---日本上空
「………」
「………」
事実上被害無しでミサイの半数以上を破壊した
「………千冬さん、ですよね。一体何をしているんですか?」
「!? その声は、新華か!?」
お互いに直接音声で話す。新華は白騎士が千冬だという事に気付いており、千冬は目の前のISが新華という事実に動揺した。
「お前、どうやってここに…いや、それ以前にそのISは何だ?」
「質問しているのは
「!?」
突然OOガンダムが発光する。一瞬耐えられない程の光が発したと思ったらOOガンダムがその姿形を変え、両肩に大きなユニットを搭載した機体に変化していた。
「!? 一体何が起きた…!」
「
閻魔があらかじめOOガンダムに入力していた新華の戦闘データと今回の実戦により、あっという間に一次移行したOOクアンタ。
目の前で突然知り合いが訳の分からない機体に乗り、その機体が突然変化したというコンボを食らった千冬は見事に混乱した。
「ど、どういう事だ? いきなり正体不明のISが出たと思ったら新華で、いきなり変化しただと? 何がなんだか………………ッ!」
「………そりゃあこれだけやったら、流石に出撃しますよねー。おそらく目的は白騎士及びクアンタの捕獲、もしくは撃破でしょうか」
千冬は気配で、新華はレーダーと気を感じて気付いた。近くの米軍、自衛隊が向かって来たのだ。既にこれまでのミサイル迎撃は世界的ニュースとなっており、国は2機を放置出来なかった。
「………束の言っていた第2段階か」
「やっぱり束さんが黒幕ですか。分かりきっていましたが。取り敢えず安全に姿を消せる様に撃墜しますか」
「………お前は一体………一つ言っておく。誰も殺さずに落とすんだ。話は終わってからだ」
「無論ですよ。こんなことで死人なんぞ出してたまるか………!」
千冬は剣を構え、新華はGNソードⅣとGNハンドビームガンを持ち戦闘機や空母の編成部隊に突撃する。
---side 束
---篠ノ之家宅
「………………………………………………」
そこには1つの人影と空中に浮かぶいくつものモニター、何か大きな物を置くためと思われる空間があった。
その空間の主でモニターに囲まれた少女---篠ノ之 束---は険しい顔でキーを叩いていた。原因は、ミサイル迎撃に割り込み一次移行をした正体不明のIS『OOクアンタ』である。空中のモニターの1つには、現在米軍と自衛隊の編成部隊と交戦する白騎士とOOクアンタの姿があった。
「………何、アレ。束さんあんなの知らない。ちーちゃんとの通信は切れちゃうし、白騎士からのデータは途切れちゃうし」
モニターの幾つかは砂嵐が出ており、丁度その部分は通信、パイロットのデータ、白騎士のデータが映されているはずだった。
「見たところあの緑の粒子がジャミング、機体の制御を安定させているみたいだね。あの機体の一定範囲が通信不可能、レーダー無効化されているみたいだし」
さすが自他共に認める『天才』と言うべきか、その姿を観察するだけで大まかな事を理解していた。だが未だに彼女にとってOOクアンタには分からない事が多すぎた。
「今のうちにアレのデータもとっておこっと、でも、やっぱりちーちゃんの白騎士は圧倒的だねー♫」
白騎士は次々と戦闘機を撃破していく。それも束が頼んだ通り一人の死者を出さずに。
「うんうん、これでISの実用性は証明されたね! ブイブイ!」
彼女しか居ない部屋で1人はしゃぐ束。この光景を家族、もしくは織斑弟が見たら悲しむだろう。どうしてこうなった…と。
「ん? もうそろそろ終わるね。あの変な奴はこの後どうするのかな?」
画面では戦闘が終了し、それを告げるように2機のISが姿を消すのが見えた。
---side out
戦闘を終え、新華と千冬は篠ノ之家宅の束の元に向かった。新華は一度家に戻り、「束が呼んでる」と千冬が伝言を偽って合流してから向かった。新華の両親は新華が仮病を使っている事を知らないので渋ったが、新華自身が「もう大丈夫」と言い、平熱なのを見せてなんとかなった。
「………………」
「………………」
歩いている最中2人は無言だった。千冬は色々聞きたかったが、新華の「束さんにも同じ説明をしますので、その時まで待って下さい」という言葉で我慢している。一方の新華は、待機状態のクアンタがウォークマンなので、ウォークマンとしての機能を使い音楽を聞いてリラックスしていた。先ほどの戦闘で感情が昂り、戦闘が終わった後も、緊張感が抜けなかった事が原因だった。
しかし、彼がウォークマンを聞いている理由はそれだけでは無かった。ISとP・V・Fの兼用で行なった空中戦が、
「ちーちゃん!」
「! 束」
篠ノ之家宅の束が居るとされる部屋に着いた途端、束が千冬に抱きついた。通信が切れた後、よっぽど心配になったのだろう。千冬の無事を喜んでいた。
「ちーちゃん大成功だったよ! でもあの変な奴に何かされなった? 一緒に居なくなった様に見えたんだけど、一体何だったのあれは?」
「た、束、落ち着け」
「変な奴とは失礼ですね、それを言ったらあのIS『白騎士』も他の人から見たら同レベルでしょうに」
「?! しんくんがなんでIS知ってるの!? それにその言い方だとあの変な奴を知っているみたいだよ?」
「変な奴扱いはやめて下さい。ちゃんと『OOクアンタ』と言う名前があるんですから。あと、いい加減部屋に入らせてもらいますよ?ここで立ちっぱなしもなんですし」
「『OOクアンタ』? 」
聞き返す束を無視して部屋に入ってゆく新華。それに続いて部屋に束と千冬も入る。
「うあー、なんですかこの部屋。一般家庭にあっていい設備じゃないっすよ? 維持にどれだけ掛かるのやら」
「それよりもしんくん、『OOクアンタ』って言うあの機体は何? あんな兵器は束さんでも知らないよ?」
「束でも分からないか。新華、いい加減教えてもらうぞ。あれは一体何なんだ?」
部屋を観察していた新華は2人の質問を聞き振り返る。そこには普段の新華の面影は無く、戦争を戦い抜き悲しみを内包した違和感のある少年がいた。
「!! お前は、誰だっ!」
「ちーちゃん!?」
「青木 新華本人ですよ。普通で無いのは理解していますが、そう警戒しないでください」
「………お前に一体何があったんだ、お前の居る環境には問題なんて無かったはずだ。だが、今のお前には違和感や不可解な事が多過ぎる。前から大人びていたのは分かっていたが、それだけでは説明がつかんぞ」
「そうだよ、いくら束さんの話についていけるからってあれだけの兵器を作るだけの環境はここ以外どこにも無かったハズだよ。だけど、ここを束さん以外が使った様子どころか入った形跡も無かった。どういうことかなー? 」
それぞれタイプの違う年上の『天才』2人に訝しがられても動じない新華。
彼はヴェーダ、転生、前世の記憶は話さず、OOクアンタはいつの間にか持っておりISと『白騎士』についてのデータのみ入っていたと嘘を付いて通した。性格は元からで何故かは分からないで通した。束がOOクアンタを調べようとしていたが、新華は断固として触らせなかった。束がOOクアンタの技術を物にした場合何を仕出かすか分かったものでは無かったからだ。
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これら一連の事件を世界では後に『白騎士・
白騎士事件編終了。
フルセイバーでござい。
次は鈴登場予定です。