IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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82話。
1週間程で書き直すと言ったな、あれは嘘だ。
3日で書き直せました…。感想を参考にさせて貰って、参考にしすぎた結果に暴走しましたが、本来考えていた展開はこちらの方です。


衣装合わせ (改)

 

 

 

 

箒への虐めが激化して数日後。1年1組の空気は、新華が動かない事で一夏達との距離が開き悪くなっていた。

普段なら新華が介入して空気を強制的にも普段通りに戻そうとするのだが、動かない事で空気は悪くなる一方。一夏と箒はどうすればいいのか分からないし、専用機持ち達も数日前に新華に言われた事でようやく事態を理解したが、だからと言って全学年に広がっている虐めを止めるには遅すぎた事も理解してしまった。

 

 

 

 

 

「………(空気が悪くなる一方だな。どうやら専用機持ち達は気付いたらしいが、相変わらず一夏と箒は気付かないままか…。これは、甘やかした俺らのミスだな。特に、今まで全部2人が知らないままに終わらせた俺の行動が一番まずかったかもな)」

 

 

 

 

 

時間は昼休み。一夏と箒は複雑な顔をした専用機持ち達を連れて屋上へと向かう。箒の虐めが始まってしばらくして、一夏達は弁当を持参し食堂で昼食を取らなくなった。食堂でも箒に対する陰口は有り、むしろ校舎に居るより多く箒の負担になっていた。

多くの女子から新華に向けて『何とかして!』という視線が自然に集まるが、新華は無視して変わらない日常を送っていた。

 

 

 

 

 

「………ムグムグ(さて、いつになったら気付くかだな。だが…)」

「ほらほら簪ちゃん、ここ、残りが付いてるわよ」

「あ、…ん。ありがとう…」//////

「いいのよ♪(ああ…やっぱり簪ちゃんはかわいいわね!)」

「あ、本音さん。そこのマヨネーズ取ってくれる?」

「いいよぉ~」

「こら本音、無闇に料理を混ぜようとしないの。こっちが食欲無くなるじゃないの」

 

 

 

 

 

生徒会メンバー+シャルロットが新華と共に食事を取っていた。シャルロットが居る事については新華はもう諦めている。

 

 

 

 

 

「そういえばシャルロットさ、機体の新装備には慣れたか? 一夏と並べるだけの装備になってるけど」

「うん。データも順調に取れてるし、稼働時間も長くなってるからそれなりにね。新華はあの『ルガーランス』の修正出来てるの?」

「ああ。もう完璧に仕上げてある。ただ万全を期すなら、新規にもう1振り作った方がいいな。改造と修正を繰り返したのより、最初から安定した状態で作った方が安全だ」

「あら。じゃあ私にも作ってくれるかしら」

「会長、ロシアの国家代表が著作権取ってない武装してたら問題になるでしょうが」

「…まだ取ってなかったの?」

「まだ、じゃねぇですよ。取れると思いますか? 『趣味でお宅のアニメの武装をIS用に作っちゃったんですけどいいですか? 実践で人殺すかもしれませんけど』なんて言えますか?」

「…最後の1言を言わなければ、今の日本ならいけるんじゃない?」

「人が敢えて言わなかった事を言わないでくれませんか? マジでシャレになってないんで」

 

 

 

 

 

ハロ兄弟はそれぞれ簪と本音の膝の上に収まりサヤカはいつも通り新華の頭の上にいる。

 

 

 

 

 

「まぁルガーランスは置いときましょ。それより学園祭当日の警備担当どうするんです? 俺はなるべく早く抜け出したいんですけど…」

「新華と一夏は流石に無理だよ。数少ない男子だからお客さんも沢山来るだろうし、一夏に押し付けたいみたいだけど見逃してもらえないだろうね」

「そうなんだよなぁ…。で、どうなるんです?」

「もう大体は決めてあるわ。当日は新華君はクラスの出し物を優先してあげて。終わって手が空き次第、連絡してくれれば空いてる場所に行ってもらうから」

「お嬢様に連絡した後は私にも連絡お願いします。先生方とお嬢様の連絡を中継しているので整理しやすくなりますから」

「わかりました」

「では、ごちそうさま」

 

 

 

 

 

新華は食器をひと足早く食べ終え食器を戻しに行く。しかしハロを簪、本音に預けているのと、まだ時間があるので直ぐに戻ってくる。

 

 

 

 

 

「よい…しょ。さて、今日はもうやる事無いからどうしようかな…。一夏達とのトレーニングも無いし生徒会の仕事はいつも通りとして…」

「あおきー結局おりむーとモッピーの事はいいの~?」

「いいの。だって箒のは自業自得だし、一夏も俺に頼ってばっかじゃなくて自分達だけで何とかするって事を覚えてもらわなくちゃな」

「うーん…でもかわいそうだよ。少しは手を貸してあげたら?」

「それこそあいつらの為にならん。もし俺がここで手を出して一夏達が何も学ばなかったら? 俺はあいつらの近くにずっと居られる訳じゃねぇ。俺はこれからもあいつらの面倒を見る事は出来ねぇんだからな」

「それはそうだけど…」

「寧ろ今まで俺が動き過ぎたんだ。一夏にだって普通に虐めを止めようとして相手をぶん殴る勇気はあるんだし、箒も自分のした事を改めて思い返して反省してもらいたいもんだね」

「で、でもさぁ…」

「じゃあシャルロットさ、じゃあ箒を助けて依存させて、責任取れんの? 箒をめぐるお偉いさん達の黒い争いはもう始まってんだぞ? そんな中、自分勝手に理不尽を振りまくあの馬鹿共を身を挺して守れるのか? しかも見返り無しで」

「そ、それは…」

「結局はあいつらが自分自身で何とかしなくちゃならんのよ。流石にいつになっても分からなそうだったら説教だけどな」

「せ、説教!?」

 

 

 

 

 

新華の容赦の無さにシャルロットは驚くが新華は表情を変えない。

 

 

 

 

 

「それだけの事をしたんだよ箒は。もう一夏も箒もコッチ側に片足突っ込んでるんだ。いい加減自分で対処出来るようでなけりゃどうなるか分かったもんじゃねぇ。シャルロットだって分かってるだろ?」

「………」

「見ていられないんだったら助けてやれば? 別に原因教えるくらいなら大丈夫だろ。それで反省するかしないかは箒の自由だが」

「………」

 

 

 

 

 

シャルロットは沈黙してしまう。生徒会メンバーは既に聞いていた事なので特に反応は無い。本来であれば虐めを止める立場に居るが箒をめぐる環境が複雑であり、かつ新華の説得で外部からの接触を防ぐのに留めている。新華が動くのなら協力する準備はしているのだが、新華が動こうとしないのと生徒会も忙しいので行動に移さずにいる。

そこに1人の女生徒が新華に話しかける。

 

 

 

 

 

「あ、あのー…。ちょっといいー?」

「ん? 何だ?」

「今度の学園祭で使う青木君と織斑君の服が出来たんで、試着をお願いしたいんだけど…」

「ああ、出来たんだ。分かった。何時にするんだ?」

「出来れば早めがいいから、今日の放課後にお願いしたいんだけど…」

「ん、大丈夫だ。ですよね、会長」

「普段手伝ってもらってるから、今日は大丈夫よ~」

「だそうだ」

「よかった~。じゃあよろしくね」

「ああ」

 

 

 

 

 

女生徒は走って去っていく。新華は時計を見て十分時間を潰せた事を確認し、生徒会メンバー+シャルロットが食器を片すのを手伝い教室へと戻る。

 

 

 

 

 

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---放課後、1年1組

 

 

 

 

 

「じゃーん! これが、青木君と織斑君の執事服でーす!」

「「「「「「おおー!」」」」」」

「ささ、お2人共。着替えて着替えて」

「へいへい…」

「ああ」

 

 

 

 

 

新華と一夏の2人は執事服を持ってトイレに向かう。流石に教室で着替えられる程、神経は図太く無かった。

移動している間、新華と一夏の間には言葉は無い。一夏は箒の虐めを何とかするのに新華が何もしない事を問い詰めたかった。

 

 

 

 

 

「………」

「………」

 

 

 

 

 

ハロは本音と見に来た簪に預け、サヤカは着替えが終わるまで待機するようにい言ってあった。トイレに着いた時、一夏は新華に話掛ける。

 

 

 

 

 

「…なぁ新華」

「あ?」

「何で箒に起こってる被害を何とかしようとしないんだ? あれは、明らかに虐めだろ」

「そうだな。でも箒の自業自得だ。お前、何で虐めが起きてるか分かってるのか?」

「…ラウラから聞いたよ。箒の専用機のせいなんだろ」

「何だ、分かってるじゃねぇか。なら俺が言う事は無いな。後は行動しろ」

「…本当に何もする気は無いのか?」

「くどい。自分で行動しな」

 

 

 

 

 

新華は一夏を突き放すように言い放つ。しかし一夏は新華の態度に食いつこうとする。

 

 

 

 

 

「でも」

「はぁ…いつまで俺に依存する気だ馬鹿。自分で行動する事を忘れたのか? お前らしくない」

「それは新華だってそうだろ! いつもなら真っ先にこういう事は鎮めるのに」

「それは理由の無い理不尽な虐めだったからだからだ。今回も理由が無けりゃ介入してたかもしれんがな」

「…そんなに箒の専用機ってマズイのか?」

「………お前、ホント何にも考えてないよな。今の箒はお前の想像以上に馬鹿なマネをしたんだ。現在卓上の理論である第4世代機でありIS開発者篠ノ之 束がコアから新規に作った機体だぞ? 誰もが欲しがるに決まってんだろうが」

「…最新機だからか」

「それだけじゃない。箒はう詐欺に直接連絡を取って紅椿を受け取ったんだ。この事実の重要性が分かるか?」

「えっと…家族と連絡を取るのは当たり前じゃないのか」

「だから考えろと言っている。一般家庭なら当たり前だが篠ノ之家の場合は無理なんだ。忘れたか? 箒の家族は政府の保護プログラムで離散させられお互いに連絡が取れなくなっていてかつ、う詐欺はそこから抜け出し日本どころか世界から抜け出して行方をくらませた。無論連絡は取れない」

「あ…」

「理解するのが遅い。ISコアを唯一作れて第4世代機を個人で開発出来る人材を確保出来れば即ち、今の時代は世界を制したと同じ意味を持つ。はいここで問題。そんな人物(う詐欺)を手に入れる今現在最もてっとり早い方法とは?」

「え!? えっと…束さんを捕まえる?」

「アホ。それが出来ないから最もてっとり早い方法を皆探しているんだろうが。正解は『連絡を何時でも取れる人物であり束の弱みである箒を手に入れる』だ」

「それって…」

「まぁお前の嫌う人質だな。まぁ人質で済めば御の字なんだけどな」

「そ、それってどういう意味だよ」

「 だ か ら 自分で考えろって言ってるだろうが。頭を使え。それと喋ってる間に手を動かせ」

 

 

 

 

 

新華は先に着替え終え、制服に付けてた待機状態(ウォークマン)のサヤカを執事服に付け替える。直後、待機状態だったサヤカは早速新華の頭の上にねんどろいど状態で乗った。

 

 

 

 

 

「あ! もう着替えてやがる」

「手を止めんな馬鹿野郎。先に行くぞ」

 

 

 

 

 

新華は一夏を置いて先にトイレを出る。一夏は慌てて着替えを再開する。

 

 

 

 

 

「よっ…と。よし、着替え終わり! 待てよ新華! 話はまだ終わってないぞ!」

 

 

 

 

一夏は新華を走って追いかける。走ってる姿を見た運の良い(?)女生徒は顔を赤くしてうっとりしていた。

2人が教室へ戻り一夏が先に入る。

 

 

 

 

 

「おまたせー」

「あ、織斑く………」

「おかえりな………」

「ん? どうしたんだ皆」

「(あ、サヤカ、イヤホン)」

『------』

 

 

 

 

 

一夏の執事服姿を見た殆どの女子が動きを止め、新華は直感でイヤホンを耳に付けた。直後

 

 

 

 

 

「「「「「「きゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」」」」」」

「うおお!? み、耳がぁあああ!」

「ぐっ(あ、危なかった…。サヤカ、nice)」

『------』

「良い! 執事服良い!」

「私の目に狂いは無かった…! すっごく似合ってる!」

「執事の織斑君…ジュルリ」

「嫁よ、似合ってるぞ」

「お、おう。ありがとう」

「おい一夏、入れないだろうが。さっさと退け」

「あ、ああ。わりぃ」

 

 

 

 

 

一夏が入り新華が入室する。そして全員が新華を見ると、全員が揃って微妙な顔になった。

 

 

 

 

 

「うーん、似合っていないって訳じゃないんだけど…」

「なんか…ねぇ?」

「織斑君のインパクトが大きすぎるってのもあるのよね…」

「はいはいjud. jud. ってかこの服作ったの誰よ。サイズピッタリなんだけど」

「「「「「「うーん」」」」」」

「聞けよ」

 

 

 

 

 

新華の執事服姿は、女子の言葉から分かるように微妙だった。新華のキツイ目付きが執事服と合っていないのだ。サヤカが頭に乗っているのもミスマッチである。

 

 

 

 

 

「あらあら新華君、執事服も似合ってるわよ」

「心にも無い事を…」

「そ、そんな事無い、よ…?」

「簪さん、無理しなくていいから。自分でもなんとなく思ってたし」

「で、でもそこまで酷いって程じゃないよ? むしろ似合ってる部類だし」

「そうだよ~。落ち込む事ないよ~」

「いや、自覚してる事だから別にいいんだけどさ。これやっぱり一夏だけに任せた方がよくね? (その方が俺楽だし)」

「新華ぁー! 悪足掻きをしても出てもらうからいい加減に諦めろ!」

「チッ・・・。でもどうするよ? 一夏はともかく、俺がこの状態で出たら客が…あ、厨房でいいか」

 

 

 

 

 

新華が逃げ道を作って逃げようとしたとき、1人の女子が簪と新華を見比べて思い付く。

 

 

 

 

 

「! 更識さん、ちょっとそのメガネ貸して!」

「え…? えっ、えっ?」スチャッ

「「「「「「お、おおぅ…」」」」」」

「? ? な、何?」

「か、簪さん…」

「め、メガネ外してもカワイイなんて…!」

「おー、流石メガネっ娘の王道。なかなかカワイイじゃないの簪さん」

「かっ、かわっ!? あ、ありがとう…」//////

「むー。確かにカワイイけどさ、僕にだってそういうセリフ言ってくれたっていいじゃん…」

 

 

 

 

 

女子が簪の掛けてるメガネを取ると簪の素顔が露になりため息が漏れ、新華の1言で簪の顔が真っ赤になりシャルロットが不機嫌になる。

 

 

 

 

 

「んで? 簪さんからメガネを奪って、何してんの?」

「いやほら、新華君もメガネ掛ければイケるかと思ってね。ほら、掛けてみて!」

「その程度でどうにかなるとは思えんが…」

「いいから!」

「ああ、はいはい。簪さん、ちょっと借りるから少し待ってて」

「え? う、うん…」

 

 

 

 

 

新華がメガネを掛けると、クラスの面々が息を飲んだ。

 

 

 

 

 

「「「「「「っ!」」」」」」

「? どうしたお前ら」

「いや、その…」

「………鬼畜攻め」

「「「「「「!?!?」」」」」」ガタタタッ

「「!?!?」」ゾクゥ

 

 

 

 

 

結果を言えば、新華+眼鏡+執事服は似合っていた。いや、絵になっていた。鋭い目は眼鏡によって別のベクトルにキツくなり、更に執事服がマッチし…

つまりは、今女子達が騒いだようにソッチ方向に変化したのだ。眼鏡を変えただけだというのに、誰かが呟いた1言で新華だけでなく一夏にまで悪寒が走った。

 

 

 

 

 

「そう、そうこれよ! 私達が求めていたものは!」

「やだ、私って天才!? GJよ私!」

「絵になるわぁ…。これなら問題無くお客さんの前に出せるわね!」

「やだどうしよう、私の中の創作意欲が描けと言って仕方ないわ…! いそいで写メを…ヒッ!」

「おいこらテメェら…下らねぇ事言ってんじゃねぇぞコラァ…」

「ああもう! 怖い筈なのにゾクゾクくるぅ!」

「ダニィ!?」

「怖い顔も言動も似合ってるからどうしようも無い程にクルわぁ…!」

「おいおい嘘だろ…? 眼鏡付けただけなのにこの反応…あ、やべ、レンズでクラクラしてきた」

「おっと、大丈夫新華君?」

「すんません」

 

 

 

 

 

新華がふらつき楯無に支えられる。新華は直ぐに眼鏡を外し簪に返す。

 

 

 

 

 

「ほら簪さん、返すよ」

「う、うん…」//////

「ってかシャルロットも顔赤くしてないでこの騒動をどうにかしてくれ」

「え、あ、あうぅ…」//////

「…おい、まさかシャルロットまであの女子達と同じ事を言うんじゃないだろうな?」

「ち、違うよ! 違うからね!?」

「だったらいいんだが…」

「ううう…(どうしよう、眼鏡掛けた新華が凄くカッコ良かった…!)」//////

 

 

 

 

 

簪に眼鏡を返し騒がしい教室を見る。そこには箒への虐めは微塵も見られなかった。

 

 

 

 

 

「一夏は引っ張りだこだな。だがその方が面倒くさくなくていいな」

「あおきー似合ってたよ~」

「嫌な方向にな…。当日のやる気がゴッソリ削られたぜ。警備に集中してぇ」

「多分無理だよ。あそこまで似合ってたら出てもらう以外の選択肢は無いもの」

「デスヨネー。ちくせう」

『------』

「ガンバレ、ガンバレ」

「キアイ、キアイ」

「ああ、うん、はいはい」

「あおきー似合ってたから大丈夫だよ~」

「そうよ。ほら、似合ってるでしょ?」

「何ナチュラルに写メ撮ってるんスか。どうせ当日以降ネットに画像が流れるのが容易に予想出来るんで別に気にしませんけど、あまり関心しませんね」

「別に減るもんじゃないし、いいじゃない♪」

「やる気が減りますゴッソリ減ります。ってかもう着替えていい?」

「「「「「「だめ」」」」」」

「………ハァ」

 

 

 

 

 

しばらく衣装の合せについて話したり写真会的な事をやらされて、新華と一夏が解放されたのは1時間後だった。

 

 

 

 

 

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---------------

-------------------------------

 

 

 

 

 

---1050室

 

 

 

 

 

「あ”ー…ようやく戻ってこれた…」

『------』

「ヒロウチクセキ、ヒロウチクセキ」

「ヒロウコンパイ、ヒロウコンパイ」

「ふうぅー…」ボスッ

 

 

 

 

 

制服姿でベットに倒れ込む。その姿勢のまま深呼吸を繰り返してリラックス。寝転がり天井を見上げる。

 

 

 

 

 

「あー…俺、何してるんだろうな…」

 

 

 

 

 

新華が思うのは箒の虐め、一夏に言われた言葉。

 

 

 

 

 

『いつもなら真っ先にこういう事は鎮めるのに』

「分かってるよ…お前に言われなくても。俺らしくないって事くらいは」

 

 

 

 

 

本当なら新華だって鎮めたい。何とかして虐めを撲滅したかった。しかしこの時点で新華が動いては箒も一夏も変わらない。夏祭りの時のように、新華が居ない時に何かある事はこれから当たり前になる。

IS学園卒業後は国家、企業からの接触がいくつもの形で多くなる。新華が介入する事も出来るが、新華は一夏達を一生面倒見るのはゴメンだった。それどころか新華は寿命よりも早く死ぬだろうと思っていた。死ぬ覚悟も出来ている。

 

 

 

 

 

「ったく、好き勝手言ってくれやがって。まだ期待させてくれ(・・・・・)よ一夏。俺は今更寿命通りに生きれるとは思ってないんだから」

 

 

 

 

 

新華は弾の家で言った通り、人を殺す事に対する感覚が麻痺していた。だからと言って罪悪感や罪を感じていない訳ではない。寧ろ人一倍自覚していた。殺した相手にも家族は居ただろうと、愛する者が居ただろうと考えながら。そして家族や愛する者から憎悪を受けているだろうと考えながら。

 

 

 

 

 

「………ぐっ!? 何だ?」ズキッ

 

 

 

 

 

突然新華の心に鋭い痛みが走る。ベットから上半身を起こしてエゴ・アームズ『ストーリーズ・イレギュラー』を展開する。

 

 

 

 

 

「…おいおい、これヤバいんじゃないか…?」

『------』

「P・V・Fハソン、P・V・Fハソン」

「キレツゾウダイ、キレツゾウダイ」

 

 

 

 

 

銃身にあった傷は深さを増し、本体部にあった亀裂は広がっていた。サヤカが人形態になり慌ててP・V・Fを優しく抱き締める。

 

 

 

 

 

『------』

「…大丈夫さサヤカ。あいつらが1人立ち出来るまで人間を辞める気も死ぬ気も無い。ソレスタルビーイングの事も、信頼出来る人に任せるまでは死ねないからな」

『------』

「…最低3年か。まぁ、気合で何とかするしかないな。P・V・F(これ)の事は、誰にも話してはいけないんだし」

『------』

「………サヤカ。お前にはカモフラージュとしての役割を果たしてもらわないとならないんだ。だけど、俺が死んだり人でなくなった(・・・・・・・)場合は、お前は自由になる」

『------』

「いいから聞け。もうお前は1つの生命(いのち)なんだ。だが同時に機械でもある。俺が居なくなった後の事も考えとけ」

『------』

「…そう簡単に死ぬ気は無いし人間を辞めるつもりは無い。だけど、人間に『絶対』は無い。だから、嫌でも考えとけ。それが俺の望みでもある」

『------』

「ハロ達はその時になったら実に任せる。あいつなら安心して任せられるしな」

「「ハロ?」」

 

 

 

 

 

新華の言葉にハロ兄弟が反応する。新華は苦笑いし、P・V・Fを解除してハロ兄弟を充電器にセットする。

 

 

 

 

 

「さて、シャワー浴びるか」

『------』

「…サヤカは福音と話してなさい。1人になりたいんだ…」

『------』

 

 

 

 

 

新華は着替えを持ってシャワールームに入る。新華はそのまま生徒会の仕事を終えた楯無が戻るまでシャワールームから出る事はなかった。

新華がシャワールームに入った直後、ハロ兄に1通のメールが届く。

 

 

 

 

 

『AGEシステムからの報告:ハロ3号機、ユニットF(フォビドゥン)が完成しました』

 

 

 

 

 




介入せずに新華も苦しむ。これが本当の流れです。
ユニットF、通称『セシリア涙目装備』。まぁ…大体分かりますよね? ちなみに3馬鹿の中ではレイダーが一番好きです。
あと2話で学園祭。そしてその学園祭で新華は…

-追記-
シーマ様+海兵隊出せるかなぁ…? ガチで居そうですよね、軍をクビにされる→リリーマルレーン(潜水艦)を持ち逃げ→海賊行為→新華にスカウトor亡国企業にスカウト
ただシーマ様には今度こそ故郷に無事帰って欲しい…

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