?」」

「死ねるか! 出来るか出来ないかじゃなくて、やるんだよ!」

 

 

 

 

 

3人にターゲットにされ逃げる新華。唯一の救いは3人の持つ武器が飛び道具でない事と、シャルロットの装備が盾であることだろう。新華はその運動神経をフルに発揮し3人の追撃を回避し一夏を探す。

 

 

 

 

 

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---side 実

 

 

 

 

 

「あーあー、兄貴は何やってんだか…」

 

 

 

 

 

観客席。実はガンカメラをアリーナに向けて新華達を見ていた。今まで学内をうろついて映像を撮って楽しんでいたが、放送でこのシンデレラ(笑)が始まるのを聞き見にきた。

 

 

 

 

 

「いくら兄貴でもIS無しで複数 対 1は辛いだろ。しかもあの3人は気迫迫る勢いだし。織斑さんの方は…ありゃ駄目だな。近接系が3人に遠距離狙撃が1人。隠れても厳しすぎる。兄貴が合流すれば何とかなるかもしれんが…あ、物陰から出た」

 

 

 

 

 

一夏が物陰から出る度に歓声と声援の声が上がる。新華の方も歓声は上がっているが一夏のものとは違った。一夏への声は主に同情と出てくる事への勇気が篭もり、新華への声には動きへの感嘆と驚愕だった。

 

 

 

 

 

「あ、空中で回転した。サーカスかよ…。しかし確実に織斑さんへの方へ近付いている。流石だな。何とか間に合えばいいけど…ってそっちは行き止まりだ。あーあー、誘導されてら」

 

 

 

 

 

上からだと状況が良く分かる。一夏は狙撃による誘導で行き止まりへと向かっていた。しかし新華がそれに気付き急行する。

 

 

 

 

 

「間に合いそうだな。意外とレベルが高いし、収穫だな。帰ったら皆に見せてやろう」

 

 

 

 

 

カメラを回し、今度は観客席の様子も映す為にカメラの視界を回す。と、そこである点に気付いた。

 

 

 

 

 

「ん? 織斑さん…じゃない? アレは、誰だ?」

 

 

 

 

 

観客席の中に一夏に、いや千冬に似た少女が居た。視線は一夏に固定されており周りからは気付かれていないが、視線には憎しみがあった。

 

 

 

 

 

「あの目…」

 

 

 

 

 

実はその目に既視感を感じた。だが何かを考える前にその少女はどこかへ去ろうと立ち上がる。

 

 

 

 

 

「…なんだろう、凄く気になる。さっきの視線もそうだけど、なんだろう、妙な既視感が…」

 

 

 

 

 

実はその場から離れ少女を追う。人混みで見づらかったが、不思議と見失わないように後をつけることが出来た。

 

 

 

 

 

「一体何なんだ…? っと、カメラの録画を切っておこう。映すもんでも無いだろ」pi…

 

 

 

 

 

カメラの録画を切りガンカメラを腰のベルトに付けられた専用ラックに付ける。そして少女を見失わないように追いかける。

 

 

 

 

 

「なんだろう、嫌な予感がしてきた」

 

 

 

 

 

そのまま移動しつつ少女を見据える。その目は自然とオリジナルの新華と瓜二つになっていた。しかし新華と比べると、鋭さに欠け、また現在は戸惑いの方が大きかった。

 

 

 

 

 

---side out

 

 

 

 

 

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新華が駆ける。その先には行き止まりに追い詰められた一夏の姿が。

 

 

 

 

 

「げぇっ、行き止まり!?」

「一夏、動くな!」

「!」

「シッ」キィン

『『『『おおー!』』』』

 

 

 

 

 

一夏に向かっていた銃弾を手に持ったナイフで切り裂き事無きを得る。観客は新華の動体視力と戦闘能力、王子を助けた執事という絵に歓声を上げた。

 

 

 

 

 

「し、新華か! 助かった!」

「何誘導されてんだ! って急げ! 向こうからも来るぞ!」

「え? な、なんだアレ!? のほほんさんがすっごく黒いぞ!?」

「話は後だ! 逃げるぞ! 捕まったら確実に碌な目に遭わん!」

「あ、ああ!」

 

 

 

 

 

一夏と新華は走る。狙撃は新華が対処し一夏は進路に何も問題が無いか見て先を走る。なかなかどうして、いいコンビである。

 

 

 

 

 

「っていうかこの王冠を捨てればこんなに追いかけられる事は無いんじゃないのか!?」

「あっ馬鹿やめ------」

『王子様にとって国とは全て。その重要機密が隠された王冠を失うと、自責の念によって電流が流れます』

「はい? うわばばばばばばばばばばば!」バチバチバチィ!

「っく! まさか俺の方も…」

『執事はその忠誠心から、国へ持ち帰るべき機密を失うか王子の身に何か起これば、王子と同じように電流が流れます』

「ぎっ!? が、アガァ…!?」バチバチバチッ

 

 

 

 

 

楯無のアナウンス通り、一夏が王冠を外し掛けた途端に電流が走り服の所々が黒く焦げ、前のめりに倒れる。新華も一夏が電流にやられたせいか、電流が流れ叫び声を上げる。一夏と同じように服が焦げるも一夏とは違い踏ん張って立ち続けた。

 

 

 

 

 

『ああ、なんということでしょう! 王子様の国を想う心、執事の国への忠誠心はそうまでも重いのか。しかし、私達には見守る事しか出来ません。なんという事でしょう』

「ぐうぅ…あざといんだよ! 女狐がああああああ! 死んだらどうする!? くそったれ! 一夏! 倒れてる場合じゃねぇぞ!」

「い、痛てて…な、なんじゃこりゃぁー!」

「あの愉しんでる生徒会長様の仕業だよ糞が! っ! マズイ、囲まれるぞ! ほら立て!」

「あ、ああ。すまない」

「お互い様だ。お前の王冠が奪われれば俺も電流が流れて捕まる。俺が本音さん達に捕まればお前は狙撃に晒されて捕まる。Give And Takeだ。それより、走るぞ!」

「お、おう!」

 

 

 

 

 

そして駆ける2人の前に現れるのは2人のシンデレラ(戦士)。片方はドレスに合わない日本刀『紅宵』を持ち、もう片方は両手にタクティカルナイフを持っていた。更に別ルートから迂回してきたシャルロットも現れる。

 

 

 

 

 

「箒に、ラウラか! シャルロットまで…!」

「一夏、済まないが相手になってもらうぞ!」

「王冠は私が頂く!」

「大人しくして新華!」

「! 一夏、伏せろ!」

「あ、あっぶな!」ヒュン

 

 

 

 

 

一夏と新華は屈み2人の斬撃を躱す。そして屈んだ姿勢からクラウチングスタートの要領で再び走るがシャルロットが盾を持ち壁となる。

 

 

 

 

 

「一夏、俺がシャルロットをなんとかするから、合図で走れ」

「あ、ああ(あれ、なんだかデジャブが)」

「…観念する気になったのかな新華?」

「そういや気になってたんだがシャルロット」

 

 

 

 

 

新華がシャルロットの言葉を無視して言葉を作る。後ろに居るのは箒とラウラだったが、新華が両手にナイフとフォークを持って6刀流を再現して牽制する。

 

 

 

 

 

「? 何」

「薄く化粧してるんだな。綺麗だぞ」

「「「なっ!?」」」

「へっ!? う…ぁうぁうぁうぁ」//////

「今だっ一夏!」

「へ? あ、ああ!」ダダダッ

「うおおおおお!」

 

 

 

 

 

顔を真っ赤にしてうぁうぁ言ってるシャルロットの両側から走り抜ける。新華が気付いてくれないと思っていた事を褒められ、突然の事にシャルロットの脳内はオーバーヒートした。すれ違いざまに新華はシャルロットに止めの一言を呟く。

 

 

 

 

 

「笑ってた方が可愛いぞ」

「はぅ!?」ボフンッ

 

 

 

 

 

新華のセリフで顔から煙を出し完全に自分の世界に入ってしまうシャルロット。まさかのシンデレラ側から脱落者1人。

それを見ていた全女子から

 

 

 

 

 

「「「「「「この女の敵!」」」」」」

「新華、流石にこれは擁護出来ない」

「うるせぇ! 事実を使った戦術だ! これで脅威が1つ減tt「まだまだ甘いねあおきーは」ヒイィッ!?」

「「うわあっ!?」」

 

 

 

 

 

気付けば本音が箒とラウラの後ろに居た。そして本音が居るという事は…

 

 

 

 

 

「新華君…」

「か、簪さん…?」

「ちょっと、頭冷やそうか…」ブゥン

「ぬぉお!? いきなりピンチだ!」

『執事は王子様を助ける為に、自らを犠牲にして注意を引き付けます。ああ、なんという自己犠牲!』

「あざといっつってんだろうがああああああ!」

 

 

 

 

 

新華は簪を何とか振り切り重りを外す。そして一飛びで一夏の所まで飛ぶと並走しだした。その行為に観客からため息と驚愕の声が上がるが、本人達にとってそんなものを気にしている余裕は無かった。

セシリアからの狙撃と鈴からの飛刀、シャルロットを除いた専用機持ち達+本音に追いかけられるプレッシャーは半端じゃなかった。

 

 

 

 

 

「うおおおおお!?」

「くそっ、アドリブにも程があるだろうがあああああああああああ! っ!? 一夏、止まれ!」

「って、え?」

『さあ! ただいまからフリーエントリー組の参加です! みなさん、王子様の王冠と執事のハンカチを目指して頑張ってください!』

 

 

 

 

 

2人が止まると、2人の正面方向から地響きを立てて多くのシンデレラ(一般生徒)が向かって来た。

 

 

 

 

 

「織斑君、大人しくしなさい!」

「私と幸せになりましょう、王子様!」

「青木君を捕まえてあんな事やこんなこ事を…ウェヒヒッ!」

「そいつを…寄越せええええええええ!」

「は、ははは…」

「こ、殺す気かあの女狐(会長)は!? 兎に角、逃げるぞ!」

 

 

 

 

 

一夏は乾いた笑いをこぼし、新華は頭を抱えた。そして2人でステージの中を走り回る。

 

 

 

 

 

「くそっ、どこよりも過激で絶望的な戦場だなこれは…! せめてP・V・Fが使えれば…!」

「なんで新華とは違って俺には何も武器らしいのを持ってないんだ!?」

「フォークやナイフのセットを武器と呼べるか!? というか本音さんの殺気が俺を捉えて離してくれねぇ…! どんだけだよ! 普段の穏やかさはどこに行った!?」

 

 

 

 

 

そう言いながら物陰を走り回る。

 

 

 

 

 

「見つけたぞ一夏!」

「新華君、やっと追い付いた…!」

「ギャー! 見つかったー!」

「簪さんが来るか…!」

 

 

 

 

 

箒は地力で、簪は本音の視線と移動地点の予測で2人に追い付いた。簪は薙刀を構えるが、箒は一夏に警戒を解かせる為か明宵を鞘に納める。

 

 

 

 

 

「一夏、その王冠を渡してくれ! そうすれば…」

「な、なんだよ」

「ううう…と、兎に角渡してくれ!」

「新華君、大人しくしてくれれば悪いようにはしないよ…?」

「そのセリフの時点でフラグ臭が凄いんだよ…! それに簪さんが何もしなくとも本音さんが危ない今は大人しく出来ん…!」

「だったら、力尽でも…!」

「簪さん、そんなキャラだったっけ!?」

 

 

 

 

 

新華が叫んで一夏が後ずさる。そして、そこで新華も一夏も予想していなかった事が起きた。

 

 

 

 

 

「こちらです」

「へっ? うわっ!」

「一夏!? (殺気!? 今のは、敵か!? しまった…! 目の前に集中しすぎた!)」

「一夏!?」

「織斑君…!?」

 

 

 

 

 

一夏が第3者に連れ去られた。新華は連れ去った女性が赤髪だという事は確認したが、それ以上の情報は分からなかった。すぐに一夏の所へ向かいたかったが

 

 

 

 

 

「箒、簪さん、見たか!?」

「あ、ああ。今のは!?」

「分からん。だが俺と一夏に殺気を放ってきやがった。一夏がヤバイ!」

「そ、それじゃぁ「見つけた!」」

 

 

 

 

 

新華、箒、簪で固まっているのを一般生徒に見つかり、他の生徒達がゾロゾロと集まり出す。

 

 

 

 

 

「マズいっ! 簪さん、箒! 今すぐ他の専用機持ち達と合流して会長の指示に従え!」

「あっ、新華!」

 

 

 

 

 

新華は物陰から移動し警備の時に使っていたイヤホンを取り出し楯無に通信を入れる。

 

 

 

 

 

「…会長、聞こえますか?」

『新華君? ええ、聞こえているわ。織斑君が居ないようだけどどうしたの?』

「何者かに連れ去られました。突然の事だったので対処しきれませんでした」

『! 分かったわ。今から中止の合図を出すから、新華君は織斑君を追って。私もすぐに行くわ』

「Jud. すこし女子達を退けてから一夏が連れ去られたルートで探索に入ります。専用機チームに合流するよう呼びかけたんで、そっちの指揮は任せます」

『分かったわ。…シンデレラ中止よ!』

 

 

 

 

 

通信の向こう側で慌ただしくなるのが聞こえた。そして直ぐにブザーが鳴りシンデレラの中止が呼び掛けられる。

 

 

 

 

 

『織斑 一夏がアリーナから脱出した模様。シンデレラは中止、シンデレラは中止』

「よし! これで…って一夏が消えた地点にフリーエントリー組が…!」

 

 

 

 

 

新華が一夏の消えた地点から追跡をしようにも、シンデレラ姿の一般生徒達が群がり通れない状況になってしまっていた。

 

 

 

 

 

「くそっ!」

『------』

「サヤカ? …そうだな。『急がば回れ』だ。別ルートから向かう」

 

 

 

 

 

楯無に通信を入れる。

 

 

 

 

 

「会長、一夏の消えた地点は現在通れないので一旦ここを出てから行きます」

『分かったわ。そうなれば私が先に行くわね。簪ちゃん達の事をお願い』

「Jud. すぐに向かいます」

 

 

 

 

 

P・V・Fを展開し高速で移動する。専用機持ち達は集まっていたのを指揮して移動する。

 

 

 

 

 

「一夏、会長…! 急がないと!」

 

 

 

 

 

新華の中で焦りが大きくなっていく。サヤカや簪がいくら声を掛けようと、焦りが収まる事は無い。

 

 

 

 

 




まさかのクローン同士のカップリングを思い付くという。
そしてヒロインチームが真っ黒♪ 特に本音が。どうしてこうなった…
あれ? 箒が少し一夏に優しく…?

次回は一夏視点から始めます。

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